パラダイスィー8

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 178
感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103511212

感想・レビュー・書評

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  • 雪舟えまさんの描く不思議で、ほんわかあったかくなるショートストーリー6篇です。

    現実にあるような、ないようなお話が多くて、もしかしたら未来にはそういう世界になるかも!?ってワクワクしました。

    未来っていうと滅亡とか殺伐とした世界観になっちゃう話はよくあります。けれども、雪舟えまさんの描く未来、あるいはもしも?の世界はフワフワしたもので、今よりももっと人に優しくて、なんでも受容してくれる感じがします。

    現代が舞台かなって話でも、読者の想像の余地がすごーくあるので、いろいろ自分勝手に想像しながらハッピーエンドにしちゃえます。

  • 未来の日本を想像したくなる短編集。福祉保険課失恋給付サービス係で働く女性を書いた「失恋給付マジカルタイム」や代理睡眠を仕事にしている女性を書いた「おやすみ僕の睡眠士」などが特に良かった。「愛たいとれいん」では緑に会いに行く楯が見れて表題作では楯が乗っていた斎の船について知れる。東京が未来東京に改名される日は来ないかも知れないけれど不思議と世界の明るさを信じたくなる。

  • 今回も近未来を舞台にしたふわふわSF恋物語。
    「失恋給付マジカルタイム」幸せになりやがれ、ではなく、その幸せを作るために、少しでも寄り添いたい。
    「キッチン・ダンス」何度でも巡り合う。姿を変えて、名前を変えて、声を変えて。それでも、会いに行ける。
    「ちしゃの旅」『恋シタイヨウ系』の姉弟フェオとトートの、新しい命として生まれる前のおはなし。この二人はどうしたって血を分けて肉体を分けて生まれてくるんだなあ。
    「おやすみ僕の睡眠士」百合枠。いや、ほのかにはキッチン・ダンスもだったけど。これは百合じゃなくてもほのぼのする。
    表題作は雪舟えまワールドではおなじみ、おとむらい葬儀社・斎の舟ができるまでのおはなし。
    「愛たいとれいん」収録作のみどたて枠。こうして読むと、この軸のみどたては綺麗に繋がってるんだな…。盾もちゃんと緑のこと愛しちゃってんですよ、って話。

  • 日本のようで日本じゃない、ちょっぴり不思議な短編集。
    筆者の物語を読むといつもふわふわしたような、あたたかいような気持ちになって、やさしい世界だなぁとしみじみ思う。
    『おやすみ僕の睡眠士』は女性同士、『愛たいとれいん』は男性同士だが関係性が愛おしく、筆者が描く魂の結びつきのようなものが好きなんだろうなぁと自覚。

    『パラダイスィー8』『愛たいとれいん』はともに『プラトニック・プラネッツ』の世界観と結びついた話なので、合わせて読むと楽しめるかも?
    また、『愛たいとれいん』は『幸せになりやがれ』『緑と楯』の番外編っぽいので、こちらも読んでみたいところ。

    <収録作品>
    失恋給付マジカルタイム/キッチン・ダンス/ちしゃの旅/おやすみ僕の睡眠士/パラダイスィー8/愛たいとれいん

  • 何をしても何を想っても、すべてが赦される、受け容れられる、そんな世界観。
    いつか終わるかもしれないけど、まあ今は幸せだね、という部分を切り取ったようなおはなしたち。
    斎の船ができるまでのはなしが好き。

  • 失恋給付マジカルタイム ** / キッチン・ダンス *** / ちしゃの旅 ** / おやすみ僕の睡眠士 *** / パラダイスィー8 ** / 愛たいとれいん

  • 雪舟さんらしいどこかふわふわしたファンタジーランド。失恋給付……実際にあれば立ち直れるかな!

  • 相変わらず名前の付け方が素敵。おとむらいをはじめ、失恋給付金や睡眠士など独特の習慣とか職業がスルッと違和感なく入ってきて楽しめる。

  • どの話も好き。
    「失恋給付マジカルタイム」
    3人の雰囲気が良いし、素直さんが目が覚める変わっていく瞬間も素敵。
    「キッチン・ダンス」
    自由度が高くなっていくことだよ
    「ちしゃの旅」
    青虫子の話。フェオとトート。
    『たぶんなにになってなってもいいのだろう、わたしたちは。高貴な人の首飾りになれなくても』
    「おやすみ僕の睡眠士」
    睡眠士という職業自体は架空だけど、親だったり恋人だったり悩み自体はリアル。
    「パラダイスィー8」
    斎の船の前日譚。弱がそうだけど、人が変わっていくところを書くのが上手い人だと思う。
    「愛たいとれいん」
    緑と盾。話自体は他愛もないんだけど、でも会いたいってそんなもなんだろう。

  • 空想とメルヘン要素ありの短編集。
    失恋給付マジカルタイム、おやすみ僕の睡眠士が個人的に好み。キッチン・ダンスはどこかパラレルワールドな感じ。
    愛たいとれいんは、一緒に旅をしている気分になる。北海道にあるか分からない地名でも、北海道行きたいなってなる。

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著者プロフィール

雪舟えま(ゆきふね・えま)
1974年札幌市生まれ。作家、歌人。著書に歌集『たんぽるぽる』『はーはー姫が彼女の王子たちに出逢うまで』、小説『タラチネ・ドリーム・マイン』『プラトニック・プラネッツ』『恋シタイヨウ系』『パラダイスィー8』ほか。2017年より男性カップル「緑と楯」シリーズの執筆をメインの活動としている。

「2018年 『BL古典セレクション① 竹取物語 伊勢物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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