五つ星をつけてよ

著者 :
  • 新潮社
3.67
  • (19)
  • (53)
  • (42)
  • (4)
  • (3)
本棚登録 : 367
感想 : 47
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103504313

作品紹介・あらすじ

既読スルーなんて、友達じゃないと思ってた。ディスプレイに輝く口コミの星に「いいね!」の親指。その光をたよりに、私は服や家電を、そして人を選ぶ。だけど誰かの意見で何でも決めてしまって、本当に大丈夫なんだろうか……? ブログ、SNS、写真共有サイト。手のひらサイズのインターネットで知らず知らずに伸び縮みする、心と心の距離に翻弄される人々を活写した連作集。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 5つ星つけてよ、とタイトルでリクエストもあったことだし
    つけましたよ、5つ星^^
    だけど、最後の1ページ(とても意表を突かれてそこだけ何度も読みました)にあったように
    神様にでもなった気分で評価を下したのではありません。
    物語を読む時はいつだって、主人公たちと一緒に
    切なくなったりハラハラしたり悩んだり・・・
    その一体感が多ければ多いほど
    たくさんの星をつけたくなるのです。
    そういう意味でもこの本は、
    正真正銘の5つ星。
    ひとを見下したり見下されたり、ひねくれたりいじけたり
    面倒臭くて人間らしい感情を
    とても素直な気持ちで受けとることができました。
    素敵な本です。

  • 手のひらサイズのインターネットで知らず知らずに伸び縮みする
    心と心の距離を描いた6つの短編集。

    ・キャンディ・イン・ポケット
    ・ジャムの果て
    ・空に根ざして
    ・五つ星をつけてよ
    ・ウォーター・アンダー・ザ・ブリッジ
    ・君に落ちる彗星

    通学のときだけ会話する関係であった女子高生の卒業式の物語。
    既読スルーなんて友達だと思っていなかった…。
    夫を亡くし自分から離れていった子供達にジャムを送るも子供に疎まれてしまう母親。
    ジャム作りのブログを始めたものの…。
    口コミの星のレビューをたよりに服や家電を、そして人を選ぶ。
    だけど誰かの意見で何もかも決めてしまって本当に大丈夫なのだろうか…?

    登場人物の様子や性格が丁寧に描かれている。
    また女性の心理描写がとても丁寧で、女性が生活の中で感じる日々の思いや、
    どこにでもいそうな等身大の女性達に共感を感じました。
    全体に重苦しいイメージ。
    読んでてドヨンとしたりゾッとしたりヒリヒリするお話が多かった。
    でもキャンディ・イン・ポケットは明るくて前向きになれて良かった♪

    どのお話もSNSやネットショッピングをほんの少ししている私にはヒリヒリ痛かった。
    誰もがインターネットやSNSを利用してるんじゃないかなぁ。
    その影響って大きくなっていて軽く依存している所がある。
    誰もがきっと思い当たると思う。
    ちょっと、苦い読後感でした。

    • あいさん
      こんばんは(^-^)/

      私もSNSをしているので胸が痛くなりました。
      ちょっとした事で人を羨む気持ちがあってそれが大きくなったら妬...
      こんばんは(^-^)/

      私もSNSをしているので胸が痛くなりました。
      ちょっとした事で人を羨む気持ちがあってそれが大きくなったら妬みになったりするのかなと思うと怖くなります。
      自分は自分って思えるように強くなりたいです。

      初めて知った作家さんですが、今にぴったりなお話を書かれる人ですね。
      2016/12/26
    • しのさん
      こんばんは(*'ω'*)
      こちらにもコメントありがとうございます。とっても嬉しいです。
      そうですよね~現代ではネットやSNSに無縁の生活...
      こんばんは(*'ω'*)
      こちらにもコメントありがとうございます。とっても嬉しいです。
      そうですよね~現代ではネットやSNSに無縁の生活をしている人ってほんの一握りだと思います。
      だからこそ、誰が読んでも心当たりがあったりして胸が痛くなるんじゃないかって思いました。
      私もSNSで何度が嫌な思いもしましたが、そうですよね~自分は自分って思える様に私も強くなりたいって思いました。
      私も初読みの作家さんでしたが、良かったですよ~機会がありましたら是非読んで下さいね(*'▽')
      2016/12/26
  • 「五つ星をつけてよ」
    「ウォーター・アンダー・ザ・ブリッジ」
    「君に落ちる彗星」
    この3つはなかなか刺さった…。刺さったまま抜けない。

    私もものを買うときは店頭にいてもネットで口コミを検索するし、ランチは食べログで評価のいいお店しか行かない。誰かのお墨付きがないと行動できない自分にとても重なった。あまり考えたことなかったけど、あ、この感覚ってこうやって小説になるんだ。自分のことみたい、と思った。
    そういえば小説を読むのも、ブクログでレビューを見てから選ぶことが多いな…。

    奥田亜希子さんの作品を読むのはまだ2作目なんだけど、日常を切り取って言葉にするのが上手すぎてじわじわ衝撃を受けてる。
    読み終わった後は「結構おもしろかったな」くらいの感覚だったけど、1日経った今は「すごいものを読んだのかもしれない…」って思ってる。
    明日には五つ星をつけてるかも。

    ウォーター・アンダー・ザ・ブリッジも君に落ちる彗星も、身に覚えのある感情しか湧かなかった。

  • 期待通りで嬉しい とても良かったです
    SNSと宇宙は遠いようでかなり近いのではと思った

  • 6編の短編からなります。その題名は、
    ・キャンディ・イン・ポケット
    ・ジャムの果て
    ・空に根ざして
    ・五つ星をつけてよ
    ・ウォーター・アンダー・ザ・ブリッジ
    ・君に落ちる彗星

    どれも、わかりやすい文章で、感情移入しやすい話ばかりでした。

    友情を信じられない女子高生を扱った「キャンディ・イン・ポケット」が私は一番気に入りました。
    この作家の小説読むの初めてだったし全く先入観がなかったので、怖い話なのか、ハッピーエンドなのか想像できず、ドキドキしながら読み進めました。
    そして、最後の着地点、「こうきたかー」と思いました。よかったです。

    「ジャムの果て」は、夫に先立たれた老いた母と、離れて暮らす娘や息子の話です。私にも夫に先立たれた母がいるので、身につまされる話でした。でも最後のシーンはあまり感情移入できず、疑問符が頭の中にいっぱい現れました。

    全体を通して、ブログや、SNSなどが普通に出てきて、今の時代の空気感がよく出ていると思います。

  • 6篇からなる短編集。
    家族のため、最大限の愛情を注いできた。
    でも疎ましく思われてしまう。
    母親の自己満足がたっぷりと沁みた
    甘い愛情を書いた「ジャムの果て」が良かった。
    思春期の娘のシルエットに、自分の姿を重ねる母娘を描いた「ウォーター・アンダー・ザ・ブリッジ」はハラハラしながら読み進めた。
    〈どうしてあんなに許せないことばかりだったのだろう。完璧なものしか欲しくなかった〉。「ウォーター・アンダー・ザ・ブリッジ」で、母親が中学の頃の自分を回想するシーンの一文。
    あー、分かる!
    思春期の頃は、小さなことが、とても大切に思えて仕方なかった。
    奥田さんの次回作が待ち遠しい。

  • キャンディ インポケット
    大切な友達は意外とそばにいる

    ジャムの果て
    自分を1人にしたのは自分?

    空に根ざして
    過ぎ去りし恋の話

    五つ星をつけてよ
    自分の価値観と世間との価値観がズレてないかどうかでビクビクする

    ウォーターアンダーザブリッジ
    あんなに熱狂していたものからふっと冷める瞬間がある

    君に落ちる彗星
    見られる人、見ている人も見られている

  • 某Podcastで勧められたことをきっかけに読んだ初めての作家さん。

    周りからの評価についての話が多い印象。

    表題作は、友人の中で一番褒められた浴衣は母が最初に選んだ浴衣だったことから、母の評価を基準に物事を選択してきた人の話。
    家電などの大きな買い物をする時、つい私は比較サイトやレビューを見てしまうので親近感を持ちつつも、少し引いてしまった。客観的に見ると私もこうなのか…。
    その中で最後に自分の選択をできたこと、とても素敵だと思う。

    自分だけが友人だと思っていると感じている「キャンディ・イン・ポケット」が好き。
    中高の時の、友人を独占したいって気持ちの強さはなんだったんだろう。椎子と主人公、とてもいい友人だったと思う。これからも素敵な関係が続いたらいいなあと思う。

    「土日は絶対に家族で食事をする」ことを家族全員に課して、最後には一人になってしまったお母さんの話は反面教師にしたい。

  • 「キャンディ・イン・ポケット」「ジャムの果て」「空に根ざして」
    「五つ星をつけてよ」「ウォーター・アンダー・ザ・ブリッジ」「君に落ちる彗星」
    6話収録の短編集。

    ネットの世界を背景に描いた6つの短編は全て読みやすいがヒリヒリとした痛みを伴う。

    既読スルーで友人との距離間を量ったり、クチコミの星の数でしか物事を決められなかったり。
    どれも私達のすぐ傍で起きている事だ。

    親離れした子供達に甘いジャムを送り続ける「ジャムの果て」は母親の、親子間の愛情を盲信した果ての狂気に戦慄する。

    軽やかなタッチとは真逆なリアルSNS小説。

  • 2022.5.26

全47件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1983年愛知県生まれ。愛知大学文学部哲学科卒。2013年『左目に映る星』で第37回すばる文学賞を受賞しデビュー。他の著書に『透明人間は204号室の夢を見る』『ファミリー・レス』『五つ星をつけてよ』『リバース&リバース』『青春のジョーカー』『魔法がとけたあとも』がある。

「2021年 『求めよ、さらば』 で使われていた紹介文から引用しています。」

奥田亜希子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×