いかれころ

  • 新潮社 (2019年6月27日発売)
3.22
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本棚登録 : 139
感想 : 15
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  • 本 ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103526612

作品紹介・あらすじ

「ほんま私は、いかれころや」河内弁で「完膚なきまでやられた」のは誰か――。南大阪のある一族に持ち上がった縁談を軸に、牧歌的な田舎の暮らし、不安定でわがままな母を甘やかす本家の祖父母、学生運動をしていた婿養子の父、精神を病んだ叔母、因襲に縛られた親戚たちの姿などを幼女の視点から鮮やかに描く。新人らしからぬ圧倒的力量を選考委員が絶賛した三島由紀夫賞受賞作にして新潮新人賞ダブル受賞のデビュー作。

感想・レビュー・書評

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  • 関西弁の幼児にしか触れることの出来ない心の部位があって、その境遇が複雑であればあるほどズシっとくる。生まれ育ちや、家庭環境、親戚付き合いなど自分が見てきたものに近いからか。なこたん聡くて優しくて好きや。だからこそ幸せなってほしいなあと思いながら読んでいた。川上未映子はそら推すわな。

  • 昭和の終わり大阪河内の村を舞台に、因習にとらわれた一族の日々を、四歳の少女の視点から描く。

    本家や分家、婿養子など一族内での独特なポジションに加え、精神疾患や政治的な思想などへの差別が根深くはびこる様が描かれているのだが、四歳児の主人公の感覚をとおしているため、不穏ではあるものの陰湿にならないところがいい。
    ときおりビデオやパソコンという言葉が出てはくるものの、一族内でのあまりにも濃密な関係と古く閉鎖的な考え方に、設定された時代よりも以前の昭和初期から中期くらいの話に感じた。

    新潮新人賞と三島由紀夫賞をダブル受賞したこの作品は、作者のデビュー作だというから驚く。今後の作品が楽しみだ。

  •  理解が追いつかず、

  • 三島由紀夫賞受賞時の動画を見た事がきっかけで読みました。

    昭和の大阪南部が舞台なので、河内弁、今では使われない俗語などが端々に使われています。
    私は幼少期大阪南部で暮らした事があるので、
    言葉やニュアンスが何となくつかめましたが、
    馴染みのない方にはわかりづらいのではないでしょうか?

    4才の女の子の視点でストーリーが進みます。
    このくらいの子どもって、大人が思うよりうんと冷静に事実を見ているもので、大人のいやらしさ、狡さ、嫉妬、衝動性などが生々しく綴られています。
    切ないような、苛立つような、或いはどうでも良いよめんどくさいなぁというような感情が混ざり合って沸いてきます。
    そして、これって自分の幼少期にも感じた事のある感覚だと思い出し、なんとも暗い気持ちになってしまいました。

    閉塞感のある家庭、社会が幼い子の世界の全てだから、当たり前にこの中で立ち回って生きるしかないんですよね。

    作者のテーマが何だったのかをストーリーから受け取る事ができませんでした。私には合わなかったのかもしれません。

  • え?という感じで終わった。

  • 〜賞受賞の肩書に空かされることがままあるが、本作は作者の筆力の高さを感じる、賞に値する文芸作品だ。出だし登場人物の相関がつかみづらく途中で読返し理解。ストーリー自体は面白く感じたわけではない。

  • 昭和の古い時代の息苦しい風習みたいな、雰囲気が好きな本でした。志保子が魅力的。

  • 南河内の古い町の旧家と分家のただなかで、曾祖母、祖父や祖母らと生きる久美子、志保子、幸明 弟妹の物語が、久美子の子供 奈々子の語りで進行する.大きなイベントとしては、志保子の結納だが、周りの人たちも絡んで、女同士のマウンティングが飛び交う.奈々子は子どもだが、そこそこ理解して上手に立ち回っている.久美子の夫 隆志は養子であることを重荷にしているが、若いころの自慢話に自己陶酔している感じだ.志保子の縁談は最終的には破談となり、女たちの格好の話のタネになる.女たちの生き方の典型を見るような感じのストーリーだった.

  • 読んでいて訛りがうつりそうになるくらいの、昭和の大阪物語でした。何気ない日常ではあるものの、子ども目線の捉え方が鋭くて、子どもの頃に感じる、どうにもならない濁った感情が懐かしくも湧き出たりしました。

  • 昭和後期の裕福な農家が
    次第に没落していくさまを
    4歳の少女の視点で描く。

    本家と分家
    拗れた家族関係
    どうやっても上手くいきそうにない
    ドロドロな世界だけど
    どこにでもあるようなことでもある。


    舞台の河内地方は自分の故郷でもあるので
    何となく「あの辺かな」と
    思いながら読んだ。

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