僕の人生には事件が起きない

著者 :
  • 新潮社
3.88
  • (211)
  • (315)
  • (224)
  • (28)
  • (8)
本棚登録 : 3739
感想 : 351
  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103528814

作品紹介・あらすじ

日常に潜む違和感に芸人が狂気の牙をむく、ハライチ岩井の初エッセイ集! 段ボール箱をカッターで一心不乱に切り刻んだかと思えば、組み立て式の棚は完成できぬまま放置。「食べログ」低評価店の惨状に驚愕しつつ、歯医者の予約はことごとく忘れ、野球場で予想外のアクシデントに遭遇する……事件が起きないはずの「ありふれた人生」に何かが起こる、人気エッセイがついに単行本化! 自筆イラストも満載。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 元々ハライチが売れだした頃から岩井さんは好きだった。「はじめに」を読んでビビッときた。
    目次を見てうわぁーとソソられた。

    「家の庭を【死の庭】にしてしまうところだった」
    「組み立て式の棚からの精神攻撃」
    「あんかけラーメンの汁を持ち歩くと」
    「空虚な誕生日パーティー会場に【魚雷】を落とす」
    …言葉選びがうまいのか
    なんかめっちゃ面白そーじゃね?

    あとがきにある通り、起こっている出来事は大事件ではなく私たちの日常に近い「あるある」というもとばかり。
    それが岩井さんがわざとやってるのか、どんどん変な方向に迷って行ったりするから面白い。
    どうしようもなくなった時にやらかす【放置】も面白い。大爆笑ではないけど、常にクスクス笑わされる。

    「仕方なく会った昔の同級生にイラつかされる」
    うーん観察眼すごいなぁ。こんな奴いるいる…

    「澤部と僕と」
    圧巻。
    まず、最低!というレベルの悪口が並んでびっくり。しかしそれは一番近くで澤部さんを見ている岩井さんでしか気づかない事であり、しかも核心を突いており、結果的に深いコンビ愛を感じさせた。

    そうそう、私はハライチの漫才で「〇〇の△△」とどんどん変な風になって澤部さんが予想以上のリアクションをした時に、隣で思わず笑っちゃってる岩井さんが好きなんだった。

    というわけで私はもっと岩井さんの事が好きになった。

    • ミオナさん
      shinsekaiさん、コメントありがとうございます♡

      岩井さん、かっこいいですよねー
      (文才もあるし顔も好き)
      まずタイトルを見た時のワ...
      shinsekaiさん、コメントありがとうございます♡

      岩井さん、かっこいいですよねー
      (文才もあるし顔も好き)
      まずタイトルを見た時のワクワクが半端なかったです!

      私とよく似た感覚でこの本を面白いって思っている人がいて嬉しいです!
      2021/07/26
    • sinsekaiさん
      ミオナさん返信ありがとうございます。
      自分もこの面白さを共有できる人が嬉しくて思わずコメントしてしまいました!

      自分の本棚にも登録してあり...
      ミオナさん返信ありがとうございます。
      自分もこの面白さを共有できる人が嬉しくて思わずコメントしてしまいました!

      自分の本棚にも登録してありますが、ふかわりょうのエッセイも結構面白いので是非おすすめです。
      2021/07/26
    • ミオナさん
      興味あります!
      私からもフォローさせてもらいました(*^▽^*)
      興味あります!
      私からもフォローさせてもらいました(*^▽^*)
      2021/07/28
  • 【感想】
    ハライチの岩井さんと言えば「腐り芸人」としてテレビで有名である。相方の澤部さんとともに「陽の澤部」「陰の岩井」というイメージが付いており、日常生活もさぞかし闇に満ちていそうだ。言いたいこと吐き出したいことをたくさん抱えており、書くネタには困らないと思われがちだが、そんなことは無いという。本文中でも、「自分の人生には特別な事件なんて起こらない」とこぼしている。M-1の決勝に3回も進出しており、テレビやラジオに多数出演している売れっ子芸人が「事件が起きない」なんて、そんなわけないだろうと凡人の私は思ってしまうのだが、これがどうやら本当らしい。中学時代、卒業式の前日に当時好きだった女の子に告白してフラれたことが、芸人になるまでの最大のエピソードとのことだ。

    そんな普通の人生の、凪のような日常を編んだのが本書である。岩井さんの宣言通りただの日常生活が書かれているだけで、目新しい事件などは何も起こっていない。

    だが、そうした一般人と何も変わらない日常も岩井さん独自の視点が加わることで、どこかクスリと笑えてしまう文章が出来上がっていく。「余談だが、生まれた時から勝ちが確約されているのに、自ら道を踏み外して奈落に落ちていく人間というのがまさに〝クズ〟だと思う」「同窓会を開く奴は私生活に満足しておらず、ただ同級生より上に立ったことを確認したいという理由で同窓会を開く」など、些細な人間模様に毒づく「岩井節」がところどころに見られ、平凡な日常に少しちくっとした面白さが加味されていく。「そうそう、こんな瞬間あるよな」というあるあるネタとして楽しめもするし、人並みの生活を少し穿った目線で捉え直すことで見えてくる面白さもある。

    岩井さんが凄いのは恐らくその「視点」にあると思う。普段から「岩井節」によってナナメに物事を見ているからなのか、日常に潜むデコボコをそっと切り取って、「こんなことありましたが、どうですかね?」と読者に提供するのがとても上手い。日常のエッセイにオチは無いし、エピソードの〆も「僕はこう思いました」という感想程度で終わるものが多数だが、そうした些細な出来事が事件に発展せずに終わっていく様子が、まさに特別なことが起きずに一日一日が過ぎていく様子と似て、とても心地よかった。

    それと、岩井さんは文を書くのが上手いなぁと思う。
    本人は「僕という人間は『ぽい』だけで、ネタやツイッター以外の文章などを全く書いたことがない」と言っているが、ただ、書くからにはきちんと綺麗な文章を書きたいとか、やや高尚でしっかりした文を書きたいだとか、そうした意識によって変に力が入ってしまい、クセが残る文章を書きがちなものだが、そうした粗さがない。あくまで岩井さんの自由な視点でつらつらと文章を書いており、それが「日常エッセイ」のゆるい雰囲気にピタリと当てはまっている。読んでいてスッと頭に入ってきて、とても楽しめる文章だった。
    ―――――――――――――――――――――――――――――――――――

    【メモ】
    30代、独身一人暮らし、相方の陰に隠れがちなお笑い芸人がどんなことを考えながら日々の生活を送っているのか。やはり特別な事件は起こっていないかもしれないが、どうかこれを読んだ後、平々凡々な日常を送っていると思っている人でも、少しでもそれを楽しめるようになってもらえたらと思う。

    なぜなら、僕の人生を振り返ると、全くもって〝波乱万丈ではない〟
    中学時代、卒業式の前日に当時好きだった女の子に告白してフラれたことがある。驚くなかれ、なんとこれが芸人になるまでの僕の人生において最大のエピソードなのだ。どうだ、何でもないだろう。「ふーん」だろう。「うわ普通~」だろう。

    余談だが、生まれた時から勝ちが確約されているのに、自ら道を踏み外して奈落に落ちていく人間というのがまさに〝クズ〟だと思う。

    ハマると飽きるまでやってしまうことがある。〝飽き〟というのは恐ろしく、いくら好きだったものでも急に興味を削がれる。飽きなければ好きなことを延々とやっていられるので、どれだけ幸せだろうと考えたこともある。しかし、そうなると新しいものは何も生み出されず、人は進化をやめるだろう。飽きることで前進しているんだという結論にたどり着いた時、これからも〝飽き〟によって前進させられるのか、と思って、ちょっと疲れた。

    本当に仕事と私生活に満足している人間は同窓会など開かないということだ。端から見て私生活と仕事が上手くいっていても、どこか楽しくないとか、満足していないとか、もっと人に認められたい人間が、学生時代の楽しさのピークを更新できていないからか、同級生より上に立ったことを確認したいという理由で同窓会を開くのだ。なので、楽しさのピークを更新していて、今を楽しんでいる人間は同窓会など求めていない。

    澤部にファンがいなかったり、後輩に憧れられないのは僕が思うに、澤部の返しやリアクション、バラエティでの立ち振る舞いが全てどこかで見たことがあるものだからなのだ。他の芸人がどこかでやっていそうなことで成り立っている。なので「澤部のここがいい!」と思うと、それがもっと上手い誰かが存在するので、結果その人に憧れたりファンになったりするのである。澤部は誰かがやっていたことを吸収して、自分を通してアウトプットするのがとにかく上手いのだ。

    だから、普通に生活している日常を面白がりたい。毒にも薬にもならないどうでもいいことが笑えたりする。それが少し視点を変えるだけで全然違うように見えたりもする。
    芸能の世界で仕事をするようになってからずっと思っていた。僕の人生には事件が起きない。が、それと同じように皆さんの人生にもそんなに事件は起きていない。そして、テレビで見る芸能人の人生にもどうせ本当は事件など起きていないだろうと。それを皆、化学調味料で元の味などわからなくなるくらい噓のように濃い味付けにして提供してくるのだ。そんなものばかり食べていると、そのうち舌が馬鹿になる。物の味なんてわからなくなってしまう。

  • ハライチの漫才が大好きですそんな漫才のネタを書いている岩井の初エッセイが書店に並んでいて、ずっと気になっていたんですが、ようやく読むことができました!

    マジョリティを嫌い、人と同じ事はやりたくない
    そんなひねくれ者の岩井が好きだ!
    自分も同じような人間だからだ…

    タイトル通り、事件というほどのことは起こらない日常な些細なことなんだけど、それに対する考え方、表現の仕方が面白い。

    とても共感した部分を抜粋
    岩井の考えるクズ人間の解釈
    「生まれた時から勝ちが確約されているのに、自ら道を踏み外して奈落に落ちていく人間というのが、まさにクズだと思う。」

    そしてここが一番共感して、岩井がめちゃくちゃカッコいい「空虚な誕生日パーティ会場に魚雷を落とす」というエピソード
    その冒頭で
    「僕は人がたくさん集まるようなパーティや飲み会が苦手だ。社交性がないという訳ではない。
    見ず知らずの人間達が集まっているにも拘らず、
    さも楽しそうにしていないと「感じが悪い」
    だの「空気が読めない」だのと言われかねない雰囲気が好きではないのだ。」
    これはまさに、自分自身の言葉を代弁してくれたようでとてもえれしかった!

    「恐怖に怯えたタクシー運転手の怪談話」
    はカフェで読んでて何度も吹き出して笑ってしまった。
    周りからは白い目で見られていたかもしれないので
    ゾッとしますが…笑

    そして最後の章で岩井が相方の澤部を考察するところは面白かった。

    また次作がでたら絶対に買おうと思います!

  • エッセイ。
    そんなに笑わそうとしている感じでもなく、世間に噛みつくでもなく、のんびり読めて、なんかいい。

    組み立て式家具はそんなに嫌か。単に面倒という以上に、それほど恐ろしいものだったとは。
    私なんか、組み立てるのが楽しみでうきうきしちゃうのに。

    相方のことを分析する目線は、ほお―そうなんだ、という感じ。
    こんなの他人が言ったらけなしてるとしか思えないけれど、わざと落として持ち上げるというのでもなく、ただ素直に冷静に見つめているのだろう。
    そこに好意と信頼と尊敬が感じられるから、素敵なコンビだなあと思った。

  • 僕の人生には事件が起きない。読んでいて本当にそうなんだな〜と感じた。何でもない普通の日常を、いろんな角度から楽しんでいる。あまり気にしないような細かなところにも目を向け、それを文章にする。器用な人だなと思った。面白かった。

  • おもしろい!!

    正直、相方さんの方が目立ってて
    どんな人なのかな?って気持ちで読んでみました。

    めっちゃおもしろい人じゃん!
    あんかけスープ持ち歩く人、初めて聞いたわ!

    事件的なエピソードじゃないけど、じわりときました。

    私、岩井さん好きです❤️
    好きになりました。

  • ハライチの目だなない方というイメージでしかありませんでしたが、こんな文章を書く人だったんですね。言われれば顔は思い浮かぶものの、声とかどんなのだったのかイメージ出来ないです。
    そもそもお笑いでしっかり食べられている時点で全然普通ではないのですが、いわゆる「分かる!!」と皆に言わせる力が有ります。
    結構突飛な事書いているのですが、どこか自分も思ったことあるかもという気になります。大型のカッターナイフで段ボールを処理していると、死体処理をしているようなうしろめたさを感じる一説が有りますが、まさにそう感じた事ありました。世界に一人かと思ったら居た!!
    そんなに劇的に面白い訳ではないけれど、微妙に美味しい白米みたいな感触があります。いい意味で地味で飽きないというか。ずっと読んでいられそうです。また何か出たら読むと思います。

  • 漫才コンビ、ハライチの岩井勇気による日常エッセイ集。お笑い芸人といえば、歩いているだけで面白いことが起こる。我々一般人には想像もできない笑いの吸引力を身につけているはずだが、著者の周囲にはそんな事件が起こらない。中学時代に告白して、ふられたこと。これが人生最大のエピソードらしい。

    とはいえ、そんな自分は芸人としての才能や運がないと悩む著者ではなく、それが普通なのだと自覚。むしろ、そんな普通のエピソードを文章化して笑いに転じる。これこそが、自身の提供するお笑いなのだ、と宣言するのが本書。きっちりとオチをつけて終わらせるエッセイはさすが。

    と、普通を強調する著者だが、あんかけラーメンの汁を水筒に入れて持ち運んだり、一人暮らしの住居でメゾネットタイプを選んだりと、やはり芸人らしい変人ぶりも少しはある。

    一番、いいエッセイは最終章のコンビ相方の澤部佑について。著者は相方のことを芸能界の中で何でもソツなくこなす万能な奴だと評する。それゆえに存在が薄く、誰も邪魔に思わないが、熱烈に支持されることもないだろうと語る。そんな相方の一番のファンは自分であり、これからも相方を見続けたいと宣言する。

  • ずっと読みたかった本。
    ハライチは実は中学生の頃から好きでよくライブに行っていた。

    岩井さんの腐った感じが好き。
    電車で笑いをこらえるので必死だった。

    「仕方なく会った昔の同級生にイラつかされる」という話がとてもおもしろかった。わたしも同窓会苦手。

    「恐怖に怯えたタクシー運転手の怪談話」は震えた。いろんな意味で。

  • 2020.07.07

    大したことのない平凡な日々
    ハライチの「暗い方」と言われ、大きなエピソードがあるわけではなく…
    ただ、だからこその視点で綴るエピソード
    感性が面白い!
    あんかけスープを持ち歩くエピソードはかなり好き。
    若林や又吉さんと同じ、芸人の中でも視野が広くて面白く読み応えがあった。

全351件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

岩井勇気(いわい ゆうき)
1986年、埼玉県生まれ。幼稚園からの幼馴染だった澤部佑と2005年に「ハライチ」結成。結成後すぐに注目を浴びる。ボケ担当でネタも作っている。アニメと猫が大好き(写真は飼い猫のモネ)。特技はピアノ。2019年9月26日、初の著作となる日常系エッセイ『僕の人生には事件が起きない』を刊行。

岩井勇気の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
又吉 直樹
辻村 深月
伊坂 幸太郎
凪良 ゆう
砥上 裕將
小野寺 史宜
有効な右矢印 無効な右矢印
ツイートする
×