ヒトでなし 金剛界の章

著者 :
  • 新潮社
3.79
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本棚登録 : 403
感想 : 55
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  • Amazon.co.jp ・本 (576ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103396116

作品紹介・あらすじ

理屈も倫理も因果も呑み込む。この書は、「ヒトでなし」の「ヒトでなし」による「ヒトでなし」のための経典である――。娘を亡くし、職も失い、妻にも捨てられた。俺は、ヒトでなしなんだそうだ――。そう呟く男のもとに、一人また一人と破綻者たちが吸い寄せられる。金も、暴力も、死も、罪も――。犯罪小説であり思弁小説であり宗教小説であり諧謔小説であり、そしてなにより前代未聞のエンターテインメント小説!

感想・レビュー・書評

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  • この人の本は厚さが半端ないので読もうとする時いつも一瞬躊躇するのだけれど、読み始めてしまうとその厚さを感じさせないくらいどんどん読み進んであっという間に読み終わってしまうんですよね。
    人には人は救えないという考え。ひとでなしは人ではないから救えるっていうすごい発想の転換というか……。
    新シリーズとあったから、続くんでしょうかね。読んで私も救われたいものですが。

  • 殺人が起こってから、物語が動き出し俄然面白くなる。仏教とはたくさん宗派があるし、個々で考え方も違うだろうが、解脱を現代的な物語にしたらこうなるのか。早く続きが読みたい。

  • 芯が疲れた。小説を通じて人生論や哲学を読まされるとは。600ページ弱を使って、シリーズの長大なプロローグを読まされた感じ。このメンバーでシリーズが続くのか?誰一人好感も共感も持てない、地味な奴らばかりだけど。

  • 娘を亡くしてそれがきっかけとなり職をなくし妻にも去られた男のお話。ダメ人間っぷりだとかやさぐれた日常だとか復讐譚とかそういうのではなく、なんかそういうのを超越した宗教観みたいなものを感じなくもない不思議な話。タイトルである「ヒトでなし」を従来のマイナスのイメージではなく「人を超越した」みたいな意味合いにでもなっているのだろうか。
    面白いかどうかはかなり人を選びそうな。ヒトであることを捨てきれない自分は「娘を殺しておいて自己を正当化しつつぬくぬくと生きている犯人」を見てもなにもしないというのはなんとももやもやしてしまいますわ・・・

  • 相変わらずとても読みやすい京極本。文章て相性あるねぇ。この表紙で金剛界の章と書いているし、この直前に『月神』を読んでいたのでつい夢枕獏の九十九乱蔵みたいなのを連想してしまって読みはじめたが、全く違ってモナドの領域よりな感じやねぇ。宗教蘊蓄というか、思想蘊蓄というか、単に屁理屈というか。とてもうるさいが、ほどよいところで寸止めになったうるささが後半クセになってきて心地よくなってくる。

  • 京極夏彦の新シリーズ。
    途中まで、この路線で続編とかあるの? 単発じゃないの? ……と思っていたら、しっかり『続き』があるというラストを迎えた。
    微妙に気になるところで終わってるので、早く続きが出て欲しいのだが……。この点に関しては期待しないでおこうw

  • 記録

  • 小説としての面白さとは別に、非常に情緒が乱される読後感だった。

  • 結婚をして子供2人いたのですが、一人亡くなってしまい、そんなに悲しむ素振りを見せなかったせいか、妻に人でなしと言われて離婚します。

    親権は妻の方に行き、家もローンがあったので売ってしまい、会社も首になり、何もかもなくなってしまい、人でなしになった男性の話。

    人でなしと言っても、ここでは人ではないという意味で使われていて、周りに色々なことが起こって巻き込まれていくのですが、主人公は、
    俺は人でなし(人ではない)から。
    と、色々なことを言います。

    それが結構、的を得ていて、そういう考えもあるのだなぁと思いました。

    その考え方に惹かれてか、色々な人が集まって来るのですが、主人公はめんどくさそうでした。

  • なんともまあ、うんだらかんだら「ヒトでなし」問答が終始繰り返される。娘を失い、妻に捨てられ、職から払われ、もはや厭世も達観も超越したヒトでなしにとって、自分を見失ったロクでなしや、はたまたヒトごろしでさえもただの俗物にすぎぬ。ヒトとしての道理なんざ一切通じない。というよりそんなもの関係ない。死にたきゃ死ね、殺したきゃ殺せ、俺は死ぬ気はないが、生きることにこだわらないと呪文のごとく唱え続ける。まあ一言「どうでもいい」、これがヒトどもに効いちまう。終いには「立派なヒトでなし」とな。俺にも効いた。次章やいかに。

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著者プロフィール

1963年、北海道生まれ。小説家、意匠家。94年、『姑獲鳥の夏』でデビュー。96年『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、97年『嗤う伊右衛門』で泉鏡花文学賞、2003年『覘き小平次』で山本周五郎賞、04年『後巷説百物語』で直木賞、11年『西巷説百物語』で柴田錬三郎賞、22年『遠巷説百物語』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『死ねばいいのに』『数えずの井戸』『オジいサン』『ヒトごろし』『書楼弔堂 破暁』『遠野物語Remix』『虚実妖怪百物語 序/破/急』 ほか多数。

「2023年 『遠巷説百物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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