ジーンとともに

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 41
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103452065

感想・レビュー・書評

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  • 野鳥を観るとき、いつもその魅力に惹き付けられる。特に渡りの神秘に。
    《ジーン》遺伝子に導かれる記憶と衝動に突き動かされる野鳥たちの神秘を加藤幸子さんはおおらかにたくましく切なく描いている。
    世界は広く、人間が決めた国境の概念の意味の無さを知る。野鳥は人間《二本足》をこんな風に観ているのだ。
    時には、人間以外の視点で既成概念にとらわれずに世界を観てみたい。

  • ◆きっかけ
    ブクログ。2016/9/25

  • この本は2年ほど前に読んだ傑作!なのだが、
    レビューしてなかったので改めて。

    この作品は鳥の視点から描いたきわめて稀な物語。
    著者は完璧に鳥と化し、
    「ジーン=遺伝子」に導かれる不安に震えながらも
    果敢に運命に身を委ねていく。

    理由はわからない、ただジーンの声に従い、
    命がけで海を渡る渡り鳥たちの逞しさ。
    38度線を越えて飛ぶ鶴たちの姿に、
    地や空にまで境界線をひく人間の愚かさを知る。

    しかしこの本、絶版である。
    古本を探すか、図書館で借りるしかないのが残念。
    復刊ドットコムに復刊リクエストしたので
    ぜひ投票して下さい!!

    http://www.fukkan.com/fk/VoteDetail?no=55053

  • <あらすじ>
    「主人公のいない場所」(1988~1989)ショートショート24編。
    「渡鶴詩」(1997)鶴の“ぼく”の視点から見た旅の話。
    「雀遺文」(1995)年老いた雀の“わたし”が来し方を振り返る。
    「アズマヤの情事」(1999)穏やかな“ボク”は繁殖期になると積極的な“おれ”になり、東屋を作り始める。
    「ジーンとともに」(1994)卵から生まれ出た“私”は姿の見えない相棒“ジーン”の助言を得ながら、たった一羽で〈島〉へ向けて旅立つ。

    <ひとことコメント>
    「アズマヤの情事」の鳥はアオアズマヤドリらしいです。Googleでイメージ検索したら、アオアズマヤドリの鮮やかな“庭”がたくさん出てきました。

  • (2007.11.30読了)(1999.03.27購入)
    (「MARC」データベースより)amazon
    ジーンが私を衝き動かす。さあ飛べ、海を渡れ、危険から逃れろ、産み出せ、そして休めと。遺伝子の記憶に導かれた鳥の一生を、鳥の視点で、感動的な迫力で描く。生き物への澄んだ眼差しが透徹する短編集。

    文庫が出ています。
    「心ヲナクセ体ヲ残セ」角川文庫、(2008/9/25)

  • 鳥の視点で世界をみたら、こんなふうなのかな。
    虹色の鳥と一緒に、海を渡ったような気分になれました。
    過度の思い入れを感じさせない淡々とした文章が魅力的。
    前半の短編も面白いです。

  • 鳥が主人公のお話で、まるで人間みたいに書かれている話。

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著者プロフィール

1936年札幌生まれ。41年両親とともに北京に渡り、47年引揚船に乗り帰国。北海道大学農学部卒業。農林省農業技術研究所に勤める傍ら、「三田文学」に作品を発表。72~89年自然観察会代表。82年「野餓鬼のいた村」で第14回新潮新人賞、83年「夢の壁」で第88回芥川賞、91年『尾崎翠の感覚世界』で芸術選奨文部大臣賞、2002年『長江』で毎日芸術賞を受賞。08年から財団法人北海道文学館顧問。日本野鳥の会会員。

「2015年 『尾崎翠の感覚世界』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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