百年泥 第158回芥川賞受賞

著者 : 石井遊佳
  • 新潮社 (2018年1月24日発売)
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  • 本棚登録 :158
  • レビュー :24
  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103515319

作品紹介

橋の下に逆巻く川の流れの泥から百年の記憶が蘇る! かつて綴られなかった手紙、眺められなかった風景、聴かれなかった歌。話されなかったことば、濡れなかった雨、ふれられなかった唇が、百年泥だ。流れゆくのは――あったかもしれない人生、群れみだれる人びと……

百年泥 第158回芥川賞受賞の感想・レビュー・書評

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  • インドで洪水を経験する。川の流れの泥から、様々なものが出てくる出てくる。最初はインドの文化、生活モノかなと思ったけれど、泥を通して様々な人の人生、思いの断片が語られていて。不思議な世界。泥のお話も、日本語教師のお話もなかなか面白く読めました。泥の中は繋がっているのね。摩訶不思議。インドだけにありうる感じ。

  • 舞台はインド南部、川のそばの地元の人たちの雑踏の中。
    しかも大洪水の後で大変なにおいを放つ泥が…

    読んだきっかけは芥川賞だけど遅かれ早かれこの小説には呼ばれたという感がある。特別インド好きというわけではなかったけれど。

    芥川賞を先入観で小難しい純文学ととらえてこれまで敬遠してきたような方がもしいたら是非ともお勧めしたい。
    読む人の記憶の底まで総攫いするような一種敬虔な祈りのような魂の発露。また繰り返し読んで自分自身をも掘り起こしてみたくなる小説でした。

  • 私は、つきあっていた自称フリーライターの男に頼まれサラ金で借りた金を貸してしまい、多重債務者でした。困りはてた私は元夫に会ったところ、南インドのチェンナイでの日本語教師の仕事を紹介され、二週間後にはチェンナイにいました。そして、“チェンナイ生活三か月半にして、百年に一度の洪水(p3)”に遭います。

    日本語クラスの生徒たちに困らされる日常の授業の風景があるかと思えば、飛翔する人々、洪水の泥の中から人や物が出てくるといった風景もある、不思議な世界でした。

    泥の中から出てくる物とともに、人々の百年の記憶が蘇っていきます。
    “かつて綴られなかった手紙、眺められなかった風景、聴かれなかった歌。話されなかったことば、濡れなかった雨、ふれられなかった唇が、百年泥だ。あったかもしれない人生、実際は生きられることがなかった人生、あるいはあとから追伸を書き込むための付箋紙、それがこの百年泥の界隈(p118)”だったのです。
    この世界観を楽しみながらも、その記憶たちを知って、少し切なくもなりました。

    “こうなにもかも泥まみれでは、どれが私の記憶、どれが誰の記憶かなど知りようがないではないか?(p120)”
    洪水の泥にまみれた、荒唐無稽で素敵な物語でした。

  • 請求記号:913.6/Ish
    資料ID:50089421
    配架場所:図書館1階東館 め・く~る

  • 第158回芥川賞受賞作。単行本化されてすぐに図書館で借りることが出来ました。
    最初、インド在住日本人のちょっとしたエッセイに毛の生えたような小説なのかなと思って読み始めたけど、洪水によってもたらせた百年分の泥に埋もれた人が出てきたり、空を飛んで通勤する人の話が出てきたり、フィクションなんだなってわかってきた。
    インドの話と日本の話がごっちゃになりそうで、少し混乱したけれど、のめりこんで読めました。

  • 出色の芥川受賞作品です。
    例えば洪水翌朝の独特な匂いの描写や、さらには以下のような言葉「私にとってはるかに大事なのは話されなかったことばであり、あったかもしれないことばの方だ」や、現実と虚構の意図的な融合や文章の長さ(文芸春秋掲載では、16行にわたる)など作者の創意工夫が隅々にまで感じられ(山田詠美は「年季入ってる」と表現しています)話の面白さと相俟って最後まで飽きさせない秀作でした。

  • 主人公は南インドのチェンナイの企業で日本語を教える女性。100年に一度という大洪水が起きて100年積もった泥が街の中に溢れて出る。その泥の中から彼女の過去にまつわるいろんな物や人が掘り出され、それに伴って過去の記憶の蓋も開く。彼女が受け持つ日本語の授業も問題はたくさんあり、日々その対応を考えながら、溢れ出る過去のことも考える。忙しい日常を生き抜くには過去の蓋なんて簡単に開いてもらっては困るのだ。でも100年に一度くらいは出てきてしまう。読んでいて、あれこれ蓋をしている自分に気づき戦慄した。

  • 文藝春秋で読んだ.ベンガル湾の面したチェンナイという小さな町で,日本語教師をやっている野川の泥の中での葛藤をファンタジー風に記述した物語だが,現実と妄想が入り混じった何とも不思議な読後感を得た.インドの生活環境や昔から変わらない風習などを巧みに織り込んでいて楽しめた.生徒のデーヴァラージとの教室でのやり取りが,野川の中で渦巻いていく過程も面白かった.泥の中から色々なものが出現するのも,インドだからだと納得してみたが,何故かしっくりこない.

  • なかなか新しいというか、変わった内容であり
    へんな話でとても面白くよみました。飛翔通勤は
    検索してしまいました。
    百年泥のなかから、いろいろなものが泥の中から出てくる。
    その内容がとても面白い。

    大阪とインドチェンナイとの関係も面白く
    招き猫とガネーシャの話も楽しい。
    道頓堀のケンタッキーおじさんの話を彷彿させるものも
    あり、そう思うと道頓堀の橋のイメージがわいてきます。

  • むむぅ…一体この文章はなんなのだ!?芥川賞受賞『百年泥』読了。何か前衛的な文章というか泥の中から色々な人の人生が掘り出されて都度その話が展開されて、とそこだけ見てると支離滅裂な感じもする。プロットを追いかけるのではなく瞬間瞬間を感じて楽しむのが良いのか?ちょっとまだついていけてない…安部公房の箱男を読んだときみたいな何とも説明しにくい感情を抱いた。

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