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Amazon.co.jp ・本 (400ページ) / ISBN・EAN: 9784103509578
作品紹介・あらすじ
書かねば、夢は終らない。名著『北越雪譜』、刊行に至る四十年の数奇な道。江戸の人々に雪国の風物や綺談を教えたい。越後塩沢の縮仲買商・鈴木牧之が綴った雪話はほどなく山東京伝の目に留まり、出板に動き始めるも、板元や仲介者の事情に翻弄され続け――のちのベストセラー『北越雪譜』誕生までの長すぎる道のりを、京伝、弟・京山、馬琴の視点からも描き、書くことの本質を問う本格時代長篇。
AIがまとめたこの本の要点
この本を表す言葉
みんなの感想まとめ
書くことの本質と夢の実現をテーマにしたこの作品は、雪深い越後で家業に励む鈴木牧之の40年にわたる苦闘を描いています。彼は、江戸の人々に郷土の魅力を伝えようと奮闘する中で、山東京伝や曲亭馬琴といった戯作...
感想・レビュー・書評
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江戸後期にベストセラーになった「北越雪譜」誕生に基づくフィクション。雪深い越後で家業に励みながら、郷土の綺談を世に知らしめたいと思い立った鈴木牧之の40年に及ぶ苦闘。江戸の戯作者 山東京伝・京山 兄弟と曲亭馬琴の確執を含め、静かにして重厚な作品。「南総里見八犬伝」の作者 馬琴の捻くれ、嫌味、執念が凄い。
好きな作家である木内さんの新作ということで手に取りました。『かたばみ』でファンになりましたが、ウィングが広い作家です。今作は『櫛挽道守』と似た感じで、方言など、読み始めは戸惑いましたが、期待どおりの秀作でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
雪国越後魚沼の生活を記し、江戸時代後期に当時の大ベストセラーとなった『北越雪譜』
本作はその『北越雪譜』に関わった四人の「もの書き」たちの物語である
天賦の人、山東京伝
執念の人、曲亭馬琴
憧憬の人、山東京山
夢中の人、鈴木牧之
それぞれが「もの書き」としての譲れない矜持を持ち、それぞれが木内昇さんの分身だったんじゃないかな〜と思いました
それにしても曲亭馬琴の描かれようが非道いw
まぁ癖のある人だったのは間違いないようですが、なんていうか広げ様がえげつない
小説家ってやっぱすごいな〜
特に時代小説(歴史小説)は、なんとなくある人物像をどかんと覆してきたりして、しかもなんか納得させられたりっていうね
それも時代小説(歴史小説)の面白味だと思うので、必須とまでは言わないが、やはりある程度知っていた方がお得だと思います
当社比75倍!(お得過ぎるやろ!)-
2026/02/06
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2026/02/06
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2026/02/06
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最近宮田珠己さんの本で、江戸後期に鈴木牧之なる人が書いた『秋山記行』という民俗誌的な本があるということを知った。娯楽として“面白そう”とまでは思わなかったため、読みたい本リストには入れずメモもしていなかったものの、なんとなく気になって覚えていたら、木内昇さんの新刊の主人公になっているではないか。運命!
しかも、よくよく見ると今の大河ドラマ「べらぼう」に近い時代設定。初代蔦重は亡くなってしまっているが耕書堂は二代目が継いでおり、西村屋だの鱗形屋だの、ドラマで現在進行中のストーリーに登場する本屋さんの屋号も出てきて、常なら頭に入りづらそうな名前や人間関係もスッと馴染み、読むならまさに今!という感じ。
歴史の教科書で見たなという程度にしか知らなかった山東京伝や曲亭馬琴といった戯作者たちも生き生きと描かれ、江戸町人になって彼らの本をあれこれ読んでみたいなあと思った。同じく木内昇さんの『浮世女房世話日記』は、まさに読者の立場で京伝や馬琴の本の感想など書いてあった記憶がある。そちら読み直しても面白そう。彼らの戯作者としての独白は、木内さん自身の作家としての思いに通じるところもあるのかも、との想像も働く。
木内さん作品群における「傑作」感はあまり感じなかったが、今の私にぴったりな題材で大変楽しめた。 -
長い苦しみの一冊。
時は二代目蔦重の時代。
雪深い越後の地で「北越雪譜」の刊行を願う鈴木牧之の長い苦しみを描いた物語。
山東京伝や馬琴らとの縁があれど、板行の夢は遠い道のり、回り道。
彼の人生路に固唾を呑み何度悔しさを共に噛み締めたことか。
それでも諦めない姿は冬に耐え春を待つ雪国の人の忍耐そのもののよう。
京伝の弟、京山との交流で、書く初心を思い出す牧之の姿もいい。
自分も読書で心くつろぐ気持ちを重ねた。
「夢中」を携えた人生って羨ましい。
それにしても馬琴め〜!
ここまで捻じ曲がった馬琴像は過去イチ。
人として終わってる。 -
越後塩沢の縮や質屋で生計をたてている鈴木儀三治は、父の跡をとって商業を生業としている。ある時江戸に滞在し、雪の話をしたが江戸者には何の話をしているか伝わらず、嘘をついているとさえ思われてしまう。越後のことを江戸の者に知ってほしいと越後の話を書き溜めた。
せっかく書いたものなので、出版までいかなくとも何かにして欲しいと人を介して山東京伝にお願いしたところ、手直しする形で出版できるかもという話になったが、出版元が見つからない。耕書堂も鶴屋さんも西村屋さんも二代目。板木代50両払うならという出版元を見つけたが、やはりそこまでの額は出せない。次に大阪の方での出版を試みるが、結局こちらもダメ。
山東京伝が亡くなった後に、曲亭馬琴が出してやると胸を張った。今は忙しいから4年後との話だったが、曲亭馬琴はいつだって忙しい。そこからさらに10年経ち、12年経った。
その頃山東京伝の弟京山が、兄の遺品の中から儀三治の草稿を見つける。あまりに話が進んでいないようなので、こちらでやりましょうかとひと噛みしたところ、曲亭馬琴が臍を曲げる。すでに儀三治はお爺さんである。出版は如何になるのか。 -
江戸時代、越後の鈴木牧之が地元の雪や生活の様子を書いて書物になるまでの長い長いお話。
巻末の装画の記載を目にして鳥肌がたった。ずっと気がつかなかった。牧之さん、本当によかったね。 -
物語は蔦屋重三郎の死後、山東京伝や曲亭馬琴などの戯作者が活躍している江戸後期時期。京伝は押しも押されぬ人気作家であり、馬琴は『南総里見八犬伝』の執筆を始めようかという時期。
当時の新潟といえば、江戸からしてみれば未知の国。豪雪地帯での暮らしなど想像もつかない。さらに鈴木牧之が物語ではない、現(うつつ)であると語っている奇譚。送られてくる物語に惹かれた京伝は、出版を試みるが、実績のない書き手であるので、伝手のある出版社は何色を示すばかり。京伝の死後は、馬琴が引き受けたかに見えたが・・・。
内容についてはここで書けないが、いやもう、読んでいて儀三治(鈴木牧之)の胸の内を図ると、如何ともし難い心にさせられる。彼はきちんと商売をしながら、心の赴くままに雪国のことを書き溜め、絵にしていった。その真摯な心とどこまでも生真面目な人柄は、文章の固さにも現れ、文学的要素に乏しかったかもしれないが、その生真面目さが、山東京伝や馬琴の心を動かしたのだと思う。しかしその後、こうも長引くとは。
山東京伝や曲亭馬琴、そして鈴木牧之が交互に語られ、時が進んでいく。牧之の思惑がなかなか江戸に伝わらない様子や、江戸からの文の内容に疑心暗鬼に陥ったり、出版に至るまでの長すぎる道程。『北越雪譜』となるべき原稿の行方についても衝撃的な展開が訪れる。
どの人物の心も細やかに描かれ、山東京伝や曲亭馬琴、そして山東京伝の弟である京山は、こういう人だったに違いないと思わせる、木内昇の筆が冴え渡る。
満足できる一冊だった。
馬琴については過去に下記の2冊を読んだが、木内昇の馬琴が一番辛辣であった。
『曲亭の家』 西条奈加
『秘密の花園』 朝井まかて -
曲亭馬琴の破綻者ぶりがすごかった。モラ、毒親、DV、才能はあるが性格が悪すぎてもはやサイコパス。そればかりに気を取られて、肝心の鈴木牧之の地道な生き様が入ってこなかった。笑
ものを生み出す人たちの才能への憧憬、屈折、書くことの純粋な楽しさなどが立ち上ってくる後半はよかったが、
前半の、頓挫からの頓挫は読んでいるこちらがヤキモキしてなかなかページが進まなかった。
馬琴以外の人物が皆地味だったのもあり、才能のある兄としての山東京伝をもう少し見たかった。(すぐに逝ってしまったのは儀三治の無念に呪い殺されたのかと思った。笑) -
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北越雪譜にまつわる話、と聞いて手に取る。
かつて、宮尾登美子の蔵で北越雪譜を知り、少し読んでみたが、全部はとても読み込めず、でもまたいつかチャレンジしたいなと思える一冊だった。
その北越雪譜を著した鈴木牧之と、当時の江戸の出版業界人たちの長きにわたるやりとりが本書のメイン。
木内昇ははじめて読んだが、面白いし読みやすい!
さすが売れっ子だ。
こんな時代に地方からの書物って、なかなか、本当に、なかなかスムーズに行かなくて大変だったのがよくわかる。
鈴木は粘り勝ちと言えるだろう。
よくぞ田舎でずっと文と絵を磨いて、わずかに繋がる都会との人脈で出版までこぎつけたもんですね。
出版界の濃い面々も面白かった。
山東京伝兄弟と、敵役?の曲亭馬琴、良い人すぎる十返舎一九や、二代目蔦重など、去年の大河ドラマを見ていた人にはよくわかったんじゃないかな。
見ていない私にも面白かったのですから。
当時の江戸の人は、新潟のことなど何もわからず、大量の雪のことを信じてくれない、というエピソードに、こんな大雪の中で選挙したいとか言ってる奴が今もいるなんてよぉ、という苛立ちを持って読んでしまった。
写真も動画もあるし、情報が一瞬で送れるくせに、いまもこの状態があんまり変わってないってなんなんだ。はーあ。
読了後、北越雪譜を改めて読んでみたいと思ったし、その少し前に出版されたという新潟の雪の本は結局どうなったのよ、という気持ちで読み終えた。 -
江戸の町人を中心とした文化が盛んになった江戸後期 、当時は遠隔地であった越後塩沢において豪商でありながら、雪国の有り様や土地にまつわる奇談を伝えたいと、一生を捧げた実在する鈴木牧之の一代記。
主人公であるこの鈴木牧之の一生もとても重厚感溢れるものだが、関わる多くの人々の描写が物語の奥行を広げる。
暑い夏、読んでよかった1冊。やっぱり木内昇さんは大好きな作家の筆頭。
言ってみれば仏教の「四苦八苦」に満ちた1冊だ。
インターネットにより私たちは情報に溢れ、失敗しない、或いは効率の良い、最適な答えをいつでも手にできるという幻に翻弄されている。
私自身の自戒も込めて、常に情報を更新し、人様が持っている情報を取りこぼさず手にしようと日夜スマートフォンやPCから目が離せない時間が増えている。
だが、やっぱり生きることは儘ならないのだと、この1冊を読んでしみじみと、むしろ自分を慈しむような感覚さえ湧いてくる。
「仕方がないのだ」「どうにもしようのないことがあるのだ」、禍事はあって当たり前なのだと、自分に言い聞かせる。
「四苦八苦」、仏教用語の
四苦(しか):geminiの検索からの抜粋。
人間が本質的に抱える四つの苦しみです。
生苦(しょうく)::生まれること、生きること自体の苦しみ。
老苦(ろうく)::老いていくことの苦しみ。
病苦(びょうく)::病気になることの苦しみ。
死苦(しく)::死ぬこと、あるいは大切な人との死別の苦しみ。
八苦(はっく):
上記の四苦に、さらに人間の心や精神にまつわる四つの苦しみを加えたものです。
愛別離苦(あいべつりく)::愛する人との別れ。
怨憎会苦(おんぞうえく)::恨みや憎しみを感じる相手と会わなければならない苦しみ。
求不得苦(ぐふとくく)::求めても、いくら願っても、望むものが得られない苦しみ。
五蘊盛苦(ごおんじょうく)::人間の存在を構成する心身(五蘊)そのものから生じる苦しみや、物事への執着からくる苦しみ。
本作の主人公は生まれつき聴覚に障害を抱えながら、背負った家督を守る責任からも逃げることなく、幾多の落胆、意気消沈にも関わらず、念願の随筆で最後には縁を手繰るように、『北越雪譜』の出版を成し遂げた。言ってしまえば夢実現物語であるが、「頑張れば夢がかなう」のような陳腐な時が流れたわけではない。それが木内さんの筆で豊かに描かれる。
登場人物それぞれの生きる苦悩がそれを示す。
P.263から抜粋:
戯作というのは水ものじゃ。こうして日々真面目に努めておっても、必ず相応の見返りがるというものではあるまい。
P.294:
家族というものは、かように容易く崩れるものなのかー相四郎は窓から小竹を眺めてぼんやりと思う。
P.362:
正体がわかれば胸のつかえは降りるだろうが、この世の中は正体の知れねぇものばかりなのだ。俺にしたっておまえにしたって、一見しただけじゃわわからねぇものを密かに抱えているだろう。いかに戯作といっても、なんでもかんでも白日のもとに晒すのは野暮でしかねぇのだ。
略)
すべてを明らかにすることがけっしてよい戯作とは言えぬということは、そこはかとなく分かる。戯作に登場する者たちの行状を見詰め、なにゆえそのような行いをするのかと思いを巡らせる。その答えは作中に明確に書かれているわけではない。だからこそ読み手は、あたかも知人に接するように、彼らの心根を想像し、対話することができるのだろう。
「光が差し込まぬところでも、この世にはあまたございます。そうした暗がりに何かがあるのだろうと、思いを巡らすのもまた、生きる上での楽しみですなんが」
以上抜粋。
知ったつもりになっている。答えは必ずどこかにある。頑張れば結果は報われる。
そう思いたいところだが、人生の、或いは生きることの深淵は浅くはない。
横やりを入れ、他者を貶めることで自分の優位性を測ろうと画策する馬琴、著名な戯作者である兄 山東京伝の存在が目標でもあり、越えるべき大きな壁でもあり、自分自身の有り様をずっと模索する山東京山の苦悩。
それぞれの家族の描き方も、一筋縄ではいかない家族像を映し、私自身の家族と重ねる。
癇癪持ちで家族を築けない馬琴の長男と夫婦関係に悩むその嫁。
真面目な家督を守る存在と信じていた長男が、急に放蕩にふけり信頼関係が崩れた山東京山の失望。
夫婦関係も容易くはない。
老いること、失うこと、恨みや裏切りをもたらす他者と出会ってしまうこと、大切な人を失うこと…。
現実の厳しさ満載なのだが、木内さんの筆はそれでは終わらない。
人と出逢う縁、千載一遇の機会に出逢うタイミング、他者や周囲からの承認賞賛によらず、自分自身に向き合う強さ等々、言葉で尽くせぬ本質が、作中細かく表現されるわけでもなく、心に沁みてくる。
まさに、最近の作家の作品は、丁寧に作り込まれ過ぎだと感じていたところ。
作中、戯作についての説明でもあったが、書き過ぎず、是非を判定せずに、読み手に委ね、想像させ、そして受け取った私たち読者が書かれていない登場人物たちの心根を想像し、自分とも登場人物とも心の中で対話をする。これが私にとっても読書の醍醐味。
最後の参考文献リストの数の多さに圧倒される。
1つの作品を紡ぎ出すのに、これほどの文献に目を通し、1冊を纏め上げる。その作業にも脱帽。
書き過ぎや書き手の価値観の押し付けは好まない。
1冊の中に江戸後期のいくつもの著名な戯作や浮世絵にまつわる著名人が登場するが、門外漢の私でも十分に楽しむことができた。木内さんの次作も楽しみ。 -
北越雪譜 を書いた越後の鈴木牧之の物語。
多くの江戸時代の書き手、絵師、版元が出てくる。
今話題の蔦重も。
特別な職業の人々に焦点を当てつつ、時代の暮らしぶりや生き様をありありと見せてくれる。それぞれまじめで質素で正直で。
木内氏の作品は実在の人物を描くことが多いが、今の日本を作ってきた人々への敬意が伝わってこちらの胸を打つ。 -
40年かけて世に出た鈴木牧之の「北越雪譜」
江戸の人々に雪国・越後の風物や綺談を教えたい
ただそれだけを思い、山東京伝・京山兄弟、馬琴、蔦重などと40年に亘り関わりながらも「北越雪譜」が誕生するまでの話
江戸と越後の距離と、牧之自身の家業がなければ、40年も続けて来られなかったかもしれない
とはいえ40年、ここまで続けられたことが凄い -
男のロマンの執念たるや!
新潟に越してきて、北越雪譜って?と思ってたらこういう話なんだと興味を持ちました。
ともあれフォーカスが色々あってどんどん読み進みられた。文学史好きにも好まれるだろうなー! -
刊行を夢みて執筆を続ける鈴木牧之。夢叶うまで40年。我慢強く、諦めない彼の執念に感心するも、やきもきが続く。江戸で活躍中の山東京伝や十辺舎一九らとの交流は微笑ましいが、粘着質な滝沢馬琴の偏屈極まりない人格に辟易。越後の『雪話』が一冊の本になるまでの過程を丁寧に描く著者の妙味に感服。
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おもしろかった。
一気読みでした。
木内昇さんの新刊なので
迷いなく手にした一冊。
刊行するまで40年を要した
『北越雪譜』
ー江戸の人々に雪国の風物や綺談を教えたいー
鈴木牧之はその思いを胸に諦めず書き続けた。
『北越雪譜』
勉強不足でどのような物か知らなかった。
それにしても、しつこく書き続け
刊行に漕ぎつけた鈴木牧之には頭が下がる。
天才肌の戯作者・山東京伝。
反対に努力型の曲亭馬琴。
その対比もおもしろく、当時の出版業界の様子を知ることもできる。
木内さんのおかげでまた世界が広がった。 -
良いですね。
越後塩沢の商人・鈴木牧之が越後の風俗・奇譚を集めた『北越雪譜』を江戸で出版するまでの40年を描いた作品です。
多くの戯作者、版元が登場します。主人公の鈴木牧之に加え山東京伝とその弟の京山、滝沢馬琴、そして2代目蔦重や文溪堂・丁子屋平兵衛など。特に戯作者についてはその家庭や妻や子も描かれ登場人物の多さにいささか苦戦。また、上手く行きかけては挫折を繰り返す様子を描いた前半はやや冗長な感じもあります。
ようやく出版の夢が叶おうとする前夜。『雪譜』の舞台を我が目に収めるべく越後を訪れた刪定者の山東京山と、中風に倒れ回復途上にある編選者の鈴木牧之の会話。刊行を思い立ってから永い苦難の歳月を経て、年老いた二人が静かに「ものを書く」という事を語り合う姿が妙に印象に残ります。そういえばこの二人に限らず京伝も馬琴も「ものを書く」事について語っています。これがこの小説の主題であり、木内さん自身がこの小説を通して自分にとって「ものを書く」という事は何なのかを見直そうとしているのかもしれません。
それにしても、これまで『秘密の花園』朝井まかてーや『曲亭の家』西條奈加ーでも、主人公でありながら吝嗇や横暴に描かれた滝沢馬琴、今回はまた随分狷介に描かれましたね。まあ史実として仲の悪かった京山側から書かれた物語ですからね。 -
しんしんと降り積もる雪を静かな情熱がゆっくり溶かす、そんな物語。
書くことに囚われた馬琴のことも憎みきれない...
なりふり構わずに好きなことに向き合えるって幸せなことなんだな、自分の嗜好を大切にしたいし、趣味なり仕事なりに取り組める環境に感謝したいと思った。 -
良かった。たいへん興味深く読んだ。
以前より北越雪譜は興味があり、手に取った事もあるものでしたが、著した人物については全く知りませんでした。
この本で知ることが出来て良かった。
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