許されようとは思いません

著者 :
  • 新潮社
3.46
  • (24)
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  • (26)
  • (8)
本棚登録 : 882
感想 : 145
  • Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103500810

作品紹介・あらすじ

あなたは絶対にこの「結末」を予測できない! 新時代到来を告げる、驚愕の暗黒ミステリ。かつて祖母が暮らしていた村を訪ねた「私」。祖母は、同居していた曾祖父を惨殺して村から追放されたのだ。彼女は何故、余命わずかだったはずの曾祖父を、あえて手にかけたのか……日本推理作家協会賞短編部門ノミネートの表題作ほか、悲劇をひき起こさざるを得なかった女たちを端整な筆致と鮮やかなレトリックで描き出す全五篇。

感想・レビュー・書評

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  • 芦沢央さん。初読み。やっと読めた。
     
    ミステリ短編集。
     
    ●許されようとは思いません
      亡くなった祖母の真意とは。
     
    ●目撃者はいなかった
      仕事のミスをきっかけに堕ちてゆく男の運命。
     
    ●ありがとう、ばあば
      孫娘のマネージャーとなった祖母は。
     
    ●姉のように
      尊敬していた自慢の姉が事件を。
     
    ●絵の中の男
      怖ろしい絵の誕生には秘密が。
     
    「目撃者はいなかった」と「姉のように」が好き。
    じわじわと足元が砂のように崩れてゆくその描写が素晴らしい。
    追い込まれてゆくのも分かるな、と理解できる。
    自分も一つ間違えばそうなるかもと思わせてくれる。
     
    読み終えて、米澤穂信さんの「満願」「儚い羊たちの祝宴」を思い出した。

  • ★3.5

    日常に潜む狂気を描いた5編の短編集

    ・許されようとは思いません
    祖母の遺骨を納骨する為に祖母が暮らした村を訪れた私。
    祖母は一緒に暮らしてた曾祖父を殺害し村十分になってた。
    余命僅かな曾祖父を祖母は何故殺したのか…。

    ・目撃者はいなかった
    受注の数を間違えた営業マンが会社に内緒で処理をしようと
    嘘に嘘を重ねていくが、隠蔽工作の当日交通事故を目撃する。
    証言をせずにすませようとするが…。

    ・ありがとう、ばぁば
    子役として活躍をはじめた孫娘を必死でサポートする祖母の私。
    ホテルのベランダに閉めだされてしまう。
    このままでは凍死してしまう。孫娘はどうしてこんな事をするのか…。

    ・姉のように
    小さいときから憧れの姉だった。
    その姉が事件を起こしてしまう。姉の様にならないように、
    自分の娘への虐待の衝動を抑えようと必死になるが…。

    ・絵の中の男
    女性画家は幼い頃に一家皆殺しにあった生き残りだった。
    その悲劇をモチーフに絵を描いていたが、やがて描けなくなり…。


    日常に潜む狂気を描いた作品そのものでした。
    姉の様には、すっかり騙された~♪
    この世の中で一番怖いのは人間なんだなぁ。
    人間の心に巣食う闇…あるきっかけで悪い方へ悪い方へ転がっていく。
    人は追いつめられると、思いがけない事をする。
    誰の身に起こってもおかしくないって思うと怖かった。
    圧倒的な心理描写にゾワゾワさせられました。

  • 黒い。
    いろんな黒が描かれている。
    闇の黒、影の黒、人間の心の奥の黒、塗り込められた黒。
    ビアズレータッチのカバーイラストがぴったりの世界。
    言葉が緻密に書かれているので、緻密に読まなければならない。
    叙述トリックもある。
    しかし、意地悪な書き方ではなく、「ここテストに出るよ」と言ってくれる先生のように、ヒントを与えてくれているので大丈夫。
    それにしても、人の心のひだは深い。
    何を考えているのか分からないものだなあ…と思う。

    『許されようとは思いません』
    祖母が暮らした、異常に排他的な村に遺骨を受け取りに行く青年。
    末期癌で長くなかった祖父を、祖母は何故わざわざ手に掛けたのか。

    『目撃者はいなかった』
    いつも営業成績が最下位だった自分が、なぜ、好成績に?
    ある間違いに気づいて、もみ消しに躍起になるが…

    『ありがとう、ばあば』
    ステージママならぬ、ステージばあばと、孫娘の杏・9才。
    ばあばのプロデュースで杏はどう成長したのか。

    『姉のように』
    事件を報道する記事で始まる。
    姉が犯罪者になった。
    世間の目、夫の目…
    段々と追い詰められていく。

    『絵の中の男』
    さながら地獄絵図、という画風で知られる作家の絵を主に扱っている“私”のところに、一枚の絵が持ち込まれる。
    これは、“あの絵”ではないだろうか?と。
    絵について語るうち、私はある考えにたどりつく。

  • 許されようとは思いません
    評価3
    そぐわないものを徹底して排除する村。それを甘んじて受け入れてきた祖母が曾祖父を殺めたのは、自らを含めた全ての人を救うためだった。
    そもそもそんな村に婚約してもいない交際相手を連れて行くものか、という根源的な疑問は別として。

    目撃者はいなかった
    評価4
    自己保身のため、人は時として人として誤った選択をする。
    主人公は愚かだか、自分にも起こり得ること。
    教訓小説。

    ありがとう、ばあば
    評価3
    こわい。ばあばにとって当然の報いなのかもしれないが、あまりに残酷。

    姉のように
    評価4
    読中感と読後感が全く異なる。
    読み終えて、こんなに感情移入したのに、一体なんだったんだ~っ!と声を出したくなってしまった。

    絵の中の男
    評価2
    芸術家の狂気の前では生命の価値も低い。

  • 「世にも奇妙な物語」好きな人にかなりお勧めしたい。伏線回収型のミステリーではなく、人の認知能力を試すようなミステリー。表題作と「姉のように」がぞわりと、冷ややかに背中を撫でる。

  • ’21年3月26日、読了。芦沢央さん、初の体験。

    気に入らない話もありましたが…凄かった!ちょっと、キツい。この人の他の作品を、と、思えない程。でも、他の作品も、読むんだろうなぁ…

    2016年発行の、単行本で読みましたが、文庫とは収録順が違うようで…こちらは表題作が最初に収録されてました。本来は、この収録順?で、後の文庫化で、最後に表題作を、となったのでしょうね。どのような、誰の意図で、文庫版はそうなったのか…興味深いですが、僕にはこちらの方が、キツく感じられ、「キツい話」を書く作家さんの意図を、より反映しているのかな、と思えました。最後収録の「絵の中の男」が、壮絶な話に感じたこともあって、創作の「意思」みたいなのが、こちらの収録順の方がダイレクトに感じられる、と思いました。

    どれも関心しましたが…「姉のように」のミスリードが、ドンピシャ!「絵の中の男」の罪と、罰の壮絶な様、表題作の、最後に小さな灯をともしたようなラストも、好きです。「ありがとう、ばあば」だけが、イマイチだったかな…。

  • いわゆるイヤミス短編集。あまり普段読まないタイプの本なのだけれどこれは表紙絵がとても気に入って(エイミー・ベンダーの文庫本カバーなどと同じ人ですね)。それぞれ人間のいや~な部分の描写がリアルで、オチでアッとなり面白く読みました。

    表題作は、田舎の村で村八分にあっていた祖母が曾祖父(祖母にとっては舅)を殺害した事件について孫とその恋人が真相に辿りつく話で、収録作の中では唯一終わり方が優しい(温いと言う人もいるかもしれない)のだけど、田舎の因習、境界の神様などのおどろおどろしさが好みだった。

    「絵の中の男」は、現代版「地獄変」かつ家政婦は見た!の赴き。子供の純粋さが悲劇をもたらす「ありがとう、ばあば」は、喪中ハガキのくだりでオチがわかっちゃったのだけど、そこにいたる過程の描き方、ばあばのエゴイスティックなキャラ作りなどがお見事。

    ※収録
    目撃者はいなかった/ありがとう、ばあば/絵の中の男/姉のように/許されようとは思いません

  • 圧巻の短編集。タイトルの秀逸さ。

    どれも胃が痛くなるような状況で読者をキリキリさせ、悪意というよりは限りなく悲しく切ない思いから犯罪が産まれる……

    表題作は最後に少し救われた気がする。彼女を大切に。
    「姉のように」アアアアアヤラレタアアアアアア
    「絵の中の男」一番インパクトが少なかったけれど、モチーフは断トツで好き。

    芦沢先生面白い……!

  • 厭~な読後感の物語で好みでした。イヤミス…の分類になるのかな?そう来たか!っていうようなオチがあって、面白かったです。
    お気に入りは「目撃者はいなかった」仕事のミスを隠ぺいするために奔走するサラリーマンがどんどん自分の首を絞めていくのに胃がキリキリした。そしてそれが思わぬ事件に繋がっていき…最後のオチにぞっと来た。
    「姉のように」すっかり騙されてた。これはうまい。
    他の作品も読んでみたい。

  • ・殺人者である祖母の納骨に行くカップル
    ・仕事のミスを隠そうとして偶然事故を目撃した青年
    ・孫への指導熱心な祖母と子役になった孫
    ・犯罪者の姉を持つ女性と思うようにいかない育児
    ・ある絵の作者にまつわる不気味な噂

    どの話も直接的であれ間接的であれ人間の死が扱われており、陰惨な雰囲気が漂っている。「姉のように」は特にミステリとしての完成度も高く、今回も叙述トリックにまんまと騙されてしまった。全体を通して、事件の真相を登場人物とともに紐解いていくような没入感がありページを捲る手が止まらなくなっていた。

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著者プロフィール

芦沢央(あしざわ・よう)
1984年東京都生まれ。2012年『罪の余白』で野性時代フロンティア文学賞を受賞しデビュー。主な著書に『許されようとは思いません』『火のないところに煙は』『僕の神さま』など。最新刊は『汚れた手をそこで拭かない』が第164回直木三十五賞候補作となる。

「2021年 『非日常の謎 ミステリアンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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