ボクたちはみんな大人になれなかった

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 2688
感想 : 291
  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103510116

作品紹介・あらすじ

キミたちはみんな、もっと好きな人に、会えたのだろうか? 糸井重里、大根仁、小沢一敬、堀江貴文、会田誠、樋口毅宏、二村ヒトシ、悶絶! ある朝の満員電車。昔フラれた大好きだった彼女に、間違えてフェイスブックの「友達申請」を送ってしまったボク。43歳独身の、混沌とした1日が始まった――。〝オトナ泣き〞続出、連載中からアクセス殺到の異色ラブストーリー、待望の書籍化。

感想・レビュー・書評

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  • 騙されて幸せ。各章のタイトルを見てエッセイと思いきや、青春物語、恋愛小説でした。でも言葉が叙情的で素敵、こんな恋ならもう一度してみたい。短歌をかじっている私とすれば、すぐさまパクりたいようなフレーズの連続。

    こんな短歌詠みたいと思ったフレーズ、列挙しておきます。
    ・「でも人生に真面目に取り組んだら犯罪ぐらい犯しちゃうと思うの。運転する人はゴールドカードじゃないし、車にキズがあるのと一緒で」
    ・少しの間だけ、地面の上に憂鬱な荷物をおいて。
    ・「あなたは、私にとって遅すぎて」
    ・「恋愛とは、から騒ぎだ。つまり中心には何もない。」
    ・「望み通りのものじゃなくても、美味いと言えるのが大人ってやつよ」
    ・雨がおさまっていた。風もやんでいた。どうやらタイムリミットだった。
    ・「男は過去の自分に用がある、女は未来の自分に忙しい」
    ・あの子が知らない男に抱かれている90分は永遠みたいに長かった
    ・ワンルームのプラネタリウム

    ●ボクたちはみんな大人になれなかった

  • 同世代だったらちょっとは「わかるわかる」となったんだろうか。

    残念ながら年上のおじさんがちょっとこじらせたまま、若い頃の話や武勇伝のようなものをとつとつと語っているようにしか受け取れなかった。途中で読むのをやめた。
    ラブホテルの話ばかりで少し呆れてしまうくらいだった。あと何より、女性に対する描写がいただけなかった。自分の思い出を卑下してるんだろうけど、相手の女性を「ブス」だとかアトピーを笑うような感じ。創作上の表現だとしても無理でした。

    「ボクたちはみんな大人になれなかった」と言っているけど、みんなって一括りにするあたりが、ね…と思ってしまった。
    ああこじらせているな、そう思ってるのは実はあなただけですヨ、と内心思うような、そんなひねくれた感想を抱いてしまった。

    前評判を聞いて期待して手にとっただけに残念。本当に残念。
    この作者の本を手にとることはもうないと思う。

  • 43歳のテレビマン、ボクがFacebookで流れてきた元カノのページを見たのをきっかけに、過去の自分へと思いを馳せるストーリー。

    1995年から1999年。20代の何者でもないボク。
    出来たばかりのテレビ製作会社で雑用に明け暮れ何週間も徹夜する日々。
    吐き気のするようなVIPルーム。
    毎週末彼女と過ごしたラブホテルの一室。
    東京という人の海の中で出会っては別れ、もう二度と会うこともない人たち…

    文章オシャレ。ノスタルジー。
    Twitterで広まっただけある。何か目を引く。読ませる。キャッチー。
    「明け方の若者たち」みたいだけど、それよりかはちょっと対象年齢上めかな?
    物語としてはなぜ彼女とそんな風に別れたのか、どうしてボロボロになりながらテレビの仕事を続けているのか、よく分からない。

    そうそう
    何かふわっとしてるストーリー。
    小説としては、正直よく分からん…
    でも文章の独特の空気がすぐ馴染んで、心地よかった。

    現実でも言葉になるのは自分の気持ちの中の特に上位の部分で、上手く言葉にすらならない感情の方が多いんだろうなぁ。

    「言葉の幽霊みたいだね。
    キミの身体にもたくさんの成仏していない言葉がつまっているんだよ、きっと」

    ……………………………………………………………

    特にグッとくるのはボクが彼女に夢中になっていくところ。

    「彼女から教わった音楽を今も聴いている。彼女から勧められた作家の新刊は、今でも必ず読んでいる。
    ボクが一番影響を受けた人は、戦国武将でも芸能人でもアーティストでもなく、中肉中背で三白眼でアトピーのある愛しいブスだった。」

    女としてはね
    見た目重視で判断される世の中にあって
    「ブスだけどそんな君が愛おしい」って言ってくれる男の人がいてくれることがグッと来るんですよ。
    醜いところこそ愛してくれるというか。
    「人のセックスを笑うな」の、みるめとユリみたいに。

    「涙と汗がブレンドされた彼女の体をボクは丁寧に舐め尽くす。少しずつ暗闇に目が慣れていく。彼女がボクのことを見つめているのが分かった。
    【気持ちいいね】寂しそうに嬉しそうに彼女はポツリとつぶやいた。」

    詩的。
    読後はなんとも言えない寂寥感。

  • それぞれの時代の、それぞれの青春がある。とおりすぎていった風景や人たちが現在の自分を作り上げている。でも、ふりかえってもそこにはもうなくなっていて、その人は居ない。過去は地層のように積み重なり、あの日はそこに埋もれる。掘り出してももうそれは化石でしかない、あるいは亡霊のように。今日という日はそんなものを引き連れていく日だ。ありがとうとさよならの中間のようなグラデーションみたいな小説。

  • なんとなく借りてみた。
    場面がいろいろ飛ぶので読みにくかったけど、
    都会で生きていく若者って、こうなんだろうな~

    もう40代の主人公が元カノのFacebookを見つけた事をきっかけに昔を回想するかたち。

    あらすじをもう一度辿ってみると、なんかストンと入ってきたかも。

  • 平凡でありがちな、勝ち組でも負け組でもないボクの日常。過去を強烈に後悔するわけでもないけど、断ち切れずに引きずってるし、未来に夢を抱いたり、目標を持つまではしない。
    その辺ですれ違ったお兄さん(おじさん?)の心のうち、呟きがそのままお話になってる感じだった。
    昔、好きだった人の事って、やっぱりたまぁに思い出しますよね。

  • 「あなたは、私にとって遅すぎて」
    「ボクにとってあなたは突然すぎたんだ」

    すごいものを読んだ、というよりは、なんだろう
    夢見心地になれて、この世界にプカプカ酔うかんじだった
    現実主義過ぎるひとにはロマンチックが過ぎて、すこし入り込めない部分のある物語かもしれない
    「君の名は」がよかった!というひとは読んだほうがいいかもしれない

    おざけんの犬キャラ、ビューティフルドリーマー、ガンダム、エヴァンゲリオン、秋葉原通り魔事件、たくさんのリアルと虚構が交差する構成は、このお話がどこまでつくりもので真実なのかわかりたいけどわからなくておもしろくなってゆく

    スーとのもろもろが
    おとこのひとのリアル

    衝撃作ではないけれど
    とても読まされる作品だった

  • Twitterで話題の人。
    Twitter上での燃え殻さんもよく知らなかったけど、すごく詩的な文章だなぁと思った。小説としては正直なところ「?」という感じ。
    本という形態でなく、元々のウェブ連載として読んでいたらまた違った感想を抱いたかも。

  • ササっと読めたが・・・。
    あの時代の空気、何者でもない若者の不安感が。
    感じられた。

    どこに行くかじゃなくて、誰といくかなんだよ。

  • Twitterでフォローしていた燃え殻さんの小説。いつもつぶやきが面白くて好きだったので、きょうちゃんに借りて読んでみた。

    物語はハタチ前後で付き合っていた元カノがフェイスブックに出てきて、過去を回想するところから始まる。切なさが増すに決まっている好きなスタイルです。
    1章1章が短くて、タイトルもフックがあって、すいすい読めました。また、忘れられない元カノがブスなフリーターってところが女性も喜ばせるんですよね。(ミスチルのシーソーゲーム的な。)
    テーマは「男はみんな元カノでできている」ってことなんだけど、だとすると女のほうが切ないんじゃないかな〜と女の私は思いました。なんか、勝手っていうか。やっぱり女性が書く恋愛小説のほうが好きなんだよなぁ・・・。

    でも、これはこれで「わかるわかる」と周りの男性を思い浮かべてうなずきましたよ。だって男性ってだいたい学生時代の彼女の話好きだもんね。苦笑

    最後の過去の彼女とのお別れシーンなんかは映像が浮かんできたので、「映画化かな〜」と誰もが思ったことでしょう・・・。開けたことのなかったラブホの窓を開けて、「何もなかったね」のところとか、女優&監督の力量が問われそうですね(笑)。

    スーの最後の言葉「あなた」の答えも最後に明らかになりますが、若いときに『あなた』を作った小坂明子ってすごいな〜と思ってしまいました。

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著者プロフィール

小説家・エッセイスト。1973年横浜市生まれ。デビュー作『ボクたちはみんな大人になれなかった』はNetflixで映画化され話題に。他の著書に『すべて忘れてしまうから』『相談の森』『夢に迷って、タクシーを呼んだ』『これはただの夏』『断片的回顧録』『それでも日々はつづくから』『湯布院奇行』『あなたに聴かせたい歌があるんだ』(漫画家・おかざき真里との共著)などがある。




「2022年 『深夜、生命線をそっと足す』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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