ぎょらん

著者 :
  • 新潮社
4.28
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本棚登録 : 433
レビュー : 44
  • Amazon.co.jp ・本 (327ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103510826

作品紹介・あらすじ

死者が最期に遺す、赤い珠。それがもたらすのは、救いか、それとも苦しみか――。人が死ぬ瞬間に生み出す珠、「ぎょらん」。それを噛み潰すと、死者の最期の願いが見えるという――。十数年前の雑誌に一度だけ載った幻の漫画、『ぎょらん』。そして、ある地方の葬儀会社で交錯する「ぎょらん」を知る者たちの生。果たしてそれは実在するのか? R-18文学賞大賞受賞の新鋭が描く、妖しくも切ない連作奇譚。

感想・レビュー・書評

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  • 人が死ぬ瞬間にその姿を現すといういくらのような赤い珠、ぎょらん。
    それを口にした者は死者の最後の思いや願いが分かるという・・・

    一昔前の幻のマンガに描かれたその“ぎょらん”を自らも口にしたと言い、家から一歩も外に出られなくなったヒキニート、御舟朱鷺がキーパーソンとなる連作短編集。

    ぎょらん、というインパクトのあるタイトルと生々しくも美しい装丁に惹かれました。

    まるでイクラを奥歯で噛み潰して、複雑で奥深い味が広がるように、残された生者や逝ってしまった死者の想いがこちらの胸までしみてくる。

    苦々しく、目を背けたくなるような感情や出来事もたくさんあるけれど、それだけじゃないよね、と思えるあたたかな読後感に本当に癒されました。

    町田さんの次作が楽しみです。

  • はじめての作家さんでしたが、すごくよかったです。
    6つのストーリーがみんな繋がっていきました。朱鷺と華子のやりとりは、時々笑えました。兄妹っていいなぁ〜。
    すごく泣けました。他の作品も是非読んでみたいです。

  • 人が死んだ後残すと言われる赤い珠「ぎょらん」。口にすると死者が残したメッセージを知ることができるという。身近な者が突如として亡くなった場合、その思いに触れたくなる気持ちはとても良くわかる。しかしこの本はただの都市伝説のような話を描いたのではなく、むしろ「死」というものを美化せずに真っすぐに捉え、残されし者の後悔や懺悔、贖罪、様々な苦しい葛藤を描いている。「もしも自分だったら」という思いになり苦しくなるが、後半での展開に目が覚めたように感じる。残されし者の心の昇華の在り方に想いを馳せる素晴らしい一作でした。

  • 死ぬ時に人が願いや思いを赤い玉にして遺すという。その、ぎょらんに纏わる短編連作。朱鷺の変化も人の気持ちも本当に泣ける。作さんの話…よかったなぁ。

  • かけがえのない人を失くした
    苦しみ 後悔 悔い 
    生きてることの 立ち直ることの
    難しさと 愛おしさ

    色々な思いが ぐるぐると交差して
    苦しみつつも 前向きに生きる人々に
    思わず涙してしまう
    深い愛情の軌跡です

  • 限りなく5に近い4

  • あぁ、どうしようかしら。
    この後、しばらくは何も読みたくない!という本に久しぶりに出会ってしまった。
    この余韻に飽きるまで(飽きるほど)首まで浸かって、なんなら窒息したいくらい。

    そんな本に出会えるのは、何年に一度あるかどうかだって知ってるから、困った。
    三度の飯より本が好きだから、読みたくない!って思ってしまうことにも、困った。

    何度もぺたんこの胸を締めつけられて、心停止するかと思った。
    ぎょらんが、何なのか。それはたぶん読む人の数だけ答えがある。
    どのお話も好きで、甲乙はつけがたい。
    短編なようで長編。
    誰も彼もに幸せになってほしい。

    そしてなによりそのこちゃんがこうして葬儀屋のお話を世に出せたことが本当に嬉しい。
    こんなかたちで世に出るなんて最高かよ。
    おめでとう。そして、ありがとう。

    次にまたなにか新しい物語を読む気になるまで、本作の布教活動に専念したいとおもいます。


    ちなみに星が五つまでって少なくない??控えめにいっても100万個の星が欲しいんだけど。

  • 先日読んだ『美しが丘の不幸の家』がとっても良かったので、他の本も読んでみたくて図書館で借りてみました

    いやもう何と言ったらいいか…
    こんなに感情を動かされることがあるんだなぁ…と思いました
    町田さん…好きだなぁ

    タイトルの『ぎょらん』って?
    思い付くのは魚卵しかないけど…と思ったらその魚卵でした
    比喩ですが

    人が死ぬ時最期に思いを遺すいくらのように赤い珠
    その珠を口にすると死者の最期の思いが見える
    という正体不明の作者が一作だけ描いたのが『ぎょらん』という漫画でした
    ぎょらんとは実際に存在するのか、遺された者に何を伝えるのか…

    本作は短編集ですが、連作になっていて、ここで一作目に出てきたこの人と繋がるのか!とか伏線回収が見事でした
    町田さんは描写は過度ではなく、むしろ淡々と描いているのだけど、全ての毛穴が泡立つような表現力は素晴らしいと思いました
    どの作品も鼻の奥がツンとするようなお話でしたが、特に『糸を通す』が涙腺崩壊でした
    胸がギュッとなるお話が多いけど、そこに希望や未来がちゃんとあって読後感は温かい気持ちになれます
    また、ファンタジーにしてないのがいい
    リアリティがあって引き込まれます

    全編通して登場する十数年引きこもりだった朱鷺はぎょらんに苦しめられていましたが、回を追うごとに成長していく姿が頼もしいやら可愛らしいやら

    ニート歴が長くいつもどこかオドオドしてたけど、就職して様々な経験をし、自らの苦しみに立ち向かう朱鷺…
    映像化するなら絶対成田凌君でお願いします

  • ああ、他の人の助けになっている、模範的に見える人でも、思いもよらない悩みを抱えて苦しんでいることもあるんだよなと気付いた、衝撃の凄さよ。

    町田さんの作品は短篇集が多いが、全てがどこかで繋がっている、連作集のようなものが多く、繋がりを見つける楽しみもあるのだが、今回は、大切な人が世界から居なくなった後に、残された人が最後に繋がれる瞬間を見出だす為の、心の葛藤を描いているようにも思われた。

    「夜空に泳ぐ~」や、「うつくしが丘の~」と比較して、より重く痛々しい事情が多く、読んでいて、私だったら、どのようにして人生を前向きにしてあげられるだろうか? と悩むであろう内容に対して、生々しくも心を打たれる人間同士の葛藤の末に、確かに、前向きに空を見上げているような展開になる物語の作り方には、本当に感嘆せずにはいられない。涙が出ました。

  • 町田さん、すごいです。
    デビュー2作目です、読ませます。

    人が死ぬ瞬間に遺す、いくらのような赤い珠「ぎょらん」。
    口にしたものは、死者の最期の願いが見えるという―。
    皆が見つけられるわけではないようだ。

    連作短編には親しい人の死を受け入れる人々が登場する。
    引きこもりのニート朱鷺が困難を乗り越えようとする様子に
    見守る母の気持ちを知ったとき、
    涙が止まらなかった。

    亡くなった人とは決してもう言葉を交わすことはできない。
    思いを知ることもできない。
    わかっているはずなのに
    粗雑に生きてる自分を反省した。
    順番だって決まっていないのだ、
    後悔のないようにしなくては。

    この先も生きて行く人のために遺すエンディングノートは
    とても大切なものなのだなぁと思い、
    書いてみようかと思ったところであります(朱鷺風?)

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著者プロフィール

町田そのこ

1980年生まれ。福岡県在住。「カルメーンの青い魚」で、第十五回「女による女のためのR-18文学賞」大賞を受賞。2017年に同作を含む『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』でデビュ。他に『ぎょらん』(新潮社)、『うつくしが丘の不幸の家』(東京創元社)がある。

「2020年 『52ヘルツのクジラたち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

町田そのこの作品

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