ギフトライフ

  • 新潮社 (2023年3月1日発売)
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感想 : 8
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本 ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784103507437

作品紹介・あらすじ

あなたも何かを捜しているんですか? 良ければ一緒に捜しませんか。政府と企業により制度化された安楽死と人体実験のための生体贈与というギフトライフ制度。提供者の家族にはポイントが与えられる――人間の命の価値も変容するシステムの、老人や弱者の未来図の闇。優生思想の行き着く果てのディストピアは、もうすでに始まっているのかもしれない……人間の悪を問う、気鋭の長篇小説。

感想・レビュー・書評

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  • 近未来の日本のような世界。
    安楽死、出生率、災害対策、高度監視社会をはじめとして、今の社会問題がみっちりと詰め込まれていた。
    最後はいじめで終わった。いじめた側はそのことをスルッと忘れてしまう。後味の悪さを感じた。
    施設にいた重度不適性者たちはどこに行ってしまったのか。

  • 全てを管理され、ポイント制で生き方を決められる社会。そこで何の疑問ももたずに、あくせく暮らす庶民の「ぼく」が巻き込まれた事件が描かれる。

    とても気持ちの悪い社会。
    そこに疑問をもたずに生きているくせに、中途半端な好奇心から事件に巻き込まれ、無事生還すると、また思考停止して流れに身を委ねることに甘んじる主人公がひたすら気持ち悪い。
    共感も同情もできる人物がおらず、まさにディストピア小説だった。

  • 読み終えて、なんともいえない薄ら寒い気持ちになった(褒めています)。
    ディストピア、と言ってしまっていいのだろうか。渦中の人たちのほとんどはそれを受け入れ「その方が楽」と感じている、そのこと自体がいちばん恐ろしい。それでいて、読者はどちらかというと主人公側にいる自分に気付く。それもまた怖い。

    給料も信用もすべてがポイントで管理されて逃げ場のない社会。障害者は重度不適性者と呼ばれ、家族のポイントを食い潰して困窮させる存在となり、生体贈与を「自らの意思で希望した」ことにされる。適性のある子どもを産み増やすことが最重要という価値観。
    広告の洪水の中で暮らし、それでも「自由」よりも「管理」されている方が快適などと疑いもなく考えている主人公が、出張先で事件に巻き込まる。小説というのは大抵事件が起こって何かが「変わる」のだが、主人公はこれだけのことが起こっても「変わらない」いや「変われない」ことを確認して、何食わぬ顔で日常へと戻っていく。

    このディストピアはもうすでに始まっているのでは、と考えさせられる小説だった。

  • 私は好き
    こういう世の中になりそう
    テレビ・ラジオなし肉なし専業の労働者なし風俗なし恋愛なしスマホなし金銭なし電子マネーすらなし

    あるのはポイントと制度による飼いならし支配のみ
    作者さんすごいなー、、
    キモいし読後感良くないけど、安楽死だけは賛成

  • 近未来の日本が舞台。
    個人情報や行動は全てタンマツで管理され、信用がポイントになり給料のポイントにも反映される。
    出生率に貢献するほどポイントが付与されるが、障碍者は不適性者としてポイントが引かれる対象になる。
    働けなくなった者の安楽死や重度不適性者が国に生体贈与(ギフトライフ)すれば、家族にポイントが付与されるって、そんな世界。


    あり得て欲しくはないけど完全なフィクションとも言えないから余計に後味が悪い。
    私も"同意"しない"逸脱者"としてしか居られないだろう。

  • つまらなかったし、眠かった。

  • 近未来の話
    少子化が進んだらこんな世界になるのか?
    青年が障害者施設を襲うくだりは気分悪くなる。
    最後の展開もしっくり来なかった。

  • 『企業』に牛耳られている近未来の日本。 
    そこは、信用をポイント化し、ポイントを対価にすべての物事をやり取りしている。 
    衰退期に入り縮小化していくこの国では、安楽死が認められ、重度不適性者の生体贈与を可能にした「ギフトライフ制度」も設けられている。 
    かなりのディストピアではあるが、管理され飼いならされた生活も無自覚ならばそれはそれで有りかな?なんて・・・ 
    ちょっと話の展開はダレ気味。 
    あぁ、この作者「芥川賞」の人なんですね

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著者プロフィール

作家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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