原節子の真実

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 16
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103400110

作品紹介・あらすじ

小津との本当の関係、たったひとつの恋、経歴の空白、そして引退の真相……。その存在感と去り際、そして長き沈黙ゆえに、彼女の生涯は数多の神話に覆われてきた。真偽の定まらぬままに―― 埋もれた肉声を丹念に掘り起こし、ドイツや九州に痕跡を辿って浮かび上がったのは、若くして背負った「国民的女優」の名に激しく葛藤する姿だった。伝説を生きた女優の真実を鮮やかに甦らせた、決定版の本格評伝。

感想・レビュー・書評

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  • 最近、「青い山脈」と言う戦後間もない時期に上映された映画を見て、原節子さんを知った。

    すごくきれいな人だなと思って、調べていくうちに、外見からは想像できない、強さとミステリアスな雰囲気がある人だと思った。

    家庭が貧しくて、家族を支えるために14歳で女優になって、引退して95歳で亡くなるまで、一切の外との関わりをたって隠居生活を送っていたらしい。

  •  一気に読んだ。本書の特徴は過去のインタビューを丹念に読み込み、本人の声を丁寧に拾っていることにある。そこから、本人の考え方や仕事に対する客観的な姿勢が良く見えてくる。労作。

  • 小津の映画に 出演した 原節子は まるで女神のようだった 。最高の女優だと思っている。 三島の評伝の後に この作品を読んだから 戦争を挟んだ 激動の日本という時代 を私たちの先達たちは 乗り越えてきたのだと 思い知った。
    笠智衆がかける「のりこさん」という声が耳に残っている。

  •  小津映画の本人評価が、一番なるほどと思わされた。
     

  • 2017.11.12読了 図書館

    両親の若かりし頃活躍した女優、原節子。
    40歳という若さで突然映画界から消え去ってしまったことも伝説の一つなのかも。
    本人に取材なく、ここまで書けるのはすごい。巻末のものすごい量の参考文献がその努力を物語っている。

  • 「原節子の真実」かどうかわからないけど、原節子の評伝。原節子って、現役時代もそれなりに有名だったんだろうけど隠遁したことで伝説と化し名を上げた面が強いんじゃないだろうか。大根役者と呼ばれた時代も長かったようだし、評価する人がいた一方、非難する人や大衆も常にいた感じ。動いている、つまり映画での原節子をほとんど見たことがないことあって、自分の印象としては動よりも静で美しい、そして主張のない人というイメージだった。『李香蘭と原節子』(四方田犬彦著)に影響された面もあると思う。
    でも、この本を読むとそんな原節子の印象がちょっと変わったかな。戦前の活動時は、電車で撮影所に通うなどいい意味で女優らしくない人だったよう。そして自分に学が足りないからと撮影の待ち時間は常に本を読んでいるようなとても真面目な人。だからだよね、人受けが悪かったりもする。
    真面目さゆえか気性のものか、戦前から水着グラビアを断ったり、俳優を色眼鏡でなく見てほしいといった主張もしているし、引退間近の頃の出演作や役柄をこき下ろすインタビューの引用などではヤケクソかと思えるほどの発言。
    何だかこの引退間際の40歳前後の原節子の振る舞いには、何だかシンパシーというか今の自分と似たものを感じた。人並み(恋愛して結婚して家庭つくる)でない生き方を何となく選択的に歩んでいるんだけど、何だかモヤモヤと逃した感、うつうつとした焦燥感や虚無感があるのよね。
    この本を読んで、演技や俳優という仕事に真摯に向き合おうとした姿は本物だと思った。一方で、義兄の熊谷久虎への盲目的ともいえる信頼や、戦中の国策映画への出演から戦後の民主主義を体現した映画への出演のあたりの気持ちの切り替えなどはどうしたんだろうと不思議にも思う。前者は真面目さゆえの盲目的な信頼とも考えられるけど、後者は演技に真摯に向き合うような性格が原節子の本質だとしたら、どう消化(昇華)して戦後も映画に出続けたのだろうか。著者が推察するとおり、戦後の活躍はある種の悔悟だったのだろうか。そうだとすれば、自身の出演作や役柄を酷評したのはなぜ……。
    結局、不思議な原節子像のまま。もう一度、『李香蘭と原節子』を読んでみようか。それとも出演した映画を見てみるべきか。

  • 内容(「BOOK」データベースより)

    小津との本当の関係、たったひとつの恋、空白の一年、そして引退の真相―。伝説を生きた女優の真実を鮮やかに甦らせた、決定版本格評伝。

  • 美しさ、強さ、優しさ。独身であることに理由が求められるのは何故かしら。

  • 実は原節子さんという女優のことは、まったく知りませんでした。もちろん、小津安二郎監督の〝東京物語〟は観ていましたが、そのときは監督の方に関心がわき、小津監督に関する本を読んだりしただけでした。
    映画界を退いて半世紀以上、その間いっさいマスコミの取材に応じることもなく隠棲されて、それでも、いまなお〝伝説の女優〟とか、〝永遠の処女〟などと呼ばれている原さんて、いったいどんな女性だったのでしょう?遅ればせながら、すこ~し興味がわいて読んでみました。
    もともと原さんは裕福な家庭にお生まれになったようですが、家業が傾き、生活のために14歳で映画界に入られたようです。兄姉は良い学校を卒業されたにもかかわらず、末っ子の彼女だけが違う道を選ばざるを得なかったみたいですネ。戦前の映画女優というのは卑しい職業とされていたようで、その扱われ方もひどかったそうです。言うに及ばず、戦前の日本は封建的で、男尊女卑が当たり前。閉鎖的な映画界にあっては、なおさらのことだったでしょう。映画自体が低俗なものとして扱われていたのですから、女優の立場なんて想像以上に劣悪だったようです。しかし原さんは、ひょんなことからドイツと日本の合作映画に主演するチャンスをつかみます。無名の新人が、このことを機に映画先進国であるドイツやフランス、ハリウッドを巡ることになります。戦前のことですから、海外旅行をする人だって、ごく少数の限られた人だけだったでしょう。彼女の女優としての自覚は、その経験によって培われたのではないでしょうか?海外を旅した若い女性の言動は、その後さまざまな誤解も生んだようですが、それでも戦前・戦中・戦後、そして今に至るまで、銀幕のトップ女優であったということはスゴイことですネ。
    原さんは、随分ストイックな方だったんじゃないかと想像できます。映画には関心がなく、好んで女優業を続けたわけではないのに、それでも、仕事となると全身全霊で打ち込む。引退されてからはいっさい公に顔をさらすこともなく、生涯独身のまま、質素な生活をされていたとのこと。
    原さんは女優という職業を好きではなかったようですが、彼女は女優になるべくしてなった、天から選ばれた女性だったという気が、本書を読んでいたしましました。


    べそかきアルルカンの詩的日常
    http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/
    べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
    http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2

  • 原節子という人物をより深く知りたくなる、きっかけの一冊。

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著者プロフィール

太田・石井法律事務所
昭和61年4月弁護士登録(第一東京弁護士会)。平成30年経営法曹会議事務局長。
専門分野は人事・労務管理の法律実務。

「2022年 『経営側弁護士による精選労働判例集 第12集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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