- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103508311
作品紹介・あらすじ
きっと誰もが持っている、自分だけの「かくしごと」。みんなには隠している、ちょっとだけ特別なちから。別になんの役にも立たないけれど、そのせいで最近、君のことが気になって仕方ないんだ――。クラスメイト5人の「かくしごと」が照らし出す、お互いへのもどかしい想い。ベストセラー『君の膵臓をたべたい』の著者が贈る、眩しくて時に切ない、共感度 1の青春小説!
感想・レビュー・書評
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京、ミッキー、パラ、ヅカ、エル。
それぞれが特殊な超能力を持つ、5人の高校生の物語。
SF小説が好きで、眉村卓さんや筒井康隆さんを夢中になって読んだあの頃。
特に『七瀬ふたたび』は何度も繰り返し読んだっけ。
修学旅行、文化祭、笑いさざめく声と、時々起こるわだかまり、
自意識のかたまりで、コンプレックスにあえいで、
かと思えば、何でもないことが妙におかしくて笑い転げたりして…。
彼らのぴゅあな心に触れて、人の感情が読めてしまうことって、
すごく特殊なチカラでもないのかもしれないと思った。
好きな人が誰を好きなのか、不思議とよくわかってしまうように、
あの頃の自分にも、そのチカラが少しはあったのかも。
あぁ、こんな子いたな。自分はこの子に似てるかな。
と、思い巡らしながら、
5人がずっと、ず~っとこのまま仲良くいられるようにと願いながら本を閉じた。
裏表紙のQRコードからのスピンオフのようなお話も
良かった。
懐かしくて、甘酸っぱい素敵な物語でした。
余談ですが、住野よるさんが男性だったこと、ごく最近知って驚きました!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
記号、シーソー、数字、スート、矢印。
相手の感情が何らかの形で見えてしまう、高校生たちの物語。
見えてしまう感情を思いながら、悩んだり、絆を深めたり。
特殊能力を除けば、普通の日々の暮らしの中にある思いを描いた、青春小説。
頼りはないけれど、けなげで、純真な京は、応援したくなる。
エネルギッシュさは真逆だけれど、裏表のなさは京と同じミッキーも、なんだかんだで楽しいキャラクター。
目的のために擬態をし、それが他の人にどう映るのかを考えられない。
視野が狭いパラの言動は、独りよがりで、身勝手に感じる。 -
時代、場所関係なく、どこにでもいるような高校生5人グループの数ヶ月間の日常を抜き出したストーリー。大きな事件が起こるわけでもなくあくまで淡々と普通の毎日を描いていきます。
この作品では、5人の登場人物の心の内に順番に光を当てていきます。ぼく、わたしとバトンを渡すようにストーリーを繋いでいきます。そんな中で面白いと思ったのはバトンを渡す前に見えていた彼、彼女、近づきがたい存在にも見えていた彼、彼女の側に立つと不思議なくらいに彼、彼女に感情移入できてしまうところでしょうか。人には色々な感情の表し方、受け取り方がある。見る方の感じ方、見られる方の感じ方、そして人と人の組み合わせの数だけ感じ方って違いがあるんだなと。また、人によって同じような情景を見ていても見える世界がこんなにも違うんだということ、人によって時間の流れ方がこんなにも違うんだということ、日常を淡々と描いた作品だからこそ、色々な発見がありました。これは素直に面白かったです。
どんな結末になるのだろうとページ数が少なくなるに連れて予想しましたが、書名の終わり方そのものでした。でもどこかしらそれを期待していた自分がいました。それもあって、もの凄い余韻感がしばらく尾をひきました。
もしかしたらリアルタイムでこの作品のような世界を過ごしている高校生の方には今は楽しめない作品かもしれません。でもいつか、この作品面白いね。似たような奴いたいた、でもね、もっとね、と楽しく語れる日がきっと来ると思います。 -
高校2年のクラスメイト、京·ミッキー·パラ·ヅカ·エル。性格は違うが仲の良い彼等彼女等が恋愛や進路や自分の立ち位置に悩み成長していく姿が文化祭や修学旅行、普段の一日を舞台に語り手を交代しながら描かれる。5人にはそれぞれ人の感情や恋心が数字や記号や矢印で見える能力があるのが一捻りポイント。それが武器になると思いきや深読みしてしまって余計絡まってしまう姿がもどかしく可愛らしい。ちょっとした変化に気付く位ミッキーが気になって仕方ない京。そんなミッキーは親友のヅカにやたら絡んで来る。また隣の席のエルは急に不登校になったがそれはもしかして自分の一言のせいなのか?という所から始まるまさにアオハル。悪い人も出て来ないキラキラな青春が楽しめていい。芯から明るいミッキーと自分プロデュース力の高いパラの回がお気に入りだ。パラの「やれる事はなんでもやっとこう派」肝に命じておきたい。
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住野よるはヒトそのものではなく、ヒトとヒトの間にある目には見えないなにか、を描こうとしているのだろう。
5人の高校生たちの、それぞれが持っているとある才能、というか特殊技術。それによってヒトとの距離の取り方を一生懸命工夫してもがいているいる彼らが愛おしい。
高校生。10年後のことなんて想像もできない彼らの「今このとき」は、誰かに嫌われないこと、誰かを傷付けないこと、みんなと「仲良く」していくこと、が全て。
大人になれば、そんなことそんなに気にしなくても、って思えるのだけど、渦中の彼らにとってはそれこそが一大事。
5人がもっている「かくしごと」は違っているようで、実は同じ。もしかすると、それは「かくしごと」なんてもんじゃなくて、みんな誰でも普通にやっていることなのかもしれない。そんな風に思うのは、普通の大人になってしまったからなのかもしれないけど。 -
登場する5人がみんなそれぞれ特別な力を持っているお話し。
この力を使った不思議な話しか?と思いきや、心の動きを丁寧に表現した素敵な青春のお話しでした。読んでいて楽しかったー!
この特別な力は、他の人の気持ちが少し見えるものですが、普通の人も多かれ少なかれ持っている力なんじゃないかなと思いました。
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個人的に好きなのはパラと京くん。
パラの一見ぶっ飛んだキャラクターの裏には冷静なもう一人のパラがいる。
程度の差は違えど誰にでも表面の仮面の自分と心の自分は一致はしないと思う。
例えば、仕事、学校、それぞれに多少の自分の仮面はあってそれを使い分けてるに過ぎないのではないか。
パラは内面の冷静な自分を悲観的に見ている。
それを隠すためにぶっ飛んだパッパラパーの人間として振る舞っていた。
誰にだってなりたい自分はあるし、それになろうと奮闘するのだって悪くない。
でも、やっぱりパラは頑張り過ぎかな。
エルのたまには気を抜いていいんじゃないかなという言葉がとても好きだ。
京くんは自分と一番共通点が多かったように感じた。
自己肯定感が低く、ヅカといることにも少し引け目を感じてしまっている。
自己肯定感が低いがために、杞憂が多く、悩んでしまうことも多い。
それでもなんとかして困っている仲間に寄り添おうとしていた京くんにも好感が持てた。
とにかく、5人それぞれに色があり、5人それぞれが他人には知り得ない内面を持っている。
特殊能力があるは別にしても、とても共感する場面が沢山ある青春ストーリーであった。
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5章で構成されていて、各章ごとに視点が切り替わります。
なので、1章は京くんの気持ちしかわかりません。
でも最後まで読むと、全員の気持ちがわかります。
その上でもう一度読み直すと更に面白いです。 -
3人の女の子と2人の男の子の5人の高校生の物語。
5編に分かれていてそれぞれ1人ずつの視点で描かれていた。
それぞれが4種類の記号や数字が見える能力があるという設定が面白かった。それによりそれぞれの感情が表されるのが良かった。
5人のたくさんの感情が詰まった青春小説。 -
「君の膵臓をたべたい」が良かったので、住野よるさん2冊目読んでみた。
すごく複雑で予想できない展開だった。それぞれ別の形で相手の心が見えてしまう不思議な能力を持つ高校生5人組のお話。
人はそれぞれ別の能力を持っていて、自信がない自分を変えなくても、周りにしてあげられる何かがある。それによって支え・支えられしていくことが、生きていくということなんだということを読み取れた。
裏表紙のQRコードを読み込んでクイズに正解すると、スピンオフが読める。本編では匂わせ程度だったギターのことなどが書かれていて楽しめた。 -
高校生の青春を描いたストーリーに、人の感情が矢印やハート、スペードといったマークで見えるという不思議な設定に引き込まれた。恋という感情に振り回されながら、かけがえのない5人の友情にドキドキしながら読み終えた。爽やかな風がサッと吹き抜けていくような軽やかな文体に、心を掴まれてしまった。
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この本は、共感ポイントがたくさんある。学生さんならもちろん、誰もが経験した気持ちが鮮明に描かれている。
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これぞ青春!
みんなそれぞれ特殊能力があって人の心が少なからず読めるはずなのに、それでもうまくいかないんだよな。
登場人物がみんな魅力的。特にパラが好きでした。
「人生なんてさ、やりたいことだけやっててもきっと時間足りないんだ、やりたくないことやってる時間なんてないさ」
1番好きな言葉。このセリフをかっこよく言えるパラを尊敬します。 -
それぞれが持った隠し事の能力。そんな力が、実際にあったらもっと楽しい高校生活送れたかもと思わせるストーリーでした。
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タイトルが特殊だぁ。
予約の時、司書さんとも笑った。
「」にはその子それぞれの何かが入る。
高校生の男女のお話。
みんな友達のことが気になる、気にして生きてる。
各々が様々な記号が
(!だったり矢印だったりバーだったりトランプのマークだったり)
友達の姿に吹き出しみたいに見えて
いろいろ推測しながら過ごす。
でも、誰もきっちり正解ってわけじゃないんだよねぇ。
心の奥底はとっても単純だけど表しかたは複雑。
一部が見えるくらいで理解できるほど
人の気持ちは簡単ではないってことなのかもしれないね。
そして見られてるほうも、
段々と隠すのがうまくなって
大人になるとなんにも見えなくなるのかも。
たくさん迷って、
たくさん笑って、
アイスいっぱい食べて大人になってほしいなぁ。
高校生ってこんなにアイス食べるのか、ってくらい食べてた。 -
それぞれの主人公の感情が非常に委曲を尽くして描かれてあった。普段小説を読んでいる中で、こんなに心情が細かく書いてあるものってあまりないと思う。そのため、読みながら、日常の中でこんなにも相手に対して気配りや、自分の言動に対する後悔、反省、喜び等、様々な感情を抱いているんだなと実感した。
相手の気持ちが見えたとしても見えなかったとしても、どちらにせよ恐らく悶々と色々と考えてしまう。考えた結果、相手の意図とは違うこともある。だから、あれこれと深く考えすぎずに気楽に自分も他の人にも関係を持てたらどんなに良いだろうとは思ったけれど、なかなかそれも難しくて、人間関係は煩雑だなと痛感した。
タイトルの「」とそれぞれの章の繋がりが素敵。 -
あらすじを書こうと思ったけどこれをどうまとめていいか分からないのと、感想書くの久しぶりすぎて書けねぇ!となっていますが頑張って書きます。
ネタバレしそうな気しかしないがいくぞー。
まず、本を開き目に入るのは何か。
はい、そうですね、目次です。
私は目次の時点で訳が分かりませんでした。
きっとこの物語の主人公、京くんからすれば、私の頭の上にはハテナが沢山浮かんでいたことでしょう。
そう、この主人公京くん、見えるのである。
人々の頭の上に「?」や「、、」などの記号が。
言葉を交わさずとも、その記号を見ればその人が今どんなことを思っているのかがなんとなく分かる。
でも、これは他の人には見えない、自分だけの「かくしごと」
そんな京くん、クラスが同じある女の子をいつもガン見。
(多分)ヒロイン三木さん。
日に日に変わる彼女のシャンプーの香りと彼女の頭の上に浮かぶ記号に惑わされながら、告白する勇気などないチキン男子は悪い妄想があれやこれやと大暴走。
加えて
京くんのお友達THE陽キャ、ヅカ。
三木さんのお友達で色々パッパラパーの、パラ。
不登校女子、エル。
5人はそれぞれの「かくしごと」を抱えながら、一人一人の視点で物語が進んでいきます。
着地点がよく分からなくなってきたので説明終わり。
さて。
私たちは、
多種多様な人間がいる中で暮らしていかなければならないが、他人の考えていることなんて、分かるわけがない。
しかし時折、言葉で言わずとも感じるものがある。
それは喜怒哀楽様々で、所謂、「空気」というやつだ。
「あーあ、人の考えていることが目に見えて、手に取るように分かればなぁ。」
そんなあなたに本作どーん。
その見えない「空気」を可視化!!!
これで万事解決!!!!
……とはならないわけで。
本作では全員が何かしらの感情、「空気」の記号が見えていたけれど、それにも関わらず誤解やすれ違いがあり、目に見えたことだけでは問題は解決しなかった。
いくら理解したいと思っていても、一方的ではどうしても限界があるし、主観が入る。
では、どうしよう。
「言葉」である。
結局は、言葉に出した者勝ちというか。
いくら頭で考えていても、言葉にしなければ伝わるものも伝わらない。
それは、私たちが「目に見えないから」
言葉で出たものが全てというわけではないかもしれない。
パラのような人間もいるしね。
でも、本音を伝えられる手段もまた、言葉なのである。
大人になるにつれ、考えることも気にすることも増えて、言いたいことも言えなくなるけれど、口から出ない言葉はずっと自分の中に閉じこもったまま。
大事なことはちゃんと言葉で伝えましょうね、
そんなことを感じた私でした。
てかどう考えなくても
「え〜〜!!!何この青春〜〜〜!!」
状態。
そして三木ちゃんの心が綺麗すぎる。
こんな濁り無き心を持った人がいるのかと。
どちらかというと私の考え方はヅカやパラ寄りなので眩しかったぁ!!!!
人の感情や色々が分かる能力があったら、私の学生時代ももっと簡単に生きられたのかなとか思うけど、分からないからこそ知ろうとするし、知れた時の喜びってあると思うのですよ。
う〜ん……、
…案外、そっちの方が面白いのかも?
知 ら ん け ど ☆ -
「もしも人の気持ちが見えたら…」なんてよくあるフィクションのテーマで、そういう物語では大抵「見える人」は世渡り上手というか、どこか冷めた性格で描かれていることが多いけど、この本に出てくる高校生たちは、みんな不器用。そこがリアルで面白い。
結局、人の気持ちが見えても、見えなくても、悩みは変わらない。
自分って何なのか、人からどう思われているのか、人のために何ができるのか。
みんな、考えることは同じなんだなぁ。
そして、解決するには、勇気を出して歩み寄るしかないんだ。 -
住野よる、ハズレがないと思ってたから今回ちょっとがっかりかも。なんか平凡すぎて面白みがないかな。個人的にはあまり好みではなかったです。
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小学生の頃に読んでとても感動したのを今でも覚えています。この本は私にとって小説を好きにさせてくれた大切な作品です。
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出てくる登場人物がみんなこういう人学校にいるよな〜と思うような人で、すごくリアルだった
みんなの前では明るくても実は色々と考えて行動してしまう人、自分に自信がなくて自分に嘘をつきながら生きている人、感情と行動が全て一致している人、底抜けに明るい人、これは一人一人じゃなくて、一人の人間の性格をバラバラにしてできた人たちなんじゃないかと思った。し、自分はエルの気持ちが少しわかってしまう気がした!自分に自信がなくて全てにおいて考えすぎてしまうところが!ずっと直したいと思っているけれど、エルを見ていて、全部が悪いことじゃないかなと思った
普段は自分を他の人の目線から見ることは難しいけれど、本の中の登場人物に自分を映し出して、自分と似たような人を見つけて、そうして自分と改めてお話ができるようなる、これが本の好きなところ!
相手の感情がわかればな〜と思う時もあるけれど、相手の感情がわかってしまうとみんなが生きづらい世界を作っちゃうんじゃないかと思ったし、逆にみんなが相手の感情も汲み取りながら、相手のことを思いやれる世界にもなるのかなとも思った。
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若い。そう言えば自分にも昔、こんな感覚あったような。
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相手の気持ちが記号で見えてしまう高校生5人組のお話。
タイプの違った5人の絡み具合がいい。
現役の学生さんが読んだら、なお面白いんだろうと思う。