うちのレシピ

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 74
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103523314

作品紹介・あらすじ

ハンバーグ、すき焼き、マーブルクッキー……。家族を救った食の記憶。街中で小さなフレンチレストランを営む父母、そしてウェイトレスの娘。料理人として勤務する若き青年とその両親。2人の結婚が繫げる2つの家族は、背負う過去も、抱く未来も違う。けれども、いつもいつでも、受け継がれてきたレシピから産まれるお料理で絆を育んできた。救済と再生、そして美味しい魔法にみちみちた6つの物語。

感想・レビュー・書評

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  • 街中の小さなフレンチレストランのひとり娘と料理人として働く青年の結婚。
    背負う過去も、抱く未来も違うふたつの家族を繋げるのは―。

    ハンバーグ、すき焼き、マーブルクッキー……。
    家族を救った食の記憶。
    街中で小さなフレンチレストランを営む父母、
    そしてウェイトレスの娘。
    料理人として勤務する若き青年とその両親。
    2人の結婚が繫げる2つの家族は、背負う過去も、抱く未来も違う。
    けれども、いつもいつでも、受け継がれてきたレシピから産まれるお料理で絆を育んできた。

    ・午前四時のチョコレートケーキ
    ・真夏のすきやき
    ・雨上がりのミートソース
    ・花婿のおにぎり
    ・コンソメスープとマーブルクッキー
    ・ハンバーグの日

    フレンチレストランで働く啓太。
    オーナーシェフで看板娘の真衣。
    それぞれの家族を取り巻く6編の連作短編集。  
    二つの家族の三代に渡る三十年の物語。
    家族の形がドンドン変わっていく。
    そこにいつもあるのは食事の記憶です。
    優しいだけじゃない、家族ならではのすれ違いが描かれていた。
    最後の二話が好きでした(*´▽`*)
    舞台がレストランなので美味しそうな食べ物が沢山登場し、
    食べたくなるし、作りたくなりました。

    瀧羽さんやはり優しい物語を紡ぎますね♪

  • カバーの料理の絵がめちゃ美味しそうで、瀧羽さんだし面白そうだなと読み始めたらまさに!でした。フレンチレストランを経営する両親を持つ真衣と母がバリバリのキャリアウーマンなので、父が家事全般を担っている両親の元で育った啓太のお話ですが、啓太や真衣だけではなく親からの目線の話を織り交ぜた6話の短編集です。
    2つの家族が、子供達の結婚によって1つになっていく暖かいお話でした。

  • ファミーユ。

    啓太と真衣、両家の初顔合わせ・・・気まずいだろうなぁ。

    読者もまず、この感触から。

    決して長い小説でないが、6編の中に、50年以上の、ファミーユ(2家族とフレンチレストラン)の“とき“。

    構成がよく、読みやすい。2家族6人の人がら、人生を垣間見た感じ。

    好みとしては、⑤に出てくる4歳の“亜実ちゃん“がとてもかわいい。ほっこりする。

    さてさてさん、本棚からピックアップさせていただき、楽しく読めました。ありがとうございました。

    【あらすじ】(冒頭のみ)
    ①午前四時のチョコレートケーキ
    柱時計が3時を告げる。正造さん、芳江さん、そして僕と真衣、横に座っている父は、3時間も待たされて、全員が時計を見つめる。

    ②真夏のすきやき
    午後3時。柱時計が鳴り、芳江が予測した通りに厨房のドアが開き、真衣が話しかけてきた。

    ③雨あがりのミートソース
    啓太は去年と違って振り向かなかった。雪生は息子の成長を感じながら、他の母親たちと教室を後にした。

    ④花婿のおにぎり
    一時間遅れで成田空港に着いた美奈子は急いで自宅に向かう。遅刻常習犯だが今日だけは遅れられない。なぜなら今日は・・・。

    ⑤コンソメスープとマーブルクッキー
    正造は孫の亜実を連れて、友だちのマリンちゃんのお誕生日会に行った。ところがその最中、亜実が泣き出してしまった。マリンの姉アクアちゃんに何か言われたらしいのだ。

    ⑥ハンバーグの日
    午後3時。テーブルに額が付くほど頭を下げて帰って行く、啓太の父と啓太を私は見送った。

    • shukawabestさん
      さてさてさん
      コメントありがとうございます。
      瀧羽さん、初めて読みました。食べ物も美味しそうというかあったかそうでしたし、エピソードの入れ方...
      さてさてさん
      コメントありがとうございます。
      瀧羽さん、初めて読みました。食べ物も美味しそうというかあったかそうでしたし、エピソードの入れ方がよく、キャラクターのイメージや思考、過去などが実によく伝わってきました。

      さてさてさんのレビューで予約しておいてよかったです。ありがとうございました。
      2022/11/06
    • さてさてさん
      shukawabestさん、私は瀧羽さん、六冊読みましたが、京都を舞台にしたシリーズやお仕事小説なんかもあってお気に入りの作家さんになりまし...
      shukawabestさん、私は瀧羽さん、六冊読みましたが、京都を舞台にしたシリーズやお仕事小説なんかもあってお気に入りの作家さんになりました。お書きになられている言葉の中の”あったかそう”というのが、さまざまな側面に見える作家さんだと思います。コンプリート目指して読み進めたいと思います。
      どうぞよろしくお願いいたします!
      2022/11/06
    • shukawabestさん
      分かりました。僕も瀧羽さんの2冊目、少し間を空けて読もうと思います。青山美智子さんは、感動がグッと胸に押し寄せてくる感じですが、瀧羽さんは、...
      分かりました。僕も瀧羽さんの2冊目、少し間を空けて読もうと思います。青山美智子さんは、感動がグッと胸に押し寄せてくる感じですが、瀧羽さんは、日常や平凡な生活を送っている中で、家族や恋人に対する思いがスッと入ってくる感じです。新鮮な感覚でした。あと、本作では1人の人間の中に流れる「時間」、今と“あの時“を意識しました。昨日、いい時間を過ごすことができました。ありがとうございます。
      2022/11/06
  • 住宅街にある洋食屋さんを営む家族、そこに関わる人々を描いた心あたたまる連作短編。
    二つの家族がすごく素敵で、とても穏やかな読書時間を過ごせた。美奈子さんにはたまにイラッとするけれど(電話の一本くらいしなよ)。
    亜実ちゃんの「キッシュ、おいしかったねぇ」という台詞が、なんか好き。(味がわかるのと、気を使えるのと、両方かな。)この子が大きくなって、ここでみんなで過ごしているところを見たいなと思った。

  • 【美味しい小説】
    家族経営のこじんまりとしたレストランを舞台に、ふた家族の食にまつわるエピソードが、各章読み切りで最後は連結しています(^-^)
    面白いのは、どちらの家族も男性が料理の主体なんですよね。
    レストランのシェフをやってるお父さん。
    お母さんと娘はフロア担当。
    バリキャリのお母さんと、料理が得意で定時上がりのお父さん。その息子も料理人になります。
    男性が主体で料理するのに、家庭の料理話になっていてタイトルが「うちのレシピ」っていうのが新鮮でした。
    お父さんの誕生日に息子が作るコース料理、結婚式当日に駆けつけるお母さんに握った一口おにぎり。
    娘の好きな人ができた記念に家族で囲むすき焼き、娘の心のケア中に作った小さめのハンバーグ。
    いつものゴハンじゃなくて、ここぞの時のエピソードですが、愛情が滲んでるのが好ましい。
    あっけらかんとしたお母さんだったり、ハキハキ明るい娘だったり、女性が陽のイメージに対して、男性は寡黙だったり気弱だったり不器用だったりと、ちょっと陰な感じですが、その人間同士の組み合わせがピッタリです。
    シェフのお父さんがじぃじになってから、色々溜め込んで我慢してる愛孫のために、不器用なりに慰めようとお菓子作りをするのとか、リアルに職人気質なおじいちゃまとかでありそうなエピソードですね。
    読んでいて、もりもりと食欲が湧く感じではないですが、誰かにゴハン作ってもらいたいなぁとか、美味しいって伝えたいなぁとか思わせてくれる小説です。

  • 『ファミーユ・ド・トロワ』は、「三人家族」を表すフランス語。
    啓太(けいた)が働くレストランの名前であり、真衣(まい)の実家でもある。

    啓太、父・雪生(ゆきお)、母・美奈子(みなこ)
    真衣、父・正造(しょうぞう)、母・芳江(よしえ)

    二つの「三人家族」が結びついて広がっていくお話。
    正造は、お店の名前から「ド・トロワ」を取った。

    『午前四時のチョコレートケーキ』
    (啓太の視点)
    両家の顔合わせの日、約束の時間に母は現れなかった。いつだって仕事優先。
    チョコレートケーキは美奈子の好物。

    『真夏のすきやき』
    (芳江の視点)
    お嬢様だった芳江は、母親に束縛されていた。
    若い恋を応援してくれたのはお料理の先生。
    おめでたい日はすきやきにするのだ。

    『雨あがりのミートソース』
    (雪生の視点)
    ちょっと変わった啓太の家族は、いかにして出来上がったか。
    ミートソースは美奈子の唯一の得意料理。

    『花婿のおにぎり』
    (美奈子の視点)
    美奈子、絶対に遅刻できない日に、海外出張帰りの飛行機が遅れた。

    『コンソメスープとマーブルクッキー』
    (正造の視点)
    「ファミーユ」がどうやって出来上がったか。そして繋がってきたか。
    正造さんの若い頃のお話は、朝ドラ「ひよっこ」を思い出す。

    『ハンバーグの日』
    (真衣の視点)
    真衣は、大手の食品会社に就職して挫折した過去を持ち、まだ自分に自信が持てない。
    ハンバーグは真衣の好物。
    正造のハンバーグはどんなに辛い時も、心とお腹を満たしてくれた。
    あたしのうちは、あたしたちのうちは、とてもおいしそうなにおいがする。

    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
    おじいちゃんと孫娘が可愛すぎました。

  • ふと手に取ったら装丁がすてきで、イメージどおりのあたたかい雰囲気のお話だった。
    ふたつの3人家族の父、母、子、それぞれの目線でそれぞれが生きた時代を行ったり来たり。最後が娘目線だったのがすごくよかった。
    まだ年若いカップルの未来を覗けたり、お店の先代との出会いまで遡ったり、深みがあって楽しいお話だった。

  • 家族経営の洋食屋で勤める青年がそこの娘さんと結婚することになった。
    家族それぞれの思いや生き様を食べものの記憶とともに描いたハートフルな作品。

    本当にドラマでも見ているかのような感覚で、スムーズに暖かくて安心して読みきることができた。
    それぞれが同じ出来事にも感じ方が異なっていて、それぞれに越えていく生き様が素敵。

  • おおっ、繋がってるんですね。
    好みのお話。
    ただ、真衣は苦手かな。

  • 小さなレストランの家族にまつわる連作短編集。
    一編読むごとに人間性に厚みが出てきて、読み終わるときには、こんなお店行きたいなぁ、こんな家族っていいなぁ、と思えました。

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著者プロフィール

1981年、兵庫県生まれ。京都大学卒業。2007年、『うさぎパン』で第2回ダ・ヴィンチ文学賞大賞を受賞し、デビュー。
著書に『ふたり姉妹』(祥伝社文庫)のほか、『ありえないほどうるさいオルゴール店』『女神のサラダ』『もどかしいほど静かなオルゴール店』『博士の長靴』『ひこぼしをみあげて』など多数。

「2023年 『あなたのご希望の条件は』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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