劇場

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 2226
レビュー : 321
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103509516

感想・レビュー・書評

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  • 火花の前から書き始めてた作品だけあって、何度も書き直したりしたであろう本作は、完成度の高い仕上がりだと思う。
    細かな描写や繊細なセリフの表現が刺さりました。
    次作が本当に楽しみです。
    この二作と全く違う主人公を書ききって欲しいです。

  • こんな恋愛はしたことない。
    だけど、この小説を読んでいると、昔の自分の恋愛を思い出すんだよ。
    なんてことないのに悩んでいたりしたことを。

    又吉さんの書く小説は、私の奥底に眠っていた何かを思い出させることが多い。

  • 「火花」テイスト
    ここに出てくる「永田」の方が、より又吉さんぽいな。
    と思った。
    明るく屈託の無い前向きで「永田」の事をある意味信頼している「紗希」
    独りよがりでマイナス思考な「永田」
    真面目に話すことが恥ずかしいのか「紗希」の前ではふざけてばかり。

    何だか似ている「私」と。
    「火花」よりもこっちの方が好きだな。

  • 普段は(かさばるので)単行本より文庫なのですが、今回は文庫化が待ちきれずに買ってしまいました。

    序盤がえらく硬く入るけれど、全体的には前作より棘が抜けて、読みやすいのかな。
    テーマがより、スッと心に入ってくる感じがします。

    それでいて又吉節はトーンダウンしていないのが凄い。
    1作目ほどではなかったけれど、笑ってしまう場面も幾つかありました。
    テレビでは笑えないのに、文章のセンスと喋りのセンスは全く違うところに存在するのですね。(失礼)

    作りは変わらず、終盤にどうしても書きたいことがあって、そこへ向けてお話が進んでいく形。
    その流れが、前回より自然になったと思いました。

    個人的に2作目をどう書くのかとても興味があったのですが、1作目の延長線上で技術がパワーアップした感じでした。

    もうこの作風で固定なのかな。

    現時点でも完成度は高いので、持っているクオリティを着実に高めていくことはもちろん間違ったことではないのですが、大きく殻を打ち破って欲しいという我が儘な願いもあります。
    それが出来る才能をもった人だと思うので。


    以上、自分で読んでもなんか上からだな、と思いましたがこれは単純に私の文才のなさなので他意はないです。
    興味深く読めました。

  • 劇団の脚本を書いている永田と、服飾の大学に通うという名目で女優を目指して上京した沙希の恋愛小説です。読んでいて、苦しくなりました。

    沙希の純粋無垢な優しさに触れることで、自分の醜さが強調されて苦しくなったり、同じ年齢で『まだ死んでないよ』という劇団の作・演出を手掛ける小峰の才能に純粋な嫉妬を感じたりする永田の気持ちに、共感しました。

    永田はいつでも味方でいてくれる沙希の優しさや弱さに甘えて、いわゆる“ヒモ”で迷惑ばかりかけているように思えて、最低だとも感じました。しかし、“ほんまにみんな幸せになったらええな。(p178)”と言ったとき、永田のことが愛しくなりました。沙希のおかげで、こういう言葉が出たのだと思います。

    永田も沙希も東京で死にかけでなにもできないと思っていたときに出会って、寄り添っていて、二人の“純粋”な部分が羨ましくなりました。

    また、小説のなかで、商店街で空手の型を母親に披露しながら歩く少年に気がつくと、歩く人達が道をあけて進路をゆずる、優しい風景が大好きです。私も“こんな瞬間に立ち会うために生きているのかもしれない。(p149)”と思いたいです。

  • 前作よりは良かったです。

  • 主人公のモチーフは作者本人なのではないか?と疑問に感じてしまう表現が印象的であった。

    一方で自意識が肥大化して劇場に登場するヒトやモノ、シーンがそうであるように接触するすべてにおいて根拠を追求する思考がもたらす主人公の心の変化が苦しく思える。それは自分にも思い当たる節があるからだろうか。

    小説というよりは別のカテゴリに分類される書籍だと思う。

  • 主人公は、自意識が肥大したクズ。そしてヒモ化してさらにクズ度が増していくという…
    読むのが苦しかったのは、主人公の嫉妬心が誰にも少なからず思い当たる節があるからなのかな。この本の裏テーマは、嫉妬心なのではないかなと思いました。

    恋人の沙希も、終盤ギリギリまで明るくてなんでも受け止める感じで、そこがまた他の登場人物と違った違和感があり気持ち悪く、とにかく気持ち悪い人ばかりがでてくる小説でした。
    そこがあったからこそ、ラストの感情を吐露するシーンの輝きが圧巻。結局最後も劇場の中で思いを吐き出せない2人は切なすぎました。
    ちょっとした会話のやりとりが面白いのは、さすが芸人。苦しいですが、そこを乗り越えて最後まで読んでほしい1冊です。

  • 主人公は『コンビニ人間』の白羽を彷彿とさせるクズ男でした。沙季ちゃんが健気でね、なぜこんなクズと一緒にいるのだと、僕が親ならこの男を叩き潰しますね。
    と、思わせるあたりは又吉直樹、才能あるんだなと。『火花』でもそうでしたが、何かに夢中になってまわりが見えなくなっている男を書くのがうまい。口喧嘩の場面なんかは、よくあれだけの言葉が出てくるなと関心。
    ちょっと細かいけど、前半部分では人が多くいる様子を「人込み」と表現していたのに、後半では「人混み」となっていたのが気になりました。意味が違うのか?
    総合的には満足、三作目も出してほしいですね。次はまったく違う人物を描いてほしいです。

  • 読み始めて、すぐに思い出したのは
    「東京百景」の「池尻大橋の小さな部屋」。
    大好きなエッセイが、ていねいに小説化されると
    こんなふうに、切なくて、苦しくて、
    誰かを想うことの哀しさをおしえてくれるのだ、
    と、感動。

    創作でも、恋愛でも、言いたいことが言えたら、
    言うべきことをわかったら、もっと違う世界が
    見られるのだろう。
    でも、それができないから、追求して
    苦しくて、投げ出したくなって、
    でも、逃れられない。
    読む程にその苦しさに共感できて、
    ラストは、切なさに泣いた。

    いつまでも、心の奥に大切にとっておきたい
    そう思える作品のひとつになった。

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著者プロフィール

又吉直樹(またよし なおき)
1980年、大阪府寝屋川市生まれ。お笑いコンビ「ピース」のボケ担当。第153回芥川龍之介賞受賞作家。2009年6月せきしろとの共著、自由律俳句集『カキフライが無いなら来なかった』を刊行し、これが初の書籍となる。2010年12月に続編である『まさかジープで来るとは』、2011年11月初の単著『第2図書係補佐』をそれぞれ刊行。2015年1月7日に『文學界』2月号に初の中篇小説『火花』を発表し、純文学作家としてデビュー。3月に文藝春秋から『火花』が単行本化。同作が第28回三島由紀夫賞候補となり、第153回芥川龍之介賞受賞に至る2016年にNetflixと吉本興業によってネット配信ドラマ化2017年板尾創路監督により映画化された。2017年『劇場』刊行。2018年9月、毎日新聞夕刊で新聞小説「人間」を連載し、毎日新聞出版から2019年秋に発売予定となる。

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