1ミリの後悔もない、はずがない

著者 :
  • 新潮社
4.11
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  • 本棚登録 :535
  • レビュー :25
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103514411

作品紹介・あらすじ

ネクストブレイクはこの作家! 心揺さぶる恋を描く鮮烈なデビュー作。「俺いま、すごくやましい気持ち……」わたしが好きになったのは、背が高く喉仏の美しい桐原。あの日々があったから、そのあと人に言えないような絶望があっても、わたしは生きてこられた――。ひりひりと肌を刺す恋の記憶。出口の見えない家族関係。人生の切実なひと筋の光を描く究極の恋愛小説。R-18文学賞読者賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • かなり好きだったなぁ。
    由井が羨ましい。桐原も他の男性たちもいい人なのは、女性作家特有な気がして、現実味がないことは分かっているけど、小説なんだし理想を書いて何が悪い!という気持ち。書いてくれてありがとう。
    不幸が由井を好ましく育てたということもあるだろう。悲しいことだけど、失礼だけどそれすらも羨ましく思える。私が今こうしているのは、周りの不幸とか幸福とか関係ないけど、責任転嫁してしまう。
    人との別れは唐突にやってくる。もし再会できることがあったならば、そのとき笑顔で「会いたかった」と言ってもらえるような人になりたい。

  • 「うしなった人間に対して一ミリの後悔もないということが、ありうるだろうか」

    西国分寺が舞台の、初恋のお話。
    本書には5篇のお話が収録されているがすべて地続きの同じ物語。
    匂いや色気、女の本音、きれいなものも汚いものも包み隠さず押し込められている。
    スターだった先輩、その成れの果てとか、とはいえ、誰かに愛されている姿とか。
    桐原という男の子と由井という女の子の恋愛が主軸にあって、物語はその二人をとりまく人物にフォーカスが移動したり戻ってきたりして進んでいくのだけれど、この二人が大人びていて静かに、でも中2とは思えない穏やかさで愛を育んだ過程が描写としては最初のお話でしか描かれていないのに、それぞれの視点から感じ取れるのがすごい。
    そして最後まで桐原くんは格好いい。
    桐原くんのまま、というのが、いい。
    彼だけが成長していないままで、それが切ない。
    しんだひとみたい。

    題名も表紙の写真もぴったり。
    脇だけど、高山先輩は非常に興味深い人物でした。

  • 2018 3/20読了。みずみずしくて、色っぽいけど、辛くて辛くて切ない。由井と桐島の描写にうっとりしてしまう。
    いっときでも幸せな記憶があれば、生きていける。体は小さくて貧乏育ちだけど、賢くて強くて魅力的な由井の物語。

  • 一ミリの後悔もない、はずがない。
    いや、むしろ後悔しないはずがない。

    いいことなんてなにもなかった人生に、自分が生まれてよかったと初めて思わせてくれた人と会えなくなって、後悔のない人なんていないだろう。

    涙が出るほど美しい青春の恋愛の思い出。中学生という子どもから大人へ成長する過程の時期の恋愛だが、大人のそれを見ているような感覚に陥る。きっと二人が強い意志を持った目をして、けっして流されることなく、生きているからだろう。

    信じることができない大人はたくさんいた。しかし目の前の桐原はその大人に面と向かって対抗し、大切な由井を守る。

    二人が出会い、お互いを愛し合うのは必然だと思う。だからこそ、二人が突然離れ離れになってしまうことは、耐えられないほど切なく感じてしまう。私たち読者は、二人が突然の別れ以来、二度と会えていないことを知っている。あれ以来会えてないとわかっているのに、もう一度二人が出会う場面を探してしまう。どうか二人が再会できることを願って。

    由井はいつから、あのチョーカーを身に付けなくなったのだろう。
    離れ離れになった後も桐原が由井との再会を願って、由井との将来のために努力していたことを、最後の最後に由井は知ることになる。
    しかし、既に結婚して子どももいる由井にとっては、もうどうしようもないこと。その手紙自体、高校生のときに書かれたもので、桐原が今どこで何をしているかもわからない。

    切なさは倍増する。もちろん夫は大切な存在だ。しかし、細胞レベルで愛し合った人が、あんな手紙をくれていたことを思うと、胸が張り裂けそうになる。思い出だけで生きていくなんて綺麗な言葉で片付けられるほど単純ではない。もし桐原が今も由井だけを想ってずっと探していたとしても、仮に出会えたとしても、もうどうしようもないのに。

    私は思う。本気で会いたいと願えば、ミカや金井、妹の友人をつたってでも、由井は桐原に連絡を取ることができたのではないか。(桐原から由井に連絡を取ることは困難だろうけど。)会う気があれば、死んでなければ、また会える。容易に会える距離にいたとしても、会う気がなければ会うことはないし、逆に地球の裏側にいたって、会う気があれば会いに行ける。会いたい人を本気で探せば、またきっと出会うことができる。

    もし二人が大学生時代にお互いを探せていれば、二人にとってまた違った物語があっただろう。

    しかし、物語はこんな側面も示唆する。ミカが憧れていたかっこいい高山先輩が、大人になって人が変わったようにだらしなくなっていたこと。

    結局は、桐原が今どうしているかなんて誰にもわからない。良い方に考えれば桐原が由井をずっと想い続け、昔と変わらずにいるけれど、悪い方に考えれば高山のように落ちぶれているかもしれない。現実は夢で見るようには美しくはないかもしれない。

    それでもやはり私は変わらない桐原でいてほしいと願う。

    最後に、由井の娘である河子が手紙を読む。母の恋愛を娘が知りたいと思うのは、女心としてわかる気がする。こうして母から娘へと受け継いで、河子も、今はつらい状況に置かれているかもしれないけれど、いつかまた、由井にとっての桐原のような存在に出会い、自分が生まれてよかったと思えるようになればいい、それが幸せな結末を迎えればいいと思う。

  • あーもう、なんだろう。最後の最後にうああもう!て叫びたくなってしまう。
    後悔がないはずがない。誰だって、大なり小なりなにかを過去に置いてきてしまうことがある。そのことを忘れられなかったり、ふとしたときに思い出してしまうことがある。でも今更どうしようもなくて自分に折り合いつけていかなくてはならない。もしくは、今この瞬間が、この先の未来での後悔になったり。
    それでも。
    忘れられないものがある。
    読者として忘れて欲しくないと思うものがある。
    後悔に触れた彼等のこの先が、どうか、せめて、今も幸せだよね、と笑える日々でありますように。

    最後が切なすぎて悶えた…。
    なんでどうして、と読んでる私にまで後悔を感じさせてくれた。

  • 最初の一話目からクライマックス。
    これが新人さんとか絶対嘘だろ…と思わず呟いた。
    短編形式だけど、登場人物は少しずつ繋がっている好きなパターンの短編集。
    短編だけど、最後まで読むと大きな流れになった一冊の初恋恋愛集。
    恋に不器用でいながらも何でも全力だったあの拙い頃の気持ちが苦く蘇る。

  • つながりのある複数の短編からなる。それぞれの物語の時間と空間のずれ、人物の視点の入れ替わりがあり、日常及び少しの非日常のストーリーを複雑に深くし、考えさせられるところがよくあった。読み返してみたい話となっている。うまい。

  • 自分と由井が似てるわけでもないし、似た体験をしたわけでもないけれど、それでも自分の学生時代を思い返したりして胸が痛くなる切ないお話でした。

    桐原君は幸せにしているのでしょうか?
    そんな思いを馳せながらも 読後感は良かったです。

  • 伊丹空港からの機内で読了
    切なさやら、苦しさやら、甘酸っぱさやら、やさしさやら。全部詰まってた。

  • 必ずしも明るいだけではない若者の心と日常の現実を捉えながらも、清々しい人々とその恋が描かれていて、読みながら自分の過ごした初恋時代に想いを馳せる。

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