同潤会代官山アパートメント

著者 :
  • 新潮社
3.70
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本棚登録 : 286
レビュー : 37
  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103525318

作品紹介・あらすじ

私たちは、かなしみを乗り越えるために〝家族〞になった――。関東大震災で最愛の妹を喪った八重は、妹の婚約者だった竹井と結婚したが、最新式の住居にも、新しい夫にも、上手く馴染めない――昭和と共に誕生し、その終焉と共に解体された同潤会代官山アパート。そこに暮らす一家の歳月を通して、時代の激流に翻弄されても決して失われない《魂の拠り所》を描く。今こそ見つめ直したい家族の原風景。

感想・レビュー・書評

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  • 代官山、あるアパート。何代にもわたり住む家族がいる。関東大震災で妹を失った八重。妹の婚約者と結婚する。アパートを舞台に八重の家族、八重よりひ孫までの物語。
    約10年ごとに章が変わり、その時代のことが語られる。日常のこと、家族の絆、温かみを感じる、その年々の八重の心に注目です。アパートの歴史でもあるけれど、八重の半生の物語でもあり、より味わい深いものになりました。

  • 東京に住んでいた頃、代官山にはあまり行く事はなかった。
    同潤会アパートがあった頃、1度行っているとは思うが、その場所を見たかどうか、後に写真集とかで見た記憶とごっちゃになっているのか・・・

    モノクロなイメージはあって、その場所のお話という事もあり読んでみたくなった。

    関東大震災や、阪神淡路大震災の事も書かれていて、
    登場人物たちが引き継がれて長い歴史を歩んできた事。

    八重さんの人生は立派だった。
    私の人生はちっぽけかもしれないな。

  • 学生の頃、同潤会アパートの存在を知って、よく写真集などを漁ったなあ〜…と思い出し、本屋さんでこちらの本を見かけ、タイトルに惹かれて手に取りました。

    同潤会代官山アパートが建てられて、壊されるまで、ここに住んだ家族が四世代に渡って描かれています。
    一つ一つが独立した話になっていて、巻末にyomyomに掲載されていた話と知り、成る程。何から読んでも大丈夫ですが、登場人物はリンクしているので、やはり最初から読むと読後感もひとしお。自分自身も透明な家族の一人になった気分でお話に寄り添えます。

    そして、それぞれの時代に合った情勢と流行、小さくもささやかな謎がキレイに組み込まれていて、この著者の方はビブリアでもこういう謎が美しい方だったと思いながら、読み進めました。

    ほっこりとなれます。
    私自身は〝実家〟や〝祖父母〟〝親戚〟というものがないので、こういった場所があるのはやっぱり素敵だよなあとしみじみとしてしまいました。

    真鍮の鍵、欲しいなあ。

  • アンソロジー「この部屋で君と」で
    「月の砂漠を」は既読。

    素敵な話だと思ったので
    そのお話の続きが読めるのは嬉しい。

    関東大震災後に建った「同潤会代官山アパート」
    が阪神大震災の後に解体されるまでの
    70年間のお話。

    最初に入居した夫婦が家族を作り、
    子、孫、曾孫の世代まで。

    優しくてあたたかなお話だった。
    戦前、戦後、高度成長期、バブル、天災、いろんなことが
    あるけれど、家族はきちんと繋がっている。

    温かい、優しい、お話だった。

    こういうのはとっても好みだ。

  • 代官山のアパートを舞台に暮らす四世代の家族の話だが、一言、良かった…いい本読んだ。八重さんの寡黙だけれど強く優しい姿。ひ孫の代までちゃんとそれは伝わっている。

  • 時の流れとともに受け継がれていく、家族の年代記。
    こんな家族がいろんなところに存在しただろう。
    悲しいこともあり、嬉しいこともある。

    始まりは、竹井光夫と八重の夫婦。
    竹井は元々、八重の妹の愛子と婚約していたが、愛子を失った二人はやがて家庭を作ることに。

    同潤会代官山アパートは、関東大震災の救済措置として建設されたアパートのひとつ。
    大切な人を守りたくて、竹井は当時最先端だった鉄筋コンクリートのこの建物に住むことにしたのだ。

    4代を経て、取り壊されるまで、アパートは竹井から杉原に続く家族の成長と老いと新しい命を見守り続けた。
    読み終えてプロローグに戻ってみれば、自分も「遙々来たものだなあ」という気持ちになる。
    最初に読んだ時には何の意味もなさなかったものが、思い出とともに色彩を帯びていく。

    冒頭の家系図は盛大なネタばれだが(笑)問題無い。

  • ビブリア古書堂は僕にとってはずっと読んでいたいシリーズです。この間スピンオフ出た時も即読みでした。
    そして三上延の最新作なのでそりゃあ大期待です。
    表紙が軽やかでほんの少しですが漫画っぽさが有るので、雰囲気ものの青春ものかなと思って読んだところ、4世代に渡る重厚な人間ドラマだったので非常に意表を突かれ、そして力強く読み切らせてもらいました。
    誰もが若く希望に溢れ、そして悩み、悲しみ、葛藤し、そしていつか次の世代へその座を譲る。これは三上延さんのメインの読者である10代~20代には伝わりにくいテーマかもしれません。しかし人生折返しに来た僕のような世代には各々に感情移入するポイントが有り、お腹の中に重い何かを据え付けられたような焦りを催させる本です。
    最後まで読んでプロローグに戻るとき、感じる感情が世代や性別や生き方で変わってくるような気がします。僕はとてもいい本を読んだとしみじみしました。
    ライトノベルの作家だからと避けている人が居たら、もったいないので是非読んでみて頂きたいです。

  • 代官山の同潤会アパートを舞台に、そこで暮らした4世代の家族70年の歴史。

    亡き妹の恋人と結婚した八重。
    義姉から妻となった女性を大切にし続けた夫竹井。
    その娘、孫達、そして曾孫。
    それぞれがその時代ごとに歴史を刻み、住み暮らしていた場所。
    彼らの大切な場所であったことが、物語の最初から最後までずっと感じられます。
    とても素敵な話でした。

    最後まで読んでからプロローグに戻ると、そこに書かれた八重達の歴史が語られていた事に気づき、新たな感動に包まれます。

    孫の進の高校時代のエピソードが良かった。
    思わず吹き出す微笑ましいセリフ「少しは黙れ!星のフラメンコ!」
    多くの人に読んでいただきたい作品でした。

  • 誰かを喪った悲しみを知る者は、誰かを愛しく想い慈しむ心も知っています。
    弱さや苦しみが身体に表れようと、声には出して泣けぬのも人間。また誰かを失うことを恐れているからです。
    姿形として消えてしまっても、その意思、優しさ、流されず守ろうと生きる者は、血となり小さな背中に確かに受け継がれていきました。
    いつの時代にも怖いものはあり、御先祖代々乗り越えてきたから、現代の私達が在ります。それでも永遠と変わらぬ恐怖を、赤黒い激しさの中で知る。過去と現在が繋がりこの身を突き抜けても、返り血を浴びても、身体が腐っても、舞い上がる炎の中、煙の中で気を失い掛けようと、思い出すことは一つ。轟音鳴り響く。警笛が耳を劈く。それでも、守るべきものは一つ。
    走っていた。もう二度と、失ってはならない。泣きながら、足がもがれようと、必ず会いにいく。夢ならばいいと願っていました。夢ならば、この身を置いて、何処へでも、誰にでも、会いに行ける。
    帰ろう、ただいまを言える場所へ。

  • 1927年。内々の祝言をあげて引越しから10日、代官山の駅から近い真新しいアパートメントの3階にいまだ慣れない八重。夫の竹井は4つ下の妹愛子の結婚するはずだった相手。愛子が東京の新居に運ぶ嫁入り道具の手配に上野に上京して凌雲閣を降りる頃関東大震災がー

    ◆「この部屋で君と」で切ないなぁと思った月の砂漠の続きが読めるなんて。あれを読んだのがもう4年も前の話か…あの時も「あぁ、同潤会アパート、無くなる前に見たかったなぁ」って思ったんだった。

    でもそうね、お洒落だ、レトロだと見学に行く人を「遊びで住んでるわけじゃない」人は苦々しく思ったかもしれない。そういう、そこに脈々と平穏な日々を暮らした家族の物語。祖母達が移ったあとの3階、そして進の淡くて苦い初恋とビートルズの思い出。3階の八重にただいまと言う竹井さんの走馬灯。真っ直ぐな千夏ちゃんと「さすが私の太陽」の奈央子さんMVP!!進ーーー!良かったねぇ(´TωT`)ずっと残ってる建物、ずっと変わらない部屋にずっといる曾祖母にホッとする千夏ちゃんの気持ち、凄くワカル…

  • 2020 1/13

  • ビブリア古書堂の事件手帖に続いてのヒットだと思う。
    昭和の初期から物語はスタートする
    竹井八重→恵子→浩太と進→千夏と家族3世代の物語がひとつのアパートから始まる
    このクリスマス前に読んで欲しい作品。

    八重は妹の婚約者だった竹井と同じ悲しみから家族になります。
    恵子は終戦後ずっと待ち続けていた俊平と再会

    浩太と進は恵子の息子たち

    キーワードは「関東大震災」「コンビーフ」「爆竹」「ビートルズ」
    いまある当たり前の日々がどれだけ大切かわたしたちは考えないといけないと思う作品だった。

    一つ一つは短編の物語だけど全てが最後繋がります。
    個人的には八重と竹井さんの話とビートルズが良かったと思うけど三上延の作品にいままでハズレは無いので是非読んで欲しい。

  • 四世代に渡る家族の物語。

    関東大震災、戦争、阪神淡路大震災などで傷を負いながらも紡いでいく、家族の太くも脆い絆に今の自分の立ち位置を考えさせられました。

  • 一人の女性を軸に、日本の戦前から現代までの移り変わりを描き切った。急速に近代化していった昭和から平成が地続きであったことを実感した。

  • 一気読みでした。四世代に渡っての家族の様子をアパートを通して丁寧に書かれていました。

  • いいな~♪道潤会代官山アパートメント!そこに住んでいる竹井家、杉岡家の人達も素敵!つらくて、くやしい事があっても、逃げられる場所があるって安心できる(*´∇`*)うちの両親、浩太夫妻みたいな正論の人達だったから、常に逃げたいと思っていた事を思い出した(--;)地震に始まり、地震で終わる感じだけれど、心は暖まる♪「この部屋に君と 1977」は泣いたわ~(ToT)

  • こんな連作集は大好きです。

  • ビブリア古書堂~が大変おもしろかったのでこちらも読んでみました。ビブリア~のような謎解きの要素はなく、八重を中心とする家族の壮大な物語でした。まぁちょっと退屈といえば退屈な内容ではあったものの、ビブリア~でもみられた家族(家系?)、それも世代を跨いだ人々を物語の軸に据える構成になっています(三上作品はこの傾向が強いのかな? ほかの著作を読んでいないのでわかりませんが)。ちょっとおおげさですが時空を超えて家族の想いがつながっている、そんな読後感で心が満たされました。

  • 2019.07.04

  • 戦前から戦後の、家族のお話。建物ができて建て替えられる時間の流れと、子や孫へ繋がっていく流れが感じられる。
    2019/9/27

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著者プロフィール

1971年、神奈川県横浜市生まれ。 武蔵大学人文学部社会学科卒業。中古レコード店、古書店勤務を経て、『ダーク・バイオレッツ』で2002年デビュー。2011年に発表した古書ミステリー『ビブリア古書堂の事件手帖』が人気作になる。同作は2012年に本屋大賞にノミネート。2012年、「足塚不二雄『UTOPIA 最後の世界大戦』(鶴書房)」(『ビブリア古書堂の事件手帖2』に収録)で第65回(平成24年度)日本推理作家協会賞短編部門にノミネート。2014年3月14日、『ビブリア古書堂の事件手帖4』(メディアワークス文庫)で第67回(平成26年度)日本推理作家協会賞長編および連作短編集部門にノミネート。

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