火のないところに煙は

著者 :
  • 新潮社
3.58
  • (15)
  • (36)
  • (44)
  • (7)
  • (0)
本棚登録 : 480
レビュー : 49
  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103500827

作品紹介・あらすじ

本年度ミステリ・ランキングの大本命! この面白さ、《決して疑ってはいけない》……。「神楽坂を舞台に怪談を書きませんか」。突然の依頼に、かつての凄惨な体験が作家の脳裏に浮かぶ。解けない謎、救えなかった友人、そこから逃げ出した自分。作家は、事件を小説にすることで解決を目論むが――。驚愕の展開とどんでん返しの波状攻撃、そして導かれる最恐の真実。読み始めたら引き返せない、戦慄の暗黒ミステリ!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 読むたびに違う顔を見せてくれる芸達者な作家さん。これを読む前に『バックステージ』を読んでいたので、あまりのギャップに驚いた。

    こちらは、これ、実話なの?と思えるほどの臨場感たっぷりに実録風に描かれていて、読み終えた今もなお思考が追いついていかない。正直、実話と言われた方がしっくりくるくらいで、これをフィクションと言われた方がビックリしてしまう。

    それにしても、後からゾクゾクくるホラー。芦沢さん本人が怪談特集の依頼を受けるところから物語が始まる。周りでそういった経験をしている人たちにインタビューをし、それを短編集として本にするわけだが、その一つ一つのエピソードが怖く、インタビューを受けた本人であったり、その周りの人が亡くなったりする。そして、最終章では、それらのエピソードには、必ずといってある占い師が絡んでいることがわかるー。

    第5話で、娘を亡くしたおばあさんが、隣の大学生のところに霊が出る話を聞き、その霊を感じ取れるようになりたい。というような内容がある。
    確かに普通、霊とは誰も関わりたくないってのは当たり前のことだろうが、その人には特別の霊ってのがいるわけで、それは怪談ではなく、もう一度新たに触れることができる娘との物語だったとある。私も兄、父親、祖父母を失くしているのだが、そうした気持ちは痛いほどわかるなぁと思った。遺族としては、絶対にそう思ってしまうもの。芦沢さんは、そうした経験をされているのかはわからないが、その捉え方に関心してしまう。

    さて、ラスト。このラストは本当に怖い。芦沢さん、フィクションなんですか?ノンフィクションなんですか?

  • 次々に怪死する人々。御札、細かいパーマのかかったソバージュ、疑い、神楽坂、変な声。5つの短編がある一人の占い師によって繋がっているとわかった瞬間ぞわわわわ。
    え?これってフィクションだよね?と思わず前後帯まで見直してしまった。
    榊さんとは未だ連絡がとれないのだろうか。

  • 頑固、とは違うがなんとも意固地? こうだと自身の芯を通した結果というのが悪い方へ悪い方へと転がっていく様を見せつけられるのは後気味悪いの一言しかない。

    第四話の『助けてって言ったのに』を読み終えた時点では上記の感想と、帯の売り文句は攻めすぎだ。なんて考えていた。ところがっどっこい五話のなんとも感想にしづらいのだが――かつて、この世で、誰かとの関わり合いの中で生きていた人。――という霊とはなんなのか、作者なりの解答を読みながら、自分もそこまで踏み込んで考えたことなどなかったと気づいた。
    そして最終話。これを読んだときの衝撃と言ったらもう!
    これはある種、呪いの域にまで達しているのではなかろうか。そうでなければ、説明がつかない、いや、そうであった方が一読者としてより恐怖感を楽しめるのではなかろうか。

    個人的には新潮社のHPに掲載されている、榊桔平氏の書評も読んでもらいたい。より恐怖を煽ってくれるだろうから。文庫本化のさいには氏の書評と、編集部の注意書きも合わせて印刷されることを望まずにはいられない。

  • 「神楽坂を舞台に怪談を書きませんか」
    突然の依頼に、かつての凄惨な体験が作家の脳裏に浮かぶ。
    解けない謎、救えなかった友人、そこから逃げ出した自分。
    作家は、事件を小説にすることで解決を目論むが――。

    ヤベー、夜に読んじゃいけない系のコワいヤツだった~~!!!w

    ちょっとね・・・ゾクゾクっとしちゃいます・・・うん、ちょびっとだけ、だけどね・・・(/;゚ロ゚)/ヒィーーー!!!

  • これってフィクション?ノンフィクション?
    いずれにしても怖い…。
    今年の夏みたいに暑苦しい夜にはいいかも。
    最後に伏線回収されてゾクゾクする。

  • 『染み』
    作家の私が書くことになった怪談。
    その内容は会社勤めをしてた頃、友人から相談された話だった。友人が連れてきた相談者は付き合っていた彼氏との結婚運を占い師に占ってもらいに行った。すると占い師は別れろという。その占い結果に怒った彼は占い師に怒鳴り、お金も払わずにそこを出たという。それがきっかけで彼に冷めてしまった彼女は別れ話を切り出すも、彼は応じず別れたら死ぬと言い募り、その後も何かと不安定になっては彼女の生活も考えずに呼び出すようになる。そんな生活に疲れた彼女は或る夜のメールを無視した。その夜彼は運転中車で事故を起こして死んだ。それから彼女の担当である電車内の広告物に赤い飛沫のような染みのようなものが現れるようになった。そしてその染みはルーペで覗くとある言葉で溢れていたのだ。

    このお話から始まる五つ(六つ?)の短編集。一つ目の階段の真意を知りたいために他の人から怪談をつのった作者のもとにひとつひとつが絡めとられるように集まっていく。
    そして五つの怪談を一冊の本にまとめるだんになって五つの怪談はまた違う意味をさらし始める。

    めちゃくちゃ面白かった。こういうジワリとした話は本当に怖い。そして最終話で提示されるあらたな悲劇の?惨劇の?または種の発芽の様子がとても怖かった。
    思わずフォローしているTwitterで著者が存命なの確認したくらい(笑)

  • 論理的に説明のつくもの、つかないもの。偶然だと笑い飛ばされそうなもの。だけどこの作品のなかにあるリアリティーはすごい。目に見えない力、抗うことのできない力。その恐怖が一話進むごとに積み重なっていく。怖いけど面白い。一話ごとに怪異があり、さらにミステリーの謎解きの要素もあってグッと引き込まれ一気読み。人々の恐怖がどんどん繋がっていくさまには圧倒される。短い作品ではあるけれど中身は濃くて怖くて面白くて小説を読むことの楽しさ、嬉しさが詰まっている。

  • 思わず最後まで読み切ってしまった。
    怖いと言うか、面白いと言うか
    フィクションなのか、ノンフィクションなのか分からないぐらい揺らぐ。。。
    こんな書き方。こんな組み立て。こんな本が存在するなんて、なんてすごい事なのだろう。これは読んで損は無い。むしろ何回か読み返してやっとたどり着く何かがある。
    ホントに凄い本だ。ホントに凄い作家さんだ。
    しばらくこの作家を追っかけたい。

  • フィクションとノンフィクションの境目がわからない

  • 実録風の怪談短編集。残業して誰もいなくなった薄暗いフロアや夜の暗くなった病院の廊下とか、日中は何てことないのに日常に潜む薄気味悪さ、叫びたくなるほどじゃないけど、ひたひたと迫ってくるような怖さの中に人間の思惑が絡みミステリー要素も含まれていて面白かった。最後の一行にひえ~っ!それで、どうなったの?!となる余韻を残す絶妙な終わり方で全部がつまびらかにならない終わり方もこの作品の場合はよかったと思う。

全49件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1984年生まれ。千葉大学文学部卒業。出版社勤務を経て、2012年『罪の余白』で第3回野性時代フロンティア文学賞を受賞しデビュー。著作に『今だけのあの子』『悪いものが来ませんように』『いつかの人質』『雨利終活写真館』『獏の耳たぶ』、最新作に『バック・ステージ』がある。

「2018年 『いつかの人質』 で使われていた紹介文から引用しています。」

火のないところに煙はのその他の作品

火のないところに煙は Kindle版 火のないところに煙は 芦沢央

芦沢央の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
西 加奈子
辻村 深月
高野 和明
村田 沙耶香
米澤 穂信
塩田 武士
三浦 しをん
宮下 奈都
伊坂 幸太郎
横山 秀夫
森 絵都
湊 かなえ
西 加奈子
佐藤 正午
辻村 深月
湊 かなえ
今村 昌弘
米澤 穂信
柚月 裕子
恩田 陸
柚木 麻子
湊 かなえ
有効な右矢印 無効な右矢印

火のないところに煙はを本棚に登録しているひと

ツイートする