アメリカ最後の実験

著者 :
  • 新潮社
3.39
  • (3)
  • (31)
  • (25)
  • (3)
  • (4)
本棚登録 : 213
レビュー : 30
  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103398110

作品紹介・あらすじ

ここではないどこか、誰も書いたことがない世界を書きたい――気鋭の作家の新感覚小説! 失踪した音楽家の父を捜すため、西海岸の難関音楽学校を受験する脩。そこで遭遇する連鎖殺人――「アメリカ最初の実験」とは? ピアニストの脩が体感する〈音楽の神秘〉。才能に、理想に、家族に、愛に――傷ついた者たちが荒野の果てで摑むものは――西海岸の風をまとって、音楽が響き渡る……著者新境地のサスペンス長編。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • きれいにスッキリとタイトル回収で気持ちがよかった。宮内さんの作品好きだな。


    失音楽症、局所性ジストニアとか知らなかったことがいっぱいあって、検索しながら読んだ。あと歴史的な人物や宗教に関係する人物も実在していたりして、ここも検索した。


    欲を言うと、ヨハンによる“胎児が夢を見ない”実験内容をもっと知りたかったし、<グレッグ音楽院>の内部も知りたい。『エクソダス~』も、そうだったけど物足りないところがあった。深く掘り下げてほしかった。


    第1章「雨水のようなアメリカの水道水」は、曲を聞いてるみたいな雰囲気になりました。一番好きな章は…
    第4章「ソドムの真ん中の清教徒(ピューリタン)」。脩とリロイのセッションがすごかった。(ごめん。BLかーって思った)。あとアルノがカッコイイ。マフィアの用心棒だけど素敵な脇役でした。


    音楽はゲーム、建築物、風船、麻薬、性とか、それぞれ持論があるけれど、音楽はコミュニケーションが心に響いた。同時にアメリカのかかえる問題⇒暴力や性、麻薬、抗鬱剤の蔓延、銃、宗教、同性愛、人種問題などが絡み合い、最後の最後まで気になり、ぐいぐい引っ張られてしまいました。


    “(音楽とは、暴力に抗うためにこそ生まれてきたのかもしれないな)”=239ページ=
    最後の事件でリューイが歌い出し群衆もみなつられて歌うシーンは鳥肌が立った。



    参考文献がすごい量で驚き。それにしても毎回読むたびに思うけど、宮内さんは父と息子の確執みたいなものを作品に描いているような気もする。あと村上龍が好きなのかな~…とか思ってしまう。



    予約者ありなので早く返さないと。ジャンルはSFじゃないしミステリでもないし…サスペンスと帯にあるけど、そうなのかな…。
    『ヨハネスブルグの天使たち』も読みたい。

  • 父親を捜すためにグレッグ音楽院を受験する主人公と、ライバルたちそれを取り巻く人々の、「音楽」で一体何ができどこまで行けるのかを模索した物語。

    SFっぽくあり、でもSFっぽくなく、現実っぽくもあり、架空っぽくもあり、小説なので全て架空なのだが、この境界をいったりきたりする感じで音楽の持つ面白さがうまく強調されていて、不思議とこの世界観に浸かってしまう。

    本物のピアノでは決して出せないと言われる特殊な音程を出せるシンセサイザーと言う架空の楽器がまたたまらなく、現実の楽器そのものがそもそも過去と現在をつなぐもので、まるでそこに特殊な音程を出せるという未来の楽器が登場したような描かれ方はワクワクしてしまう。

    音楽も進化しているから、いつかきっとこういう楽器も生まれるんだろうなぁと。

    陰謀論的な部分はあまり好きな感じではなかったが、未知の楽器の登場とライバルたちとの演奏バトルめちゃくちゃ面白かった。

  • 失踪したピアニストの父を探すため、父が通っていたアメリカの音楽院に、情報を集めるべく入学試験を受けに渡米した脩。父の残したシンセサイザーの秘密や試験中に起こった殺人事件をからめながら展開される。作品を通して音楽がテーマとなっていて、音楽によって次第に精神を蝕まれる描写が、退廃的でリアルに感じた。脩とリロイの演奏シーンは圧巻だった。

  • 音楽に呪われた人々の再生の物語。途中まではハーモニー meets 奇書みたいな感じかと思いきや、軟着陸。あるもう少し風呂敷を大きく広げて欲しかったと思いつつ、音楽に打ち込む人々の描写がとても良かったです。

  • 演奏中の流れるような疾走感のある描写に夢中になって読んだ。受験者三人組にはバンドを組んで欲しかったなという思い。
    ヨハンや脩一の内面にもっと触れてみたかった。それぞれ障害と謎めいた過去を抱えていたからもったいないという気がした。魅力的な人物設定だと思う。

  • リアリティ不明と思いながら、天才の域の音楽世界を理で読ませてもらった。
    ただ、ストーリー面に物足りなさがある。

    雨水のようなアメリカの水道水
    千年のつくりもの
    虚無への供物
    ソドムの真ん中の清教徒
    ロメロゾンビのいない夜
    最終試験
    ルート66

  • 宮内悠介の描写する、砂漠や岩山の風景が好き。盤上の夜にもあったよね。
    ひび割れるくらい乾燥しきった叙情。

  • ピアノとジャズを主体に音楽を大きな背景にもつ小説。

    「蜜蜂と遠雷」と共通する部分を感じつつ(こっちの方が先に刊行された小説なんだが)、こっちの方がとんがっていてニヒルでクールな味わい。そこはやっぱジャズとクラシックというジャンルわけなんだろう。

    伏線回収が少々荒っぽいのが残念。ほったらかしにはしていないんだけど、もっと掘り下げても良かったんじゃないだろうか?あっさりも味わいのうちなんだろうが、まだまだしゃぶれそうな素材なのに、なんだか勿体ない気がする。
    つまり、続編というかこの世界観の小説をもっと読みたいぞっ、てことだ!

    ドのシャープとレのフラットが区別できるような聴覚と感性、それを演じ分けられるような技量。そういう天性と努力をもって磨き上げられた奏者…カッチョ良いよなぁ。
    怠け者で凡人の俺には、まったくもって届かない世界ではあるが。

  • 音楽がテーマのミステリ/SF。演奏シーンの描写もよかった。

  • 嫌いじゃないけど、好みじゃない。
    出会いの妙で「盤上の夜」「アメリカ最後の実験」という順で読んでいたら宮内悠介はマストバイリストに入らなかったな。

全30件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

宮内悠介(みやうち・ゆうすけ)
1979年東京都生まれ。早稲田大学第一文学部英文科卒業。2010年囲碁を題材とした短編『盤上の夜』で第1回創元SF短編賞山田正紀賞を受賞、各種盤上ゲームの連作短編として2012年『盤上の夜』で単行本デビュー。第33回日本SF大賞受賞、第147回直木賞候補。2013年『ヨハネスブルグの天使たち』で第149回直木賞候補、第34回日本SF大賞特別賞受賞。2016年『アメリカ最後の実験』で第29回山本周五郎賞候補。「カブールの園」で第156回芥川賞候補。同作で2018年第30回三島由紀夫賞受賞。『彼女がエスパーだったころ』で第38回吉川英治文学新人賞受賞。『あとは野となれ大和撫子』で第157回直木賞候補。2017年「ディレイ・エフェクト」(『文学ムック たべるのがおそい』 vol.4)で第158回芥川賞候補。

宮内悠介の作品

アメリカ最後の実験を本棚に登録しているひと

ツイートする