樽とタタン

著者 :
  • 新潮社
3.15
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本棚登録 : 751
感想 : 116
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  • Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103513513

感想・レビュー・書評

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  • 小さな喫茶店に集まる常連客と、その喫茶店に置かれた赤い樽の中に入って過ごしていたので「樽とタタンだな」と、『タタン』と呼ばれるようになった女の子の話。

    記憶が曖昧で、現実にあったのかも曖昧だから、もちろん物語も登場人物も曖昧。

    だから最初はすごーく読むのに苦労した。
    こんな進まないの久しぶりだなと思うくらい読みにくかった。

    なのに、なぜかわからないけど読み終わって見ると、その曖昧な登場人物たちが愛おしく感じてくるから不思議。

    タタンちゃんを中心に、おじさんたちが好き勝手に過ごしていた喫茶店、きっと温かい空間だったんだろうなぁ。
    そんな老小説家やマスターや学生さん、トミーにバヤイに神主にジェシー達に囲まれたタタンちゃん。
    タタンちゃんに素敵な居場所があってよかった!
    見つけてくれたおばあちゃんもありがとう!

  • 図書館本。短編集。
    赤い樽のある喫茶店での、女の子と常連客とのストーリー。
    感想で言われるよう、不思議なお話だった。
    なかなか自分にはハマり切らず、半分程読んだところでちょっと進まなくなり、ゆっくり読了。

  • 若い人が読んでもピンとけえへんかもしれんけど、アタシらの世代にはほんのり懐かしい。
    サ店の常連さん達のキャラが濃くて面白い。エピソードはちょっと造り込み過ぎて都合良すぎる気もするけど。
    ちょっとダークで辛気臭い割にはナルシストっぽい学生さんの話が好き。

  • 2023.04.13 図書館

  • とある町にある赤い樽のある喫茶店
    学校帰りに喫茶店で過ごすのが日課の小学生の少女がいます。
    お客の老小説家から「タタン」と名付けられた少女とその喫茶店に訪れる人々の物語を描いた9篇から成る連作短編集

    9篇とも淡々と穏やかな雰囲気で
    昭和の香りがするノスタルジックで不思議な世界観でした。

    好きな人はとってもハマる作品かも知れませんが私にはちょっと苦手な作風でした。
    大人の為の童話を連想させる様な作品。

  • 「ぱっと消えてぴっと入る」 の、最後の段落3個分。
    大事な人が死んだとき、その人の命は電気が消えるみたいにぱっと消えるかもしれないけれど、その命はぴっと残された人の心の中にはいりこむ。だから、生き残った方は、心の中でいつでも亡くなった人と一緒にいて会話ができる。

    学生さんの自意識の説明も面白い。太宰がめちゃくちゃ素直になったみたい。

    コージーで優しい本。
    思い出とファンタジーの間みたいな話。

  • 幼少期の曖昧な記憶が曖昧なままに描写されていて、私はとても好きな雰囲気だった。

  • 不思議な感じとみんなが言ってる意味がわかった。
    小学生の女の子、タタンがいろんな人と出会った過去のお話。浮き沈みがなく淡々としてる感じ。

    最後の4行がなんとも好き。

  • 雰囲気が可愛らしく気になっていた作品。
    ちょっと入り込みにくかった。設定かなあ。。

  • 本の題名にある「樽とタタン」がどんな事を意味するのか気になり、読んだ一冊。
    全体的に見ても深いストーリーでは無いように感じたけれど、幼少期の思い出は成長過程でとても大切だと私自身も感じる。もしかしたら思い出補正されていることもあるかもしれないけれど、その時にしか経験出来ないことばかり。それを大人になって振り返ってみると心が温まったり切なくなったり。過去の思い出に癒されたりする。

  • 可愛い表紙とタイトルに惹かれて読んだ本。それぞれの話に深い内容は無いが、喫茶店の常連たちに囲まれてみんなで子育てする空気感は良かった。

  • かわいい子役ちゃんが
    かわいいお洋服着てて
    喫茶店でおいしいお料理とかコーヒーとか出てきて

    登場人物も神主とかトミーとか
    個性的でいい味出してる人たちたくさん出て

    っていう映像化お願いします

    あっ主題歌はいりません
    インストでお願いします

  • 面白いタイトルに惹かれて読んだ本。
    全体的に不思議な話だった。

  • ふんわりと不思議な雰囲気だけで終わった。「バヤイ」というネーミングセンスは好き。そして、「死者の思い出が生者の生を豊かにすることを、わたしは祖母を亡くしたとき初めて知ったのだった。」

  • 小さい頃のタタンの喫茶店での出来事。マスター、老小説家、歌舞伎役者の卵、祖母、学生、生物学者、サンタ、マスターの甥、双子、個性的なキャラクターが面白い。1番好きなのは未来から来た人の話。小さい頃にこんな風な体験をしたら、絶対に未来とか信じてしまう…。小説家に一番聞いてはいけないこと、小説家が唯一答えなくていい質問、になるほど。これを読んで私が思ったことそのままだった。でも聞いてはいけない。

  • 子供の頃を思い出して30〜40代設定の著者が思い出を綴っているのを読むのはなんとなく共感出来る。淡々と静かな物語。

  • 子どもの頃にタタンのような居場所が自分にもあればもっと早く自分を見つけることができたのかもしれないとつくづく思う。
    家でも学校でもない場所。
    家族も学校の友だちもいない場所。
    大人たちの世界、そこでだけは自分も知らない素直な自分に出会えたかもしれない。

  • 小学生のタタンちゃんが遭遇した不思議な出来事を、大人になったタタンちゃんが思い返す短編集。
    最初の数編は、不思議な事件が不思議なまま終わるので、モヤモヤしてなかなか読み進められませんでした。
    小学生の目線での「不思議」なので、大人の読者なら想像がつくものもあったしし、大人になったタタンちゃん自身が「あれはこういうことだったのか!」って気づいているらしいものもありました。
    ファンタジーな要素も。。。
    おばあちゃんの話と、サンタクロースの話がよかったです。

  • 自分と直接接する関係が全世界だった時の、喫茶店の定位置からの人間観察。

    一人ひとりにお話しがあり、
    でも思い出す中で、自分自身でいつの間にか脚色してる疑いもある、お話し達。
    何か事件が起こるわけではないが、子どもにとってはちょっとした事件という名の出来事が淡々と綴られている。

    サラッと読める。

    過去を脚色してしまったような記憶は自分自身思い当たる事が多くあることを思い出すとともに、喫茶店で定点観察する面白さも再確認。

  • 装丁がとってもかわいい。外側はもちろん内側も凝ってる。
    表紙をめくったときのピンクもいい。
    普段は文庫本ばかりなので感激してしまった。
    はじめの章を読んだとき、はくいなをさんは後で回収されるのだろうかと思ったけど、そういう類のお話ではなかった。
    タタンちゃんかわいい。
    放課後に子どもがふらっと(?)寄れるこういう場所、なかなかないけどあったらいいな。

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著者プロフィール

1964 年東京都杉並生まれ。小説家、エッセイスト。出版社勤務、フリーライターを経て、2003 年『FUTON』でデビュー。2010 年『小さいおうち』で第143 回直木三十五賞受賞。同作品は山田洋次監督により映画化。『かたづの!』で第3 回河合隼雄物語賞・第4 回歴史時代作家クラブ作品賞・第28 回柴田錬三郎賞を、『長いお別れ』で第10 回中央公論文芸賞・第5 回日本医療小説大賞を、『夢見る帝国図書館』で第30 回紫式部文学賞を受賞。

「2022年 『手塚マンガで学ぶ 憲法・環境・共生 全3巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

中島京子の作品

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