この気持ちもいつか忘れる CD付・先行限定版

著者 :
  • 新潮社
3.28
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本棚登録 : 337
レビュー : 12
  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103508328

感想・レビュー・書評

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  • そうだったのか。
    俺達は、出会い方を知っていたのか。

    読みたかった住野よるさんの最新作。CD付きで楽しむため予約してお迎え。
    THE BACK HORNさんの音楽が曲中の音楽と重なり、まるでチカが歌っているかのようだった。帯にある通り、本当に小説と音楽の境界線を超えてきている。面白いなぁ。
    .
    爪と目しかない相手と心を通わせていくというファンタジーもありながら伝えたいことはリアルだなと感じた。自分にとって特別な存在と思っていた相手。でも相手にとっては自分が特別な存在ではないと分かった時の嫉妬心。得体の知れない者とも言葉や感覚で気持ちを分かち合えること、でもその気持ちもいつか忘れてしまう儚さに触れた。
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    カヤは日々に飽き飽きしていながらもチカに会うことで人間らしい感覚を手に入れている気がする。カヤと対比した音楽と出会った紗苗の存在感。カヤはいい人に出逢えたなと思った。チカに改めて会えた時、あの言葉をかけれたのは紗苗の存在もあったからかなと。自分が紗苗の立場なら中々耐えられないと思う

  • 正直、カヤのような「こじらせた」感じがすごく苦手で、「なんだコイツ……」と思いながら読んでいました。チカと出会って少しずつ変わっていきそうなところで「よしよし」と思ったものの、その後の展開に「あれれ……」となり、よく考えてみるとこれって「同族嫌悪」だったのかな、と。

    だから、カヤのように日常に飽き飽きとしている人に、「恋愛小説なんて……」と思わずに読んでもらいたいなあと思いました。

    斎藤のように自分を変える何かに出会うこともあるし、カヤのように何かに囚われてしまうこともあるだろうけれど、その出会いは決してムダじゃないし、それを大事に生きていくことは悪いことじゃない。大切なのは誰かのために生きることではなく、誰かと共に生きること。あなたの隣にいる誰かは、私のためにいるあなたではなく、あなたをあなたとして見ている。そんなあなたとともに歩いて行きたいと思っている人だよという、そんなつながり方ってステキだなと思いました。

  • ベタっぽい恋愛ファンタジーと思わせ、後半で一転「喪失、それから」を描き切る。ライト文芸の異端のような構成。
    埋めることのできない空白を抱えながら、更新され続ける現実と向かい合わなければならない残酷さ。前半の青臭さと多幸感、後半の盛大な痛々しさ......過去作のエッセンスが詰めこまれつつ、大人の事情にも踏みこんだ、著者の新境地では。おなじみのミスリードにもやられましたが、最大の引っかけはいかにも中高生向けな装丁?

  • 人によって感想や解釈が分かれる作品だと思うけれど、私はすごく心が揺さぶられた感じがしました。

    今まで、恋愛小説というものが好きじゃなくて、だけど住野よるさんの作品はどれも大好きだから読んでみたのですが、一筋縄ではいかないというか、ファンタジーのような設定もあるのに妙に現実味を帯びた恋愛の痛さや辛さも含まれていて悲しいもあり共感できる所もあり、とてもよかったです。

    第1部と第2部に分かれていて、どんどん繋がっていく感じと大人になった主人公らの変わりようも印象深かったです。

    そしてやはり、題名が全てを物語っていて、なんとも言えない気持ちになりました。
    時間が経ってまた読み返してもきっと違うふうに受け取れる作品だと感じます。

  • 住野よるさんの作品はタイトルですべてを物語ってる。
    退屈な日常を送る主人公カヤの前に目と爪しか見えない異世界の女性“チカ“が現れる。
    これは恋愛小説か? 不思議な世界観だった。
    どんなに大切な自分の気持ちや思い出も忘れてしまうのかな?
    少し悲しいけど、現実かも。。
    ずっと過去や思い出の中では生きられないし、時には過去に浸りながらも今を生きるしかないと思った。
    最後に自分の考え方とか内面に深く目を向けている住野よるさんらしい、チカとカヤの会話はとても印象的でした。

  • 退屈な毎日を生きている少年が異世界の少女と出会う話。最後まで読んで思ったことはタイトルそのままで、どんな大切なことも気持ちも当時のまま保存なんてできなくて忘れてしまうんだろうなぁってこと。
    しかし、主人公にあまりに共感できないことと、いつの間に恋愛感情出てたの?って感じになって、個人的に置いてけぼりにされた感じがした。うーん、君の膵臓をたべたいは好きだったのにそれ以外は個人的に面白いのないなぁ…。

  • 読み手によっては、解釈が様々に分かれるのではないかと思いました。

    全体の構成としては、第一部の高校生編と第二部の30代編に分かれています。
    第一部では、高校生・カヤがランニング中に使われていないバス停の待合室で休憩していたら、突然女性の声が。そして緑色の光を放つ物体が現れる。しかし、見えるのは爪と目の部分しか光を放っていない。話を聞いているうちに異世界の少女なのではと思っていきます。声と爪と目だけしか登場しないヒロインは、斬新な設定でしたが、色々想像をかき立てられました。少女との話も大事なところは✖️✖️表示なので、気になりました。

    第二部では、カヤが30代になった話です。第一部の最後は急にテレビの電源を消すかのように終わり、第二部に変わったので、え?どういう事?あの少女はどうなったの?と疑問を持ったまま、時が過ぎていました。高校の同級生と再会し、付き合うのですが・・・。


    最初、読んだ段階では異世界ファンタジー?と思いましたが、次第に恋愛になったり、群像劇になったりと大きくまとめると「恋愛小説」でした。
    カヤは、「青くて痛くて脆い」の主人公を彷彿させるような人物で、平凡な毎日に一石を投じたいけれども、何かもどかしく、内に秘めている感情を爆発させたい雰囲気が溢れています。
    しかし、少女のために頑張る姿は、純真で真っ直ぐな心を持つ男に見えてきます。時には度を超えた行動をしたり、時には少女に恋をしたりと青春群像劇として楽しめました。特に少女とのシーンはドキドキで甘酸っぱかったです。
    でも、純真が故に様々な行動が、嫉妬や自責の念へと繋がっていくので、カヤの心の揺れ動きが繊細でした。

    色んな疑問を残したままの第一部終了でしたので、高校生編のエピソードが、どう繋がるのか第二部が楽しみでした。
    最初は恋愛の雰囲気があったのですが、段々とカヤの心が揺れ動いていきます。
    そう考えると、少女とのエピソードは妄想?それとも現実?という疑問が湧いていきます。段々と剥がれていくカヤの思いが痛々しかったです。
    それからの最後のライブシーンは、潤いが心に入っていくようで、ちょっとした感動がありました。
    結局、少女とのエピソードは本当なのか?読者としては様々な解釈があるのではと思いました。
    カヤの内なる叫びや誰かのために奔走する真っ直ぐな心など色んな心理描写を楽しめる作品でした。

    この本の先行限定版では、付属としてTHE BACK HORNの楽曲CDが入ってます。
    聴いてみるとロック調の曲で、カヤの叫びたい思いと相まっていました。

  • 住野先生ならではの細かい人物描写で、
    登場人物の表情が伝わってきました。
    二人が触れそうになるシーンはドキドキしました。

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著者プロフィール

高校時代より執筆活動を開始。デビュー作『君の膵臓をたべたい』がベストセラーとなり、2016年の本屋大賞第2位にランクイン。他の著書に『また、同じ夢を見ていた』『よるのばけもの』『か「」く「」し「」ご「」と「』。

「2020年 『青くて痛くて脆い』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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