百の夜は跳ねて

著者 :
  • 新潮社
3.09
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本棚登録 : 521
レビュー : 67
  • Amazon.co.jp ・本 (185ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103526919

作品紹介・あらすじ

第161回芥川賞候補作!

この小説は、決定的に新しい。「令和」時代の文学の扉を開く、渾身の長編小説。「格差ってのは上と下にだけあるんじゃない。同じ高さにもあるんだ」。僕は今日も、高層ビルの窓をかっぱいでいる。頭の中に響く声を聞きながら。そんな時、ふとガラスの向こうの老婆と目が合い……。現代の境界を越えた出逢いは何をもたらすのか。無機質な都市に光を灯す「生」の姿を切々と描ききった、比類なき現代小説。

感想・レビュー・書評

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  • ビルやマンションの窓拭をふく(かっぱぐ)清掃員。勤務中、窓の中にいる老婆と目が合うことで、その後、老婆を訪ねる。そこで、老婆より部屋の写真を撮って欲しいと頼まれる。
    不思議なおばあさん。おばあさんの言動は興味深かった、しかし、あまり心の響くものはなかったな。格差社会とか人との繋がりとか今を切り取ったものがあるんでしょうが。おかしなものもなく深いものもなく。私には合わなかっただけかな。

  • 主人公が就活を失敗した青年という設定に強く惹かれ、人に教えてもらってすぐに購入し、その日のうちに読み終えました。
    まず読み終えて思ったことは、本筋と逸れた感想にはなりますが、「共感」というものはとても大きなエネルギーを生み出すんだなぁということです。というのも、私は普段あまり本を読まないのですが、そんな私が一気読みしてしまうくらいの(それも純文学を)エネルギーを共感は生み出してしまいました。主人公の生活状況や、物語の時代背景、就活時の心境などが、丁寧に描写されていることによって、それを可能にしたんだと思います。現代の若者について研究をしてらっしゃる方の小説は一味違うなと思いました。
    最後に、内容の方の感想ですが、「過ぎていったはずの一瞬を記録し、後で振り返ることは大切なのかもしれない」と最後の方に主人公は気付きますが、もしそうだとしたら、あまり記録をしたりする人生を歩んできてこなかったので損をしてるのかもなと思いました。ので、ブクログをインストールして読書記録を残すことに決めました。読書体験も一瞬のものに近いと思います。読み終えた今の感情をここに残し、あとで振り返る時に、その重要性に気づければと思います。

  • 作者がどんなものを書いているのか、単なる好奇心で読んだ。理窟だらけだったり、
    文体が合わなかったら
    無理せずやめようと思ったが
    完読した。

    本を読むとき、白紙で読むーそれでも100%白紙は難しいけど。
    前評判とか、レビューとか知らずにー

    タワービルの清掃をしている主人公とひょんなことからのその住人との出会い
    設定は面白い、

    面白かった、文体にも抵抗無く
    裏の参考文献を読むとさすが勉強されてる。
    確かに現代を映し出している

    格差、劣等感
    幅広く言えば生きるということ

    題名の意味も理解できたし、
    「独断と偏見だけど」
    終わりに希望はあった。
    何度か、芥川賞「?」直木賞「?」候補だよね。
    取れたらいいね。精進を祈ります。
    着眼点は面白い。

    これを機会に他の作品「古市憲寿氏の」もよんでみたい。

  • 表紙の画も古市さんが描いたんだと知って、へ~となる。
    前作より好きかも。

    高層ビルの窓の清掃員と、あるマンションの住民の老婆との交流。
    と書けば何の事はないが、
    老婆から、ある事をお願いされての交流。
    突然その交流は終わってしまうけど、主人公には何か希望が残ったように感じる。

  • 都心を埋め尽くす、高層ビルやタワーマンション。清掃用のゴンドラに乗り、日々窓を清掃する若者が、ふと目に入った数字をきっかけに、不思議な老婆と出会う。

    物語性は殆ど無いと言っていい。
    作品を通して何かを伝えたいというよりかは、東京に住む人が抱えている孤独を表現した、ある種のドキュメンタリーを提示しているという感覚の方が近いかもしれない。
    面白くない訳ではないのだが、登場人物全員の存在感が希薄で、どのように楽しんだら良いのかが分からない、故に評価が難しい作品だと感じた。

  • 芥川賞選考騒動があったのでミーハー心から興味が湧き、読んでみました。

    と言いながら盗作疑惑渦中の本は書籍化されていないので読むことができず、自分でジャッジは出来なかった・・・残念。
    騒動が勃発したタイミングで単行本化すればそこそこ売れたんじゃないかという気がしたけれど、そこまで話題じゃなかったかな。

    就活に失敗した主人公が高層ビル窓清掃会社に就職し、怪しげな金持ち老婆と出会い交流するお話です。
    芥川賞作品ぽいつくりで、狙って書いたな、という臭いがプンプン。
    その割には主題があまり見えてこなくて、よくわからない作品でした。

  • 「平成くん、さようなら」がとても面白かったので期待したが少々残念。古市さん作の装画は素敵。

    窓をかっぱぐ。掻いて剥ぐからきた言葉
    天使の溜息←シャンパンの炭酸が抜ける音
    天使の拍手←シャンパンの泡がグラスの中で弾け、小さな音が重なり合う音

  • 初めて一眼レフカメラを買って、写真を撮り始めたとき
    『自分は今まで何を見ていたんだろう?』と考え込んでしまうくらい
    世の中が違って見えました。
    『自分が生きている世界はこんなに美しい場所だったのか・・・』なんてちょっと感動したりもして。

    自分の目の前にあるものがいつも見えているとは限らない。
    いつも見ているものが、何かをきっかけに全く違うものに見えることだってある。

    生のすぐ隣にある死を受け入れることで『生』は輝き
    ビルの窓ひとつひとつに人の営みがあることを知ることで
    無機質な街は優しい景色になる。
    見ないように、見えないようにしてきたものを
    受け入れることで、体温を取り戻していくかのような主人公の姿に
    少しだけ明るい未来を感じ、安心して本を読み終えることができました。

  • 本作品は、(おそらく)貧困の中の幸せを見つける若者の話ではないかと思う。ビルの窓ガラス掃除をする主人公は、ガラスを隔てて自分がいる場所と建物の中の幸せそうな世界を対立させながら、ガラスの中にいる謎のお金持ちの老婆と知り合いになる。ビル掃除中の盗撮写真を老婆に渡すことで大金を手に入れられるのだが、そのお金の回し方も若者世代と老人世代の財産継承のように思えなくもない。ここまでは自分の解釈。本当のところはどうだろうか。

    どうしても前作の「平成くん、さようなら」と比べてしまうのだが、本作品からは著者の主張が見えにくかった。

  • 芥川賞ノミネート作というとやはり純文学寄りなイメージが有るので、エンタメ小説のように素直に楽しむというよりは、少々深読みして読もうと思って読み進めます。
    タワーマンションの中に垂れこめる老女、タワーマンションの外で窓を清掃する若者。どういうメッセージなのかなと思って読んでいましたが実は意図が全く分かりませんでした。色々分からないなりに、青年と老女の交流は胸温かく楽しめました。
    もう少し何か胸に差し込むような物が有るかと思いきや淡々と進み淡々と終わります。あまり深読みせず素直に読んで楽しむのが吉だと思います。僕も最初から素直に読んでおけばよかった。

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著者プロフィール

古市憲寿(ふるいち のりとし)
1985年東京都生まれ。東京大学大学院博士課程在籍。慶應義塾大学SFC研究所上席所員。株式会社ぽえち代表取締役。専攻は社会学。若者の生態を描出し、クールに擁護した著書『絶望の国の幸福な若者たち』(講談社)で注目される。大学院で若年起業家についての研究を進めるかたわら、マーケティングやIT戦略立案、執筆活動、メディア出演など、精力的に活動する。著書に、『誰も戦争を教えられない』(講談社+α文庫)、『保育園義務教育化』(小学館)、『だから日本はズレている』(新潮新書)、『希望難民ご一行様』(光文社新書)などがある。2018年から小説を書き始めている。小説作に「彼は本当は優しい」(『文學界』2018年4月号)。『平成くん、さようなら』で第160回芥川賞ノミネート、『百の夜は跳ねて』で第161回芥川賞ノミネート。

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