父の肖像

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 67
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (645ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103407126

作品紹介・あらすじ

近江商人の末裔たる誇り高き田舎者にして大隈重信の末弟子、政治家らしからぬ政治家にして専横独裁の実業家、徹底した現実主義者にして時代の理想を追求し続ける者、私の父にして私の宿敵-。果して何者なのか?地縁と血の絆、修羅と栄光の狭間をひたすら生きたこの男は?この男の血を受けた運命から逃れきれないでいるこの私は?最大の「宿命」に挑む長篇小説。

感想・レビュー・書評

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  • 堤清二が父・堤康次郎の人生を伝記風に書くと共に自らとは何かを雄弁にこの中で主張しています。康次郎の多くの女性との関係、鉄道、観光産業の事業家としての成功の歩み、大隈重信、永井柳太郎の弟子としてスタートし、戦後に野党に押されて衆議院議長になるまでの政治的成功など謎の人生を明らかにしてくれると共に、その背後にあって屈折した人生を歩まざるを得なかった清二自身についても、自伝として描かれているようです。清二の母が謎の詩人になったりという脚色があるものの、実名の登場人物が多く登場し、臨場感に溢れています。母を架空の人物にしたことが、その屈折感を物語っています。また異母弟・堤義明をあまりにも小人物として描いている点が、2人の確執を雄弁に物語っているように印象を強くしています。

  • 旅行中持参する本を持っていないことに気がつき新幹線駅キオスクにて購入。
    かくたる機会がなくとも少々縁あることから筆者の作品には一応目を通してきている。

    「死はある人生に終止符を打つが、故人との葛藤は残された者の心の中でいつまでも続く」という米映画の終幕の言葉を思い出した。

    親の死んだ歳になるまでこれが続くとは息苦しい。筆者のごとく父からも母からも「愛された」という確信のない者は永久に帰属する場所ないままひとりぼっちか。居どころないまま、居心地悪いまま、自らも人を愛することが出来ぬまま老いてゆくのか。

    日本近代の政治経済史に興味なく、大正昭和初期の価値観に感情移入できぬ人には縁のない著書かもしれない。

  • コレ読むまで、そのへんの事情まったく知りませんでした。

  • 積読中

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著者プロフィール

小説家、詩人。元セゾングループ代表。著者に『茜色の空』など。

「2010年 『大澤真幸THINKING「O」第4号』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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