ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編

著者 :
  • 新潮社
3.72
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本棚登録 : 1808
レビュー : 122
  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103534037

作品紹介・あらすじ

ねじまき鳥が世界のねじを巻くことをやめたとき、平和な郊外住宅地は、底知れぬ闇の奥へと静かに傾斜を始める。暴力とエロスの予感が、やがてあたりを包んでいく。誰かがねじを巻きつづけなければならないのだ、誰かが。1984年の世田谷の露地裏から1938年の満州蒙古国境、駅前のクリーニング店から意識の井戸の底まで、ねじのありかを求めて探索の年代記は開始される。

感想・レビュー・書評

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  • 『村上春樹、河合隼雄に会いにいく』を読んで、お二人の対談に感銘を受けたので、この長編作に着手しました。中盤まで気が乗らず、続けるか迷いましたが、加納クレタの痛みの話に吸い寄せられてしまいスイスイ。色々と噂では知っていましたが、山本のシーンはつらくて息が止まりそうになるのをこらえて読み切りました。先が気になり過ぎてたまらない。図書館が長期整理期間に入る前に第2部を借りてきました。

    この作品を読み始めてから(村上春樹作品を読むと起こることなのですが)、脳内をシャッフルされたような感じになる。過去の無意識(感情や記憶)が、全部夢になって私の表面に浮かび上がってくる。昔はとてもこの現象がこわかったけど、今はとても不思議だと思う。
    『村上春樹、河合隼雄に会いにいく』では、村上春樹は“寝ても夢を見ない”的なことを言ってたけれど、こうして他者に作品を通じて、無意識に呼びかける(夢的な)影響を与えているんではないかな…と思ったりしている。
    あのお二人の対談を読んでよかったと、心の底から言える。

  •  村上春樹が9月28日の朝日新聞に国境を越える文化圏=魂の行き来する道筋=の維持を訴えた文を寄稿していて、その中でノモハン事件を取り上げたこの本に触れていたので、読まずにはいられなかった。
    霊能力者の本田さんと、かつてノモハンで行動を共にした間宮中尉の話でノモハン事件がじっくり語られている。まるで体験者が話すようだ。戦時下の残酷極まりない殺し方、蒙古人が山本を生きたまま皮を剥ぐシーンがあるが、今回ノーベル文学賞を受賞した莫言原作の映画「赤いコウリャン」では日本軍の残虐な行動として中国人の皮を剥ぐシーンがある。農耕民族の日本人が遊牧民のようなこのような方法を取るとは思えないが、漢民族として、最も残虐さを表わす象徴のように使われたと思う。
     いっぱい横道にそれてしまったが、闇、水、ねじまき鳥、井戸、出口、ワタヤとまたパズルが始まっている。「ひとりの人間が、他のひとりの人間について全十に理解することは可能か」と言う、この僕の問いに私もつき合って第2部予言する鳥編へ進みます。

  • 間宮中尉は一瞬の光に射たれ、井戸の底から肉体の生還をはたす。
    同時に井戸の底での光の衝撃、その感覚は彼に死を与える。
    「その井戸での出来事で自らの生は終わった」と。

    村上春樹自身、個性を超えた普遍性を求めて穴を掘っている。
    その作業は間宮中尉が体験した深い井戸でひとり死を待つような苦しみであり、同時にその達成は、一個人の消滅にも似た激しい感覚であるのだろう。
    ぶっちゃけすごいよね。

    ロシア人少佐の話・鳥をみた少年の話、どちらも”伏線”としては尻切れとんぼだ。
    でもテーマという根が張り巡らされてるのをイメージすればいい。(カフカを読んだときにはできなかった)
    その末端は末端としてちゃんと太い根とつながってる。
    読み手としてはいつか”自身の経験”という養分を与えればどこかの末端が反応してちゃんと息づく。

    伏線の回収・オチの為に1000pも読むのはもったいない。二回読めないじゃん。何度も読みたい小説は何度読んでも味が違うはず。


    そういったようにテーマをどこまでも追求し、作り込まれたストーリーとキャラクターをないがしろにできる作家を実際のところ他にまだ知らない(どっちつかずの”アンニュイな感じ”を好しとして目的とする物を別にして)


    (村上春樹には無条件に噛み付くのが読書家として正しい姿勢だと今でも思っているけど)
    「ねじまき鳥クロニクル」には悔しいけど星8個はつけたくなった。

  • この巻では何も起きない。ただし登場人物の過剰な自分語りが相変わらずのリズム感あふれる文体によって謎は深まるばかり。軽いし重くて、まだわからないが深そうだ。

  • 村上春樹最大の傑作。村上春樹未読の人は、まずこれから読むべき。ノモンハンの下りはかなり長いが、現代史に疎い私が読んでも、ページをめくる手が止まらなかった。とにかく圧倒的に面白い物語。

  • 再読

  • どこかの誰かが書いていたが、
    「村上春樹の書いたエロ本」
    その通りだ。
    すっごくさえない失業中の男が主人公で、夢精したりテレフォンセックスしたりする。

    なんつーか、これが書庫の本になっていこと、結局貸し出し回数が少なくてリサイクル本になったこと、リサイクル本頒布の時にも売れ残っていたこと・・・という、私の手元にくるまでの事情一つ一つが納得できる本。

    村上春樹は苦手。登場人物がいつも感情移入できない。
    これはあれなの?みんな作者の投影なの?
    作者のマスタベーションを見ているようで、気持ち悪い。

    読む本がないので仕方なく積読状態だった本を始末している。

    間宮中尉の話は気持ち悪いけどおもしろかった。
    大陸浪人について調べてみようと思った。

  • 再読。詳細は第3部で。でも一言だけ。間宮中尉の長い話を聞き終えた後に岡田亨こと「僕」が感じた「知らない街に一人で取り残されたようなやるせない気持ち」というものを今の自分も感じている。話の落ち着く先が気になって仕方がないのである。

  • 昔読んで、あるシーンがもう一回すごく読みたくて実家から引っ張り出してきたが、そのシーンはこの巻ではなかった。

    久しぶりに読んだが描写がすごく丁寧。
    どのシーンでも頭の中にスムーズに映像化される。
    やはり好きなのは料理や音楽について描いているシーンで、青臭いといえば青臭いのだが、魅力的な切り取り方だなあと思う。
    逆にグロいシーンは読むに耐えない、、

    初めて読んでからおそらく15年以上経ってて、自分自身読解力とか経験とかが増して、より深く読めるようになった。
    物語の展開自体はすっかり忘れているので、新鮮な気持ちで読める。

  • 2018.3.12(再読)

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著者プロフィール

村上春樹(むらかみ はるき)
1949年、京都府京都市伏見区生まれ、兵庫県西宮市芦屋市育ち。早稲田大学第一文学部映画演劇科卒。大学在学中にジャズ喫茶「ピーター・キャット」を国分寺・千駄ヶ谷に開店していた(1981年、店を人に譲渡)。1979年にデビュー作の「風の歌を聴け」で群像新人文学賞を受賞。谷崎潤一郎賞、読売文学賞、朝日賞など数々の受賞歴がある。2006年にフランツ・カフカ賞、2009年にイスラエルのエルサレム賞受賞。ノーベル文学賞に最も近い作家の一人と言われており、毎年発表時期に日本国内でニュースになる。事実、村上春樹作品は全世界で翻訳されており、アメリカ・アジアでの評価がとりわけ高い。フィッツジェラルドやレイモンド・カーヴァーなどの作品の翻訳も手がけ、翻訳家としての仕事も高い評価を受ける。翻訳と創作活動を交互に行うことで、作風を変化させ、作家としての成長を続けている。新作が発表されるたび大きな話題となるが、近年は特別番組「村上RADIO」にてラジオDJも務め(不定期放映)、数々の名言も注目を集める。代表作に『風の歌を聴け』『羊をめぐる冒険』『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』『ノルウェイの森』『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』。2019年7月31日に『神の子どもたちはみな踊る』が舞台化。2019年8月7日発売の『文学界』でロングインタビュー「暗闇の中のランタンのように」掲載。アメリカのサックス奏者スタン・ゲッツの伝記翻訳を2019年8月末に刊行予定。

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