カゲロボ

著者 :
  • 新潮社
3.26
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本棚登録 : 537
レビュー : 66
  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103524311

作品紹介・あらすじ

今日も、誰かがささやく。「あいつがカゲロボらしいよ――」。いつも、誰かに見られている……。最初は他愛のない都市伝説の筈だった。しかし、イジメに遭う中学生、周囲から認知症を疑われる老人、ホスピスに入った患者、殺人を犯そうとする中年女性など、人生の危機に面した彼らの前に、突然現れた「それ」が語ったことは。いま最注目の作家が描いた、救いをめぐる傑作。

感想・レビュー・書評

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  • ★3.5

    カゲロボというものがいるらしい―。
    学校で、職場で、病院で、家庭で、街角で、
    カゲロボは私たちをずっと見守っていてくれるのだろうか?
    それとも、罰するためにいるのだろうか?
    今日も、誰かがささやく。「あいつがカゲロボらしいよ――」。
    いつも、誰かに見られている……。
    最初は他愛のない都市伝説の筈だった。
    しかし、イジメに遭う中学生、周囲から認知症を疑われる老人、
    ホスピスに入った患者、殺人を犯そうとする中年女性など、
    人生の危機に面した彼らの前に、突然現れた「それ」が語ったことは…。
    表紙のイラスト可愛かったから残念でした。

    9編からなる連作短編集。
    9編全てのタイトルが体の部位や体から生まれる言葉で出来ていました。
    凄い感性だなぁ。
    読み始めから(@'ω'@)ん?(@'ω'@)ん?(@'ω'@)ん?
    現代…近未来…SF…AI…。
    世にも奇妙な物語の世界に入ってしまったかのような感じでした。
    不穏な空気感…木皿さんのイメージではないなぁ。
    読むのが辛いなと感じていましたが、
    連作だと気付いた時、最終話であぁこの本のテーマはこれだったんだ。
    この事を訴えたかっただとわかった時、
    今迄のゾワゾワする感じが嘘の様に消え心がじんわりと温かくなりました。

    どれだけ傷付き、悲しみの涙が流れようとも、
    大丈夫だと傷を縫い合わせてくれるものがいてくれると良い。
    いつも誰かが見守ってくれている。
    きっと誰にでも〝カゲロボ〟は存在しているのでしょうね。
    私自身も誰かの針と糸になりたいです。

    とっても不思議な物語でした。
    でも身近に起こっているんじゃないかと感じられて、
    怖くもあり、とても優しく勇気を貰えるお話でした。

    ★4と迷った~(´⌒`。)

    レビューをアップしようとしたら本が裏表紙でしたಠ﹏ఠ
    表紙のイラストがとても鮮やかで可愛らしかったので残念でした。

  • ロボット絡みの短編集。
    『ゆび』『かお』『あせ』が特に良かった。

    どの短編も胸を打つものばかりで切ない。
    人工的なロボットと対比させることにより、人間らしさについて考えさせられた。
    虐待やイジメを監視するカゲロボや人間の行動を監視する電子金魚、不登校の子供に授業を体験させるための箱、末期患者の最後の希望を叶えるバーチャルリアリティ、罪を裁く植物ロボット、ペット用ロボット、そして自分そっくりのアンドロイド。
    どれも非現実のようでいてとても現実的に思える。

    人間が暮らす社会は植物のない砂漠のよう。
    非情で理不尽な虐待やイジメ、自分の存在を否定する無視等が蔓延し身動きがとれなくなる。
    けれど一見何も無さそうな砂漠でも、遠い国から風に吹かれて飛んできた様々な植物の種が埋まっている。
    そしていつか恵みの雨が種に滋養をもたらし、荒れ放題の砂漠も花畑にしてくれるはず。
    だから諦めないでゆっくりと進んでいこう。
    木皿さんの温かなメッセージに何度も涙ぐんでしまった。
    読み終えた後の爽快感が堪らなくいい。

  • SFのような現実離れした短編集

    タイトルの『 カゲロボ 』って何のこと?
    人間そっくりのロボットが職場とか学校とかに入りこみ、そこで虐待やイジメがないか監視するというものらしい。そんな行為があった時はカゲロボに内蔵されたカメラに記録され、それは証拠としてケーサツに提出されるとあるが、

    私は、 「 カゲロボ 」というのは、それぞれ人間の心の奥底にある人間としての最後の砦・・良心なのではないかと思った
    だから、誰の側にもいつもカゲロボは、寄り添っているのだと思う

    最後の短編『 キズ 』の中にある空豆の黒いスジの件がおもしろかった
    一緒に旅していた炭とワラが橋の下に落ちたのを笑いすぎて、お腹が破れてしまった
    それを旅人に黒い糸で縫ってもらったのが、あの黒いスジ

    「もしかしたらさ、空豆は自分のことを惨めだって思ったんじゃ
    ないかな。だから人の不幸をお腹がよじれるぐらい笑ったんだ
    よ」
    「でも、旅人に救ってもらったんだよ。破れたところを縫っても
    らったってことは、もう一度、やり直せってことなのよ 」

    植物のない砂漠にも、遠い国から風に吹かれてやってきた、いろんな植物の種が埋まっている
    そこへ雨雲がやってきて、雨を降らすと、砂漠の中にいた種が一斉に芽を出し、花を咲かせ、花畑になる


    取り上げている題材は、イジメや老い・終末医療など暗いものばかり、その中にロボットやアンドロイドが登場するものだから、はじめは意味不明だったが、どの話も最後は、主人公が希望を持って、前へ歩き出すので救われ、世の中まんざら捨てたもんじゃないよなと思えてくる

    私にも神様としかいいようのないものが、ずっと寄り添ってくれて、見守ってくれていると思えるような本だった

  • 人は、自分達と違う個性や外見や特徴を持った人に差別や偏見を持つ。それが虐めの対象へと繋がる。何故だろうか。だって私達は誰一人として同じ人間ではないのに。自分と違うというだけで、周りと違うというだけで、排除しようとするその行為や感情こそが弱く、自分自身への自信の無さの表れで、恐れているのではないだろうか。まだ無意識だった子供時代から、私達はそうやって環境や周囲の人間に順応する術を自然と身に付けていて、でもそれって虚しい。私が私で必死に生きてきたことを誰にも否定されたくはないし、貴方達にしか解らない苦痛や個性を持って生きていることを、私は心から尊重し、差別するような人間にだけはなりたくないと思っている。
    例えばワイドショー等でよく耳にする、結婚の決め手は、という質問に「天真爛漫でいつも明るく笑っているところ」と答える声を聞く度に、私の中で急速に気持ちが冷めていくバロメーターが存在する。そんな人間て本当に居るんですか、いつも明るくなければいけませんか、と基本根暗な私は想像するだけで疲れうんざりしてしまう。でも人はやはり明と暗ならば、明を選びたがるだろう。私だって出来ることなら毎日笑っていたい。
    でも暗いから駄目だと安易に切り捨てずに、ちゃんと人間性を見るべきだと思うのだ。私は、どんなに暗く苦しんでいる人達でも、諦めずに生きている姿が好きだ。根暗な同志たちが好きだ。
    こんな根暗でネガティブで泣いてばかりの私を、選び愛してくれる君が好きだ。
    どれだけ悲しみ涙が流れようとも必ず、大丈夫だと傷を縫い合わせてくれるものがあればいい。誰にでも、自分を見ていて知っていてくれるカゲがあればいい。
    そして私自身も、誰かの針と糸になりたいと切に願う。

  • なんだろう、この何とも言えない読後感は。
    不穏でざわつく。足元から何かが這い上がってくるような不快感。そんな短編が続いた後、がちがちに固まった身体にそっと温かい毛布で包まれたような、なんていうのか答え合わせのような結果報告のような、そんなラストたち。
    なんだろうな。カゲロボって何なんだろうな。そういうロボットたちが本当にすぐそばにいるのかもしれない。だけどカゲロボがいてもいなくても、私たちが誰かと言葉や気持ちをやりとりしながら生きていく、その生き方は何も変わらないのかもしれない。変わらない、のじゃなく、変えてはいけないということなのか。

  • 人間の間に立ち交ってじっと監視している、あるいは見守っている「カゲロボ」
    表紙の可愛らしさからコミカルなものを想像していましたが、予想しなかった重さを持った本でした。
    人間に似ているけれど人間ではないものの潜在的な嫌悪と恐怖。誰にも分からないうちに紛れ込んでいる監視者への恐怖。感情を持ってしまった機械は生き物ではないのかという疑問。昔々のSF時代からテーマとしては散々上がっていたものですが、次第に時代が追い付き始めているので、荒唐無稽では片づけられない話ばかりです。
    前作前前作とは路線が全く違うので驚きました。でもライトな見た目で意外と中身は濃いめという所は変わっていないのかな。
    一つ一つが短いので集中力失わず読めます。

  • 自分を傷付けるのは自分自身だという事と同じで、自分の未熟な弱い心が招いた安易な行動や救われたい気持ちは、たとえ近しい人が手を差し伸べてくれたとしても、それはとても有難く考え直すきっかけにはなるのだけれど、結局それらを認め赦し、最後には自分自身で納得して初めて救われるものではないかと思う。

    そうは言っても他人と自分を比べてあれこれ考えたり、理不尽に耐えられる自信や強い心を持つ事は難しい。生きて行く上では協調性も必要で、その中で影響を受けながらも客観視し、個人や個性を見失いたくなければ強くなるしかない。と、いう願望。
    そうして成熟し自立した人間同士なら救ったり救われたりも出来るのだろう。

    あくまでも自分の中の理想や正しさ、本当の自分だと信じる事を形にしたものがカゲロボだったのかなと。
    どうせ見守ってくれるなら、自分を理解し認めてくれる誰かがいいし、逆に見守る側の人になれるのならと思う。

  • カゲロボ、人間社会に混じって(人間の容姿そっくり)
    絶えず人間を監視しているらしいという影のロボット。
    前編の2編と後半の2編が微妙につながっている。
    でも、猫の足を切るシーンはいただけなかったな。

  • 前作「さざなみのよる」がものすごく良かったので期待して読んだが、そこまでではなかった。
    「カゲロボ」という不思議な設定は魅力的。

  • 楽しみにしていた木皿泉さんの新刊。
    カゲロボは、見た目は人や猫と変わらないけど、実際にはアンドロイドで、人のやることを全て見ている。またロボットとか都市伝説みたいなの好きだなーと思いつつ読み進めると、カゲロボは監視されるディストピアの象徴ようでもあり、他方で自分のことをいつも見守っている神様のような存在にも思えてくる。
    他の作品に比べ、イジメや暴力、老い、死等のヒリヒリした内容が前面に出ていて驚くが、間違いなく面白い。

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著者プロフィール

木皿 泉(きざら いずみ)
日本の脚本家・作家で、和泉 務(いずみ つとむ)と妻鹿 年季子(めが ときこ)夫妻2人の共同ペンネーム。
『やっぱり猫が好き』から2人共作となり活動を続けている。『すいか』『野ブタ。をプロデュース』、『セクシーボイスアンドロボ』『Q10』などのテレビドラマの優れた脚本家として知られる一方、2013年に9年越しで書かれた初小説『昨夜のカレー、明日のパン』が極めて高い評価を受け、第11回本屋大賞(第2位)、第27回山本周五郎賞の候補に選出。自身の脚本によってドラマ化もされた代表作となる。
小説第二作目、最新刊として2018年4月刊行、『さざなみのよる』がある。

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