火のないところに煙は

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 236
レビュー : 12
  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103500827

作品紹介・あらすじ

本年度ミステリ・ランキングの大本命! この面白さ、《決して疑ってはいけない》……。「神楽坂を舞台に怪談を書きませんか」。突然の依頼に、かつての凄惨な体験が作家の脳裏に浮かぶ。解けない謎、救えなかった友人、そこから逃げ出した自分。作家は、事件を小説にすることで解決を目論むが――。驚愕の展開とどんでん返しの波状攻撃、そして導かれる最恐の真実。読み始めたら引き返せない、戦慄の暗黒ミステリ!

感想・レビュー・書評

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  • 論理的に説明のつくもの、つかないもの。偶然だと笑い飛ばされそうなもの。だけどこの作品のなかにあるリアリティーはすごい。目に見えない力、抗うことのできない力。その恐怖が一話進むごとに積み重なっていく。怖いけど面白い。一話ごとに怪異があり、さらにミステリーの謎解きの要素もあってグッと引き込まれ一気読み。人々の恐怖がどんどん繋がっていくさまには圧倒される。短い作品ではあるけれど中身は濃くて怖くて面白くて小説を読むことの楽しさ、嬉しさが詰まっている。

  • 実録風の怪談短編集。残業して誰もいなくなった薄暗いフロアや夜の暗くなった病院の廊下とか、日中は何てことないのに日常に潜む薄気味悪さ、叫びたくなるほどじゃないけど、ひたひたと迫ってくるような怖さの中に人間の思惑が絡みミステリー要素も含まれていて面白かった。最後の一行にひえ~っ!それで、どうなったの?!となる余韻を残す絶妙な終わり方で全部がつまびらかにならない終わり方もこの作品の場合はよかったと思う。

  • 読むたびに違う顔を見せてくれる芸達者な作家さん。これを読む前に『バックステージ』を読んでいたので、あまりのギャップに驚いた。

    こちらは、これ、実話なの?と思えるほどの臨場感たっぷりに実録風に描かれていて、読み終えた今もなお思考が追いついていかない。正直、実話と言われた方がしっくりくるくらいで、これをフィクションと言われた方がビックリしてしまう。

    それにしても、後からゾクゾクくるホラー。芦沢さん本人が怪談特集の依頼を受けるところから物語が始まる。周りでそういった経験をしている人たちにインタビューをし、それを短編集として本にするわけだが、その一つ一つのエピソードが怖く、インタビューを受けた本人であったり、その周りの人が亡くなったりする。そして、最終章では、それらのエピソードには、必ずといってある占い師が絡んでいることがわかるー。

    第5話で、娘を亡くしたおばあさんが、隣の大学生のところに霊が出る話を聞き、その霊を感じ取れるようになりたい。というような内容がある。
    確かに普通、霊とは誰も関わりたくないってのは当たり前のことだろうが、その人には特別の霊ってのがいるわけで、それは怪談ではなく、もう一度新たに触れることができる娘との物語だったとある。私も兄、父親、祖父母を失くしているのだが、そうした気持ちは痛いほどわかるなぁと思った。遺族としては、絶対にそう思ってしまうもの。芦沢さんは、そうした経験をされているのかはわからないが、その捉え方に関心してしまう。

    さて、ラスト。このラストは本当に怖い。芦沢さん、フィクションなんですか?ノンフィクションなんですか?

  • 思わず最後まで読み切ってしまった。
    怖いと言うか、面白いと言うか
    フィクションなのか、ノンフィクションなのか分からないぐらい揺らぐ。。。
    こんな書き方。こんな組み立て。こんな本が存在するなんて、なんてすごい事なのだろう。これは読んで損は無い。むしろ何回か読み返してやっとたどり着く何かがある。
    ホントに凄い本だ。ホントに凄い作家さんだ。
    しばらくこの作家を追っかけたい。

  • おもしろかった!
    怪談ミステリというか、最後にこう繋がるのかと実話怪談のような小説

  • 人から聞いた怪異をテーマに、実話怪談調のタッチで描かれた連作ホラーミステリ。一見地味なのだけれど、読み進むごとにじわじわ来ます。来すぎます。もしやこれって実話? と思わされてしまう部分があるのが怖くて怖くて……これって、完全なフィクションですよね?
    最初はありがちな実話怪談。次はそこにやや現実的な解釈を加え、解きほぐされた感のあるミステリ。なのだけれど、やはりどこかしら解決できない部分は残って……という、個人的には理想的なホラーとミステリの配分だったのですが。最後に明かされるすべての物語の繋がりに驚愕。たしかに伏線はあったのだな、と気づかされ、しかしこれでミステリとしての整合性のほうが上がったかと思いきや……あれ? なんだか余計に怖くなっていませんか???
    ……迂闊に怪異に関わってはいけないのだなあ。でも読むだけなら大丈夫……だよね?

  • フィクションとノンフィクションの境目がわからない

  • 芦沢さんの引き出しは単に多いだけじゃなく、その引き出しの奥行きの深さというか広さにやられたわ。
    読んでいてまず恐怖、そこから「あぁ、そういうことだったのね、そりゃそうよね」とほっとしてニヤリとしたあと、まっさかさまに落とされる衝撃たるや。うへぇー、こわいよぉ、と何度も震える。
    「怪談」と書くとなんとなくレトロな雰囲気を感じるけれど、いま、この平成が終わろうとしている今このときだからこそ存在する「怪談」があるのだと思い知る。
    久しぶりに背骨のあたりからじわじわとくる恐怖を堪能。夜中に一人で読み始めたことを後悔、けれど途中で止められない、あぁ、どうしよう、誰か他の人も誘い込みたい。一人じゃ耐えられない。

  • 芦沢央さんらしい「怪談」+「ミステリ」のハイブリッドかつハイレベルな連作集。最初の「染み」からしてもう怖いし。あれよあれよと繋がる話の先にたどり着く恐怖たるや。すごいよー。

  • お決まり文句で※実在の人物と、地名には関係がありませんって言ってくれないともう安心できない。頼む。
    中盤まではミステリ的要素が多く、怪異を論理的に謎解きしてくれる存在に心躍らせていたのが、あ、そうだよね…もうそんなん通じませんよね…というホラー的要素に殴り殺された。
    めちゃくちゃ怖かったけど、その怖さがとんでもなく面白かった。

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プロフィール

1984年生まれ。千葉大学文学部卒業。出版社勤務を経て、2012年『罪の余白』で第3回野性時代フロンティア文学賞を受賞しデビュー。著作に『今だけのあの子』『悪いものが来ませんように』『いつかの人質』『雨利終活写真館』『獏の耳たぶ』、最新作に『バック・ステージ』がある。

芦沢央の作品

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