毒母ですが、なにか

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 272
感想 : 43
  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103512516

作品紹介・あらすじ

幸せは、たゆまぬ努力でつかみ取る。私、どこか間違ってます? 十六歳で両親を亡くしたりつ子は持ち前の闘争心で境遇に逆らい、猛烈な努力で自らの夢を次々実現してきた。東大合格、名家の御曹司との結婚、双子誕生。それでもなお嫁ぎ先で見下される彼女は、次なる目標を子どもたちの教育に定めた。あなたたちにも幸せになってほしいから――。努力と幸福を信じて猛進する女の悲喜劇を描く長篇。

感想・レビュー・書評

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  • はじめての作家さんでしたが、タイトルに惹かれ手に取りました。
    私自身も子どもたちの中学受験を経験しりつ子さんの気持ちもわからなくもなく他人事ではないと思いました。

    書いていることは、わりと重いのだけどりつ子さんの毒吐きっぷりは、おもしろかったです。

    母と娘の在り方を今一度考えさせられる作品でした。
    他の作品も読んでみたいと思います!

  • 初めて読んだ作者の本。
    中々面白かった。

    主人公は若い頃に両親をなくし、祖父母に育てられた女性。
    彼女は美しく頭もよく、育ててくれた祖父母は裕福な名家・・・と、何もかも揃った女性で、やがて東大を出て、名家に嫁ぐ。
    夫は優しい人柄の男性だったが、姑、小姑は性格が悪く、姑には最初に出来た子どもを中絶するようにと言われる。
    その後に生まれた双子の男の子と女の子。
    男の子の方は出来がいいが、女の子はグズで彼女の思うように育たず、苛立ちを子供にぶつけてしまうようになる。
    やがて、子供を名門校に入れるべく彼女は奮闘する。

    タイトルに「毒親」とあるけど、私からすると、この主人公の女性は毒親というよりも教育ママというイメージだった。
    毒親っていうのはもっと、子供の事だけでなく、自分だけに意識がいっている人だし、子供の足を引っ張る人、夫婦ともに似たような感覚でもっと狡猾で外面がいい、というのが多いと思う。
    それで言うと、この人はかなり感情的になっているものの、理性的な面もあるし、父親は子供を愛している。
    結果的に子供が成功者になっているのを見ると一概に悪いとも言えないのでは・・・と思う。
    むしろ、子供の様子を見ていると、主人公目線で見るせいか、私もイライラする所もあった。
    ただ、毒親という言葉は広く使われていて、定義もちゃんとないので、これが毒親だと思えばその人にとっては毒親なんだろうと思う。

    タイトルからして子供と毒母のことばかりを書いてあるのかと思いきや、最初は主人公の生い立ちを描いていて、ここ、そんなに丁寧に書く必要あるかな?と思ったけど、それがあって彼女の心情が理解できるというのがあった。
    だから、イライラする気持ちや自分だけがのけ者になっているという疎外感もよく分かった。
    ずっと自分の確たる居場所のなかった人だったんだと思う。
    どんなに完璧にやっても認められない虚しさ。
    自分がこんだけ頑張ったんだから子供も・・・と思う。
    いつも、どこか満たされない気持ちがあって、それを身近な者に求めてしまったー。

    ・・・と、真面目ぶって感想を書いてるけど、物語のイメージとしてはシリアスというよりはどこかコミカルだった。
    特に主人公が腹が立つ姑、小姑、子供に悪態をついたり、悪口を心の中で言ったり呟いたりするのには何となく読んでてスッキリした。
    もっと言ってやれ!と思った。
    毒母の主人公よりも周りの人間に私も腹が立った。
    人が良くて優しいと描かれている夫も勝手なもんだと思う。

    彼女は出来る人なんだから、子供に期待する分、自分自身が成功するように動いたら良かったんだ・・・と思う。
    その方向性の違いが悲劇(喜劇?)を生んだ。
    結末は主人公がしたたかにしぶとく生きている様子がうかがえて良かった。
    新しい目的ができたんだね・・・。

    また、この作者の本は別のを読んでみようと思う。

  • 水と油のような母娘だ。小学受験のくだりは読むのが辛かった。
    りつ子自身も苦労を重ねた。両親が早くに亡くならなかったら人生違っていた事だろう。
    環境が彼女を頑なにしてしまった。
    年老いても娘に対抗する母、恐ろしすぎる。

  • もう少しソフトな内容をイメージしていたので、20ページも読まない内に辛くなって来た。行を飛ばし、段落を飛ばし、遂には章まで飛ばしながらどうにか読み終えた(と言えるのか?)。
    個人的には全く違う世界で生きて来たので共感は出来ないが、描かれているモノが実在に近似し得るものと言うのが恐ろしい。

  • 中学受験を控えた子供を持つ親としては、穏やかな気持ちでは読めなかった。
    聖良と同世代の人間として受験を経験した身としては、フィクションだと分かっていてもどのエピソードもリアルに感じられ、なんだか身につまされて辛い気持ちで読んでいた。

    子供のためと思っての言動のつもりが、自分のためになっていないか、ちゃんと子供の意見を聞けているか、省みたいと思う。

    毒母も、周りに対する自分の優越感のを満たす目的と同時に、一応は娘の将来に備える目的も持っていることはよく分かった。

  • 私はちょうど主人公の娘と同じ年に生まれているが、地方出身なので幼稚園受験とか中学受験とかとは無縁(むしろ校内暴力とかバンバンある中学校に通っていた)だった。なのでこんなに必死な、昔でいう教育ママは周りにいなかったけれど、父親が毒親だったのでどうしても主人公より娘の方に感情移入してしまう。娘のことを要領が悪い、愚鈍だと罵っているけれど主人公もいまいち要領がよくない。思い込みがはげしくて選択の幅をせばめては失敗しているし、そのわりに反省はしない。失敗してきているのに他人の話を聞かず、なぜか自分の考えに間違いはないという自信があるのだ。生い立ちには同情するけれど、逆境を跳ね返すパワーがありながら方向性を間違っている。娘への罵倒や暴力など、そのままでは悲惨で後味が悪い話になってしまうが、しかしその間違ったパワーと娘の反抗のおかげで最終的にはコメディ調でまとまっており、救いがあって読みやすかった。

  • 母親目線のお話し。
    色んな経験をして結婚、出産、子育てをしていく。
    子どもの将来を想い、良かれと思った行動が子どもを苦しめていく。

    ”子ども自身がしたい”と思っているのか
    “親のエゴ”なのか…
    一生懸命になる方向を間違うと、親子の“絆”が“溝”になると知りました。

    人間の執着、劣等感など、負の感情がたっぷりで
    とても興味深い一冊でした。

  • この筆者の作品はお初だけど面白かった。
    母と娘っていうのは難しい。ついつい娘を為されなかった自己実現の道具にしがちだからね。
    なんにせよ、どこかで親離れ、子離れしないと大変なんだと改めて認識

  • たしかにこのエネルギーを仕事に向けたら成功したかも。

  • やばいめちゃくちゃおもしろかった。
    最近母娘関係に悩んでいて、軌道修正しなければと焦るなかで毒母に関する本を読もうと思い、めぐりあったのがこの小説。
    作者は誰なんだ?と調べたら、松本清張賞の賞金をすべて酒代に溶かしたとテレビでおっしゃっていたあの女性だったんですね。それでますます興味が湧いて読んだのですが、これがもうノンストップの面白さだったのです。

    16歳で両親を亡くしたりつ子は、不遇な環境でも幸せを掴むべく自らの手で生き抜いてきた。
    そして得た御曹司で心優しい夫と可愛い双子の息子と娘。それでめでたしのはずだったが「見返してやる」「幸せを見せつけてやる」という血眼の野望が、やがてそこにある幸福と愛情を窓の外に放り出し、娘の人生をも踏み付けるようになる……。

    りつ子は、確かにまごうことなき毒母である。ただやるせないのはりつ子は決して悪人ではないということだ。発端は自分の見栄やプライドであっただろうが、一貫して「娘のため!」という姿勢で子育てもお受験もしてきた。残念なのは、娘のため!と思ってやってきたことが全て裏目に出ていたということだ。りつ子はそれに途中で気が付かなければならなかった。娘はあなたの分身ではない。
    それでも聖良が母親という呪縛を乗り越えて立派に自立したのは本当に良かった。。聖良ちゃんが幸せになれて良かった。。と最後の方は親戚(心配してくれる親戚はいないようだったが)のように感じ入ってしまいました。
    手記を読んで聖良ちゃんがこれまで溜め込んできたものに触れてボロボロ泣けた。

    母と娘、という関係は本当にむずかしいと思う。りつ子と聖良のように相性もあるんだと思う。
    私も「娘の幸せを考える」のではなくて、あくまで娘の意志を第一に尊重して、娘がこれからの人生を自らの足で立って歩いていけるよう、長いスパンでサポートするような育て方をしていけたらと思う。

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著者プロフィール

作家

「2021年 『婚活食堂6』 で使われていた紹介文から引用しています。」

山口恵以子の作品

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