影の中の影

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 179
レビュー : 43
  • Amazon.co.jp ・本 (347ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103395317

作品紹介・あらすじ

猛き男たちよ、中国の暴虐から罪なき民を守り抜け! 人民解放軍による悪魔の所業から逃れ、日本潜伏中のウイグル人亡命団と、事件を追う女性ジャーナリストが襲われた。 証拠隠滅をはかるべく送り込まれた中国の刺客。 それを黙認する弱腰の日本政府と警察。 絶体絶命の亡命団に、謎の男が救いの手をさしのべた。 頭脳明晰、身体屈強。ロシア武術を極め、情報機関にも裏社会にも怖れられる存在――。 こいつは一体何者なのか? その手がかりは、謎の言葉「カーガー」 最注目作家の最強ヒーロー誕生!

感想・レビュー・書評

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  • 月村小説を読むと、ぞわぞわする。これは、大昔、私たちのずっとずっと祖先が狩りをしていたころのDNAなのかな。闘う本能、とでもいおうか。
    何のために誰と闘うのか、はヒトそれぞれだし、そこに正義とか大義とかがあるかどうははわからないけど、それでも闘わざるを得ない人間たちの強さと弱さが混じり合いうねりとなって突き抜けていく。
    民族の問題、国同士の外交問題、その大きく根の深い闇の部分、うかつに触れると火の粉をかぶる、けれど知らない顔して通り過ぎることはもうできないところまで来ている。
    多分、私たちはこの小説から、その一歩先へ進む時を迎えているのかもしれない。
    それにしても、カッコいいオトコたちよ。このカッコよさを別の世界で発揮できたら…と思ってしまった。

  • 良くも悪くも映画的な話。それにしても最近のこういったポリティカルなフィクションの悪玉の定番として中国が定着してきたが、中国だから特殊部隊が中国拳法とか中華式武器というのもどうかなという感があるし、やくざがここまで根性が座っているというのも古き良き時代への憧憬の様で、現実感を欠いている。ただし、話としては十分に面白く、アクション映画の脚本としては必要十分であろう。

  • 残念。期待が大きすぎた。
    中国がウイグル自治区で行っている民族浄化の被害者であるウイグル民たち。中国の非道な人体実験の生き証人でもあるため在日アメリカ大使館を目指すがそれを阻止しようとする中国特殊部隊。証人達を守ることになったルポライターと彼女を護衛する武闘派ヤクザ&伝説の傭兵。掴みは面白いのだけど、話が練りこみ過ぎと言うか、各々のキャラをドラマティックに描き過ぎ。
    最後はペントハウスでの死闘が延々と描かれるのだけど、そこを盛り上げるために小さなドラマをいくら盛り込んでも、どれも今まで読んだような(見たような)話が多く、幕の内的なイメージがつきまとううえ、その描写がアクション描写のテンポをそいでしまっている。
    全体的に話のリズムが今一つ乗り切れなく感じたのも月刊誌の連載と知って納得。
    これだけの書き手だからこそ、もっと高いレベルの作品を期待してしまった。
    月村氏の作品は(特に現代を舞台にした場合)、必ずサブテーマがあって、今回はウイグル自治区に対する中国の弾圧。それはわかるのだけど、この構図、そしてその後の追撃戦の話の展開が「土漠の花」と重なってしまったのも残念。
    これが他の作者であれば文句ない出来なのかもしれないが、月村氏だとつい期待も大きくなってしまった。
    この作品も他の作品の例にもれず多分に視覚的なので、映画化するとずっと分かりやすくテンポの良い作品になりそう。

  • ウィグル人亡命者を中国の暗殺集団から守るために壮絶な闘いを繰り広げるアクションサスペンス。とにかくスリリングで息もつかせぬ展開です。
    謎の男「カーガー」が主役なので、彼が強くてかっこいいのは当たり前なのですが。むしろかっこよくて凄いと思えてしまうのは、菊原組の面々ですね。見せ場とか凄すぎ。超絶殺人鬼までがかっこよく思えてしまうのはかなり凄いと思いました。あんな人本当にいたら大変すぎるのに!(笑)
    曜子のジャーナリストとしての葛藤も読みどころです。真実を追究することとジャーナリズムの存在意義には、考えさせられることが多そうです。

  • ちょっと人が死にすぎるので面白いというと語弊があるが、ヒーロー物はエンタメとして面白い。少数民族問題には暗澹たる気持ちになるのでただ面白いとは言えないが、ヤクザ達のキャラが立っていてその組み合わせが絶妙。絶望的状況からの脱出、危機一髪のヒーロー、その中での人の覚悟。。ハリウッド的分かりやすいエンタメ好きなもので途中から一気に進みました。

  • 現代版の、現代の世相を反映したハードボイルドです。
    主人公の影の部分が、作品全体にも影響していきます。
    ヤクザと中国共産党、アメリカと日本、警察と公安など、複雑に絡まり合う利害関係や権謀術数。
    息もつかせない、先の読めないストーリー展開が、飽きさせません。
    楽しめます。
    お勧めです。

  • 面白い。タイトル通りの作品だと思った。
    主人公が形成されていく過程や迫りくる罠と暗殺部隊との戦闘シーン、ヤクザとウイグル人との友情などを現実の国際問題に上手く絡めていて濃密な内容だった。
    あの国ならやりかねないな。

  • テーマそのものはタイムリーで悪くないのですけど、主人公が余りにスーパーマン過ぎてちょっと漫画的。大昔に読んだ門田何チャラの「黒豹」シリーズとか、子供が武装集団を出し抜く「遠い海から来たCOO」を想い出しました。フィクションにはフィクションなりのリアリティが必要だと思うのです。

  • 次から次へと新作を発表し、そのどれもがハズレなしという、現代ハードボイルド作家の巨匠。「土漠・・・」ではアフリカ、「槐」では日本のキャンプ場、「影の・・・」では川崎のマンションが舞台。まさに舞台も変幻自在だ。主人公は常に世界から忘れ去られた、地下に潜ってしまった過去と影のある人物。その主人公が丁々発止の大活躍で毎回ハラハラどきどきさせる。「影・・・」もその流れだが、敵は中国。これで中国は益々イメージ悪くなったなぁ。
    ところで機竜シリーズもそろそろ新しいのをお願いします。

  • いい。やっぱりいい。
    月村了衛最新作、圧倒的にカッコいい。
    祖国を追われた弱き者を、戦闘のプロが守り抜く。
    謀略渦巻く世界で、圧倒的な力にも敢然と立ち向かう様はとんでもなくカッコいい。
    影の中の影というタイトルも、読み終えて納得。

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著者プロフィール

1963年大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部文芸学科卒業。2010年、『機龍警察』で小説家デビュー。2012年に『機龍警察 自爆条項』で第33回日本SF大賞、2013年に『機龍警察 暗黒市場』で第34回吉川英治文学新人賞、2015年に『コルトM1851残月』で第17回大藪春彦賞、『土漠の花』で第68回日本推理作家協会賞を受賞。他の著書に『神子上典膳』『機龍警察 狼眼殺手』『コルトM1847羽衣』『東京輪舞』などがある。

「2019年 『悪の五輪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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