くたばれ地下アイドル

  • 新潮社 (2018年4月26日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (192ページ) / ISBN・EAN: 9784103517610

作品紹介・あらすじ

地下アイドル男子に、開かれていく心。気がつくと、イタい自分を忘れてた……。アイドルになりたい欲望って? アイドルを追いかける熱情って何なの? アイドルだって好きにしていいでしょ? 買いかぶることもないし、自虐になるのもいやだし、自由に暮らしていいよね……仕事じゃないから、ドルオタは! 日常にアイドルがある喜び。明日は誰を好きになろうかな――R-18文学賞読者賞受賞作を収録、POPで明るい初めての作品集。

感想・レビュー・書評

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  • 「アイドルはさー、娯楽として即効性があるんだよね。小説も映画も、労働ですり減った頭にはまわりくどいんだよ。」

    という、アイドルワンテーマの中編集。

    ・同級生が地下男子アイドルだった女子高生の話
    ・二人組ユニットで中学生アイドルとしてデビューしてからの怒涛の日々を振り返る話
    ・男性アイドルの「顔真似(化粧技術を駆使してそっくりにコスプレする女性ファン)」にハマった仮面就活浪人の話
    ・元アイドル二人組の息子と娘が怠惰な夏休みを送る話
    ・アイドル研修生を推しているOLが、自分に取ってアイドルとは何かを想う話

    の5篇。「推し」がいる人には深く刺さりそうな攻撃力高めで赤裸々な小説でした。ちょっと志村貴子味を感じる。

    表紙とタイトルから想像するような小馬鹿にするようなニュアンスは無かった。表紙は正直中身と合っていないと感じます。

    何かを好きでいることに対する真摯でまっすぐな態度と、遠い存在だったり近い存在だったりするアイドルと自分との距離を見つめる無常観が気持ち良い。
    余韻を残す締め方も好き。

    等身大以外の作風も是非読みたい。


    ところで自分はオタクだと思って生きているけど、二次元にも三次元にも「推し」を持ったことはないのです。
    物語を消費するのがほぼ全てのオタク活動なので、推しに人生をつぎ込む生き方には理解が届かない気持ちと憧れる気持ちとがあります。

  • アイドル、ファン、アイドルの子ども
    色んな目線で書かれたアイドルにまつわる短編集。

    読み終わるのがもったいないくらいおもしろかった。
    これはわたしにも推しがいるからなんだろうなあ。

    とくに最後の「寄る辺なくはない私たちの日常にアイドルがあるということ」には共感できすぎて痛くて愛おしい気持ちになったよ、、、

  • アイドルがテーマの短編集。SNSで話題になっていたので読んでみましたがなかなか面白かったです。アイドル当人、応援するオタク側、それぞれの心理や日常がリアルでイマドキ。え、ここで終わるの?という投げ出し方の結末のものが多かったけど、それもまあイマドキなのか。最後の書きおろし「寄る辺なくはない私たちの日常にアイドルがあるということ」が一番好きでした。私自身が今こんな感じのライトなオタクだからか、とても共感できる部分が多かった。

    以下収録作品備忘録メモ。

    「くたばれ地下アイドル」
    アイドルなんて興味のないサブカル系女子が、クラスの地味男子が地下アイドルをやっていることを知り、彼のキャラ付けのためにサブカル知識を伝授しているうちに、気づいたら彼にはまってしまう話。

    「犬は吠えるがアイドルは続く」
    こちらはアイドル自身の話。二人組女性アイドルのそれぞれの独白が交互に続く。一人はアイドルになるつもりなどなかったボーイッシュな美人。もう一人はアイドルになるための努力を惜しまないストイック型。一度ブレイクするもそのあと落ち目になり、しかし再ブレイク、二人のドライだけど唯一無二の関係性が良い。

    「君の好きな顔」
    趣味の良かったはずの親友が、突然アイドルにはまってしまって戸惑っている女子。しかしメイクすると自分の顔がそのアイドルに似ていることがわかり、少し気まずくなりかけていた親友とも再び蜜月に。SNSになりきり写真をあげるうちにすっかり人気者になってしまい…。なんともイビツな構図。

    「アイドルの子どもたち」
    タイトル通り、アイドルを親に持った子どもたちの話。二人組アイドルだった母親のそれぞれの娘と息子が、ひょんなことから交際することになる。だが男の子のほうは双子で、兄のほうはアイドル活動をしている。同じ顔の弟が、彼女とおおっぴらにいちゃいちゃしている写真を週刊誌に撮られたり、女の子のほうはクラスのストーカー男子にスマホを盗まれて写真をばらまかれたりして、結局二人は別れさせられる。

    「寄る辺なくはない私たちの日常にアイドルがあるということ」
    自分ではアイドルとうまく距離を取り無理な課金もせずほどほどに応援しているつもりだったのに、ちょっとしたきっかけで思いのほか自分が相手に依存していたことに気づいてしまう女性の話。「誠実なファン」とは何か、考えさせられる。

    彼女が応援していたアイドル研修生は結局デビュー出来ずに芸能界を引退してしまうが、彼女は最後に祈る。「この先の人生どうか誰もあの子を傷つけてくれるな」と。「寄る辺ないとは言えない私の日常に君がいたことで、色んなことがちょっとずつマシになっていったんだよ」という部分でちょっと泣いてしまった。たかがアイドル、されどアイドル。

  • 推しがいる人特にドルオタには刺さりまくる。めちゃくちゃ面白くてすぐ読めてしまった。軽快で飾らない文体も好きだった。

  • 装画という点では、この前に読んだ本と随分と対照的。表題作と書き下ろしの作品は正直イマイチでしたが、アイドルを軸にした短編集は、視点が多様で、純粋に面白かったです。
    2024/10/18読了

  • 5作収録。『くたばれ地下アイドル』面白い。これが1番好き。たいして接点のなかった同級生の男子は実は地下アイドルだった。妙にドキドキして心がざわつく。『犬は吠えるがアイドルは続く』結構面白い。女性アイドルユニットの話。『君の好きな顔』結構面白い。親友が急に男性アイドルにハマってしまった。『アイドルの子どもたち』問題作。多目的トイレでセックスしている時点でアウト。『寄る辺なくはない私たちの日常にアイドルがあるということ』結構面白い。「推し燃ゆ」っぽい。(総括)⇒表題作がR18文学賞受賞作。アイドルというテーマでバリエーション豊富に書けていて面白かった。女性陣が全員口悪いけどイマドキっぽい作風に合っているのかも。「コミカルでちょっとエロ」なフィーリングで読んでいたが、意外と深い。次作があれば読んでみたい。

  • アイドルをテーマにした短編集。
    タイトルと内容はあまり連動していないようで、愛情の裏返しのようなタイトル。
    共感することしきり。
    オタクはアイドルのステージを観て泣けるとともに、アイドルが取捨選択してきたもの、アイドルの喜怒哀楽を勝手に想像して物語を作って切なくなる。というのがわかりすぎる。
    自分の人生よりアイドルの人生に一喜一憂している。
    (図書館)

  • 何か劇的な出来事が起きるわけではなく、日常ベースで語られていく物語だったが、それがかえってリアリティを産んでいると思った。

  • 主人公たちの流れるような一人語りとか豊かな描写にストレートパンチを食らった気分。アイドルにハマって浅いニワカだけど、私含めアイドルとその周りはなんともまあ奇妙な生き物なのかと唾を飲んだ

    R-18文学賞が気になって読み始めた短編集だったけど、これはかなりビターな大人味でした

  • 「アイドル」をテーマにした短編集。
    パッとしない同級生男子が地下アイドルをしている。それを知った私は彼の活動を見に行ったり、お昼休みを一緒に過ごしたりした。アイドルなんてくだらないと思いながら。
    アイドル活動をするヒロインの日々、友人の気を引くために男性アイドルの顔真似をする女子大生、
    元アイドルの母親を持つ中学生二人が付き合い始める話、まだ研修生の男の子を推すドルオタの話など。
    ままならない生活とその中のアイドルという存在が絡み合って、面白かった。

  • 短編集5篇
    アイドルだったり、元アイドルの子どもだったり、ドルオタだったりアイドルに絡めた小説。ちょっと冴えない同級生がまさかの地下アイドル?という表題作が良かった。

  • アイドルがテーマの短編集。
    文章読みやすくて同じアイドルテーマでも地下からトップ、ファンまでいろんな切り口なのはよかった。長編または連作短編集だと思ってたからもっと掘り下げてほしいところでぶつ切りになったのは残念だった。
    装丁が悪い。タイトルしか聞かずに作られたイラストなのか話と全く合ってなくて、無地のほうがまだまし。文庫化に期待。

  • 今一部の界隈で話題の「たぶん私たち一生最強」の小林早代子のデビュー作。
    この本の出版が2018年なので、6年かかっている。
    とうぜん小説家としては食えないから働きながら書いて、苦労したんだな。

    表題作を含めた五篇からなる、アイドルをモチーフにした短編集。

    その「くたばれ地下アイドル」は、第14回女による女のためのR-18文学賞読者賞受賞作で、ずいぶんハードルが低くなったなと思うほど出来がひどい。

    しかし、書かれた時系列どおりに配置してある短編を読むと作者の筆力がだんだん上がってきているのがわかる。

    「犬は吠えるがアイドルは続く」は、まだどこかで何冊も読んだことがある、テンプレートのような女性作家の文体。

    だが、ラストの「寄る辺なくはない私たちの日常にアイドルがあるということ」は著者独自の言いまわしが顔を出し始める。

    それは、この短編で描かれている記号としてアイドル候補の事務所の研修生が、一皮むけてアイドルらしさを習得していく過程に似ている。

    最新版合コンさしすせそは若干無理して作り出した気がするが、お腹は減らないが「アイドルが減った」や寝起きの「アイドルはレッドブルのウオッカ割りとだいたい同じくらいに効く」など、うっすいアイドル推しを自認している主人公の女性のモノローグは、独自の方向性を見出したようになめらかだ。

    最後に出版社へ、このクソみたいな表紙のイラスト、なんで起用したの?
    ふつうに読む気失せるわ。


  • メンズ地下アイドルをしている同級生、二人組のアイドル、アイドルに似せた写真を載せる就活生、アイドルの子供たち、研修生しか興味を持てない

  • 最後の話が一番好きだった(というか共感できた)
    好きだけど推しだけど全てを渡して人生の舵を取られたくないと思うのは確固たる自分がないからなのかもしれない。

  • R18文学賞
    うーん……

  • 連作短編なのかと思って読み始めたら違った。読者賞取った作品はそれなりに良かったけど…読んでてだるくなる感じ

  • R18文学賞受賞作。
    個人的にはアイドルの子どもたちがすごく好き。

  • R-18読者賞受賞作。デジタルネイティブとして育った自分が目で見て感じたものを作品に残したいとラジオで聴いて。数年後その感覚や風景が古いと言われても、今を書きたいと。アイドルをモチーフに時代を切り取った短編集。ダイレクトな心理描写は少なく、光景や淡々とした会話で展開される。疾走感が心地よい。作者のゴリゴリの読ませたいあざとさもなくて好みなのだが、如何せん、呈される時代物の素材が持つニュアンスや価値が分からない。入ってこない。まるで記号のようで残念。92年生まれの息子と同年齢。なるほど。次作も読んでみたい。

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