恐竜まみれ :発掘現場は今日も命がけ

著者 :
  • 新潮社
3.87
  • (25)
  • (49)
  • (33)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 513
感想 : 59
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103525912

作品紹介・あらすじ

迫る「敵」はハイイログマ、毒ヘビ、はたまた盗掘者――!! 未知の恐竜化石を求めて、1年の3分の1は発掘調査へ。ゴビ砂漠の灼熱、予知不可能の大濁流、「墜落しないよう祈れ」というアラスカのヘリを生き延びながら、歩きに歩く。最終日の大発見に身震いし、恐竜界50年の謎に挑み、ついに日本初の「全身骨格」を掘り出した! 恐竜に取り憑かれた学者の超スリリングな発掘記。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • アラスカのアクチャック自然保護区に行くために天候回復を待ってフロート水上機に乗り込んだ著者たちは、引き潮のために濡れながら海岸まで5往復もして重たい荷物を運び込む。宿泊施設は木造の小屋で、メインのドアは壊れていた。近くに残っているグリズリーの足跡にドキドキしながら調査を進めていたが、最終日にグリズリーが小屋の壊れたドアに近づいてきた……。

    恐竜学者である著者が、主にアラスカ、・カナダ・モンゴル北海道における恐竜発掘調査の困難と楽しみと発見を語るエッセイ(?)……なのかな?

    著者の大発見の秘訣(人の歩かない、歩きにくいところを探す、とにかく歩いて広く探す、必ず「ある」と思って探す、人が探し終えた跡も探す、等)が明かされる。

    また、盗掘や化石の売買、仮説や持論の発信についての著者の想いも語られる。
    印象深かったのは、ここで、いま教科書に載っていることや、今正しいと思われていることも、将来覆ることがある。でもそれは、当時の考え方の足跡であり、それを元に新たなデータが集まり検証される。だから、発信することは全体的にはプラスになるので、恐れる必要はない、というのである。
    これは科学研究以外のことにも言えそうですよね。

    驚いたのは、「ハイエナ作戦(人が探した跡もまだ探す)」のところで、発掘した跡を探し当てるために落ちているゴミを探すところ。新聞紙や空き缶があれば、いつどこの国が発掘したのかわかるというが、そもそも残っていていいものじゃないんじゃないですか???
    エベレストに登山隊が残したゴミがひどいとかよく聞きますが、今どき、欲しいものだけ持ち帰ってゴミを残すなんて、ひどすぎます。


    知的好奇心と冒険心をくすぐられながら気楽に読めるおもしろい本ですが、文章的にはちょっと難を感じるところもあります(スミマセン(汗)、子どもたちに薦める本候補なので、ちょっとここは辛口で)。
    例えば、
    30頁「弱火をつける。」
    これは「弱火にかける」のほうが適当では?

    235頁「長谷川先生は、日本の恐竜研究を立ち上げた人であり、多くの研究者を育てた。同時に90歳になった今も、発掘や研究を続けている。」
    ここは「同時に」ではなく「そして」とかのほうが繋がりませんか?



    私は普段テレビを見ることがない(もう何年(何十年???)も家にテレビがない)ので、知らなかったのですが、この方メディアではかなり有名な方らしいですね(すごい発見いっぱいされていますもんね)。

    実はこの本、複数の図書ボランティア仲間から小学5年生にブックトークしてくれと薦められて読んだ本なんですが、漢字の使われ方からも、普通は中学生以上のほうが良さそうですね。
    でも、著者を知っていたりして、恐竜が好きだったりして、読みたい子はそんなものお構いなしに読んでしまうでしょうから、どんな反応が帰ってくるか楽しみです。



    *******お詫びm(_ _)m*******

    スミマセン(汗)。
    うっかり先に電子書籍版に投稿してしまい、気づいてこちらに投稿し直したのですが、なぜか私の本棚には電子書籍版が表示されないので、そちらを消すことができません。
    また重複投稿になってしまいました。
    どっちも同じ内容なのに……。
    ごちゃごちゃしてしまって申し訳ないです。

    • 図書館あきよしうたさん
      kuroayameさん、コメントありがとうございます。

      そうなんですね。
      ワイルドな受け答えってどんなんだろう?
      私も聞いてみたく...
      kuroayameさん、コメントありがとうございます。

      そうなんですね。
      ワイルドな受け答えってどんなんだろう?
      私も聞いてみたくなったので、NHKのサイトで見つけて聞いてみました。
      あー、こんな声の方なんですね。おもしろいですねー。私も次が楽しみになりました。

      教えてくださってありがとうございます!!
      2020/11/09
    • ロニコさん
      図書館あきよしうたさん、こんばんは^_^

      この本は、昨年の読書週間の図書委員会の企画『先生のおすすめ本』で、理科の先生が選ばれました。
      私...
      図書館あきよしうたさん、こんばんは^_^

      この本は、昨年の読書週間の図書委員会の企画『先生のおすすめ本』で、理科の先生が選ばれました。
      私はまだ読めてないのですが、冬休みには読みたいです。

      余談ですが、「桃太郎は盗人なのか」とうとう読みました!
      読み物としてもとても面白いですし、何より小4のお子さんが、あれだけの物を完成させるのに根気と集中力を保ち続けて調べた、ということに驚きました。
      2020/11/14
    • 図書館あきよしうたさん
      おおっ、ロニコさん、コメントありがとうございます。

      そうなんですね、理科の先生のお薦めなんですね。
      私も、こんな機会がなければ手にとってい...
      おおっ、ロニコさん、コメントありがとうございます。

      そうなんですね、理科の先生のお薦めなんですね。
      私も、こんな機会がなければ手にとっていない本なので、本との出会いもご縁だなぁと感じます。

      こんな苦労をされて発掘されていると知ったら、今度から化石を見る目が変わりますね。

      ロニコさんのご感想も、楽しみにしていますよぉ。
      2020/11/16
  • 小林快次(よしつぐ)さんは北海道大学総合博物館教授ですが、一年のうち3分の1はアラスカ州を有するアメリカ、カナダ、モンゴルを訪れ、恐竜化石調査のフィールド作業をしています。
    ときおり命がけの瞬間もやってくる発掘の日々を綴ったエッセイです。

    ぜんぶ面白かったけど、私が特に興奮したのは
    「ついに出た、日本初の全身骨格」
    北海道むかわ町で発掘したむかわ竜。
    「恐竜界50年の謎”恐ろしい腕”の正体は」
    ハイエナ作戦で獲得したデイノケイルスの全身骨格。

    読んでいたら、実物がすごく見たくなりました。
    な、なんと国立科学博物館「恐竜博2019」で見られるとあるじゃないですか!
    https://dino2019.jp/

    でも6日前に終わっていました。
    オーマイガー!
    あと一週間早くこの本を読んでいれば。

  • 久々の科学系ですが、恐竜がテーマで、しかも読みやすそうな見た目からすると、
    これは読まないと…ということで、読んでみました。

    多くの人が子供の頃に一度は恐竜や化石に興味を持ったはず。
    自分も子供の頃、化石を探しに出かけたものです(全然見つからなかったけど。)
    何かの古生物の小さな化石も買ってもらった記憶があります。
    そんな遠い記憶を思い出しながら読むと、とても楽しめます。

    恐竜の化石発掘がどんなに過酷でスリリングなのか、
    北海道で見つかったむかわ竜の全身骨格の化石発見がどれだけすごいことなのか、
    著者が大学院生の頃に発表した論文がネイチャーに掲載されたことのエピソード(これはマジでスゴイ)など、
    色んな聞いたこともないような恐竜の名前が出てきて、全然分からなくても、それでも面白い!

    恐竜好きな中高生に是非読んでもらいたい本。

  • 恐竜化石の発掘という、初めてのジャンルを堪能しました。

    研究者ってある意味「探検家」と言えるかも…
    これまでに研究者の著書を何冊も読んでみてそう思う。
    鳥類学者の川上さんしかり、カラス愛あふれる動物行動学者の松原さんしかり、フィールドワークってかなり過酷でハード。心身ともにタフじゃないとやってけないなぁと感じました。
    何よりも対象への深い探究心がないと、とても出来ないだろうなと。

    小林さんの恐竜愛と、「発掘って楽しい!」という思いがたくさん込められた一冊。
    様々な発見に一緒に興奮しました。
    まだ記憶に新しい北海道むかわ町で発見された「むかわ竜」は、世界初の新種であり、初の全身骨格!!
    本書を読んで、その発見のすごさが今更ながら解りました。
    化石発掘は壮大なロマン♪♪
    恐竜の蘊蓄、発掘の裏話が面白かったです。

  • 図書館でふと新刊の場所で見かけて手にとってみたが、想像を裏切る面白さと程よい深さで非常に良い本だった。とにかくまず読みやすい。読みやすいし、恐竜の研究というものがどのように行われていくのかについてもざっくりと教えてくれ、なるほどなぁと思わせてくれる。めちゃくちゃに深い知識で満たされているものではないので、発掘ってどのように行われるんだろう、とか、恐竜の論文ってどういうものに則って作られていくんだろう、とか、そういう疑問を持っている人にふさわしい本だと思う。加えて、むかわ竜の発見エピソードについても詳しく書かれているので、それについて知りたい人にもおすすめだ。研究の一筋縄ではいかない感じや、細かい気をつかう点、更に発想や着眼点などが個人的には面白かった。

  • 著者の研究人生が生き生きと書かれておりすぐに読んでしまった。こういう情熱の塊みたいな人の文書は読む側に活力を与えてくれると思う。それにしても発掘作業でグリズリーを警戒しないといけないとか、サバイバルスキルが必要とされることは意外だった。

  • 恐竜学者の日々の研究生活がおもしろく読める。かなり肉体的にハードな生活を送る研究だとよくわかる。
    この本では、むかわ竜発見の経緯や恐竜のたまごの密集地を発見したこと、恐竜の中には石を胃袋に溜め込んで消化に使っていたものがいたことの発見とネイチャー誌への掲載などが書かれておりおもしろい。

  • 冒険記として面白い。
    また、ある意味、宝探し系サイエンス(理論や実験と比べ、という意味で)の極意が語られている。

    探すコツ
    人が歩かないところを歩く。
    往復で同じ道を通らない。
    たまには、ハイエナ作戦も有効
    → 40年前の写真を持って、再度現場へ
    発掘に6000万円。出る自信はある。
    そんなときは、やってみる。


    論理の組み立て方のコツ
    一見はずれと思われる事項も、その意味が重要
    → 卵の化石に赤ちゃんがいない
    → 孵化率が高い。not 赤ちゃんがいないはずれ化石

    一見どうでもいいものが、実は重要
    → 胃石の発見
    → 定説では肉食恐竜だか、
    胃石が必要な動物は、歯がなく、かつ
    胃ですりつぶす必要あるものを食べる
    → つまり、草食
    この理屈の組み立てのためには、先行研究を
    丹念に論文で追っている。


    発掘調査には、現地の許可が必要で、
    そのため、仮に最終日に何かでても、また来年に
    しなければならない。その際、盗掘者にみつからないよう
    埋めてくるっていう話も面白い。
    化石売買には反対、ってのも頷ける。

  • 息子が恐竜好きであることから小林先生の存在を知り、この本に出会いました。想像以上に過酷な発掘現場。知力と同様に体力、人脈、大胆さ、運…そして何よりやっぱり恐竜に「取り憑かれている」マインドが全ての原動力であることを実感しました。きっと小林先生は楽しくて仕方ないんだろうなぁと羨ましく思います。古生物学に詳しくなくても読みやすいです。息子にももう少し大きくなったら読ませたいです。

  • ポップな表紙ですが、副題通り命がけでした…。ちょけてるのかと思いきや、ちょけてる場合ではないのですね。

全59件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

北海道大学総合博物館 教授

「2022年 『トリケラトプス1/35骨格模型キット&本物の大きさ特大ポスター』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小林快次の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
森見 登美彦
原田 マハ
恩田 陸
劉 慈欣
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×