犬も食わない

  • 新潮社
3.49
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本棚登録 : 799
感想 : 88
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103521419

作品紹介・あらすじ

どんなに一緒にいても、こんなにも分かり合えないのは何故――? 「結婚とか別れ話とか、面倒な事は見て見ぬふりでやり過ごしたい」「ちゃんと言ってよ。言葉が足りないから、あたしが言い過ぎる」――脱ぎっ放しの靴下、畳まれた洗濯物、冷えきった足、ベッドの隣の確かな体温。同棲中の恋人同士の駆け引きを、クリープハイプ・尾崎世界観、千早茜が男女それぞれの視点で描く共作恋愛小説。

感想・レビュー・書評

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  • 尾崎世界観さんと千早茜さんの共作恋愛小説。同棲中のカップルそれぞれの視点による掌編が6回分(計12本)と間奏という小文2本の構成で、ふたりの出会いから別れまでの関係が描かれる。また、装丁の男性は雪下まゆさんというイラストレーターの作とのこと。生写真のような光の当て方で描かれた写実主義的な作風にすごく惹かれた。

    物事にはそれぞれの言い分があり、全体を通して口が悪いふたりの本音の応酬という感じが小気味よい。同じシーンをそれぞれの視点から覗き見れば、思っていても口には出さない気持ちがあることがわかり、その隠した部分と相手に突きつけた部分のバランスがすごく人間らしくていいなぁと感じる。一方で、不器用な男女がそれぞれの思いをちゃんとぶつけ合えていたら、結末は変わっていたのかもしれないなぁとも思う。

    ベタベタな恋愛小説とは違う、イライラのなかに沈みこんでいるくすぶりのような愛情が描かれていて、その低めの温度感がちょうどいい。ダメ男が出てくる小説が好きな僕にとって、口下手でめんどうくさがりで言い訳がましく、自分を甘やかす方向に流されてしまう大輔は、とても他人とは思えない良いキャラクターだった。

    夫婦喧嘩は犬も食わない、と言うが、その食わない部分を煮詰めて小説にしたらこんな感じになるのだろうか。他人ごとだからかもしれないが、それは食べてみると意外とおいしい珍味のようなものだと感じた。

  • 千早茜×尾崎世界観の掛け合いにしびれた
    ふたりの毒々しく痛い切り取り方が好きだな

    ~結局、あたしにとっての恋愛は、自らの期待との戦いなのだ。(ひとり相撲より)

  • 尾崎世界観氏好きの友人がよかったと言っていて、手に取ってみたらハマり過ぎて一気に読んじゃいました。
    文章が静かでいて激しく、痛くて、辛くて、身につまされる。
    大輔のような男を好きになったことはないけれど、それでも福のほとんど全てに共感できて、あぁ、薄々は気づいていたけれど、私は典型的な面倒くさい女なのだ、と確信することになる。
    感情的になったって、何ひとついいことなどない、それは分かっていても湧き上がるエモーションはいつも止められず、いつも辛さや悲しさだけが残る。

    知りたいし、答えて欲しいのに、結局それを提示されたって信じられないのだ。
    だからこそ、“恋愛は、自らの期待との戦い"のフレーズに妙に納得してしまった。

    千早茜さん、初めて読んだけど素晴らしかった。
    尾崎世界観は、少しわかりにくい表現が時々あって読み返したりしたけど個性のある文章でした。

  • 「だめな男」と「めんどくさい女」。同棲中の恋人同士の本音を男女それぞれの視点で描く、究極の共作恋愛小説。

    男女のどうしようもない日常を男目線、女目線で交互に書き上げた共作。男ってそうだよな~、女ってそうだよな~と決して万人に当てはまるものではないけれど、少なからずそう感じてしまうところがある。ただ、この物語の男女は少し両極端で、お互いを必要だと思っているのに疲れてしまいそうだなと感じる。合ってなさそうで合ってはいるのだろうなと思う。
    結局、犬も食わない展開なんだけど、双方の思考や感情の交錯を楽しむ感じです。
    千早さんはさすがの文章力。読みやすいです。尾崎さんは情景描写がわかりづらいところがあるけど、そのほかの文章力は素晴らしく、独特さがちょくちょく顔を出す感じが好きです。最後の手紙はクリープハイプの歌詞のようだなと思いました。

  • クリープハイプの曲がすごく好きで、期待して読んでしまったから思ったよりでちょっと残念だった。
    尾崎さんのパートは少し説明不足で読みづらさを感じました。最後の手紙のところとかはどこからが手紙の内容なのか、ん!?ってなったり。
    2人が付き合った理由とかも知りたかったな…
    ちょっと説明不足感が強すぎてこれってパート2とかなのか!?と思った。

    登場人物については、とにかく彼女がヒステリー過ぎて生きづらそうだった。複合施設に彼氏作業着で来ててブチギレとかあんまり共感できなかった。
    でも周りにこういう子いるよね。私はこれだけやってあげてるのになんでやってくれないの?っていう。器の小さい。
    自分だけ清潔だと思ってるような子。
    私だったら帰ってきて毎回怒鳴られるような彼女絶対嫌だー!!!

    とりあえずこのカップルみててコミュニケーションって大事だなと思った。

    でも読んだ後これだけ色々感想が湧いてくるからいい本だったと思う。
    彼氏も結局はちゃんと彼女のこと好きだったのねっていうとこもなんか救われた気持ち。

  • 面倒くさい女とダメ男の話。両方からの視点で描かれていて、互いの気持ちが感じられ面白かった。つい、女性側の立場で読んでしまっていたけれど、最後「結局元に戻るのかい!犬もくわねぇよ!」と思わずタイトルを叫びたくなった。著者二人の思う壺かな?笑

  • 千早茜さんと、クリープハイプの尾崎世界観さんの共著。
    ダメ男のドカタとめんどくさい女秘書、というちぐはぐカップルの日々が交互に綴られています。
    お互い仕事中に正面衝突した最悪の出会いから、いつのまにか付き合いが始まっていつのまにか同棲していたというちょっとポカーンな展開ですが面白かったです。
    無口で無気力な大輔の悪いところばかりが目に付き、普段から責めるようにまくし立てまくる福。二人の日常はまったく噛み合わない。
    犬みたいに扱われても何も言い返さない大輔は不思議だし、福だって一体どうしてこんな甲斐性も将来性もない男とずるずる付き合ってるんだ?と、お互いの惰性に読んでいて疑問符ばかりがつきイライラも募るのですが、なんとなく気になったままいつのまにか読み終わっていた。
    福が風邪ひいたときのエピソードが好きです。自分の夕飯のことだけ気にしてんじゃねえぞ!と高熱で朦朧としながら冷蔵庫をあけたらイチゴ味のヨーグルトやアイスがたくさん詰まっていた。床に座り込んで泣きながら食べる福と、その姿をみつけて黙って抱き寄せる大輔は、そのときばかりはお似合いの彼氏と彼女にみえた。

    それにしても尾崎世界観さんの文体がやたらまどろっこしいわりに重要な部分の言葉は足りずとにかく読みにくくてやっぱり合わないと実感。
    千早茜さんだけで書いて欲しかったのが実のところ。

  • 尾崎世界観さんも、千早茜さんも初めてでした☺️
    あらすじを見た時点で絶対読むって決めていました。
    お互いの曖昧な関係や感情を、絶妙にリアルに表現していて、なおかつどこか共感できるところがあって読んでいて胸が痛くなりました

  • ありふれた日常。出会い、同棲、喧嘩、すれ違い、でも離れられない二人。

    まさに、犬も食わない。

    結婚して十数年も経つと、この本の描写が日常であり、あまりになんとも思わず読み切ってしまった。そういうもんだよ、と。

    読む世代やタイミングを選ぶんだろうな。結婚とかカップルとかに夢や幻想を抱く人にはぜひ読んでほしい。この本を読めば、他人と生きることがどういうことか、体験ができるだろうな。

  • ミュージシャンだから書けるのか、アーティストだから書けるのか…、恐るべし尾崎世界観☺️

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著者プロフィール

尾崎世界観 (おざき せかいかん)
1984年生まれ。クリープハイプのボーカル・ギター担当で、作詞作曲、バンドのフロントマンも務める。2016年には半自伝的小説『祐介』(文藝春秋)を刊行し、小説家としてもデビュー。ほか、日記的エッセイ集『苦汁100%』『苦汁200%』を刊行している。2019年7月26日、雑誌「ダ・ヴィンチ」連載エッセイを元にした『泣きたくなるほど嬉しい日々に』を刊行。

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