トモスイ

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 109
感想 : 29
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  • Amazon.co.jp ・本 (188ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103516088

作品紹介・あらすじ

タイ訪問を機に執筆され、選考委員に絶賛された川端賞受賞作「トモスイ」ほか、アジア10カ国との交流から生まれた10の短篇。台湾の小さな島から上海の路地裏へ、そしてモンゴルの荒野、インドネシアの密林まで。それぞれの土地に息づく瑞々しい匂いとやるせない思いを吸い込み、論理を超えた熱をはこぶ、アジアをめぐる物語たち。第36回川端康成文学賞受賞。

感想・レビュー・書評

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  • 短編小説集。どれもほんの数日、数時間の出来事を切り取った話ではあるが、薫るような死の匂いと生命力を感じるような、、、
    文学などわからない無学な私ではありますが、まるで手触りの良い布触れているような心地の良い文章だと感じるました。

  • アジアを題材にした短編集。
    これはかなり好みが分かれる様だ。私は結構好きだった。特に「トモスイ」は初っ端からかなり癖の強い (文体はかなりあっさりなのだが) 作品なので、ここで分かれそう。こちらは第三の性に寛容なタイからインスピレーションされた作品。トモスイの描写はちょっと気持ち悪い感じはある、なんだか第三の性というかもう融合性ですよね。トモスイというのは筆者の作り上げた空想の生き物だが、明らかに性的。
    他作品も非常に個性的。前半は常に「水」がキーになっている。また刹那を思わせる作品のように感じた。後半は「存在のしない者」と幻想・夢のような世界観。なんとなく仮想の世界観が宮沢賢治っぽいとも思った。

  • いろんなものが在りすぎて、何も知らないままでもいられるインド。あらゆるものが諦めを迫ってくる国。
    (P.155)

    「思い出すためには、忘れる必要があるけれど、忘れたことがないので、思い出すことが出来ない」
    (P.172)

  • アジア10ヶ国訪問をきっかけとした短編。

    タイ、小舟でトモスイを吸いながら交じり合う。
    台湾の離島、海の中、時計。
    フィリピン、台風の目を見たとき。
    マレーシア、写真と娘との記憶。
    韓国、日本との歴史と唐辛子の思い。

    上海、そっと盗み見てしまう老人と金魚。
    モンゴル、高原な大地、子供だけの村。
    ベトナム、かつて起きていた戦争。
    インド、亡くなった同級生、ニーム。
    バリ島、弟を思って、香りに包まれる。

    不思議な世界で、今はもういない人たちを思ったり
    その土地の雰囲気)^o^(

  • 2014.05.17読了。
    今年17冊目。

    アジアを舞台にした短編集。
    これもバリに行ったとき訪れた占い師の家でみつけて気になっていた本。

    蒸せるような湿度、艶かしさが感じられて官能的。そして死が共通してる。

    だけどどれも全く違っていて、それぞれが独特な空気を醸し出してて割と面白かった。
    特にトモスイ。

    トモスイなんて...なんだかわからないトモスイが気になって気になって仕方ないし、吸ってみたいし、ユヒラさんは中性的だしで、つかみどころがないのに胸に残る。


    芳香日記はバリが舞台。
    あのバリの空気感がすごく伝わってきてまたバリいきたい病。
    バリの雰囲気はこの小説にぴったりだと思う。


    あとは唐辛子姉妹かなー。
    唐辛子が主人公というビックリなお話だけど、けっこう面白かった。


    モンゴリアン飛行だけが、全く頭に入ってこなくて読むのに苦労した笑

  • エスニックな異国情緒が漂う耽美な世界。現実と架空が微妙に交差するおどろおどろしく淫糜な緊張感にグイグイ牽引された。激しい衝迫に胸苦しささえおぼえた。怪しい空気にどっぷり浸り不思議な世界を心ゆくまで満喫できた。魂を射抜くような上質なセンテンスには何度も唸らせられた。

  • アジアの様々なところを舞台にした短篇集。日常半分、非日常半分。「トモスイ」「唐辛子姉妹」「芳香日記」が好き。

  • アジアの様々な国が舞台となる短編集。マレーシア、バリ島、フィリピンなど。アジア十カ国の作家をその国を訪ねて紹介し、それに触発されて短編を書くというプロジェクトから生まれた作品。短いながらも、それぞれの作品にその国の独特の臭いがする。

  • 資料ID:21101160
    請求記号:

  • 第一話「トモスイ」と第二話まで。御伽噺のような世界。独特の感性を感じた。
    短編ならではの作品である。第一話「トモスイ」はなかなかの傑作だと思う。

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著者プロフィール

小説家

「2022年 『ベスト・エッセイ2022』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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