神の悪手

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 582
感想 : 61
  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103500834

作品紹介・あらすじ

破滅するとしても、この先の世界が見たい――将棋に魅せられた者たちの苛烈な運命。棋士の養成機関である奨励会。年齢制限による退会が迫る中でも昇段の目がない岩城啓一は、三段リーグ戦前夜、対戦相手からある“戦略”を持ちかけられるが……。追い詰められた男が将棋人生を賭けたアリバイ作りに挑む表題作ほか、運命に翻弄されながらも前に進もうとする人々の葛藤を、丹念に描き出す将棋ミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • TBS「王様のブランチ」に著者出演 将棋ミステリ短編集・芦沢央「神の悪手」、話題沸騰で重版決定!|株式会社新潮社のプレスリリース
    https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000250.000047877.html

    Kanda Yumiko
    http://kandayumiko.com/

    第183回:芦沢央さんその4「投稿生活と読書」 - 作家の読書道 | WEB本の雑誌
    https://www.webdoku.jp/rensai/sakka/michi183_ashizawa/20170517_4.html

    芦沢央 『神の悪手』 | 新潮社
    https://www.shinchosha.co.jp/book/350083/

  •  若干十四歳にしてプロ棋士になった、あの少年の話題は、テレビやネットで連日賑わっています。そもそも勝った負けたというけれど、将棋の駒は兵士で、八十一マスの戦場で争うボードゲームです。

    同じく駒(ピース)を使うチェスとはルールで大きな違いがあります。将棋では、とった駒を駒台に置き再利用ができる点です。
     言い換えれば、とった駒を殺さないで、味方に組み入れるのです。最終的な勝敗は、相手の玉又は王の逃げ道を封鎖し捕縛して敵将を屈服させて決まります。自分の駒台に玉又は王は置かないのです。
     敢えて言うなら国盗合戦で戦国時代の物語のようです。

     物語は五篇の短編集で、それぞれが独立した物語だが、前後して名前だけが繋がります。

    目次は以下の通り、「弱い者」「神の悪手」「ミイラ」「盤上の糸」「恩返し」です。
     一般に棋士とは、日本将棋連盟所属のプロ棋士を指し、三段までの棋力の者は奨励会といいます。

     二十六歳の誕生日までに四段に昇級しなければ退会を命ぜられ、少年時代から研鑽し将棋一筋だった人たちにとっては、厳しい奨励会会員の規則がミステリーを生むのです。
     読書は楽しい

  • 個人的に苦手な短編だが、けっこ楽しめた。すべて、将棋がらみの短編5つ。
    「弱い者」「神の悪手」「ミイラ」
    「盤上の糸」「恩返し」
    一番最初の「弱い者」震災の避難所で性的虐待を受ける、将棋の才能に溢れた子供の話で、かなり社会的問題作でヘヴィーな内容だったので、ちょっと想像していたものと違って、へこたれそうになったが、「ミイラ」あたりから、テンポがよくなって、ササッと読了した。多分殺人犯になった奨励会三段の話、シェイカーズというか、映画”ヴィレッジ”(byシャラマン)の宗教バージョンのような島で特殊なルールの詰将棋を学んだ子供。事故のトラウマで認知障害をもつトップ棋士の話。駒師の話。こうして、一言で書いてしまうと、うまくないのだが、細かく書くのもネタバレでおもしろくない。面白い目線の文章がちらほらと刺さってくる、全体的にとても優しく良いんが悪くない、短編なのが残念。個人的にはミイラと駒師の話が一番印象にのこった。

  • 将棋をテーマにした5つの短編集。「盤上の向日葵」を読んだ時も思ったけど、もっと将棋についての知識があったらよかったのになぁ。駒の動かし方はわかるけど、7六歩とか7七角成とか指してる場所がわからないのでそこはサラリと流して読んだ(^^;)
    でも対局のヒリヒリする感じや緊迫感は伝わってきた。
    「弱い者」と「神の悪手」がおもしろかった。

  • 将棋をテーマとした短編集。個人的にはミステリとして秀逸な「ミイラ」が好み。

  • ミステリー要素がある2作目が一番良かった。将棋に自体にトリックがあるゾンビの話も個性的。人が駒を起点にして各エピソードが繋がる展開だとより楽しめたかも。

  • 今まで読んだ将棋小説は当たり外れが大きくて。将棋を知らない自分でもこれはちょっとなぁ、と思うものもあったりするのだけど、これは間違いなく正真正銘の大当たり!

    将棋の世界。藤井君のおかげで将棋のルールを知らなくてもなんとなく身近になった世界。
    それでも私たち部外者が見ているものは、表面の、いや表面ですらない外側の一部分なんだと思い知る。
    基本的なルールと、将棋盤と駒さえあればだれでもできる。しかも、1人だけでもできる勝負の世界。
    この単純明快な勝負の、奥の奥にどんな世界があるのか。

    勝ちと負け。勝負であるからには必ずどちらかが勝ちどちらかが負ける。けれど、不思議なことに将棋というのは完全に勝つ、あるいは負けるまで指すことは少ない。その手前で勝敗が決まるからだ。
    その、負けを受け入れる瞬間こそが将棋の残酷さなのかもしれない。

    ここにある5つの物語は将棋が持つ可能性を、残酷さを、救いを、恐怖を、そして希望をつきつける。
    己の身体と頭脳を極限まで使い切る真剣勝負の世界の、その孤高の刃に震えた。

  • 「将棋には、運が割り込む余地がない」(P28)
    棋士や駒師など将棋に関わる人たちの人間模様が書かれた短編5つ。将棋の盤上がその人の人生を写し出す。

    どの短編も面白かったけど、頭二つぐらい抜けて良かったのは表題作「神の悪手」。読む進めるページと比例して動悸が増した。

    ミステリ要素がある作品たちだったので高速で読んでしまった。もったいない。

    将棋が分からなくても読めます。面白いです。

  • 将棋に関わる人々を描いた短編集。アスリートにも似た己との孤独な戦いや迷いの数々、奥歯を噛み締める様を描いた「神の悪手」駒師と棋士、勝負にかけるそれぞれの葛藤を描いた「恩返し」
    一夜にして白髪になるかの様な鬼気迫る作品だった。

  • 199冊目読了。
    美しさと悲しさが印象的な柚月裕子の盤上の向日葵、とにかく熱い!塩田武士の盤上のアルファと盤上に散る、それに負けず劣らず、さらには他の作品よりも将棋そのものに寄った作品で駒の配置や流れもあり、どの話もガッツリのめり込んだ。
    何年経とうが将棋が好きで好きで好きすぎる人らの想いが伝わってきた。
    ひさしぶりだけど無性に将棋を指したくなった。

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著者プロフィール

芦沢央(あしざわ・よう)
1984年東京都生まれ。2012年『罪の余白』で野性時代フロンティア文学賞を受賞しデビュー。主な著書に『許されようとは思いません』『火のないところに煙は』『僕の神さま』など。最新刊は『汚れた手をそこで拭かない』が第164回直木三十五賞候補作となる。

「2021年 『非日常の謎 ミステリアンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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