物件探偵

著者 :
  • 新潮社
3.16
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  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103507819

作品紹介・あらすじ

不動産の間取り図には、あなたの知らない究極のミステリが潜んでいる。利回り12%の老朽マンション!? ひとりでに録画がスタートする怪現象アパート? 新幹線の座席が残置された部屋??――そんなアヤシイ物件の謎、解けますか?  『イニシエーション・ラブ』で日本中をまんまと騙した作家が、不動産に絶対欺されないコツを教えます。大家さんも間取りウォッチャーも興奮の超実用的ミステリ!

感想・レビュー・書評

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  •  幼い頃から『不動さん』と呼ばれ続けて将来は不動産屋と心に決め、15歳で宅建資格を取得、念願かなって不動産屋となった不動尊子(ふどう・たかこ)。不動産に入れ込みすぎためなのか、建物の声が聞こえるようになった??? トンデモ能力を持った不動産マニアが解き明かす、物件ミステリー短編集。

    ◆「田町9分1DKの謎」
     オーナーチェンジ物件に潜む落とし穴。マンション購入後まもなく、借り主が退去することに……。

    ◆「小岩20分1棟売りアパートの謎」
     満室のはずのアパートに空室が? そして、1人暮らしの女性の部屋で不審な出来事が相次ぐ。

    ◆「浅草橋5分ワンルームの謎」
     真上の部屋が空くことを知り、購入を決めた主人公。しかしそれ以来、バルコニーに鳩の死骸が度々……。

    ◆「北千住3分1Kアパートの謎」
     続けざまに退去者の出るアパート。そして大家に家賃の値上げを執拗に勧める不動産屋。大家の知らぬところで一体何が?

    ◆「表参道5分1Kの謎」
     スワローズファンが遭遇した、消えた“残置物”の謎。

    ◆「池袋5分1DKの謎」
     ペンシルビルの最上階、メゾネットタイプの事故物件で起こる怪異……。


     図書館本。
     探偵役・不動尊子の事件への絡み方が強引だが、そこはまあ脇へ置いといて。
     基本的に殺人や傷害は発生しないので、そういうのが苦手な方には安心して読んでいただける……とはいっても、自殺者の出た事故物件の話や、鳩の死骸等も出てくるので微妙かなあ。

     殺人抜きで不動産業界縛りとなると、予想されるのは詐欺絡みなわけで。読者としては推理が絞りやすいかも。
     短編集でそれぞれの内容もわりとアッサリ気味。結末が物足りない作品もあるが、さらっと読むのにちょうど良い感じ。

  • 残り2話残して脱落。

    設定は面白いと思ったが、1話1話がそこまで掘り下げてなく読んでても惹かれなかった。

    ちょい残念。

  • 初めて読んだ、不動産ミステリー!各話が長すぎず短すぎずちょうど良かった。不動産売買について勉強になる部分も多いし、色んなタイプの終わり方があって面白い。結局どこからともなく現れる不動さんは何者なのか、ほとんど分からずじまいだけど、特に最後の展開は面白かった。

  • 図書館の新刊リストでタイトルを見て、
    「面白そう」
    と、思ってリクエストしてみたら、著者が乾くるみ氏やった。意外ー! こういうテイストの本も書かはるんや…。

    不動尊子氏のキャラはどうしても、福家警部補とかぶりそうになって、かぶりそうになると不動さんのキャラはさして濃くない。
    (しかも、美人らしいし…)

    タイトルどおり、不動産に関わるライトミステリの短編やけれど、地方住みにとっては
    「首都圏、土地高ァー!!」
    ちゅうところが一番気になる(笑)。

    それぞれの章の物件の広告もそれっぽく仕上げて載っているのだけど(うまいわー、装丁)、それらの物件の高額さ加減に、あらためて首都圏すごいわと思った。
    ここいらやったら同じ値段で3LDKはいけるけどね…。

    ちゅうノンフィクションな感想はさておき、買い手が売り手に騙される話ばっかりなのかと思ったら、全然そんなことはなかった。
    それどころか、同じ物件の購入について検討しているにしてもみんな状況が違っていて、これだけの設定を作り出すのだけでもすごいなあと感心した…。

    読了感がすっきりサワヤカやったのはやっぱり、町の本屋さんのタツ子さんの話と、勉強代と割り切るしかない中山さんの話かな…。
    どうも、自分が住むわけではないのに不動産を持とうという心境はわからないのでね…(笑。たぶん一生わからんやろ)。

    そう思うと、なんやろうね、お金があって不動産を持とうというのは果たして幸せなのかどうなのか謎やね…。
    いやもうそこも一生謎やろうけどね(笑)。

    確かに何もしなくても家賃収入という財産を得られるのかもしれへんけど、ゲンミツには「何もしてない」ちゅうわけではないやろう、不動産管理。

    いや、めんどくさいわ。無理。無理。住むためだけでも、不動産を購入することは一生ないやろうしね…。(;^ω^)


    あと、池袋のペンシルビルは間取りがラブホかと脳内ツッこみが忙しかった。笑
    こういうメゾネットタイプでらせん階段のラブホって昔あったよね…。こういう部屋なんて落ち着かなさそう…と、思ったら、購入した興水くんもたしょうの下心はあったみたいで、あーなんかやっぱりね…みたいな。笑

    まあエエけども。

    スワローズファンのおじさんは、三人娘さんがいてはるのにすごい気を遣ってえらいなあ。
    こんなことを考えられるおじさんって、家族でも浮かないやろうね。ふつうは、浮いてることすら気づかない、ましてや父親様を邪険に扱うなどもってのほか、お前らがかしづけ、みたいな父親が多いですやん。

    ちゅうことで、えらいなあと思って読んでたのに、この若干おせっかいみたいな管理組合があるようなマンションで、大丈夫? と、そこがモヤンと。
    吉田氏がいい人だけに、モヤンとするわ。あかんことはあかんというてほしい。


    それにしても、不動産会社の名前がぜんぶ海に関するもので、マナティホームはさらっと流したけど、ウミウシ興産は結構フザけてないか? と、ニヤニヤしてしまった。
    早くもネタ切れか、と、思わせたセイウチ不動産の社長さんが「清内」さんやったのは、もう、スイマセンっちゅう具合やね。


    ■■■■


    ■位相空間

    集合に対して、「位相」というある種の構造を付加したもののことである。

    ■トポロジー

    何らかの形(かたち。あるいは「空間」)を連続変形(伸ばしたり曲げたりすることはするが切ったり貼ったりはしないこと)しても保たれる性質(位相的性質または位相不変量)に焦点を当てたものである

    ■ゾッキ本

    古本・古書市場にて極めて安い価格で売られる新品本を指す。 赤本、特価本、新古本、バーゲンブックとも。

    ■晦日(かいじつ)

    陰暦で、毎月の末の日。みそか。つごもり。

  • 久しぶりの乾くるみ。いわくつきの不動産を巡る連作短編集。売買物件や賃貸物件ごとに物語が作られ、その物件を購入しようと考える人、物件を管理する人、物件に住んでいる人など、それぞれの人間模様が描かれる。物件のちらし1枚の裏には、こんなストーリーがあるんだと、何とも新鮮。それぞれの物件にはちょっとした謎が仕掛けられており、それを後半、突然登場する宅建有資格者・不動尊子が解決していく。尊子が登場する時の口上が若干鬱陶しいが、不動産を巡る物語自体は面白い。

  • 物件情報眺めてるの楽しいですよね。
    短編の始めに各物件情報があり、その物件を購入した人々に問題が起きるのですが、なぜかそのたびに不道徳子が現れ、たちまち解決していきます。
    不道徳子が1番の謎でした。謎のまま終わりました。

  • 次に転職するなら不動産屋の事務が良いかな…物件が見られて楽しそうだから……とか考えていたところ、こちらの小説を知って「これだ!」と手に取りました。
    短編集で、あまり深掘りされていない感が乾くるみさんっぽいなぁと思いましたが、ちょっと物足りなさがありました。

  • とても面白かったです!
    物件を見つけるところから事件発生までが細かく長めに描写されているので、契約者に感情移入しきって忘れた頃に不動さんがやってくる。すっかり契約者の目線で読んでますから、いきなり現れて毎度びっくりしちゃいました。
    不動産売買のカラクリを楽しめる面白い本です!
    相手を懲らしめることが主旨ではないので、謎解き懲悪を求めてる人には物足りないかもしれませんが。

  • ワンルームマンションやアパートに絡む謎を解明する短編が6つ. どの話も最後に不動尊子が現れて、ヒントを提示しながら謎解きをするというパターンだが、不動産に関係する様々な用語が出てきて勉強になった.谷俊弥が目を付けた「ニューシップ浅草橋」の話が面白かった.分かれた妻の子供を引き取るという意外性に富んだストーリーも楽しめたが、上の階に住む人も予想外の存在だ.不動産の知識を得ながら、気楽に読める本だった.




  • 短編で、大きなストーリーがあるわけじゃないけど
    個人的には好みでした。

    カラクリがわかるたび、
    なるほどー!ってなる感じ。

    読みやすいし、不動産欲しくなった。笑

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著者プロフィール

静岡県大学理学部卒業。1998年『Jの神話』で第4回メフィスト賞を受賞し作家デビュー。著者に『イニシエーション・ラブ』、『スリープ』など。

「2020年 『本格ミステリの本流』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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