樽とタタン

著者 :
  • 新潮社
3.15
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本棚登録 : 751
感想 : 116
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  • Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103513513

作品紹介・あらすじ

忘れかけていた子どもの頃の思い出を、あざやかに甦らせる傑作短篇集。小学校の帰りに毎日行っていた赤い樽のある喫茶店。わたしはそこでお客の老小説家から「タタン」と名付けられた。「それはほんとう? それとも噓?」常連客の大人たちとの、おかしくてあたたかな会話によってタタンが学んだのは……。心にじんわりと染みる読み心地。甘酸っぱくほろ苦いお菓子のように幸せの詰まった物語。

感想・レビュー・書評

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  • 私も鍵っ子だったなあ。

    タタンちゃんのように
    特別な居場所があって、

    個性豊かな大人たちに
    囲まれるようなことは
    なかったけれど。

    親が帰ってくるまでの
    数時間、

    アニメを観たりゲーム
    をしたり羽根伸ばして
    たなあ・・・

    ずーっと積読になって
    いた一冊。

    いつでも読めると思う
    といつでも後回しに。

    私の積年の課題です。。

    • kuma0504さん
      いつでも読めると思うとつい後回しに‥‥
      おそらく、数十冊以上はあると思います。
      |柱|ヽ(・_・`)反省…
      いつでも読めると思うとつい後回しに‥‥
      おそらく、数十冊以上はあると思います。
      |柱|ヽ(・_・`)反省…
      2023/09/19
    • コルベットさん
      kuma0504さん、おはようございます♪いつもありがとうございます。つい後回しになってしまいますよね(;´Д`)
      kuma0504さん、おはようございます♪いつもありがとうございます。つい後回しになってしまいますよね(;´Д`)
      2023/09/19
  • なんだか懐かしいような不思議な感じ。
    子どもの頃の曖昧な記憶、喫茶店で過ごした日々。
    マスターとそこに集まる常連さん。
    人との距離感がいいな。
    子どもの頃を思い出してしまった。

  • 小さな喫茶店で、タタンと呼ばれた女の子が見聞きした、常連客やその他の客の、少し不思議なお話。
    連作短編集ですが、お話の中にはそれなりのオチというか結末がちゃんと描かれるものもあれば、謎が謎のまま、あやふやな感じ終わるものもあって、全体にどこか靄がかかった幼い頃のあやふやな記憶のようでもあり、とりとめのない夢の話のようでもあります。
    吉田篤弘さんや堀江敏幸さんが好きな人なら多分好きだと思います。

    未来から来た、と言う女の人の話がなんだかいつまでも気になりました。何かのきっかけで記憶が戻って、世界の修復がうまくいってたらいいな、と思います。

  • 題名 表紙からずっと読んでみたかった。不思議な世界でした。女の子から見たおじさんって異質な感じ。

  • 美味しいコーヒーの匂いがしてくる。。。
    喫茶店でまったり読書したい、そう思わせる小説でした。
    ちょっとファンタジー感強めかな。
    喫茶店には物語がたくさんある。

  • 赤い樽のある喫茶店〈レッド・バレル〉。
    その赤い樽の中が定位置の、通称“タタン”ちゃんと、店に通う大人たちのちょっと不思議なあれやこれやを描いた、連作9話が収録されています。

    小学生のタタンちゃんは、学校が終わると共働きの母親が迎えに来るまで件の喫茶店で過ごしています。
    寡黙なマスターが営むその店には、個性的な常連の面々が通ってくるのですが・・・。
    全体的に漂う昭和の香りと、子ども目線のちょっとあやふやな記憶が、現実離れしたものに変換されているようなシュール感が独特の雰囲気を感じます。
    会話が禅問答のようだったり、真実か虚実なのかボヤッとしてたり・・・味わい深いといえばそうなのかもしれませんね。
    個人的には、タタンちゃんのお祖母さんの死生観が興味深い「ぱっと消えてぴっと入る」と、サンタクロースとの交流を描いた「サンタ・クロースとしもやけ」がほっこりして好きでした。
    思い出と創作を融合したような、ふんわりしたノスタルジーに浸れる一冊かと。

  • 面白いタイトル。
    理由は赤い樽の中にいつもちょこんと入ってる女の子。その子のニックネームはタタン。
    坂の下にある喫茶店での話。小学校から帰ったらこの喫茶店で時間をつぶす。
    そこの常連客との面白い日常。
    こんな小学校時代を送ったら面白かっただろうな~

  • 学校帰りに安心して立ち寄れる居場所。
    私にとってそれは家ではなく赤い樽のある小さな喫茶店だった。
    迎えてくれるのは血の繋がった家族ではなく、年齢も職業も違うし本名さえも知らない、喫茶店の一風変わった常連客の面々。
    けれど彼らはまぎれもない「家族」であり仲間だった。
    常連客の一人がつけてくれた私の呼び名は「タタン」。

    30年以上経って大人なった「タタン」が幼少時代の記憶を手繰り寄せる連作短編。
    あの頃のおぼろげな記憶が嘘か誠か…それは問い詰めてはいけない問題だ。
    確かに幼少時代の記憶は曖昧で、自分の都合で作り変えたものが多いのかも。

    印象に残ったのは亡き祖母の言葉。
    人はぱっと死んで、ぴっと入ってくる。
    亡くなった後、心の中に入り込んできた大切な人との思い出は、そのままずっと心の支えとなってくれるはず。
    素敵なセリフだった。

  • お菓子の話かなと思っ手借りてみたけれど、樽の中のタタン。1人の女の子と家族、喫茶店のお客さんたちとの物語。じーんときたり、クスッと笑ったり、擬音多めでさらっと読める一冊。
    ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
    ぱっと消えてぴっと入る
    わたしは一人ではないと思えるようになっていた。
    それは、とりもなおさず、祖母が死んだからである。

  • 団地、鍵っ子、学童がわりの喫茶店
    無口なマスターと、常連の小説家、学者、役者志望の男と神主、大学生

    最後の章で明かされる喫茶店の名前は赤い樽
    小学生のころ、その赤い樽に居場所をみつけて過ごした日々を振り返った体裁の連作短編集

    祖母の死生観を描いたものが一番おもしろかった。
    サンタクロースの話と
    最終章の双子の話も。

    前半の方は、ちょっと風変わりだけれども実際にあったかもしれないものごとの回想とも読めるお話が続くのだけれども、後半になるにつれて、非日常的なものの比重が大きくなってファンタジー性が強くなる。

    はじめからそういうつもりだったのか、途中から方向性がかわったのか。

    ふたりのトモコの生い立ちをつくりあげていく最終章は「タタン」というあだ名の由来を語る第1章に呼応するので計画通りだったのかな、やっぱり。

    祖母の方言と、神主の女言葉の文体と「ばやい」の扱いが解決できたら翻訳できるかもしれない、私でも。

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著者プロフィール

1964 年東京都杉並生まれ。小説家、エッセイスト。出版社勤務、フリーライターを経て、2003 年『FUTON』でデビュー。2010 年『小さいおうち』で第143 回直木三十五賞受賞。同作品は山田洋次監督により映画化。『かたづの!』で第3 回河合隼雄物語賞・第4 回歴史時代作家クラブ作品賞・第28 回柴田錬三郎賞を、『長いお別れ』で第10 回中央公論文芸賞・第5 回日本医療小説大賞を、『夢見る帝国図書館』で第30 回紫式部文学賞を受賞。

「2022年 『手塚マンガで学ぶ 憲法・環境・共生 全3巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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