古くてあたらしい仕事

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 330
レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103529613

作品紹介・あらすじ

噓をつかない。裏切らない。ぼくは具体的なだれかを思って、本をつくる。それしかできない。転職活動で50社連続不採用、従兄の死をきっかけに33歳でひとり出版社を起業した。編集未経験から手探りの本づくり、苦手な営業をとおして肌で触れた書店の現場。たったひとりで全部やる、小さな仕事だからできること。大量生産・大量消費以前のやりかたを現代に蘇らせる「夏葉社」の10年が伝える、これからの働き方と本の未来。

感想・レビュー・書評

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  • ノウハウだのハウトゥーだのといったビジネス本はすべて捨てて(1冊も持ってないけど)、この本を読めばいい。読書とは、仕事とは、時代とは、にとどまらず、生きるとは、について、大切にしたいこと、忘れてはいけないことがやさしく書いてある。著者の意向には合わないかもだけど、中学校あたりの国語の教科書に採用してほしい。

    ちょっとの邪念や欲も、時には受け入れながら笑い飛ばしながら、そういう類の人たちにも理解を示しながら、自分は自分の道をゆく。これ、と決めたものや人には、精一杯の愛情を注ぐ。そのためならなんでもする。そんなふうに生きていきたい。人生迷子になったときは、この本を読み返したい。

  • 夏葉社という出版社を立ち上げた島田潤一郎さんの著書

    本作りって本来こうあるものなんだと思う
    自分ためと思っていることは回り回って誰かのためになる
    ように思う

    小沢健二の朗読、仕事をせんとや、生れけむ
    「人は仕事をしたがっている」「そのことの、圧倒的な美しさ。その美しさの前では、そらにつけこむビジネスがあるなんてことは、塵のような話にすぎない」「ほかの4本指は、やっぱり何かをしたくて、うずうずしている。編み物をしたい、と。バイクを組み立てたい、と。家具を組み立てたい、と。」

    棚にどれだけ人の手が入っているかp84

    日々の仕事の積み重p85

    ぼくが欲しくなるような本をつくる、p90

    本をつくることは
    「作家や詩人の魂を吸う仕事」p158

    意思がなければ、いつの間にか遠くへ流されてしまう。安直な方へ。抽象的な方へ。より大きな声のする方へ。p173
    本屋の話として書かれているが全てに通ずと思う
    (長く続けるためには、より手間暇のかかった、具体的で、小さな声によりそったもの)

    本)昔日の客 山高登という編集者の1000部のみ作られた本1978年

    本)東京の編集者
    でインタビュー

    ほんをつくるということは、その作家の、その作品の、いちばん瑞々しいところを掬い上げるということp174
    古びないもの、川の源流のようにキラキラといつまでも輝いているもの。

    あたらしいものは古くなるし、古いものはあたらしくなる。けれど、まれに、いつまでも新鮮で、あたらしい姿のままのものもある。それが優れた仕事というものp176

    日野の移動図書館の話から
    前川恒雄(初代館長であり著者)『移動図書館ひまわり号』
    「市民の要求に合わせながら、主体的な判断によって本を選び、その選択がまた市民の要求に影響を与えてゆく」p179

    『誰がアパレルを殺すのか』皆川明の言葉
    短い間に大量生産するとすぐに供給過多に陥って飽きられてしまう。長い目で見ればその絶対量は多いとは言えない。けれど一つのデザインを長期間にわたって作るという仕事は、長い目で見れば大量に生産していることになる。私たちはそうした仕事を手掛けたい。それは工場にとって良いことだし、私たちのデザインが長く使われることにもなる。10年後も100年後も作り続けているという意味での大量生産であれば、それは私たちの目指す姿だ。

    たいせつなのは、待つことだ。

    『ガケ書房の頃』山下賢二
    「本屋は勝者のための空間ではなく、敗者のための空間なんじゃないかと思ってる。誰でも敗者になったときは、まちの本屋に駆け込んだらいい」p191

    必要なのは、知性ではなく、ノウハウでもなく、長い時間だ。現実に流れる時間とは異なる時間を、自分以外のどこかに求めること。、p193

    若いころは、最初に答えを知りたかった。一直線に普遍的なものにたどり着き、人生とはなんなのかを把握しようと思って本を読んだ。けれど、そうした読書は得てして楽しくなく、本の読後感は「成功」か「失敗」のどちらかだった。読んで得したとか読んで損したとか、そんな感想しかもつことができなかった。p206

    若い読者に伝えてくれる

  • 空気のおいしいとこまで行かなくても、自分が何を好きで、何を選ばないかを考えることはできるなあと思った。

  • 島田さんの、本と本に関わる人たちへの愛が感じられ、本ってステキだな、私もなんやかんや頑張るぞーという気持ちになれた。誰かに必要とされることに感謝しよう。

  • 夏葉社の島田さんの、ひとり出版社を立ち上げるまで、それから10年経って今思うこと。
    淡々と語られる出来事の裏に、喜びや悲しみがきっとあった。そこに思いを馳せると胸が熱くなる。
    こうして作っている人の思いを読むと、出版される本がまた違って見えてくる。
    一冊一冊からその本を作った人の気持ちが立ち上ってくる。

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著者プロフィール

島田潤一郎(しまだ・じゅんいちろう)
1976年、高知県生まれ、東京育ち。日本大学商学部会計学科卒業。アルバイトや派遣社員をしながら、ヨーロッパとアフリカを旅する。小説家を目指していたが挫折。2009年9月に出版社「夏葉社」を創業。出版点数のうちの多くが、絶版名著の新装復刊。
主な著作に『あしたから出版社』。

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