「象の消滅」 短篇選集 1980-1991

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (426ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103534167

作品紹介・あらすじ

ニューヨークが選んだ村上春樹の初期短篇17篇。英語版と同じ作品構成で贈る。

感想・レビュー・書評

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  • 『四月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて』をこの時期に読みたくて、図書館で借りた。

    かっこいい!笑
    これぞ村上春樹!

  • アメリカで出版された村上春樹の短篇選集『The Elephant Vanishes』が日本に逆輸入されたのが本書。
    全部で17の短篇が収められています。

    「午後の最後の芝生」が一番印象に残っています。
    夏の焼けつくような日差し、対照的な薄暗い部屋の中の様子…そういった場面場面に差す光が感じ取れるようなのです。
    ストーリーはどちらかというと地味なのですが、なんとも忘れ難い作品でした。

    「躍る小人」の象工場の描写が好きです。
    象を工場で製造する、という発想にくらくら。
    それぞれの体の部位で工程があり、それらのパーツが組み立てられて象になる。
    耳を作る描写も、実際にそんなふうにして象の耳が作られているのではないかと思ってしまうほど。

  • サンドウィッチを食べ、缶ビールを飲み、ショスタコーヴィチのチェロソナタを聴き、眠れないのでトルストイやドストエフスキーを読んだ。妻は猫が帰ってこないと言って台所で独り泣いて僕を責めたが僕は反論しなかった、妻の友達はいきなり両親が何故離婚したかについて話はじめた、夜中にお腹が空いても冷蔵庫には玉葱しかなかった、僕はあのハンバーグステーキを作ってくれた女性と寝るべきだったろうか?・・・誰にでも書けるような平易な文章、意味があるのかないのか判別出来ない文章。 バブル全盛のあの頃の短編集。1980年代から90年代の始め、今以上に若者は村上春樹を読んでいた。ノルウェイの森以降の長編を出せばミリオンセラーになる経済と結びついた村上春樹になる前の、濃縮した彼らしい文章の数々にしばし酔った。

  • ニューヨークが選んだ、村上春樹さんのかなり初期の短編集。すべてが自分の想像力を超えていて圧倒されました。個人的には、『沈黙』と『四月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて』がお気に入り。冒頭の、アメリカという広大なマーケットで「新人作家」として挑戦した頃のエピソードにも感銘を受けました。

  • ムラカミハルキばっかり読んでた頃に読んだことある短編も沢山入ってたけど、世界的にはこのセレクトだと聞いて読んでみました。

    久々に読んでみて、「あっ!この話、覚えてる!覚えてる!」
    「いったいどう収束するんだっけ?」なんて思ってると、
    あぁ~、終息はしないんだったぁ♪
    それがムラカミハルキの短編だったぁ♪
    って^^
    それにしても、どんだけ「渡辺昇」がすきなんだろ?この人。
    何人の渡辺昇が出てきたかしら…?

  • 2010.03.23. 5年くらい前に、読んでいる。でも、その頃はまだ村上さんを好きでもなくて、全部読み通せず。今回も、ちみちみとひとつずつを千切るように読んだ。「四月のある晴れた朝に100%の女の子に出会うことについて」が、何度読んでもいい。とても素敵で幸せな気持ちになれる。「踊る小人」の象工場も覗いてみたい。そしてやっぱり「緑色の獣」が怖くて読めない。

  • 「象の消滅」は、何年か振りに買った短篇集でした。

    個人的には、村上春樹先生の作品は長篇より短篇のほうが好きです。
    読み易さもありますが、あっという間に確立される世界観(=セットアップの速さ・スマートさ)、提示される目的、そこへ読者を引き込む言葉… 音と映像を感じさせる文章。
    軽く言ってしまえば、全体の「雰囲気」でしょうか。
    そして何より、すっと話を終える美しさ。

    ウン、いくら読んでも雲の上過ぎて、全く参考になりません^^;

  • 繋がっているような物語もあるし、それ単体の物語もある。
    前の物語の余韻を残したまま次の物語を読んで、不思議な気持ちになる。

  • 「納屋を焼く」という短篇がいいと聞き、そのお話が収録されている本を図書館に予約したらこれだった。「ニューヨーカー」というアメリカの雑誌に載った短篇ばかりを17篇集めた、村上春樹初期の短篇集。
    読み出したらとても充実した内容で面白かったから、これは自分の手元にもあってもいいかも、と思っている。装丁も格好いい(これも手元に置きたくなる要素の大きなひとつだと思う)。

    短篇集なので読みやすいのだけど、どれも様々なメタファーが隠されていそうで、それを考えながら読んだものもけっこうあった。
    「納屋を焼く」はおそらく、偏愛するものだとか、フェティシズム的な意味合いとして「納屋を焼くことを趣味とする男」が出てくるのだけど、自分にもそういうフェティシズムはあるのだろうかとしばし考えた。ぱっとは思いつかなかったから自分はごく平凡な人間なのだろうと思ったけれど、他人から見るととても偏った部分がきっとあるはずで、無自覚であることの怖さも少し感じたりした。

    どれもそれぞれに良かったのだけど、私はとくに「眠り」「四月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて」「中国行きのスロウ・ボート」「午後の最後の芝生」が好きだった。

    村上春樹氏のお洒落感がある文章って好きずきというか、わりと好みが分かれやすいのかしらと思うのだけど、短篇だと(それとも初期のだから?)そういう雰囲気もやや薄いように思う。私は1人の作家を激烈に愛する派ではなく、自分の思想とかも関係なしにこだわりなくいろいろ読む派なので、どうなのか分からないところもあるけれど。
    シンプルに面白い本だった。

  • ふと手に取って、時々読み返したくなる本。

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著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

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