同潤会代官山アパートメント

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 229
レビュー : 24
  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103525318

作品紹介・あらすじ

私たちは、かなしみを乗り越えるために〝家族〞になった――。関東大震災で最愛の妹を喪った八重は、妹の婚約者だった竹井と結婚したが、最新式の住居にも、新しい夫にも、上手く馴染めない――昭和と共に誕生し、その終焉と共に解体された同潤会代官山アパート。そこに暮らす一家の歳月を通して、時代の激流に翻弄されても決して失われない《魂の拠り所》を描く。今こそ見つめ直したい家族の原風景。

感想・レビュー・書評

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  • 代官山、あるアパート。何代にもわたり住む家族がいる。関東大震災で妹を失った八重。妹の婚約者と結婚する。アパートを舞台に八重の家族、八重よりひ孫までの物語。
    約10年ごとに章が変わり、その時代のことが語られる。日常のこと、家族の絆、温かみを感じる、その年々の八重の心に注目です。アパートの歴史でもあるけれど、八重の半生の物語でもあり、より味わい深いものになりました。

  • 東京に住んでいた頃、代官山にはあまり行く事はなかった。
    同潤会アパートがあった頃、1度行っているとは思うが、その場所を見たかどうか、後に写真集とかで見た記憶とごっちゃになっているのか・・・

    モノクロなイメージはあって、その場所のお話という事もあり読んでみたくなった。

    関東大震災や、阪神淡路大震災の事も書かれていて、
    登場人物たちが引き継がれて長い歴史を歩んできた事。

    八重さんの人生は立派だった。
    私の人生はちっぽけかもしれないな。

  • 学生の頃、同潤会アパートの存在を知って、よく写真集などを漁ったなあ〜…と思い出し、本屋さんでこちらの本を見かけ、タイトルに惹かれて手に取りました。

    同潤会代官山アパートが建てられて、壊されるまで、ここに住んだ家族が四世代に渡って描かれています。
    一つ一つが独立した話になっていて、巻末にyomyomに掲載されていた話と知り、成る程。何から読んでも大丈夫ですが、登場人物はリンクしているので、やはり最初から読むと読後感もひとしお。自分自身も透明な家族の一人になった気分でお話に寄り添えます。

    そして、それぞれの時代に合った情勢と流行、小さくもささやかな謎がキレイに組み込まれていて、この著者の方はビブリアでもこういう謎が美しい方だったと思いながら、読み進めました。

    ほっこりとなれます。
    私自身は〝実家〟や〝祖父母〟〝親戚〟というものがないので、こういった場所があるのはやっぱり素敵だよなあとしみじみとしてしまいました。

    真鍮の鍵、欲しいなあ。

  • アンソロジー「この部屋で君と」で
    「月の砂漠を」は既読。

    素敵な話だと思ったので
    そのお話の続きが読めるのは嬉しい。

    関東大震災後に建った「同潤会代官山アパート」
    が阪神大震災の後に解体されるまでの
    70年間のお話。

    最初に入居した夫婦が家族を作り、
    子、孫、曾孫の世代まで。

    優しくてあたたかなお話だった。
    戦前、戦後、高度成長期、バブル、天災、いろんなことが
    あるけれど、家族はきちんと繋がっている。

    温かい、優しい、お話だった。

    こういうのはとっても好みだ。

  • 誰かを喪った悲しみを知る者は、誰かを愛しく想い慈しむ心も知っています。
    弱さや苦しみが身体に表れようと、声には出して泣けぬのも人間。また誰かを失うことを恐れているからです。
    姿形として消えてしまっても、その意思、優しさ、流されず守ろうと生きる者は、血となり小さな背中に確かに受け継がれていきました。
    いつの時代にも怖いものはあり、御先祖代々乗り越えてきたから、現代の私達が在ります。それでも永遠と変わらぬ恐怖を、赤黒い激しさの中で知る。過去と現在が繋がりこの身を突き抜けても、返り血を浴びても、身体が腐っても、舞い上がる炎の中、煙の中で気を失い掛けようと、思い出すことは一つ。轟音鳴り響く。警笛が耳を劈く。それでも、守るべきものは一つ。
    走っていた。もう二度と、失ってはならない。泣きながら、足がもがれようと、必ず会いにいく。夢ならばいいと願っていました。夢ならば、この身を置いて、何処へでも、誰にでも、会いに行ける。
    帰ろう、ただいまを言える場所へ。

  • ビブリア古書堂は僕にとってはずっと読んでいたいシリーズです。この間スピンオフ出た時も即読みでした。
    そして三上延の最新作なのでそりゃあ大期待です。
    表紙が軽やかでほんの少しですが漫画っぽさが有るので、雰囲気ものの青春ものかなと思って読んだところ、4世代に渡る重厚な人間ドラマだったので非常に意表を突かれ、そして力強く読み切らせてもらいました。
    誰もが若く希望に溢れ、そして悩み、悲しみ、葛藤し、そしていつか次の世代へその座を譲る。これは三上延さんのメインの読者である10代~20代には伝わりにくいテーマかもしれません。しかし人生折返しに来た僕のような世代には各々に感情移入するポイントが有り、お腹の中に重い何かを据え付けられたような焦りを催させる本です。
    最後まで読んでプロローグに戻るとき、感じる感情が世代や性別や生き方で変わってくるような気がします。僕はとてもいい本を読んだとしみじみしました。
    ライトノベルの作家だからと避けている人が居たら、もったいないので是非読んでみて頂きたいです。

  • 代官山のアパートを舞台に、一組の夫婦と、子、孫、ひ孫の代までを、約10年ずつ記した物語。
    意味が分からなかったプロローグが、最後に改めて読むと、短い文章の中にこみ上げてくるものがある。
    色んな性格の人が出てくるけど、家族でも性格は色々で、気の合う人は、どこかにいるんだなって思える。
    一気に読んだけど、最後に家系図見てたら、あ、この人はあのエピソードの人だって思い出せる。
    描き方がうまい。


    ビブリア古書堂の作者のはずだけど、本の印象は全然違う。この作品も面白かった。

  • 新シリーズ?と思ったら、違ったみたい。「同潤会」の建物は、写真で見たことがある程度。そのかっこよさは、やっぱり近くで見てみたい。
    2019/6/29読了

  • 震災ではじまり、震災で終わる。同潤会アパート、取り壊しの頃随分と話題になっていたし、存在は知っている。でも、建てられた経緯は知らなかった。地震に強い家、日本は昔から変わらず地震によって壊され、そして強くなっていっているのかな。最初は嫌だったアパートだけど、戦争も乗り越えて長く住み続けて愛着が湧いてゆく。生きてる、って感じられるよいお話だった。

  • 代官山の同潤会アパートを舞台に、そこで暮らした4世代の家族70年の歴史。

    亡き妹の恋人と結婚した八重。
    義姉から妻となった女性を大切にし続けた夫竹井。
    その娘、孫達、そして曾孫。
    それぞれがその時代ごとに歴史を刻み、住み暮らしていた場所。
    彼らの大切な場所であったことが、物語の最初から最後までずっと感じられます。
    とても素敵な話でした。

    最後まで読んでからプロローグに戻ると、そこに書かれた八重達の歴史が語られていた事に気づき、新たな感動に包まれます。

    孫の進の高校時代のエピソードが良かった。
    思わず吹き出す微笑ましいセリフ「少しは黙れ!星のフラメンコ!」
    多くの人に読んでいただきたい作品でした。

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著者プロフィール

1971年、神奈川県横浜市生まれ。 武蔵大学人文学部社会学科卒業。中古レコード店、古書店勤務を経て、『ダーク・バイオレッツ』で2002年デビュー。2011年に発表した古書ミステリー『ビブリア古書堂の事件手帖』が人気作になる。同作は2012年に本屋大賞にノミネート。2012年、「足塚不二雄『UTOPIA 最後の世界大戦』(鶴書房)」(『ビブリア古書堂の事件手帖2』に収録)で第65回(平成24年度)日本推理作家協会賞短編部門にノミネート。2014年3月14日、『ビブリア古書堂の事件手帖4』(メディアワークス文庫)で第67回(平成26年度)日本推理作家協会賞長編および連作短編集部門にノミネート。

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