毒母ですが、なにか

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 175
レビュー : 31
  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103512516

作品紹介・あらすじ

幸せは、たゆまぬ努力でつかみ取る。私、どこか間違ってます? 十六歳で両親を亡くしたりつ子は持ち前の闘争心で境遇に逆らい、猛烈な努力で自らの夢を次々実現してきた。東大合格、名家の御曹司との結婚、双子誕生。それでもなお嫁ぎ先で見下される彼女は、次なる目標を子どもたちの教育に定めた。あなたたちにも幸せになってほしいから――。努力と幸福を信じて猛進する女の悲喜劇を描く長篇。

感想・レビュー・書評

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  • 水と油のような母娘だ。小学受験のくだりは読むのが辛かった。
    りつ子自身も苦労を重ねた。両親が早くに亡くならなかったら人生違っていた事だろう。
    環境が彼女を頑なにしてしまった。
    年老いても娘に対抗する母、恐ろしすぎる。

  • 初めて読んだ作者の本。
    中々面白かった。

    主人公は若い頃に両親をなくし、祖父母に育てられた女性。
    彼女は美しく頭もよく、育ててくれた祖父母は裕福な名家・・・と、何もかも揃った女性で、やがて東大を出て、名家に嫁ぐ。
    夫は優しい人柄の男性だったが、姑、小姑は性格が悪く、姑には最初に出来た子どもを中絶するようにと言われる。
    その後に生まれた双子の男の子と女の子。
    男の子の方は出来がいいが、女の子はグズで彼女の思うように育たず、苛立ちを子供にぶつけてしまうようになる。
    やがて、子供を名門校に入れるべく彼女は奮闘する。

    タイトルに「毒親」とあるけど、私からすると、この主人公の女性は毒親というよりも教育ママというイメージだった。
    毒親っていうのはもっと、子供の事だけでなく、自分だけに意識がいっている人だし、子供の足を引っ張る人、夫婦ともに似たような感覚でもっと狡猾で外面がいい、というのが多いと思う。
    それで言うと、この人はかなり感情的になっているものの、理性的な面もあるし、父親は子供を愛している。
    結果的に子供が成功者になっているのを見ると一概に悪いとも言えないのでは・・・と思う。
    むしろ、子供の様子を見ていると、主人公目線で見るせいか、私もイライラする所もあった。
    ただ、毒親という言葉は広く使われていて、定義もちゃんとないので、これが毒親だと思えばその人にとっては毒親なんだろうと思う。

    タイトルからして子供と毒母のことばかりを書いてあるのかと思いきや、最初は主人公の生い立ちを描いていて、ここ、そんなに丁寧に書く必要あるかな?と思ったけど、それがあって彼女の心情が理解できるというのがあった。
    だから、イライラする気持ちや自分だけがのけ者になっているという疎外感もよく分かった。
    ずっと自分の確たる居場所のなかった人だったんだと思う。
    どんなに完璧にやっても認められない虚しさ。
    自分がこんだけ頑張ったんだから子供も・・・と思う。
    いつも、どこか満たされない気持ちがあって、それを身近な者に求めてしまったー。

    ・・・と、真面目ぶって感想を書いてるけど、物語のイメージとしてはシリアスというよりはどこかコミカルだった。
    特に主人公が腹が立つ姑、小姑、子供に悪態をついたり、悪口を心の中で言ったり呟いたりするのには何となく読んでてスッキリした。
    もっと言ってやれ!と思った。
    毒母の主人公よりも周りの人間に私も腹が立った。
    人が良くて優しいと描かれている夫も勝手なもんだと思う。

    彼女は出来る人なんだから、子供に期待する分、自分自身が成功するように動いたら良かったんだ・・・と思う。
    その方向性の違いが悲劇(喜劇?)を生んだ。
    結末は主人公がしたたかにしぶとく生きている様子がうかがえて良かった。
    新しい目的ができたんだね・・・。

    また、この作者の本は別のを読んでみようと思う。

  • 最後まで読むとそんなに悪い母親かな?と思ってしまった
    姑にいじめられ旦那は愛人を作り自業自得の部分もあるけど他人の目からは同情の余地もあるような
    合わない娘からしたら全ての元凶としか思えないにしても他はさて置き過ぎないかな

    最後のお手伝いさんに共感です

  • 私自身、実母といい関係ではない。りつ子と星良ほどではないけれど、母から離れたくて仕方がなかった。
    だから、自分に娘ができたとき、不安で娘との関係を心配していた。今のところ、問題はないと思っている。なので、母の気持ち、娘の気持ち、どちらもわかるので興味深く一気読みしました。

  • 心の中が毒まみれで、我が娘を支配しようとする母親。
    おぉこわいこわい…。

    理不尽な平手打ち描写もあるけど、当の娘からすれば、平手打ちよりも、母親がありのままの自分を受け入れてくれなかったということ、欲望に応じて矛盾したことを押し付けてくることが耐えられなかったと思う。
    親から条件付きでしか愛されなかった人って、実はすごく多い。

    主人公の毒母もそうだけど、昔の人の上昇志向ってすごいよなぁ。
    16歳まで、下町で平凡に暮らしてきた主人公があそこまで人格歪めてしまうのは、上昇志向ゆえなのではないかと思うけど…
    でも、それでもあんなに性格歪むかなぁ?

  • 16歳で両親を亡くし、親戚の豪邸に住むことになり、ごくごく普通の一般家庭で育ったりつ子は生活も環境も何もかもが合わず、躍起になる。
    ここで、他人は他人、私は私と開き直って、こっちも相手を居ないものとして扱えたら良かったものの、若いながら変なプライドがそれからの人生、全てを壊してしまいましたね。。
    母のような母になりたい。母のような母にはなるまい。どちらが良いのでしょうか。

  • 高校生で両親を亡くし、初めて会う父親の郷は富豪だった。引き取られて生活の心配はなくなっても、育ちの違う身内に蔑まれないよう、自分の居場所作りに励む。幸せな結婚したはずが、人より上に立ちたい負けん気が家族を巻き込んでその幸せを自ら壊していく。りつ子の晩年は淋しいはずだが、それに気づくこともない。

  • 一気に読み進めれた。
    わたしの母もこんな感じ。今姉は、買い物依存症で精神的におかしい。
    わたしは二児の母であるが、たまに母と似てるように怒っているのを感じて、気をつけなければとおもう。
    子供は私ではない。所有物でもない。信頼関係をしっかり築いて、愛を伝えていかなければ。と。おもった。

  • 表題のとおり、自分の生い立ちや境遇の不運を嘆き、悲しむ女性が、娘を自分の代役にして生き直す過程を描く作品。一昔前が舞台であるが、小学校、中学校受験に実名や内実がボロボロ出ていて、山口さん細かくご存じ。女性のならではの出自、美醜、学歴等々のヒエラルキーの描き方は柚木さんや山内マリコさんにも通じるほど。不幸な人ほど他者の人生や生活に首を突っ込むものって、何かで聞いた記憶がある。子どもとは適度な距離が必要だと自戒を込めて。山口さんはラジオで毒親問題は親子の相性と言っていたが、それだけじゃない気がするけど。

  • 実際に毒親なのかと本気で思ってしまうほどに気が狂っているとしか思えないような心情を丁寧に描写していて、見ていてうわあ……と引いた気持ちになりつつも興味深さから読み終えました。

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著者プロフィール

山口恵以子(やまぐち えいこ)
1958年、東京都生まれの小説家。東京都立両国高等学校、早稲田大学第二文学部卒業。
会社員、派遣社員として働きながら松竹シナリオ研究所で学び、2時間ドラマのプロットを多数作成。その後、丸の内新聞事業協同組合の社員食堂に勤務しつつ、新鷹会会員となって小説を書き続けた。
2007年『邪剣始末』で作家デビューし、2013年『月下上海』で第20回松本清張賞を受賞。食堂のおばちゃんが受賞、ということで話題になる。TVやラジオのコメンテーターとしても活躍。

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