物語を忘れた外国語

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103517214

作品紹介・あらすじ

いつもかたわらに物語を。小説や映画と一緒なら、語学はもっと面白い! 何のために言葉を学ぶのか? 試験や資格のための勉強では見えてこない、外国語習得の秘訣、大公開! 語学学習で大切なのは、TOEIC対策でも問題集を何周もすることでもありません。小説、映画、テレビドラマetc……、物語から学ぶこと。言葉を知れば、物語の新たな魅力も見えてくる。本当の語学の楽しさ、教えます!

感想・レビュー・書評

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  • 外国語学習者の方のブックリストを見ると、黒田氏の名前をよく見かける。
    それほど面白いのかなと自分も試してみたが、本書はそこまで夢中になれなかった。

    著者の外国語と文学にまつわるエピソードを短編にしたもの。
    外国語学習の一環として、文学(ここでは学習言語の原書や日本文学の翻訳作品)を読まない学習者が目立つ。小説の抜粋を切り張りしただけの教材を勉強するのなら、オリジナルをフルで楽しんだ方が良いに決まっている。これが本書における著者の持論だ。

    この言い分は頷ける。自分も現代文の過去問(特に小説)を解いていると「面白すぎて続きを読みたい」という思いに何度も駆られた。原書がダメでも、(著者が述べているように)邦訳や映画版から入ればストーリーを把握する手間は省けるし、あわよくば語彙だって増えてくれそう。

    「夢中になれなかった」と書いたのは、
    ①発言が二転三転している箇所があった
    ②著者が「面白い」と紹介していた作品がほとんど廃刊になっていたり、図書館の蔵書にもないことを知ったから。
    ②が単純な理由であることは認める。(何様~_~;)
    ①に関しては、今も頭の中を整理するのに必死だ。エッセイならではかは知らないけど「一つの章でこれを書いて、こちらの章ではこれを書いて…」という思い付きっぽい書き方が引っかかり、自分の中で内容がまとまらなかった。

    ある章では、
    「外国語学習は長編小説に限る。全て理解できずとも辞書なしに先へ進むことで、全体像を掴めるかもしれない。ハードルが高ければ映像であらすじを把握。面白ければ原作へGO!」
    と述べているのに対し、別の章では
    「外国語に触れることが目的ならば、映画の方が優れているかもしれない」
    と断言しちゃってる。
    その章は本と映画版の利点がお題であったが、結局「どちらか自分が合う方を選べ」と言いたかったのだろうか?映画版も引き合いに出したいのなら、せめて本の方を連想させる「文学」ってワードを出さないで欲しい。

    愚痴みたいになって恐縮ですが、まだまだろ過に手間取りそうです>_<

    一方で、言語学者だからか「おっ!」と思わせる言い回しにも直面する。
    今まで原書(自分の場合英語に限った話だが)を読んでいて挫折した主因は「状況が分からない」だった。語彙的な問題もあるけど、書かれた国の文化面で理解しにくいことが多かった。
    しかし著者はそれを「ワインの渋みのようなもの」と表す。
    「飲んでいておやっ?」と感じるもの、つまり変に意に介する必要はない。「我々が文化面で理解しにくいことイコールその地域らしさ」。だから丸ごと楽しんじゃえば良い。

    近頃外国語学習をサボりがちで、何か起爆剤になりそうな一冊を探していた。
    本書は学習への起爆剤にはなり得なかったが、原書に再チャレンジするヒントくらいは得られたように思う。色々書いたけど、結局著者の思うツボだったわけか。

    • ahddamsさん
      akikobbさん、こんばんは。
      言いたい放題のレビューをしてしまい、絶賛頭を冷やしています汗 専門分野であるスラヴ語圏や学習経験の話など貴...
      akikobbさん、こんばんは。
      言いたい放題のレビューをしてしまい、絶賛頭を冷やしています汗 専門分野であるスラヴ語圏や学習経験の話など貴重なエピソードも多く、その辺りは自分も惹かれました。つべこべ言わず、また他の著書にもトライしてみようと思います…
      …と思っていたところに、早速オススメ図書をありがとうございます!!高野さんが解説されているのなら、読まない手はありませんね♪
      実はこれから読む別の本の解説も高野さんが担当されていて、akikobbさんのご紹介でちょっと運命を感じました笑 『世界のことばアイウエオ』も取り寄せてみます。ご紹介いただきありがとうございました!
      2023/09/06
    • akikobbさん
      ahddams さん、こんにちは。

      別の本でも高野さん解説に当たっていたところだったとは、運命ですね…!
      高野さんは実用のために何語でも必...
      ahddams さん、こんにちは。

      別の本でも高野さん解説に当たっていたところだったとは、運命ですね…!
      高野さんは実用のために何語でも必要があれば学ぶ、黒田さんは言語好きだから使うあてがなくても興味があれば学ぶ、アプローチ真逆なのに言語付き合いが同じように多様という、面白いお二方ですよね。
      って、高野さんの本まだ一冊読んだだけであとはTwitterたまに見てるだけなのにすっかりファンみたいな口ぶりの私…。

      ちなみになんですが、言語習得ものでいうと『フィンランド語は猫の言葉』という稲垣美晴さんの本も、面白いのに本格的でした。そしてこの角川文庫の解説が黒田さんというつながりがあり、そこには黒田さんが昔稲垣さんの著書を読んで憧れたというようなことが語られていました。

      オススメ魔みたいになってしまってすみません。
      2023/09/07
    • ahddamsさん
      akikobbさん、こんにちは。
      黒田さんと高野さんの分析、まさに仰る通りですね!!おふたりとも言語へのモチベーションやベクトルは違えど言語...
      akikobbさん、こんにちは。
      黒田さんと高野さんの分析、まさに仰る通りですね!!おふたりとも言語へのモチベーションやベクトルは違えど言語への愛着も人一倍ありそうです。高野さんが『語学の天才まで一億光年』で述べていた「どの言語も美しい」には、きっと黒田さんも共感されることと思います。
      『フィンランド語は猫の言葉』…タイトルからもう可愛らしいですね♪黒田さんがどんな解説をされているかも気になります。
      いえいえ!語学習得ものに飢えているので、教えていただいてとても嬉しいです(*´-`)厚く感謝申し上げます…!
      2023/09/07
  • 久々にじっくり再読したらやはり面白かった。同年代の黒田センセは私と児童書の好みが似ていて勝手に親近感を覚えているのです。特にリンドグレーン好きなところ、ファーブルやシートンに興味がないところなんかが。細雪に登場するロシア人は実はウクライナ人ではないかなんて著者ならではのするどい読みで今のご時世もあいまって興味深かった。

  • 言語学者ってこういう発想なのか・・・唖然とする箇所あり、そうなのかもな、と納得する箇所あり。紹介される本の読み方、映画の着眼点の話を読んでいると控えめに言っても相当な変人、という気がするけれど、言語というものを心底愛しているのが伝わってきてとても面白い。

    歴史と関わり、風習や生活とも密接に繋がる言語は「ちゃん」という接尾辞ひとつ、人称代名詞ひとつ取ってもそれぞれ発想が違ったり重要視するポイントが違ったりする。言われてみれば当たり前。でもそれを言語学的に言うと?ということが素人にも分かりやすく、面白く紹介されている。著者本人も似たことを言っているように、相当はみ出し言語学者かも。

    つい真似して、異国の言語で物語を読んでみたくなる。

  • 外国語、こんな勉強法(親しみ方)もあります。

    外国語学習=会話がすべて、か? そうは思わない。検定試験を受ければ、外国語の力がついたことになるか。そうでもない。読書を通じて、しかも物語を通じて学ぶことの魅力をこれでもかと筆者は語ってくれる。言語、文学、歴史は、外国語を学ぶために必要なのだ。そして、それは魅力でもある。その言語に興味を持ったら、その言語の使われている文学や、背景の歴史も一緒に学ぶ。そういう勉強方法もあっていいのだ。

    翻訳について書かれたもの、とも言えるかもしれない。あまりに外国的な物語は、その文化固有のものや歴史についての注釈が多くなるから、翻訳には向かないか。人称代名詞をどう訳すか。星新一を、横溝正史を、三島由紀夫を、湊かなえを、松本清張を訳したらどうなるか。ソビエト文学の、地域の広さと、そこに現れている歴史的な解釈。様々な物語に出てくる「外国語」の存在感。谷崎潤一郎『細雪』に出てくるロシア人はウクライナの人ではないか説など、興味深く読んだ。

    英語でピーターラビットやのばら村など、小さい頃に親しんだ物語を読んで、無性に嬉しくなったことを思い出した。ハリーポッターは、話を知っている今でも、やはり英語で読むと面白い。ヨーロッパ四カ国語の子ども向け絵事典を、何度も何度も繰り返し眺めたのも楽しかったものだ。そういう自分の体験を、筆者が言い表してくれているような気がした。

  • 物語を通じて、言語学と語学を語る本。
    表紙のようなふんわりした伸びやかなイメージとは非なるものであった。笑

    著者はいろんな言語に造詣があり、扱えるレベルも差がある。
    しかしながら、言語習得の過程がなかなか面白い。
    自分が興味があり、内容を知っている本の、外国語版を読むことで理解を深めていくスタイルだ。
    映画も、字幕や音声の組み合わせを変えて何度も見たりと、日本の外国語学習が面白くない身としては「なるほど」と思ってしまう。
    単語も全てわかろうとしなくて良い、という記述にも天から光が差したようである。

    紹介されていた物語自体はほぼほぼ知らず読まずのものばかりだったので、
    学習法が参考になったかな。

  • なんとなくで手に取ってみたんだけど、面白かった!
    というか、レベルが違い過ぎておこがましいけど、私も語学勉強に、て小説読んでたので、同じだ〜、とちょっと嬉しい。
    読むスピードは日本語の3倍で、理解度は3分の1て感じでしたが…
    しばらく日本語の本の読みやすさに流されて外国語本読んでなかったけど、また読もう。
    ちなみに私としては村上春樹は外国語でも読みやすくて良かったな。あと漫画w
    推理ものは細かく理解してないとついてけないので、向いてなかった…

  • 映画や小説が外国語に興味を持つきっかになることは、多いと思います。それでも、TOEICや英検に挑戦することは無駄ではありません。スコアや級という目標があると原書を読破する、字幕なしで理解するという大きな目標に近づく助けになるように思います。それらが目的と化してしまっては本末転倒でしょうが、背に腹は代えられないというひとにとって、まずはスコアというのも致し方ないことと思います。

  • 騙されたと思って実践すると良い意味で騙される奴

  • 軽いエッセイ集。

  • どこまでも共感。黒田先生、ありがとう。

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著者プロフィール

黒田 龍之助(くろだ・りゅうのすけ):1964年東京生まれ。上智大学外国語学部ロシア語学科卒業、東京大学大学院修了。東京工業大学助教授(ロシア語)、明治大学助教授(英語)を歴任。現在、神田外語大学特任教授、神戸市外国語大学客員教授。著書に『ポケットに外国語を』『その他の外国語エトセトラ』『世界のことば アイウエオ』(ちくま文庫)、『外国語をはじめる前に』(ちくまプリマー新書)、『ロシア語の余白の余白』『外国語の遊園地』『外国語の水曜日 再入門』(白水社)、『はじめての言語学』(講談社現代新書)、『ぼくたちの外国語学部』(三修社)、『物語を忘れた外国語』(新潮文庫)など多数。

「2023年 『ロシア語だけの青春』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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