アフター・ビットコイン: 仮想通貨とブロックチェーンの次なる覇者

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103512813

作品紹介・あらすじ

ビットコインは「もう終わった」。ブロックチェーンは「これからが本番」。日銀出身の決済システムの第一人者が、未来の通貨として注目されるビットコインの崩壊を、その設計と運用の両面からいち早く予測。さらに仮想通貨の中核技術「ブロックチェーン」が、ゴールドマン・サックスや三菱東京UFJ銀行、そして各国の中央銀行を巻き込みながら、金融界に大革命を起こしつつある状況を鮮やかに描く。

感想・レビュー・書評

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  • リップラーが書いた本. 暗号資産について誤った認識を持ってしまうから読まない方がいい.
    「ビットコインスタンダード」などちゃんとした本を読んだ後に読むことをお勧めする.いやそれロジックが全然成立してないじゃんと気づけるから.

  • 仮想通貨で億万長者になった人は多い。たしかに夢がある。仮想通貨は投資に分類されることが多いが、実際は投機に近い。大事なのは、ビットコイン・イーサリアムといった仮想通貨ではなく、その通貨を支えるブロックチェーンと呼ばれる次世代テクノロジーだ。仮想通貨の基礎知識を身に着けるとともに、仮想通貨の危険性、社会へ及ぼす影響に言及し、今後ビットコインがどうなっていくかを論じている。仮想通貨に手を出そうとしている人に特におすすめだし、ビジネスをかじっている人は得られるものがあると思います。

  • 決済の世界の権威と言っていい中島さんの本。ビジネス書で著者名で買ったのは初めてかも。
    期待を裏切らない丁寧で詳細かつわかりやすい記述。決して権威的でない書き方。見習いたい。
    おかげでビットコインの振り返りとブロックチェーンの基礎がするっと頭に入る。踏み込んでより実務に活かせるような知識を得たい。
    今となっては仮想通貨は予想通りだったので忘れるとして、ブロックチェーンに関する詳細な説明が大変ありがたい。後半のどのように実現するかは今後の議論として、技術自体については長期的に主流になっていくと感じた。
    民間銀行が流通を担うのが現実的かと読んだが、その場合民間銀行の役割としてクローズド型としてのマイニングが求められるため、ネットワーク参加の障壁は相応に高いと思われる。この点のシステム投資をどうやって実現していくか、もしくは合併を更に加速して規模のメリットを活かすのか。
    また政策効果としてマイナス金利を実行しやすくなる点も挙げられているが、これはそもそも資金需要の喚起との政策パッケージにしなければ徒らに銀行の収益悪化(無理な貸出による不良債権の増加、tierの低下)を招くだけだと思う。本論ではないが注意したい。
    リップルについてはコンソーシアムで実証研究していくとはいえ一民間企業に仕組みを任せることについての不安を感じる。資金決済の課題について言及されているがこの点は詳細に調べたい。とは言え顧客が食いつきやすい外送に焦点を当てて改革するのは議論が早くなるので良いこと。
    既存の仕組みの改善としてSWIFT GPIについても後書きで触れられているが、こちらは送金のトラックは遅々として進まず手数料引き下げと透明化は進んでいるように見えない。これをブロックチェーンで技術主導で変えられれば大きなブレイクスルーになるのだろう。外為課やコルレス部署は業務が大きく変わるわけで、インパクトは計り知れないが、デジタル化は歴史的に見ても不可避であり、是非関わっていきたい。

  • デジタル通貨はマイナス金利がつけられる。
    ビットコインは生き残らないがブロックチェーン技術は使える。
    マイニングによって、取引の承認が行われる結果、安全性が確保される。発行上限が決まっている=インフレに強い、デフレになりやすい。マイニングがとまると破壊的。
    マイニングのリワードは4年ごとに半減する。2140年にはラストデイを迎える。

    貨幣の三大機能=一般的交換手段、価値の尺度、価値の保蔵手段

    シルクロード事件、マウントゴックス事件、ランサムウェア事件の身代金支払い手段として。

    中国が取引のほとんどを占める。外貨交換規制の抜け道として使っている。

    ICOは多額の資金が集まる。イーサリアムが使われるのでビットコインより上昇率が高い。

    中央銀行がこのような仮装通貨を発行する。貨幣は時代とともに変化した。貝殻から穀物、金属貨幣、兌換紙幣、不換紙幣、電子マネー、デジタル通貨?

    スウェーデンはeクローナを目指している。しかし国民は気乗り薄。すでに多くの小口取引で、スィッシュというサービスが普及している。

    現金の転々流通性をどのように確保するのか。=オープンループ型。
    電子マネーはクローズドループ型でその都度発行体に戻す仕組み。
    現金の持っている匿名性をどこまで確保できるか。中央銀行が支払いデータを持っていていいか。

    中央銀行マネーは現金と当座預金の2種類。
    銀行券を電子化する現金型デジタル通貨=現金の代わり。
    デジタル通貨はコピーが可能。この点、ブロックチェーンが有力な選択肢になる。
    誰がマイニングを行うか。取引承認に時間がかかると実用にならない。
    銀行の中抜きの発生。中央銀行から直接供給されれば銀行の為替業務が必要ない。
    現実性は乏しいのでは。

    中央銀行が民間銀行に発行し、それを個人が利用する。RSコイン。

    ゲゼルのスタンプ付き紙幣=地域通貨では使われたことがある。マイナス金利付き紙幣。

    国際送金の問題。SWIFTを使ったものとリップルの送金モデル。リップルは早くて安い。国内送金も一緒にできる仕組み。

  • 2017年10月発行 
    過大評価されている仮想通貨
    2013・2014年国際会議でも話題→2015年・終わったブーム
    期待が高まるブロックチェーン 不正防止 登記、医療、選挙システム、ダイヤの鑑定書 コストが10分の1

    すべての始まりはビットコイン 2008年サトシナカモト BTC 最小単位少数第8位 0.00000001☆900,000円だと 円
    各ウォレットにビットコインアドレスを割り当て P2P peer to peer 端末はpeer 又は node

    ビットコインを支える不思議なメカニズム 所有者が2人に譲渡した場合→どちらが正しいか決定
    ①1つのブロックに10分間の取引の情報が収納②ハッシュ値 hash value 元になるデータから一定の計算方法によって求められる規則性のない固定長の値 出力値から入力値(元データ)は復元できない(一方向関数)③ナンス値 number used once
    ブロック全体のデータ=前ブロックのハッシュ値+取引データ+ナンス値
    次の新規ブロックを追加できる条件→そのブロックのハッシュ値が一定の条件を満たすものになることが必要(ハッシュ値の最初に一定以上のゼロがあること)→適切なナンスを探し当てる必要がある
    複雑な計算必要 プルーフオブワーク→この計算に約10分必要・悪意の偽装は世界中のコンピュータでも困難

    マイニング→最初の人が報酬総取り・2番手以降が承認

    1000種類以上もあるビットコイン類似の仮想通貨 アルトコインalter coin 代替えするコイン
    時価総額2017年8月 ビット56,037MD イーサリアム27,850MD リップル6,907MD ビットコインキャッシュ4,570MD

    ビットコインは果たして通貨か?→法律で定めているものに含まれていないので違う→同義語反復(トートロジー)的説明
    貨幣の3大機能は満たす①交換手段②価値の尺度③価値の保存手段
    帽子が0.027742BTC 価格が予想外に高騰しBTC建ての表示価格は小数点以下の細かな数字になってしない価格表示機能としては分かりにくい・ビットコインの設計段階では現在のような高い価格は想定されていなかったことが推測できる。
    価値の保存手段 2013年3月キプロス危機・預金封鎖を嫌いビットコインへ 1BTCが5ドルから250ドルへ

    第2章 仮想通貨に未来はあるのか ビットコインのダーティーなイメージにつながった3つの事件①麻薬サイト・シルクロード(特別な手段によってのみアクセスできるサイト・深層サイト)→BTCが決済手段だった
    ②マウントゴックス(☆東京のどこにあったのか?)470億円顧客分75万BTC自社分10万BTCがハッキング→警視庁調べで社長の自作自演
    ③ランサムウェア(身代金要求型ウイルス) 2017年5月サイバーテロ WannaCry泣きたくなる

    一握りの人のためのビットコイン 1BTC以上の保有は全体の3%(いびつな構造)☆R10615現在90万円→買うべきなのか?R010623現在115万円
    マイナー(電力を使う 1kW 日本30円 アメリカ12円 中国4円)→中国で大部分が実施
    2015年8月人民元の切り下げ 外貨へ移すのは規制あり→BTCへ
    2017年 中国当局が取引所規制 資本逃避が主たる目的では正常な姿ではない。

    ビットコインの仕組み 発行条件2,100万BTC 2017年8月に既に1650万(79%発行)だが、1ブロックに10分かかるのであと123年→それまで安泰か? 2028年には上限の98% 2032年には99% 近年市場では将来への期待が価格形成に大きな役割→期待が剥落して暴落する危険性あり
    リワード(報酬)の半減期 halving 4年ごと 2016年7月12.5BTC 2020年6.25BTC 2024年3.125BTC
    ビットコインの価格が2倍に上昇していればマイニングによって得られる法定通貨(ドル、円)ベースでの収入は変わらない→都合よく上がるか?年19%

    全世界でマイナーが得ている総収入 時間当たり6個×24×365=5.3万ブロック リワード12.5BTC 48万円であれば3200億円程度

    ブロックサイズ問題がもたらしたビットコイン分裂騒動 2017年8月1日 取引に時間がかかる件への解決方法(圧縮する・容量を増やす)
    中国のマイナー大手が自社の採掘マシンを使えなくなることから反対→分裂

    オランダチューリップバブル 1634年 3年で前触れなく崩壊 専門家This time is different. 詐欺に注意

    ブロックチェーンこそ次世代のコア技術→金融、流通、不動産、医療
    デジタルアセットの所有権の登録と移転
    ブロックチェーン1.0→仮想通貨 2.0→金融分野 3.0→非金融分野への応用(登記…)

    ブロックチェーンの類型 オープン型とクローズド型(中央管理者あり☆コリンズテクリスと同じか?)
    合意形成の方法も4種類あり プルーフオブワーク…

    国際送金における応用 リップル 2016年

    通貨の電子化は歴史の必然 貨幣の変遷は技術進歩と共に(偽造できないもの)→電子化へ eクローナ…
    1990年から2000年代に中央銀行は検討 15年前から始まっていた通貨の電子化
    1990年ごろ日銀でも研究→無限にコピーされる危険性 ブロックチェーンは画期的発明

    中央銀行の実証実験 カナダコイン シンガポール通貨監督庁(MAS)

    現金流通高の名目GDP比 日本19.4% ユーロ圏10.6% 米7.9% スウェーデン1.7%→人々が現金を使わなくなってきている☆日本の将来の姿はイメージできるか?

    中央銀行のシニョレッジ(通貨発行益) 発行された銀行券→BSの負債再度に計上、金利は発生しない→資産サイドの国債、貸付金には利子が発生→無利子で調達し利子の付く資産を保有する構造
    スウェーデン(デジタル通貨導入に向けた決断 2018年)→☆結果どうなったのか?

    中央銀行がデジタル通貨を発行する日 中央銀行マネー→オープン型にする必要はあるが、マイナーは、匿名性は…

    デジタル通貨は中央銀行の新たな政策ツールとなるか?→金融緩和(効果薄い)→マイナス金利
    1920年代ドイツ・ゼゲル「スタンプ付き紙幣」→印紙代分価値が低下→消費促進の効果あり
    貨幣では紙面に印紙を貼る手間がありムリ→電子的ならば可能☆管理料名目で目減りさせれば理解されるか?

    ブロックチェーンによる国際送金革命
    高くて遅い国際送金の現状→安くて早い国際送金を目指す「リップル・プロジェクト」
    国内におけるリップル・プロジェクトの展開→内外為替一元化コンソーシアム SBIリップルアジア(株)→☆どんな会社か調べること・将来性は? リップルに関して一国内で60行以上のユーザーグループを形成している珍しい例

    有望視される証券決済へのブロックチェーンの応用
    現在→中央集権型で複雑な現行の証券決済
    相次ぐ実証実験プロジェクト ナスダック、ゴールドマンサックス

    ビットコインはバブル、良い終わり方はしない

  • ビットコインは本来のあるべき姿である多くの人が所有して決済や海外送金などで流通することが少なく、少数の人が独占して所有して、投機的なバブルになっていると切り捨て、ブロックチェーンを活用して本来の目的を達成するための動きを、各国の中央銀行、銀行業界、証券業界について解説する。
    Webの振込でエラーリカバリルートがFAXなのは、さすがにやめて欲しいです。60行以上が参加している「内外為替一元化コンソーシアム」にはとても期待してます。

  • 非金融業界に対する話ももっと欲しかったが、国際送金と証券決済が有力な応用分野としてそれぞれの課題と適用可能性を説明しておりまあまあ為になる。

    ビットコインはブロックチェーンの象徴みたいに語られるけどあれはかなり特殊なんだよというのが書かれてるのは良かった。
    (殆どの人がそこを勘違いしてるので)

  • ビットコインがブロックチェーン技術により取引されていることは周知の事実だが、ブロックチェーン技術自体が今後通貨や決済といったシーンで活用される可能性と実証実験の状況などを細かすぎるくらいに丁寧に記してくれている。
    280ページほどあるが、割と同じことを繰り返し丁寧に細かすぎるくらい細かく記載されているので、初めてブロックチェーンに触れる者としては十分に技術や応用シーンを理解・想起できる。

    色々と書いてあるが、結論としてはブロックチェーンを用いた中央銀行によりデジタル通貨の発行および証券取引は密接に関わることであり、今後世界的な動向が注目されるが、さまざまな制約(リプレイスメントコスト・ファイナリティの確保・ネティング機能・DVP決済など)により、考慮すべきことも多く即時のブロックチェーンによる置き換えは起こらないと見られるが、「未公開株式の取引」「議決権行使」「コーポレートアクション」などは、人手をかけた非効率な業務分野として、ブロックチェーンを用いた改善の取り組みがなされる可能性が高い。

    発行年が2017年のため、その後各国実証実験やブロックチェーン技術がどう発展したかについては調べてみる必要がある。

  • 2017年とかその辺の内容だけど、見てよかった勉強してよかった。筆者は金融機関、それも中央銀行目線で解説してくれてるのでネットの記事では絶対見られない。ビットコインというよりブロックチェーンに期待が高まることを言っているので、今まさにそんな風潮である。

    そして中央銀行による仮想通貨の発行。ちらっとニュースで聞いたことがあったが、ここまで白熱してたとは。情報は取りに行かないといけないとあらためて気づいたし、多角的に見ないとリスクも見落とすと思った。

    続編も読んでるけど、なかなか面白い。金融業界にも少し詳しくなれそう。

  • 巷で騒がれているビットコイン。胡散臭い印象だったが、理由としては国などの中央銀行が発行しておらず、相場も不安定で通貨としては使いにくいと言う事の様だ。使われているのも中国が大半で、上位1%の人が9割以上を所有。これでは汎用性も信頼性も低い。現状は投資家によって扱われており、それより運用するためのブロックチェーンが注目されている、と言う話。
    ただブロックチェーンを利用すると言っても金融のシーンは様々で、限定的な分散型台帳で送金などに向いている様だ。インターネットが現れた革命までには届かない様だ。

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著者プロフィール

中島 真志(ナカジマ マサシ)
麗澤大学経済学部教授
1958年生まれ。日本銀行を経て、現在、麗澤大学経済学部教授。

「2023年 『金融読本(第32版)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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