カーテンコール!

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 630
レビュー : 111
  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103513919

作品紹介・あらすじ

幕が下りた。もう詰んだ。と思ったその先に、本当の人生が待っていた。経営難で閉校する萌木女学園。私達はその最後の卒業生、のはずだった――。とにかく全員卒業させようと、限界まで下げられたハードルさえクリアできなかった「ワケあり」の私達。温情で半年の猶予を与えられ、敷地の片隅で補習を受けることに。ただし、外出、ネット、面会、全部禁止! これじゃあ、軟禁生活じゃない!

感想・レビュー・書評

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  • ‘幕が下りた、と思ったその先に、本当の人生が待っていた。’....帯より

    加納朋子さんの連作短編集。

    経営難で閉校が決まった女子大。
    最後の卒業生となる主人公達は単位が取れず、中退を余儀なくされるとみえた。が、理事長の温情により半年間の猶予を与えられ、大学敷地内の寮で暮らしながら卒業に必要な単位を取得することに。
    メンバーはいろいろな事情を抱えた人たちばかり。
    それぞれふたり一組の相部屋で共同生活をするはめになる...。

    出てくる女子大生達は未来に悲観的な子が多い。
    階段をストレートに上がってこれず、途中で立ちすくんでいる。拒食症の子、睡眠障害で朝起きれない子、リストカットを繰り返す子...。彼女達の‘事情’というのは現代的で、読んでいると時おり‘毒親’という言葉がチラチラ思い浮かぶお話もあった。

    そんな彼女達が望まざるとも他人と共同生活をし、他者を知り、自分と向き合う。

    ‘人とは勝手なものだ。他人のことなら、駄目なところ、異常なところがすごくよく目につくし、「それじゃ駄目だよ」と言いたくなる。それが、我が事となったとたんに、実に都合よく見えなくなってしまう。’

    見えなかったもの、目を逸らしていたものにじっと目を凝らす。

    彼女らを見守る理事長さんのキャラが良い。厳しくも温かく、出てくる度にホッとする。

    ‘カーテンコール’

    一旦舞台が終わった(と思った)主人公達を割れんばかりの拍手で呼び戻す。
    終わっていない。
    この後にも次の舞台があるのだ。

    加納さんからのエールに聞こえた。

  • 予想以上に面白く、一気読みしてしまった。20年以上加納さんの本を読んでいるが、彼女の著作の中でもお気に入り上位かもしれない。
    閉校間近の女子大、卒業が危ういワケアリ女子学生を集めた、半年間の卒業合宿補習。女子達の抱える事情は実に様々だ。自らを落ちこぼれと思い込み、生きる気力すら失いかけているような彼女達が、心身のリハビリをしながら生きる意味を見出していく。
    相変わらず加納さんの構成の巧さはお見事。起承「転」「結」で「ヒャッ!」と声が出そうになる、伏線の回収の鮮やかさよ!そして、傷付いた心にそっと寄り添うさり気ない優しさの絶妙な塩梅。一歩間違えると重苦しくなってしまう展開を、軽やかにするユーモアの塩梅。以前から加納さんの甘辛のバランスは好きだったけど、甘さにも辛さにも深みを感じるようになってきたな。自分自身も歳を重ねてきたから、20代前半の彼女達を、昔の自分を重ねるような気持ちで読むことができたからかもしれないが。
    加納さんの、若い人たちに向けたメッセージが心に沁みる。これは是非とも老若男女たくさんの世代に読んで欲しい物語だなと思う。挫折知らずで人生歩んでいける人なんていない。だからこそ、それぞれの世代の過去や現在に共鳴する部分が、必ずあるんじゃないだろうか。

  • 幾つもの救いの言葉に出会えた作品。「助け」が必要な卒業保留の女子大生たちの群像短編連作。留年や退学は「ちゃんと、或いはしっかり頑張って努力」していれば避けられるものだったのか。まだ親からの影響が色濃い大学生時代、社会的には「花のフリーダム」やモラトリアム期と捉えられがちだが、親の支配や呪縛が最も体や心の問題となり、表出し始める時期かもしれない。彼女たちは一様に自分を責め、自罰の念に心も体も苦しむ。彼女たちの無自覚なその痛みに寄り添い、卒業を助ける閉校間際の理事長の存在が圧巻。

  • 花の女子大生と聞けば
    おしゃれして、デートして、バイトして、女子会して・・・とキラキラ眩い日々を送っていそうなイメージがあるけれど・・・
    本当はそんな人ばかりじゃないよね。
    キラキラと青春を謳歌する人たちの陰で
    こっそりと存在していたはずの人たちに
    一気にスポットライトが当たるこの物語、
    主人公は、拒食症・肥満症・性同一性障害・昼夜逆転生活者・・・とバラエティ豊か。
    次から次へと登場する、生きるのが下手な女子大生たちを温かく、時には厳しく見守る理事長さんのキャラが絶妙で楽しいです。

    既刊のアンソロジーに収録されていた短いお話(一つ目の『砂糖壺は空っぽ)が
    少しだけ形を変え、
    こんなに素敵な物語になるなんて♪
    作家さんてすごいな~!

  • 廃校してしまう女子学校の最後の卒業生。の中の落ちこぼれ学生たちを何とか卒業させようと救済処置として、構内の寮で半年の合宿生活をすることになった生徒たちの、それぞれの過去と未来への小さな一歩を書いた群像劇です。
    かなりコンパクトに纏まっているのですが、僕はもっとたくさん読みたかったと思わせるくらいしみじみいい本でした。
    色々な事情を抱えた少女たちが、厳しくも優しい理事長から色々な事を受け取り、そして理事長もまた最後の生徒と関われる喜びが、表紙のように明るいタッチで描かれています。
    加納朋子さんの本はいつも優しくちょっと切ないです。これも希望に満ち溢れているけれど、やはりちょっとした切なさが漂っています。

  • 「生きること」に挫折しそうになっている人たちに、エールを送る物語です

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    誰か一人 、もしくはごく少数を犠牲にすることで 、万事が円滑に進むコミュニティが作られてしまう 。多数の側だけが 、安全で安心で気分がよくて幸せ 。まさしく今も学校や職場や 、その他多くの場で現に行われている 、いじめの構図そのものです 。(作中より引用)
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    性格、肉体や精神の病気、LGBTなど、様々な要因で集団の少数派に属してしまい、上手く生きて来れなかった女子大生たちが、半年間の補習授業を通して、「生き方」を学んでいきます。

    卒業式での理事長のスピーチのシーンでは、心にグッとくるものがありました。

    私も、集団の中で少数派でありながらも懸命に生きている人たちを応援する立場でありたいと、心から思いました。

  • カーテンコール。
    加納明子さん。

    閉校になる女子大学で
    卒業できない者達を寮に住ませて卒業させよう。というお話。
    少し生きるのが不得意な
    女子達。

    規則正しい生活、きちんと管理された食生活、毎日必ず太陽を浴びて、適度な運動をする。
    未来の自分に対して、
    きちんと責任を持つべき。
    ハタチを過ぎた若い人への
    メッセージ。
    あなた方の舞台で、
    あなた方は間違いなく主人公。

    向日葵の花言葉。

    あなたは素晴らしい。
    私は素晴らしい。

    少し広めの額の理事長。
    言葉が胸に沁みました。

    ゆっくり前を向いていこう。
    常に明るい方、
    暖かい方を目指して進んでいけば、そんなに大きく
    間違えたりしませんから。

    良かった。

    おススメです。

  • 廃校の決まった女子大で、卒業出来なかった訳アリの学生が、校舎の片隅の宿舎で半年間の補習を受けることになった。

    性同一性障害、骨肉腫、睡眠障害、ドリンク剤依存、肥満、拒食、自傷、etc
    現代の事情が目白押し。

    萌木学園の理事長の良心は、彼女達に少しだけ健やかな身体を取り戻させ、卒業の日を迎えます。
    角田理事長に拍手です。
    卒業式に理事長が語った自分の身体に責任を持つよう、未来の自分に向き合うよう伝えた言葉が重い。
    この年になってもまだ、自分の身体に責任を持とうと改めて思わされました。


  • NHKの「プロフェッショナル仕事の流儀」で”一万円選書”を見ました。
    その時、書店店主の岩田さんが、選書の中に選んでいたのがこの『カーテンコール』でした。
    それ以来、ずっと読みたいと思っていた一冊。
    若い人たちにぜひ読んでもらいたいなぁ…
    そんなふうに思う一冊でした。

  • 久しぶりに読んだ加納朋子さん。とても良かった。舞台は閉校が決まっている女子大、もうこれだけで世間からこぼれてる感じがするが、登場するのは閉校までに卒業できなかった女の子たちで、まあ半端ないこぼれ方だ。みなそれぞれの事情でそうなるに至っているわけで、ありきたりな言い方だが、これはその彼女たちの再生の物語だ。

    とにかく語り方がうまくて、ヘタをすると陳腐な話になる題材をしっかり読ませてくれる。何と言っても痛切なのが、最後に学長が語る話。小説としてはあまりにもストレートな語りなのだけど、いや今回ばかりはこれでいいのだと思った。一人でもがいたり落ち込んだりしている若い女の子に届いてほしい。

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著者プロフィール

加納朋子(かのう ともこ)
推理作家。福岡県北九州市出身。夫は、同じく推理作家の貫井徳郎。1992年『ななつのこ』で、第3回鮎川哲也賞を受賞し、作家デビュー。1995年には『ガラスの麒麟』で、第48回日本推理作家協会賞受賞。2008年、『レインレイン・ボウ』で第1回京都水無月大賞を受賞。自身の急性白血病闘病記録『無菌病棟より愛をこめて』も話題に。2019年6月26日、『いつかの岸辺に跳ねていく』を刊行。

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