カーテンコール!

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 175
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103513919

作品紹介・あらすじ

幕が下りた。もう詰んだ。と思ったその先に、本当の人生が待っていた。経営難で閉校する萌木女学園。私達はその最後の卒業生、のはずだった――。とにかく全員卒業させようと、限界まで下げられたハードルさえクリアできなかった「ワケあり」の私達。温情で半年の猶予を与えられ、敷地の片隅で補習を受けることに。ただし、外出、ネット、面会、全部禁止! これじゃあ、軟禁生活じゃない!

感想・レビュー・書評

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  • 『あなたは素晴らしい』

    分かっとるわ!

    はい、加納朋子さん『カーテンコール!』です

    経営難で閉校した女子大を卒業できなかった子たちに与えられた最後の補習授業「カーテンコール」

    それぞれに「ワケあり」な子たちに向き合うハゲ頭の角田理事長の授業が泣かすのよ
    どうしようもなく辛いことからは逃げてもいいんよ!
    ただ逃げるためにはちゃんと逃げられるそこそこ健康な体と逃げ込む先をつくっとかなきゃならんのよって考えに納得

    そして自分が主人公の人生を生きるのだ
    挫けそうなときは魔法の言葉を唱えればいい

    『わたしは素晴らしい』

    分かっとるわ!

    • ひまわりめろんさん
      いや女子大生って乙女じゃないから(問題発言)
      いや女子大生って乙女じゃないから(問題発言)
      2023/10/24
    • 1Q84O1さん
      あーぁ、ひま師匠やっちまったなー!w
      女子大生を敵に回しましたね…
      あーぁ、ひま師匠やっちまったなー!w
      女子大生を敵に回しましたね…
      2023/10/24
    • ひまわりめろんさん
      最初から敵じゃオラァヽ(`Д´#)ノ
      (真実は最初から相手にされてない)
      最初から敵じゃオラァヽ(`Д´#)ノ
      (真実は最初から相手にされてない)
      2023/10/24
  • 経営難につき、
    私立萌木女子学園は三月末をもって閉校。
    ところが、様々な障がいや問題を抱え、
    単位が足りず卒業生できない女生徒たち。
    理事長は彼女たちを見捨てませんでした。

    元気なし、意欲なし、やる気なし
    普通から外れてしまった学生たち。
    単位を補うための合宿生活が始まります。
    外出禁止、個人用のネット環境なし。
    ほとんど軟禁状態の中で行われたのは、
    規則正しい生活と適切な栄養摂取。
    そして、学生たちが抱えるトラウマや心の傷に
    そっと寄り添うこと。

    半年後。本当の閉校時に理事長が語ります。
    「時には逃げるが勝ちです。
    耐えられないと思った時、
    自分で逃げられる力を育ててください。
    そのための知恵と勇気を身につけてほしい。
    今咲いているひまわりの花ことばは
    『あなたは素晴らしい』
    自己嫌悪に陥ったら
    『私は素晴らしい』と呟いてみてください」

    三月に閉校した萌木学園。
    幕がおろされた…はずだった。
    カーテンコールよろしく舞台に残った
    個性豊かな “落ちこぼれ” たちに大きな拍手!
    そして、優しさに溢れたこの作品にも!!

    • いるかさん
      とっても素敵なレビューですね。
      自分の読んだものわほかのひとのレビューを見るのはとても楽しです。
      なんだかとてもうれしいです。
      ありが...
      とっても素敵なレビューですね。
      自分の読んだものわほかのひとのレビューを見るのはとても楽しです。
      なんだかとてもうれしいです。
      ありがとうございます。
      2023/04/07
    • yyさん
      いるかさん

      コメントありがとうございます。
      いるかさんのレビューを読んでから だったので
      いつも以上にワクワクしながら読みました☆...
      いるかさん

      コメントありがとうございます。
      いるかさんのレビューを読んでから だったので
      いつも以上にワクワクしながら読みました☆彡
      なんか、繋がってる感じがして…。
      ブクログって、いいですね。
      2023/04/07
  • コミュ障、睡眠障害、拒食症、依存症等、ワケあり難あり、劣等感の塊の女子大生10名。
    卒業単位の足りないダメダメな彼女達は、閉校決定の女子大を無事卒業するため、特別補講という名の軟禁生活を強いられた。

    花の女子大生とは決して言い難い彼女達の家庭環境を知ると、苦い思いでいっぱいになる。
    そんな彼女達をさり気なく見守り、自分で自分を守る術を学習させようとする理事長達の真心に心打たれた。
    自分を許す。
    これはストレス社会に生きる我々にも生き抜くヒントとなる。

    ラストの、理事長の心のこもった餞の言葉には泣けた。
    「もう、駄目だ、耐えられないと思った時、自分の足で逃げられる力を、今のうちに育てて下さい。そして、自分の言葉で、直接『助けて』と言える人を探して下さい。我と我が身を救うための、知恵と勇気を身につけて下さい」
    たった半年間の特別補講だったけれど、卒業に必要な単位とともに得た経験は、社会という大海原へと旅立つヨチヨチ歩きのひよっこ達を導く羅針盤となる。
    この羅針盤を心に刻めば、今後道に迷い方角を見失ったしても大丈夫。
    「あなたは素晴らしい」
    最後に捧げられた花言葉を卒業生達は決して忘れないだろう。

    卒業シーズンに読めて良かった。

  • 閉校が決まっている女子大の最後の卒業生‥‥でも、訳ありで卒業できなかった生徒たちが集団生活をしながら特別補講を受けるお話。

    様々な問題、悩みを抱えた女性(大学四年生だから成人していて少女ではない)たちが、まず2人ずつ同室に住まわされる。これが絶妙な割り振りで理事長の思惑通りに化学反応を起こし、お互いを成長させてゆく。
    そしてこのおじいちゃん理事長がまた、ある意味くせ者で、思いっきり聞き耳立ててたり、パソコンのデータを覗いてたりプライベートなんてあったもんじゃない。
    でも、理事長にとって、この女子大はとても思い入れのあるもので、だからこそどうしてもみんなを卒業させてあげたい!心身ともに健やかにさせて素晴らしい未来を送ることができるようにしてあげたい!という思いのあらわれなのです。
    しかし、全てを包み込んでくれるような優しさを持つ理事長も、「いつでも困った時は戻っておいで」的なことは言わない。これが高校生の話ならまた違ったんだろうな、と思う。そこがピリリとしていて、ありふれたお話になっていなくて良かったな、と思います。
    登場人物の女性たちのその後が気になる終わらせ方なので、スピンオフ的な物語が出たらいいなぁと思ってしまいます。

  • 一万円選書の中でも、とくにおすすめされている本だと感じる一冊です。
    各々の理由で単位を落とし、卒業をめざし、補習合宿することになった生徒さんの物語。
    どの生徒さんも章のおわりには、再生の入り口をみつけて読者はよかったと一緒に前向きに明るい気持ちになれます。
    最終章の校長先生のお話は感動的です。
    ひまわりの花は、あなたは素晴らしいと、いつも励ましてくれている、読み終わったばかりだけど、もう一度、感動に出会いたくて、またすぐ読みたくなる衝動にかられています。
    この本に出会えて良かった

  • ‘幕が下りた、と思ったその先に、本当の人生が待っていた。’....帯より

    加納朋子さんの連作短編集。

    経営難で閉校が決まった女子大。
    最後の卒業生となる主人公達は単位が取れず、中退を余儀なくされるとみえた。が、理事長の温情により半年間の猶予を与えられ、大学敷地内の寮で暮らしながら卒業に必要な単位を取得することに。
    メンバーはいろいろな事情を抱えた人たちばかり。
    それぞれふたり一組の相部屋で共同生活をするはめになる...。

    出てくる女子大生達は未来に悲観的な子が多い。
    階段をストレートに上がってこれず、途中で立ちすくんでいる。拒食症の子、睡眠障害で朝起きれない子、リストカットを繰り返す子...。彼女達の‘事情’というのは現代的で、読んでいると時おり‘毒親’という言葉がチラチラ思い浮かぶお話もあった。

    そんな彼女達が望まざるとも他人と共同生活をし、他者を知り、自分と向き合う。

    ‘人とは勝手なものだ。他人のことなら、駄目なところ、異常なところがすごくよく目につくし、「それじゃ駄目だよ」と言いたくなる。それが、我が事となったとたんに、実に都合よく見えなくなってしまう。’

    見えなかったもの、目を逸らしていたものにじっと目を凝らす。

    彼女らを見守る理事長さんのキャラが良い。厳しくも温かく、出てくる度にホッとする。

    ‘カーテンコール’

    一旦舞台が終わった(と思った)主人公達を割れんばかりの拍手で呼び戻す。
    終わっていない。
    この後にも次の舞台があるのだ。

    加納さんからのエールに聞こえた。

  • 萌木女学園
    肥育
    フィーダー
    命を守る行動
    ひまわりの花言葉


    卒業単位が足りず、補講を受けるポンコツ女子たちの奮闘記かと思って読み始めたら
    ごめんなさい
    泣くお話でした

    安心できる存在であるはずの家族が
    時に同じ家族の一員を追い詰め
    病ませる
    そんな時は、「逃げるが勝ち」
    逃げる力を育てる
    未来の自分は自分が守る
    そんな理事長の語りに
    じわーっと目に胸に熱いものを感じる作品
    図書館本

  • 閉校予定の大学を卒業し損ねた残念集団、9人皆がみな訳あり、難ありの女生徒が、理事長の温情で、半年間卒業するための単位取得の合宿生活をするはめに

    人の良さそうな丸顔とつるりとした禿げ頭、玉コンニャクみたいな理事長兼学長兼寮長兼臨時講師の角田大造先生
    この理事長只者ではないと思われる

    合宿所の部屋は二人部屋、割り当てられた二人は、なんの面識もないのだが、絶妙の組み合わせ、きっと理事長が考えに考えた組み合わせに違いない

    各部屋の二人の前に現れるタイミングも絶妙!

    20歳そこらのダメダメ集団の女生徒を表現しようと意図的にだと思われるが、それぞれの部屋の二人組の会話の文章は、ガチャガチャ落ち着きがなく、ギャルっぽくて、好きになれない
    途中、読むのがしんどくなったが・・・

    半年間の合宿を無事終えた卒業式での理事長のはなむけの言葉は、カーテンコールにふさわしい挨拶だった

    「あなた方は、素晴らしい。過酷な灼熱の太陽の下で、すくっと天を仰ぐ大輪の花のように、とてもとても素晴らしい
    これは魔法の呪文です。これから先、何か困難に出会った時、自己嫌悪に陥った時、そっとつぶやいてみて下さい。
    『私は素晴らしい』
    そして、どうかひまわりのように、常に明るい方、暖かい方を目指して進んで下さい。そんなに大きく間違えたりはしませんから
    あなた方という、素晴らしい花たちと、学園最後の日を迎えられたことを私は心より誇りに思います」

    表紙の大輪の花束と相まって、9人の女生徒の明るい前途を暗示しているかのようだった

  • 予想以上に面白く、一気読みしてしまった。20年以上加納さんの本を読んでいるが、彼女の著作の中でもお気に入り上位かもしれない。
    閉校間近の女子大、卒業が危ういワケアリ女子学生を集めた、半年間の卒業合宿補習。女子達の抱える事情は実に様々だ。自らを落ちこぼれと思い込み、生きる気力すら失いかけているような彼女達が、心身のリハビリをしながら生きる意味を見出していく。
    相変わらず加納さんの構成の巧さはお見事。起承「転」「結」で「ヒャッ!」と声が出そうになる、伏線の回収の鮮やかさよ!そして、傷付いた心にそっと寄り添うさり気ない優しさの絶妙な塩梅。一歩間違えると重苦しくなってしまう展開を、軽やかにするユーモアの塩梅。以前から加納さんの甘辛のバランスは好きだったけど、甘さにも辛さにも深みを感じるようになってきたな。自分自身も歳を重ねてきたから、20代前半の彼女達を、昔の自分を重ねるような気持ちで読むことができたからかもしれないが。
    加納さんの、若い人たちに向けたメッセージが心に沁みる。これは是非とも老若男女たくさんの世代に読んで欲しい物語だなと思う。挫折知らずで人生歩んでいける人なんていない。だからこそ、それぞれの世代の過去や現在に共鳴する部分が、必ずあるんじゃないだろうか。

  • ひまわりの花束の表紙が目を引く本書。

    閉校が決まっていた女子大で、卒業単位が足りないメンバーが集められ、ほぼ軟禁状態の共同生活を送りながら卒業の為の特別補習が行われることに。
    “ワケあり”揃いの彼女達は無事卒業できるのでしょうか・・。

    集められた女子達は、性同一性障害、ナルコレプシー、拒食症、希死念慮等々・・・。
    それぞれ“一筋縄ではいかない”事情を抱えている彼女達の、個々の視点で綴られる連作スタイル6章からなる群像劇のような構成です。
    個人的には、拒食症の茉莉子と肥満症の千帆という同室の二人が、一見正反対なのに結局お互いに対して同じ事を思っている「鏡のジェミニ」が面白かったです。
    そして最終章「ワンダフル・フラワーズ」は、“日常の謎”モノでお馴染みの加納さんらしく、ちょっとしたトラップ的なプロットになっていて、あやうくミスリードされるところでした。
    この章に登場する“死にたがり”の玲奈が、モラハラ父親に追い詰められて希死念慮を抱いてしまう過程は、読んでいて胸が苦しくなりましたが、終盤で前向きな感じになってホッとしました。
    このようなワケあり女子達を管理する角田理事長がこれまた食えないお爺さんで、すべてが彼の手の内的な感じではあるのですが、この角田理事長も大切な人を失ってしまうという哀しい過去があり、その事情があってこその卒業式での理事長の言葉にはグッときました。

    「あなた方は、素晴らしい。過酷な灼熱の太陽の下で、すくっと天を仰ぐ大輪の花のように、とてもとても素晴らしい・・」

    生きづらさを抱えていた彼女達ですが、希望が見えるラストで爽やかな読後感でした。

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著者プロフィール

1966年福岡県生まれ。’92年『ななつのこ』で第3回鮎川哲也賞を受賞して作家デビュー。’95年に『ガラスの麒麟』で第48回日本推理作家協会賞(短編および連作短編集部門)、2008年『レインレイン・ボウ』で第1回京都水無月大賞を受賞。著書に『掌の中の小鳥』『ささら さや』『モノレールねこ』『ぐるぐる猿と歌う鳥』『少年少女飛行倶楽部』『七人の敵がいる』『トオリヌケ キンシ』『カーテンコール!』『いつかの岸辺に跳ねていく』『二百十番館にようこそ』などがある。

「2021年 『ガラスの麒麟 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

加納朋子の作品

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