許されようとは思いません

著者 :
  • 新潮社
3.46
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本棚登録 : 757
レビュー : 126
  • Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103500810

作品紹介・あらすじ

あなたは絶対にこの「結末」を予測できない! 新時代到来を告げる、驚愕の暗黒ミステリ。かつて祖母が暮らしていた村を訪ねた「私」。祖母は、同居していた曾祖父を惨殺して村から追放されたのだ。彼女は何故、余命わずかだったはずの曾祖父を、あえて手にかけたのか……日本推理作家協会賞短編部門ノミネートの表題作ほか、悲劇をひき起こさざるを得なかった女たちを端整な筆致と鮮やかなレトリックで描き出す全五篇。

感想・レビュー・書評

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  • ★3.5

    日常に潜む狂気を描いた5編の短編集

    ・許されようとは思いません
    祖母の遺骨を納骨する為に祖母が暮らした村を訪れた私。
    祖母は一緒に暮らしてた曾祖父を殺害し村十分になってた。
    余命僅かな曾祖父を祖母は何故殺したのか…。

    ・目撃者はいなかった
    受注の数を間違えた営業マンが会社に内緒で処理をしようと
    嘘に嘘を重ねていくが、隠蔽工作の当日交通事故を目撃する。
    証言をせずにすませようとするが…。

    ・ありがとう、ばぁば
    子役として活躍をはじめた孫娘を必死でサポートする祖母の私。
    ホテルのベランダに閉めだされてしまう。
    このままでは凍死してしまう。孫娘はどうしてこんな事をするのか…。

    ・姉のように
    小さいときから憧れの姉だった。
    その姉が事件を起こしてしまう。姉の様にならないように、
    自分の娘への虐待の衝動を抑えようと必死になるが…。

    ・絵の中の男
    女性画家は幼い頃に一家皆殺しにあった生き残りだった。
    その悲劇をモチーフに絵を描いていたが、やがて描けなくなり…。


    日常に潜む狂気を描いた作品そのものでした。
    姉の様には、すっかり騙された~♪
    この世の中で一番怖いのは人間なんだなぁ。
    人間の心に巣食う闇…あるきっかけで悪い方へ悪い方へ転がっていく。
    人は追いつめられると、思いがけない事をする。
    誰の身に起こってもおかしくないって思うと怖かった。
    圧倒的な心理描写にゾワゾワさせられました。

  • 黒い。
    いろんな黒が描かれている。
    闇の黒、影の黒、人間の心の奥の黒、塗り込められた黒。
    ビアズレータッチのカバーイラストがぴったりの世界。
    言葉が緻密に書かれているので、緻密に読まなければならない。
    叙述トリックもある。
    しかし、意地悪な書き方ではなく、「ここテストに出るよ」と言ってくれる先生のように、ヒントを与えてくれているので大丈夫。
    それにしても、人の心のひだは深い。
    何を考えているのか分からないものだなあ…と思う。

    『許されようとは思いません』
    祖母が暮らした、異常に排他的な村に遺骨を受け取りに行く青年。
    末期癌で長くなかった祖父を、祖母は何故わざわざ手に掛けたのか。

    『目撃者はいなかった』
    いつも営業成績が最下位だった自分が、なぜ、好成績に?
    ある間違いに気づいて、もみ消しに躍起になるが…

    『ありがとう、ばあば』
    ステージママならぬ、ステージばあばと、孫娘の杏・9才。
    ばあばのプロデュースで杏はどう成長したのか。

    『姉のように』
    事件を報道する記事で始まる。
    姉が犯罪者になった。
    世間の目、夫の目…
    段々と追い詰められていく。

    『絵の中の男』
    さながら地獄絵図、という画風で知られる作家の絵を主に扱っている“私”のところに、一枚の絵が持ち込まれる。
    これは、“あの絵”ではないだろうか?と。
    絵について語るうち、私はある考えにたどりつく。

  • ミステリだなんて知らなかった…。1章読み終えて「え…何?」と呆気にとられて帯を見たら、きちんと暗黒ミステリと書かれていました。ふだんあまりミステリは読まないので免疫がなく、よくわからないのですが面白味を感じて苦戦せずに読了。何か所か謎が謎のまま終わっていてよくわからないのもあった。一部ホラーのようなイヤミスのような…不思議な感じ。

    「許されようとは思いません」「目撃者はいなかった」「ありがとう、ばあば」「姉のように」「絵の中の男」の5話。

    表題作の内容で予約したので田舎の村の掟ものだと勝手に思っていた。「目撃者はいなかった」は、嘘から始まりどんどん追い詰められていく様がこわかった。「姉のように」は、とても面白くて見事に騙されて二回読みました。

    閉塞感や重苦しさや理不尽さがうまく描かれていて他も手にしてみようかな…と思った。たぶん初読みの芦沢央(あしざわよう)作品。女性。女の心境とか苦しい嫁の立場とか書くのうまい。星3.5くらい。

  • 「世にも奇妙な物語」好きな人にかなりお勧めしたい。伏線回収型のミステリーではなく、人の認知能力を試すようなミステリー。表題作と「姉のように」がぞわりと、冷ややかに背中を撫でる。

  • いわゆるイヤミス短編集。あまり普段読まないタイプの本なのだけれどこれは表紙絵がとても気に入って(エイミー・ベンダーの文庫本カバーなどと同じ人ですね)。それぞれ人間のいや~な部分の描写がリアルで、オチでアッとなり面白く読みました。

    表題作は、田舎の村で村八分にあっていた祖母が曾祖父(祖母にとっては舅)を殺害した事件について孫とその恋人が真相に辿りつく話で、収録作の中では唯一終わり方が優しい(温いと言う人もいるかもしれない)のだけど、田舎の因習、境界の神様などのおどろおどろしさが好みだった。

    「絵の中の男」は、現代版「地獄変」かつ家政婦は見た!の赴き。子供の純粋さが悲劇をもたらす「ありがとう、ばあば」は、喪中ハガキのくだりでオチがわかっちゃったのだけど、そこにいたる過程の描き方、ばあばのエゴイスティックなキャラ作りなどがお見事。

    ※収録
    目撃者はいなかった/ありがとう、ばあば/絵の中の男/姉のように/許されようとは思いません

  • 圧巻の短編集。タイトルの秀逸さ。

    どれも胃が痛くなるような状況で読者をキリキリさせ、悪意というよりは限りなく悲しく切ない思いから犯罪が産まれる……

    表題作は最後に少し救われた気がする。彼女を大切に。
    「姉のように」アアアアアヤラレタアアアアアア
    「絵の中の男」一番インパクトが少なかったけれど、モチーフは断トツで好き。

    芦沢先生面白い……!

  • 厭~な読後感の物語で好みでした。イヤミス…の分類になるのかな?そう来たか!っていうようなオチがあって、面白かったです。
    お気に入りは「目撃者はいなかった」仕事のミスを隠ぺいするために奔走するサラリーマンがどんどん自分の首を絞めていくのに胃がキリキリした。そしてそれが思わぬ事件に繋がっていき…最後のオチにぞっと来た。
    「姉のように」すっかり騙されてた。これはうまい。
    他の作品も読んでみたい。

  • またしてもあっさり過ぎるほどあっさり騙される。特に「姉のように」はもう一度最初まで戻らざるを得なかった。また表題作「許されようとは思いません」はテーマはざらざらしたものながら、最後は不思議と暖かさが感じられるような読後感で、作者の幅を感じた。一番好みの作品は「目撃者はいなかった」。このやらかしてしまったものをなんとかしようとして、より悪い方向にズルズル行く『ファーゴ』を彷彿させる構成と、途中のコミカルさの対比がいい。筆力、発想力のある作家さんで、他の作品も読んでいきたくなる。表紙のざわざわする装丁も見事ですね。連れ合いが怯えるもので、常に伏せて置かざるをえないほどでした。

  • ・殺人者である祖母の納骨に行くカップル
    ・仕事のミスを隠そうとして偶然事故を目撃した青年
    ・孫への指導熱心な祖母と子役になった孫
    ・犯罪者の姉を持つ女性と思うようにいかない育児
    ・ある絵の作者にまつわる不気味な噂

    どの話も直接的であれ間接的であれ人間の死が扱われており、陰惨な雰囲気が漂っている。「姉のように」は特にミステリとしての完成度も高く、今回も叙述トリックにまんまと騙されてしまった。全体を通して、事件の真相を登場人物とともに紐解いていくような没入感がありページを捲る手が止まらなくなっていた。

  • 2016/12/20

    人を殺すには、理由がある。
    罪を犯さずにいられなかった人たちの短編集。
    「許されようとは思いません」
    「ありがとう、ばあば」
    が面白かった。
    「姉のように」
    は明日は我が身と感じてしまい、怖かった。

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著者プロフィール

芦沢央(あしざわ よう)
1984年生まれの作家。千葉大学文学部卒業。出版社勤務を経て、2012年『罪の余白』で第3回野性時代フロンティア文学賞を受賞しデビュー。『罪の余白』は2015年に映画化された。その他代表作に、2016年版「週刊文春ミステリーベスト10」第7位、「このミステリーがすごい!」2017年版第5位、第38回吉川英治文学新人賞候補『許されようとは思いません』、そして第32回山本周五郎賞候補および本屋大賞ノミネート作となった『火のないところに煙は』など。2019年8月28日、『カインは言わなかった』を刊行。

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