奈落

著者 :
  • 新潮社
3.36
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本棚登録 : 501
レビュー : 67
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103526926

作品紹介・あらすじ

ステージから落ちた歌姫は、かつて手にした全てを失った。圧倒的な孤独と絶望の果てを照射する、運命のドラマ。17年前の夏、人気絶頂のミュージシャン・香織はステージから落ち、すべてを失った。残ったのは、どこも動かない身体と鮮明な意識、そして大嫌いな家族だけ。それでも彼女を生かすのは、壮絶な怒りか、光のような記憶か、溢れ出る音楽か――。生の根源と家族の在り方を問い、苛烈な孤独の底から見上げる景色を描き切った飛翔作。

感想・レビュー・書評

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  • なんて、残酷な物語り。
    ページを進める中「そろそろ一筋の光が見えるのかなぁ~」って思ったら最後まで残酷だった。

    悲しみとか怒りとか、そんな言葉で表現出来ないくらいの、そんな安っぽい言葉で片付けられない彼女の魂の感情は読んでいる私も苦しくて・・・。

    何もかも見据えた上で受け止めて諦めて生き続ける彼女は強いのか・・・強いなんて事さえも必要ないような、ただ現実を生きて行くしかない彼女に何て言っていいやら。

    見たくもない知りたくもない家族の本性とか、本当に読んでて嫌だった!!
    一筋の光があるとばかりに読み進めていたので、どぉぉーんと気分の落ち込みを引きずってしまっています。

    古市さんの作品を初めて読んだ。
    読みやすかった。

    体は動かないし意思疎通が出来ないのに思考だけは、ハッキリしているという、この残酷さが何とも言葉になりませんでした。

    家族って他人・・・って・・・他人以下だろっ!!て感じ。
    他作品は、どんな感じなのか気になってきました。

    絶望の中、死ぬ事も出来ず逃げる事も耳を塞ぐ事も出来ずに生かされ続けて行くって・・・どんなに辛いか色々と考えてしまいました。

  • 初めての作家さん。
    出だしの数字がわからなかったが、すぐに意味がわかります。
    表現できないとはこんなに苦痛なのかを思い知らされます。
    絶望の中、生きていく苦しみ。
    これが人生なのかもしれない。
    辛いのが苦しい人にはお勧めできませんが、この本を読めるということは、主人公より恵まれている...と考えて慰めるしかないです。

  • 古市さんの小説3作品めです。

    冒頭から引き込まれました。
    ある日、急に人生が変わることはあり得る…
    輝かしいスターだった主人公が奈落の底へ落される、自由にならない身体と正常なままの意識のはざまでの何十年という日。

    主人公目線で読んでいたのでラスト近くでちょっと衝撃を受けました。勝手に持っていたイメージがひっくり返された感じです。

    最後まで嫌な気分になる1冊でしたが、妙に印象に残る1冊でした。

  • 他人の思惑によって無理やり進む時間

    人気絶頂の歌手が事故によって意思疎通もままならない車椅子生活になってしまったというお話。

    仲良くもない家族に"生前"の功績を搾取され、蹂躙される。死んだも同然以下、死んだ方がマシという主人公の気持ちが痛いほど伝わってくる。

    それを表した事例として最も刺さったのが、
    「痒いところをかけないし、誰に伝えることもできない」という所。

    一人で人間としての生活は送ることができなくなってしまった。

    意識がはっきりしている自分と、それを把握できていない周りの歪みをほぼ全編に渡って描いているが、ほんの少しずつ主人公に変化が。
    大きくは何も変わらない至って暗く単調な物語り。




    ここから本題。
    岡崎京子という漫画家を知っている人は、この名前を出すだけで何をこの後話したいのかがあっさりと理解できると思う。
    彼女はヘルタースケルターやリバーズエッジといった映画化もされた漫画作品を描いていた人だ。

    奈落の主人公と同じく人気絶頂の時に事故にあって長い間リハビリ生活を余儀なくされ、20年以上経った今でも元の生活とは程遠いという。
    そんな中でも彼女の原画展や未発表の作品なんかが絶えず出版され、まるで今も活動しているかのようだ。
    その岡崎京子と、奈落の作者・古市憲寿は交友が現在も続いている。

    倫理的に危うい描写も多々ある作品なので、大いにフィクションが入っているとは思うが、これは彼女の物語でもあるんじゃないかと思ってしまう。

    それ故にリアルで地道で絶望に溢れた世界を一冊に込められたんだと思う。

  • ひどく残酷なストーリーだった。
    死ぬより怖い世界を見せてもらった感じ。

    色々な立場、かたちの残酷さがあった。

    淡く想いあっていた男の子との、排泄中のキス、それ以上にざくろの腐った匂いを印象付けてしまったこと
    センスを磨いて、ファッションに、こだわってた彼女が上下ヨレヨレのしまむらを着せられてかつてのファンの前に晒されること
    わざわざ固形の食事を見せてから、それをドロドロのミキサーにかけたものを食べさせられること

    なにより、最後変わり果てた姿を鏡で見せられること。

    主人公の香織自身も、姉の結婚式で無自覚に主役を奪うなどの残酷なことをしていた、という事実もありで 多層的。

    世の中には色々な絶望、残酷さがあるけど、美しかったものがその美しさを失うって もっとも残酷なことの一つだと思う。

    古市さんは飄々としてるけど、意地悪で徹底した観察眼と繊細な感性両方があるんだな、と感じた一冊。またこの人の本を読んでみたい。

  • ひたすら残酷。
    人間の醜い部分を詰め合わせたような感じ。
    後味の悪い読後感

  • 途中で読むのをやめたかった
    でもどこかに希望があるかもしれない
    ラストには光が
    そう思って読み続けた
    でも
    底なしの絶望
    吐き気までした

    ≪ 傍観者 奈落の底で まだ落ちる ≫

  • 3日前に読み終わったというのに未だ物語を反芻している。主人公の最大の不幸は全身不随になったことではなく家族に利己的な人間しか居ないことではないか。
    最後のシーンは希望なのか絶望なのか。実は現実ではなく夢のようにも思えた。残酷すぎる。

  • 古市さんの書く小説ってなんでこう暗いのだろうか。オチが標題奈落。奈落の果て。

  • 家族は他人の始まり
    理解できなくても受け入れよう

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著者プロフィール

古市憲寿(ふるいち のりとし)
1985年東京都生まれ。東京大学大学院博士課程在籍。慶應義塾大学SFC研究所上席所員。株式会社ぽえち代表取締役。専攻は社会学。若者の生態を描出し、クールに擁護した著書『絶望の国の幸福な若者たち』(講談社)で注目される。大学院で若年起業家についての研究を進めるかたわら、マーケティングやIT戦略立案、執筆活動、メディア出演など、精力的に活動する。著書に、『誰も戦争を教えられない』(講談社+α文庫)、『保育園義務教育化』(小学館)、『だから日本はズレている』(新潮新書)、『希望難民ご一行様』(光文社新書)などがある。2018年から小説を書き始めている。小説作に「彼は本当は優しい」(『文學界』2018年4月号)。『平成くん、さようなら』で第160回芥川賞ノミネート、『百の夜は跳ねて』で第161回芥川賞ノミネート。

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