- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103452096
感想・レビュー・書評
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2011/9月
加藤さんの文章にしっくり入れた。久々に世界にはまり込んだ小説。やっぱり戦争って、何かルーツを感じる。激戦も静戦もまだまだ色んな「戦争」があるんだろう。 加藤さん作品もっと読んでみたいと感じさせられました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
<あらすじ>
第一章「歴史」。島が生まれ、鳥たちがやってきて、人が住みつく。
第二章「戦争が来た」。島の少女キヨと強制労働で半島から連れてこられたインスが出会う。やがて島に軍隊がやってきて、防衛のためのトンネルが掘られ始める。侵食される島の生活、近づく敵軍。インスは島からの脱出を狙うが、まだ好機に恵まれない。そして島の住人たちは本土への疎開を強制される。
第三章「<島>へ」。終戦から64年。もうすぐ40代の有希は“光るキノコ”を撮影しに島へやってきた。島の獣医の照彦にガイドを頼み、彼の祖母・きぃばあちゃんが営む民宿に泊まる。飛行場で、海岸で、有希が感じる何かは戦争の記憶につながっていく。有希は“撮られたがっている”ものに導かれるようにシャッターを押し、トンネルの中へも進んでいく。
<ひとことコメント>
祖母世代の話から孫世代の話へ。『家のロマンス』と同じような構成ですが、どちらかというと『夕凪の街桜の国』(こうの史代)のような印象を受けました。さすが加藤幸子さん、鳥がたくさん出てきます。読んでよかった。加藤幸子さん大好きです。 -
知人から借りる。
私の住んでいる島(八丈島)を
モデルにした小説ということで
ぜひ読みたいと思っていた。
長野に疎開していたという
義父の話を思い出しつつ、
興味深く読んだ。 -
この小説は、太平洋戦争に巻き込まれた「<島>=八丈島」の物語だ。三章建ての構成なのだが、第一章は<島>の創世記を語るまるで叙事詩のようなもの。そして第二章はこの小説の本題で、<島>の若い娘・キヨと朝鮮半島から徴用され強制労働をさせられている若者・インスの秘められた恋を描く。第三章は戦後64年を経た<島>を、何者かに導かれるように取材する女性カメラマンの視点で描かれる。島固有の黒鳩が黒子役を演じていて印象的だ。これまであまり注目されて来なかった(隠されていた?)八丈島=<島>での戦争が、この物語でクローズアップされ、人々の記憶に残ることがこの小説の大きな目的なのだろう。なかなか感銘を受ける物語で、これは実に巧みな著者の構成によるものかもしれない。
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八丈島に行ってみたいと思った。小説の尺もあってか少し消化不良気味かもしれない。もっとじっくり書かれていてもよかった。第三章が一番おもしろかった。