劇場

著者 :
  • 新潮社
3.45
  • (113)
  • (205)
  • (267)
  • (75)
  • (23)
本棚登録 : 2236
レビュー : 321
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103509516

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • なんでもっと沙希ちゃんを大切にしてあげられへんねやろ、って思わずにはいられない。でも、これって自分に自信が無いからこそ湧いてくる感情なのかなって思う。嫉妬するのもそう。自分のことを好きでいてくれる沙希が怖くなってくるような感覚。やめとけよ、永田なんて。永田の中にいるもう一人の永田がそう言ってるんじゃないかな。天邪鬼と言えばそれまでやけど。ここがすごく私自身に被った。自分のことをカッコいいとかちょっと好きかもって思ってくれる人のことをいつもないがしろにしてしまう。そして、そんな人の尊さを失ってから気づく。

  • 感情を細かく独特な表現でとことん描写している。
    気持ち悪ささえ覚えるような描写。
    特に嫉妬という感情の表現がエグい。
    ダメ男の主人公に腹が立っていたが、徐々に昔の自分に重なり、なんとも言えぬ気持ちになった。今は妻と幸せに暮らせているが永田とサキちゃんもこうなれば良いと願った。

  • これは太宰の世界なのか。
    ダメなヒモ男とピュアな少女。
    イライラするほどダメ男でしたが、最後は二人で前向きになれたので少し救われた。

  • 人の、黒に近いグレーな部分、自分より弱い存在を虐げる感情(だけどその人から愛されたいが故なのでエスカレートする)を描くのが上手いよな又吉さんは。
    沙希ちゃんのセリフの言葉、不覚にも泣いてしまったが共依存ぽくてあとからぞわぞわする。この物語に出てくる人は大半が自分に自信がなくて、ある人は虚勢を張り、ある人は権威にすがり、ある人はぶら下がる。何にもなれていない自分をどう見せるかに必死だ。

  • 大好きな又吉氏
    火花より、読みにくいが、又吉の脳内ぶちまけている感じが好きだ

    劇場を舞台に、描かれる人間模様
    恋愛模様
    この主人公は半分又吉なんだと思う
    さきも、実在した又吉の前の彼女なんだと思う
    最後のシーンが、何度読んでも号泣してしまう

  • 劇団主催者の永田。
    うだつは上がらず、鬱屈した性格をしている。
    彼女である沙希の家にヒモ状態で暮らしている。しかし、他人に寄生して生きていることを恥じ、申し訳ない気持ちもある。
    堕落した現状なのに、気持ちまで堕落することができない。
    元劇団員青山との再会によって、「世間」をじわじわと意識させられるようになる。

    なんか…クズなんだけど…わかる……。
    わかる。永田の気持ちが。
    沙希ちゃんはかなり聖母入ってるけど。
    確実に沙希ちゃんは永田と別れた方がいいけど、周囲に対して「余計なことを言うな!」って気持ちにもなる。
    一緒にいない方がいい。でも一緒にいてほしい。

    又吉さんが書く長ゼリフパートで毎回泣いてしまうのは何故だろう。

  • 恋愛小説とは知らず手に取ったが、読み終わって「恋愛小説だ」と思った。いわゆる、ときめいたり、淡い気持ちを抱いたりするような恋愛小説ではないが。主人公の永田を軽蔑するような少し「気持ち悪い」と感じてしまうような、それでも切り捨てられない。どこか自分と重ね合わせてしまう部分もあり、それでも感情移入しきれない。その中間に漂いながら、読んだ。又吉直樹さんは、又吉直樹さんだからこそ書ける人の、書ける部分を、書ける方法を知っている。2冊目だけど、たぶん、この人の本が好きだ。

  • ★3.5
    始めのうちは、永田がダメ男すぎて好きになれず、こんな人に沙希ちゃんは勿体無い!とさえ思った。が、原付バイクのエピソードあたりから永田の不器用さが不憫に思え、少しずつ沙希ちゃんと擦れ違っていくのが悲しかった。傍から見ると不釣り合いな二人でも、二人には二人だけの世界がある。そして、二人乗り自転車での永田の一人語りと満開の桜、沙希ちゃんの部屋で過ごす最後の二人の姿が、あまりにも尊くて少し泣きそうになった。永田には沙希ちゃんが必要で、沙希ちゃんにも永田が必要なのに、一緒に居ると壊れてしまう二人だった。

  • ありふれた、若いカップルの出会いから破綻までがこんなに切なくて残酷だなんて…

    でも沙希の視点からの物語だと、ものすごく陳腐でシンプルなんだろうな。

  • 二作目は恋愛小説、と公表されていたのでこの本棚のカテゴリもレンアイを選択しましたが、「自己表現」とか「自立」とか「依存」についてを恋愛を題材にして描いた小説、というような感じでした。前作『火花』と同様に主人公の思索のモノローグ部分はかなり好みでしたが、劇団のメンバー間でなされるやりとりの痛々しさというか不毛な感じは苦手で、朝井リョウさんの『何者』を読んでいたときと似た感じのモヤモヤした気持ちになってしまい疲れました。でも最後の場面で、丁寧に散りばめていた伏線を見事に回収してくれた感があり、読後感は爽やかでした。次作も楽しみです。

全321件中 31 - 40件を表示

著者プロフィール

又吉直樹(またよし なおき)
1980年、大阪府寝屋川市生まれ。お笑いコンビ「ピース」のボケ担当。第153回芥川龍之介賞受賞作家。2009年6月せきしろとの共著、自由律俳句集『カキフライが無いなら来なかった』を刊行し、これが初の書籍となる。2010年12月に続編である『まさかジープで来るとは』、2011年11月初の単著『第2図書係補佐』をそれぞれ刊行。2015年1月7日に『文學界』2月号に初の中篇小説『火花』を発表し、純文学作家としてデビュー。3月に文藝春秋から『火花』が単行本化。同作が第28回三島由紀夫賞候補となり、第153回芥川龍之介賞受賞に至る2016年にNetflixと吉本興業によってネット配信ドラマ化2017年板尾創路監督により映画化された。2017年『劇場』刊行。2018年9月、毎日新聞夕刊で新聞小説「人間」を連載し、毎日新聞出版から2019年秋に発売予定となる。

劇場のその他の作品

劇場 Kindle版 劇場 又吉直樹
劇場 Audible版 劇場 又吉直樹

又吉直樹の作品

ツイートする