第160回芥川賞受賞 1R1分34秒

著者 :
  • 新潮社
3.03
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本棚登録 : 510
レビュー : 85
  • Amazon.co.jp ・本 (140ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103522713

作品紹介・あらすじ

なんでおまえはボクシングやってんの? 青春小説の新鋭が放つ渾身の一撃。デビュー戦を初回KOで飾ってから三敗一分。当たったかもしれないパンチ、これをしておけば勝てたかもしれない練習。考えすぎてばかりいる21歳プロボクサーのぼくは自分の弱さに、その人生に厭きていた。長年のトレーナーにも見捨てられ、変わり者のウメキチとの練習の日々が、ぼくを、その心身を、世界を変えていく――。

感想・レビュー・書評

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  • あんまり深読みできなくて申し訳ないきもち。
    自分なりにボクシングという競技と真摯に向き合った時期があるので、ただただ、うへえ、わかるなあ、という文章がつづいた(ボクシングがわからないひとにはオススメできない)。
    殴られた試合のビデオを見返しているときや減量に取り組んでいるときの、思考が行ったり来たりする感覚は、文章にするとこうなるのだなあと新鮮なきもち。おもしろかった。

  • 第160回芥川賞受賞。デビュー戦を勝利で収めた後、負けが続いているボクシング青年。負けを引きずり、トレーナーにも見捨てられる。新しいトレーナーと練習を始め、変わってゆく、前に進んでゆく。
    ボクシングについてはわからないけれど、青年の心、心が折れてるところ読み込みました。若い人の文章って感じ、ボクシングを通じた青春ってところ、「人生は長い」なんてね。信頼のゲームとか、「裏切りなんてのはない〜生理的ペースが合わなかっただけ」とか若者にしては大人だなあなんて。

  • よくわからなかったけど、そんなに面白くなかったけど、この感じ、嫌いじゃないね!ライセンスは取ったものの、負けが込んでるボクサーの話。ひらがな多用だったり、文章自体は易しいのだが、紡ぎだされた文字をじっくり考えてみると??脳内に小宇宙が...。理解を深めづらい。私がボクシング自体『はじめの一歩』の漫画くらいしか知らないし、芥川賞も2作しか読んだことのないシロウトだからか。しかし外国の音楽がなんかいいね!みたいな雰囲気というか、リズム感と流れは感じ取られる。そしてトレーナーのウメキチがなんか好きだった。

  • ボクシングが分からないと読み進めるのがきついかもしれない。何を伝えたいのかよく分からなかった。

  • 第160回芥川賞受賞作

    ニムロッドに比べたらすごくわかりやすい。普通に読みやすいし、感情移入もしやすい。
    ともだちが映画で賞をとったっていったときに嫉妬が勝ったっていうシーンがすごくすき。そのあとともだちが嘘だよっていうのも、どっちが本当かわからないけど、きっととったのかもしれないっていう嘘だよって切なくて、すごく好き。
    ガールフレンドの描写もいい。
    自分の弱さに、人生という儚さに、日々にげんなりしている方へ。

  • 4回戦ボクサーの独白形式の純文学。
    芥川賞受賞作品ということで、読んでみた。

    ボクシングのことがよく知らないとあまり面白くないかもしれない。ただ、試合前の緊張感や壮絶な減量など、自分が経験しているかのように感じられるほど臨場感があった。

    結構面白かった。
    1冊の単行本だけど、短編ですね。

  • 第160回(2018年下半期)芥川賞受賞作

    最近の芥川賞は文章は読みやすく、一気に読んでしまいました。
    物語としては、初戦しか勝ったことがない4回戦プロボクサーの焦燥感がよく描かれていたと思います。
    純文学として見ると、漢字の使用の仕方や現実と心象の混ざり具合が特徴かと思います。
    読みにくい人名などにもフリガナがないのに対し、心象描写においてはあえて簡単な単語を平仮名で表記するなど、メリハリというか、緩急というか、効果的な感じがしました。
    現実の人物である、主人公の映像を撮り続ける大学生の友人や新トレーナーのウメキチ、セフレ的な友人としての彼女などの存在や実際のトレーニングシーンなどは映像的な感じがあって、心象風景との対比となっているようにも感じました。

  • ボクサーという存在には、憧れますね。男として生まれた以上(いやでも、女性でも、もしかしたら?)、ボクサーに憧れないなんて、そんなの無理、ってくらいに、憧れる存在です。そのストイックさ。栄光と挫折の雰囲気。自らの拳に全てが懸かっている、という重さ。いやあ、ボクシングって、凄い。

    で、このボクシング小説、なんだがめっちゃ文学的、っていうか、こう、めっちゃ頭で考える系ボクシング。そらねえ、小説なんだし、そらそうか。華々しくは、全然、ねえなあ。漫画で言うなら「がんばれ元気」「はじめの一歩」よりは、「太郎」寄り。な感じ?「あしたのジョー」的でも有るかなあ?映画で言うと「キッズ・リターン」な感じは、間違いなく有り。「ロッキー」シリーズで言うと、「1」あたりな雰囲気?なんでしょうかね?「レイジング・ブル」は未見ですまん、って感じです、、、すまぬデニーロ。

    小説として面白いか?と言われると、うーむ、すまぬ。そんなにグッと来なかった、というのが、正直な感想です。すみません。生意気言って。でも、ボクシングという競技と、ボクサーという人々に関しては、大変に興味深く共感できました。試合に負けた時の映像を観返している時の心情とか、減量中の、多分半端ないであろう飢餓感と、ある意味ハイになってトリップしているような心情描写ですとか、ありゃあ、興味深い。ボクシングに魅入られたら、どうしようもなく、最高なんだろうなあ。それって、ある意味、ロックンロールに魅入られたバンドマン、と、近いような気もしました。

    あ、主人公の、「女のこはすごい」って言っちゃう、あの感じ、なんだか、ゴイステ~銀杏BOYZの峯田さんと、めっちゃ感じが似ていた。というか、文章が似ていた。峯田さんを連想しまくってしまう、あの感じ。良いなあ~って思いながら読んでいましたね。もう、好きですね。女のこって、すごいよなあ。かわいい、ってすごいよなあ。マジでそう思うのですよね。

    あ、この小説内の文章で、やたらと「その単語は、普通は漢字で書くのではないのかなあ?」という言葉が、敢えて?ひらがなで、書かれている、という文体。これって、作者の町屋さんとしては、自然にそうなるのか、それとも、何かを狙っての書きかたなのか?そこらへんが、よく分かりませんでした。でも、新鮮でした。「何故にこの単語をひらがなで書くのか?」という感じ。いやあ、不思議だった。それも個性なんだろうなあ。面白いですね、文体って。文は人を表すのだろうなあ~。

    あ、そうそう、ウメキチは、主人公が、ジムに体験入学した女の子にちょっかい出したときに、ホンマに何を感じたのか?あんまり、よお、わからんかった、、、すまぬ。アレって「俺は全然モテないのに、お前だけ可愛い子と上手くやりやがって!ちくしょー羨ましい悔しい!」ってことを、感じただけなんでは?あの、二人でロードワークした時の、あの会話。あのウメキチの告白。アレの意味がいまいち、わからぬ、、、すまぬなあ、そんな読解力だった。

  • 試合のたびに人生を凝縮して生きているかのようなボクサーのルーティーンが、外側の事情と内側の情緒が、日程に沿って描かれる。
    ドキュメンタリーからはどこまでも遠く、主人公の気質を表した夢、変わった友人、主人公の心の繊細な情景が文学たらしめてる。この本、好きだ。
    ボクサーという人種のことを好きになる。
    心が温度を持つ。

    試合前に夢の中で対戦相手とパートナーになってしまう四回戦ボーイ。
    熱狂なんてどこにもない粛々とこなすボクシング。
    はっきりとした切れ間もなく淡々と流れる日々/思考。
    そんな彼に徐々に光が射していった。
    ジメジメとした内省が晴れてゆくその様は確かに青春だった。

    数々のたらればを振り切って、数々の可能性を束ねて繋げてその先を歩くために、勝利が必要で
    そんな勝利を欲しがる動機がとてもまっすぐでよかった。

  • よくあるボクシング物語といえばその通り。
    ボクシングをやる人の気持ちというのは共感ができない部分が多い。なぜそこまでして戦うのかわからない。
    それでもかっこいい。トレーナーと2人で孤独な世界を生き抜く姿は憧れる。
    読み終えた時、自分は間違ってないと思えたし、活力を引き出してくれた。

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著者プロフィール

町屋 良平(まちや りょうへい)
1983年、東京都生まれの小説家。「青が破れる」で第53回文藝賞を受賞してデビューし、同作で第30回三島由紀夫賞候補に選ばれる。2018年、「しき」で第159回芥川龍之介賞候補に選ばれ、続く「1R1分34秒」で第160回芥川龍之介賞候補になった。

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