鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。

著者 :
  • 新潮社
4.05
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本棚登録 : 2566
感想 : 287
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103509110

作品紹介・あらすじ

出張先は火山、ジャングル、無人島……センセイ、ご無事のお戻り、祈念しております。必要なのは一に体力、二に体力、三、四がなくて、五に体力?! 噴火する火山の溶岩、耳に飛び込む巨大蛾、襲い来るウツボと闘いながら、吸血カラスを発見したのになぜか意気消沈し、空飛ぶカタツムリに想いをはせ、増え続けるネズミ退治に悪戦苦闘する――アウトドア系「鳥類学者」の知られざる毎日は今日も命がけ! 爆笑必至。

感想・レビュー・書評

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  • フィールドワークの大変さに
    思わずタイトルのように
    鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ!!
    と叫びたくなる気持ちも分かります

    しかし 感じられるのは
    鳥への深いリスペクト
    飛ぶということに特化した姿・構造には
    ロマンを感じずにはいられませんね
    道であった土鳩と雀が
    歩いている理由がわかると
    余計に愛しく感じますよ

  • >鳥と人間には共通点が多い。二足歩行で、昼行性で、視覚と音声によるコミュニケーションをとり、主に一夫一妻制、そんな動物は鳥と人間しかいない。
    >親密になれそうなのに、未知の顔が隠されている。まるで一目惚れの相手である。興味がわかないはずがない。

    こども科学電話相談でお馴染み川上センセーの、エッセー集、かな?
    小気味いい語り口で10ページ弱の小噺が24編収録されています。
    タレント・モデルの10分の1くらいしかいない希少な鳥類学者のお話を聞ける貴重な機会。
    タイトルは、積極的に選んだ研究対象ではなくて消極的にたどり着いたのが鳥類学者だ、というくらいの意味みたいです、が、どう読んでも鳥大好きでしょう先生…。

    第1章
    先生の主フィールド小笠原諸島のお話。絶海の孤島には固有種がいっぱいいる。研究対象としてはいかにも面白そう。

    第2章
    孤島中の孤島、南硫黄島でのフィールドワークの話。
    ハエを吸い込まずには呼吸ができないという恐ろしい場所でも鳥類学者は調査をするのだ。

    第3章
    著者は骨を集めている。変態だからではない。鳥類学者だからだ。

    第4章
    海鳥を絶滅させるチカラを持つ外来ネズミを駆除しようとする話など。孤島といえども泳いできて再定着したりするので一筋縄ではいかない。

    第5章
    鳥類学は毒にも薬にもならず、社会にも経済にもとんと影響がない。つまり税金が投入される割合が高いので国民への還元としてのプレスリリースは重要(でも直接の利益はほとんどない)。

    第6章
    恐竜は絶滅したのではなく鳥類に進化したので「鳥類は恐竜の一系統」ということになり、従来型の恐竜は「非鳥類型恐竜」というまどろっこしい名で呼ばれるようになってきた。


    すごーく読みやすくて楽しい本です。
    縦横無尽な小ネタの乱打が、やや過剰かな、と思わなくもない…きっと先生の普段のしゃべりもこんな感じなのかなと思いました。

  • この著者の書名のつけかたが好みだな、と以前から思っていたのですが、実際にちゃんと読むのは今回がはじめて。

    鳥類学者のリアルな日常を、シュールな例え話などを交えつつ、軽快に紹介してくれます。
    こんなに楽しい文章が書けるのだから、「鳥類学者はシャイで友達作りが下手」との説は少なくとも著者にはあてはまらないんじゃないか、と思いながら、けらけら笑って読みました。
    調査中にハエが次々と口に飛びこんでくる状況で「このハエは鳥の死体を食べている=素材は鳥肉100%=ハエの形をした鳥肉だ!」と自己暗示をかけたとのエピソードに、フィールドで調査する研究者の根性を感じました。
    各地の調査で見えてくる、生態系の仕組みや外来種の問題、人間の営みが自然に及ぼしてきた影響など、考えさせられる話題もありました。

    同じ著者のほかの著作も読んでみたいと思います。

  • 「鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。」
    川上和人(著)

    2017 4/15 初版 (株)新潮社
    2017 6/25 第7刷

    2020 1/25 読了

    全く気づかなかった…

    こんな面白い本に出会えなかった運命を呪わざるを得ないくらいに(占い師なのに)

    この本もFMサンサンきららパーソナリティで
    「BIBLIO RADIO サンきら読書部」
    副部長のペコリーヌさんに教えていただきまた。

    この手の専門書って面白いけど
    この作者の文章がまたクソ面白い!

    学者って変わり者だね(╹◡╹)

    2020 1/26に行われる
    第6回全国高等学校ビブリオバトル山口県代表の山口県立萩高等学校の松岡灯子さんが選んだのが本書らしい。

    ナイスチョイス!
    そしてがんばって!

    そして
    ラジオにゲスト出演して欲しいわー。

  • ご存知、子ども科学電話相談の「はーい川上でーす」でお馴染み?の鳥類学者、川上先生の著書。
    番組中のお話が楽しすぎてついつい本まで買ってしまいましたが、案の定といえばいいのか、怒涛のような語り口。忙しすぎるし面白すぎる。
    そのノリで一呼吸ごとにハエと一体化していくようなフィールドワークの過酷さや鳥の保護の難しさが語られるので、「本当に大変だ」とは承知のうえで、やっぱり笑わずにはいられませんでした。
    『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』
    うん、でも、やっぱり、嫌いじゃないんでしょ?

  • ネットで見かけて。

    笑えた。
    どらえもんやガンダムや迦陵頻伽、昔話などが、
    絶妙なタイミングで飛び出てきて、みぞおちを突かれる感じ。
    だんだん慣れてきて、この角で秋元康が来るな、と思っても、毛利元就だったりとか。

    とはいっても鳥類研究の話も面白かった。
    ズクロミゾコイの調査をしていて、その声に似ている牛舎の前にたどりついたり、ホンダのバイクの後ろにいたことがあるとか。
    環境保護地域の南硫黄島への調査に向かうために、一週間前から種子のある果実は食べず、道具はすべて新品を用意し、クリーンルームで準備をして、地域外の動植物をもちこまないように気をつけたとか。
    ボルネオ島の研究対象地がコーヒー農場や違法な石炭採掘場になってしまったとか。

    こういうタイプの本は、最初飛ばしても、最後に失速してしまうことが多いが、最後まで美味しかった。
    そういう意味では、最後までアイスクリームがつまっている抹茶パフェというべきか。
    チョコパフェほど甘くはない。
    抹茶アイスとか生クリームとか抹茶シフォンとか白玉とかあんことか、それぞれ美味しい鳥ばなしがてんこもり、そこにアクセントが効いてる感じかな。
    でも、そのアクセントは、例えるなら何だろう。
    コーンフレークじゃないとは思うんだけど…。

  • 語り口が軽妙で、スイスイと読んでしまえます。
    どことなく、森見登美彦みたいな書き方の様な…
    読んでいて楽しかったです。
    作中にも出てくるチョコボールのキョロちゃん。
    私も、チョコボールを久しぶりに買って、キョロちゃんをよくよく観察してみると、彼はやはり猛禽類なのではないか?
    と思いながらモチャモチャと食べました。

    是非、この本を読まれる時は鳥類図鑑とチョコボールとカールをお供にしてみてください。

  • 好きじゃないものに、こんな労力はかけない。気に食わなくも、多分ならない。鳥が好きすぎて、嫌いって言ってみたくなってるんだよね?って言いたくなる。が。

    この本、都会というか、私達の生活圏で、いかなる鳥と人間の関わりが繰り広げられているのか?ということが、わかりやすく、おかしくも解き明かされる。鳥の名前をそうたくさん言えない私でも、鳥類と人間の絡む最新のトピックがなんなのか、コーヒー片手に聞かせてもらえる。

    研究者の日常は、キツくてニッチで、素晴らしい。人間に大きな影響を与えた生き物は、犬、そして鳥、他にもたくさんいるけど、私が思ってる以上に、深いのだ。

  • 夏休み子ども科学電話相談室でお馴染みの川上和人氏の本。これ「新潮45」に連載されていたんだ。編集長が変わって、あのような結果になったのか。
    この本は読みやすく、かつ面白い。

  • 私は、個人的に完璧と思う文章を書く小説家には憧憬の念を隠さないが、同様の文章を小説家以外の人が書くとなると嫉妬の念が勝る。本作に抱いた念は、明らかに後者である。
    学者の書く文章は、たとえそれが自分の専門外の学問であっても、勉強のためと割り切って読むので、いわゆる「うまい」文章は求めていないし、むしろそういうものと思って読む。
    しかし、本作は、鳥類学者が書いた文章のくせに、文章の流れといい、引き込む魔力といい、随所に散りばめられたユーモアといい、単に文章として完璧だ。
    ここまで文章が完成されていると、そこから何を学んだかとか、自らの知見をどう刺激したかなどどうでもよく、ただただ「小説家でもないのに、こんな完璧な文章を書きやがって」と嫉妬するばかりである。
    そのうえ、「オレもこんな文章書きたい」としか思っていないはずなのに、まんまと鳥類や絶海の孤島に興味を抱いてしまっている。
    してやられた。もう、超絶おすすめするほかない。

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著者プロフィール

森林総合研究所・島嶼性鳥類担当チーム長。小笠原諸島の鳥類を中心に、島の生物の生態や生物地理、保全などに関する研究を行なっている。最近は、海底火山の噴火によって新たな陸地が生まれた西之島において、生態系が成立するプロセスと鳥類が果たす役割について研究している。また、鳥類の骨格標本の収集にも力を入れている。著書『鳥類学は、あなたのお役に立てますか?』(新潮社)、『鳥肉以上、鳥学未満。』(岩波書店)、『そもそも島に進化あり』(技術評論社)、監訳『鳥類のデザイン』(みすず書房)等。

「2021年 『イラスト図解 鳥になるのはどんな感じ?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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