一発屋芸人列伝

  • 新潮社
3.60
  • (42)
  • (102)
  • (84)
  • (20)
  • (7)
本棚登録 : 794
感想 : 122
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103519218

作品紹介・あらすじ

世の中から「消えていった」芸人たちのその後の人生を、自らも「一発屋」を名乘る著者が追跡取材。これまで誰も書いたことがなかった彼らの現在は、ブレイクした“あの時"より面白かった?!涙あり笑いあり、そしてなぜか生きる勇気が湧いてくる。時代に翻弄されつつも必死に芸に生きる、どうしようもなく不器用な人間たちに捧げるノンフィクション!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 髭男爵の山田ルイ53世が、一発屋としてブレイクした芸人たちにおこなったインタビュー集。髭男爵自体も一発屋として認知されているが、冒頭でも書かれている通り、そのブレイク度具合の差は大きい。しかし、このインタビューは、ほぼその後どうしたか話に焦点があてられている。
    「人生は続く。本書で描かれるのは、サクセスストーリーではない。一度掴んだ栄光を手放した人間の、“その後”の物語である」
    冒頭で書かれるている通り、売れたときの話があっても、その後の人生も続く。そして、その姿をリスペクトしながら書いている…とは思う。
    インタビューとしては、フラットではなく、それぞれの人への想いというか気持ちがストレートに出たものである。波田陽区に対しては、山田ルイ53世らしい負のツッコミで、ホントに嫌そうな感じであり、テツ&トモにはストイックさへの畏怖と呆れがあり、ムーディー勝山と天心木村の話では、呆れつつも、芸人の姿勢として最後にうまく落とす。
    時折、おもしろいフレーズが出てくるのは、さすがだし、テンポよく読み進められる。人生にあがく姿とは言えるものの、どこかしらユーモアが漂うのは、実際の芸人達の生き方もあり、筆者の筆致によるものもありで、その結果、軽い感じながらも生きていくってことを考えさせるとこがあると思う。

  • 一発屋芸人だって生きている!

    自らも一発屋である髭男爵の山田ルイ53世が、その昔一世を風靡した芸人さん達にインタビューしたノンフィクション。
    知っている人も知らない人もいたが、いろんな人の人生を知ることができて興味深い。
    山田さんの文章は好み。
    教養とお笑いセンスがにじみ出てて笑うと同時に感嘆。
    でもやたら筆者は~筆者が~とご本人がしゃしゃりでてきていたな。読者の「うるさいよ!」のツッコミ待ちと見た。
    読了後は芸人さん達に親愛と敬意を覚えた。
    それでもなんとか生きている人々への人間賛歌だと思う。

  • お笑いの一発屋の面々を、お笑いコンビ「髭男爵」の山田ルイ53世がインタビュー、紹介する。

    一発芸人って、一般的には面白くなかった人のように扱われるけど、かなりの努力をしたうえで、ビックウェイブを手にいれた人達で、アスリート並みの偉人だと思う。

    ただ、一般常識的には、はみ出ている人達、会社務めしていたらダメと見なされるような人達でもあることは確か。
    だけど、芸人ってそれくらじゃないと務まらないし、そもそも面白くないだろう。

    その中で、波田陽区、コウメ大夫の計算外のあたりぶり、天然ぶりこそが、ある意味すさまじいのではないかと思った。

    筆者はさすが現役の芸人だけあって、一発芸人たちのインタビューに絶妙なツッコミをいれる。
    これが面白い。

    プロの目線でクールに批評しつつ、きちんと読者についてこれるように。
    まさにお笑いで培った技なんでしょう。

    そして、同業者に対して、ほとんど成功する方が珍しいお笑いの中で頑張っている、同志たちへの愛を感じらえるところが良かったです。

  • 誰もが知る一発ギャグを発案し、世間に浸透させたあと、2発目を出すことなく、世間から見なくなった芸人。彼らは一発屋と呼ばれ、笑いものにされる。なぜか、その見下し方は一発も当てていないゼロ発芸人よりも低い。一発当てて、流行語大賞も取った。それで充分だと当人が思っていても、そんな理不尽な見方をされてしまう。それでも、彼らの芸人としての人生はまだまだ続く。

    そんな不当な評価にさらされながらも、芸能界にしがみついている一発屋芸人たちを同じく一発屋芸人である著者がインタビューする本書。登場する芸人たちはレイザーラモンHG、コウメ太夫、ムーディ勝山などの誰もが知る一発屋たち。

    そんな芸人たちにとって、一発屋であった過去の自分が今の最大の持ちネタ。そんな強力なネタにプラスできる何かを探して日々、格闘している。その姿こそが、一発屋芸人のアイデンティティだ。

    そして、一発屋芸人「髭男爵、山田ルイ53世」である著者は本書を通して、自らの文章力をこれでもかと見せつける。これぞ、一発屋芸人の求めるプラスアルファだ。

  • ネタ見せ番組というのはなんというか、
    バラエティが行き詰まった時に代わりの突破口として現れ
    一発屋芸人はそれとともに社会に溢れ出た。

    売れるべくして売れたというよりは
    売るものがない中で、探し当てた一つの水脈が噴出したという形で
    社会構造というか、マーケティング的な情勢の中で巻き起こった現象に思える。

    この本は、著者自身一発屋芸人として、一発屋芸人にインタビューしている。
    こういう形での語りと聴き取りはほっておけば消えてしまっただろうから
    とてもよい企画だと思う。

    本人の努力もなければそもそも板の上に立てないのだから、
    みんな頑張っている。それでも、前述の通りの印象から
    社会現象に巻き込まれてしまった人のようにも見える。

    それが、このミクロな聴き取りでは非常に多様で自由なあり方が見える。
    最終的にはやはり翻弄されてはいるんだけれど、
    どっこいそれでも生きている、という感じのするこの
    一冊はとても民衆的な芸能風俗を描いている。

    少々ベタなツッコミも多いが、その辺も含めて、
    軽さが翻弄される僕ら自信を少し楽にしてくれる気がする。


    >>
    「一発屋の人なら分かると思うんですけど……」
    道連れにしたいのか、会話の合間に時折差し込む波田。
    (共感したら終わりだ!)(p.139)
    <<

    ギター侍とのサスペンス溢れる会話。

    >>
    「失敗して、『見えてしまった!あちゃー』……やるのは簡単ですけど、それをやると僕の場合、先がない気がする。どれだけ見せずに色々遊べるか……そこを突き詰めたい」
    頑固な職人、あるいはアスリートと話しているような錯覚を覚え、無意識に背筋が伸びる。(p.184)
    <<

    とにかく明るい安村の話だが、全般的にそれぞれのプロ意識が垣間見える。
    お仕事本としては外せないやつです。

  • 山田ルイ53世さんのラジオを聴いていました。
    話がとても上手く、話芸だけでもいつか再ブレイクするのではと思っていました。
    伊集院さんもそうですがラジオで話すのが上手い人は文章を書くのも上手いんですね。
    自身が一発屋芸人であるからこそ、取材対象を落とすでも上げるでもない良い心地良いバランスで書き上げています。
    一発屋芸人への愛に溢れた作品です。
    山田ルイ53世さんにしかこの本は書けないですね。
    あと、オチが異様にうまい。

  • ノンフィクション、ではなくエッセイ。レイザーラモンHG、コウメ太夫、波田陽区、テツandトモ、そして自ら髭男爵、インタビューをもとに構成されている。けれど、全体の印象は、彼らをネタに書かれた、山田ルイ53世の「執筆芸」的なもの。読後感で残るのは、山田さんの文章力。文章力というかコメント力かなぁ。ひな壇でうまいこと言いそうな。ネット社会では、芸人は消えない。ずっと残る。なので、“一発芸人”というカテゴリーは絶好の食い扶持であり、それこそ消えていってほしくないもの、なのかもしれないなぁ。

  • こねくった文章がおもしろいなー。

  • 一発屋芸人について一発屋芸人が書いた本。過去そんな本はなかったのではないでしょうか?

    一発屋芸人といっても、多種多様。別のフィールドで成功している芸人、メディア露出が減っただけで全国各地で活躍している芸人、東京から地元に戻っている芸人、期待通り(?)鳴かず飛ばずの芸人。その後は様々な芸人人生を過ごしておられます。同じ目線で描いているからなのか、溢れる愛情を持って書くわけでもなく、完全に客観視して書くだけでもなく、時には大げさに、時には小さく、持ち上げては落とし、落としては持ち上げての文章は、自らが一発屋であることを暗に示しているのでしょうか?そして最後は自らで締めています。自らといっても多くは相方についてのコメントで、これもまた愛情があるのかないのか?良く分からない内容です。

    ”とにかく消えた、死んだと揶揄されがちな一発芸人ーーー筆者はそうは思わない。取材を通じて感じたのは、真逆の何かである”
    本書の冒頭の言葉の通り、一発屋芸人とは、その言葉でひとくくりにできない存在ということが分かります。

  • 自らも一発屋芸人だった著者の一発屋芸人裏話。そこそこ面白いが、著者の処女作で自伝の「ヒキコモリ漂流記」には及ばない。この山田ルイ53世や、やはり一発芸人だったヒロシはお笑いでブレイクした後失速したが、その後著作やソロキャンプなどで独自の世界をつくり出している。何かそもそもの本来の自分に出会ったというか、すごく味のある人間になっている。ヒロシの衛星TV「迷宮グルメ異郷の駅前食堂」は今一番好きな番組である。いろんな国の駅前をぶらつき食堂でその国の料理を食べる。何の準備も目的も無い行き当たりばったり感がいい。

全122件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

山田/ルイ53世本名・山田順三(やまだ・じゅんぞう)。お笑いコンビ・髭男爵のツッコミ担当。兵庫県出身。地元の名門・六甲学院中学に進学するも、中学2年に引きこもりになり中退。大検合格を経て、愛媛大学法文学部に入学も、その後中退し上京、芸人の道へ。「新潮45」で連載した「一発屋芸人列伝」が、「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」作品賞を受賞し話題となる。

「2018年 『ヒキコモリ漂流記  完全版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

山田ルイ53世の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
角幡唯介
塩田 武士
横山 秀夫
三浦 しをん
小野寺 史宜
又吉 直樹
川越宗一
ヴィクトール・E...
今村 昌弘
劉 慈欣
又吉 直樹
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×