世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 318
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  • Amazon.co.jp ・本 (618ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103534174

感想・レビュー・書評

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  • 村上朝日堂を読めば良かったと、酷く後悔した。

  • 高校生の頃に読んで以来、再読です。
    ああ!これご村上春樹だよなという感覚が蘇りました。
    終盤、主人公がモノをどんどん捨て去るシーンがありますが、高校生のころの自分もそこに惹かれましたし、アラフィフになった自分も惹かれました。

    再々読
    この作品は、二つの世界を交互に綴る構成になってます。この構成はこの作品が最初なのかな。
    一番最初に読んだときは、とても面白い構成だなと感じたのを覚えています。
    かっこいいメタファーは表現も多く登場し、大人の世界を感じたのも覚えています。
    3回目ですが、改めて読んで感じたのは「文章が若い!」です。
    いや若いというよりエネルギッシュといったほうがいいか。
    最新作「街と不確かな壁」と比べると、言葉の装飾が多く感じます。
    非常にかっこいい文章だし、引きつける魅力が十分にあるんですが、
    言葉磨きが足りないというか、シンプルさは追求しきれていないなという感じを受けました。
    村上春樹が36歳の時の作品。作者も成長しているということですね。

  • 「ノルウェーの森」以来の村上春樹氏の作品。

    最初の一冊が「ノルウェーの森」だと村上春樹は読まなくなるという話を聞いて、まさにその通りだったので、今回は初めての一冊にオススメの本書を読んで見ました。

    途中の文章や世界観が非常に面白く、分厚い本だけど楽しく読めました。

    しかし、最後の何も解決しない終わり方は、ミステリー好きな自分にとっては違和感あり。これがよく言われる村上春樹の喪失感と言われるものかと納得。

  • 再読用

  • 3つの世界がいりみだれる。パラレル。

  • 何回読んでも面白い。
    やれやれ が口癖になるくらい、登場人物がみんな魅力的なんだあ

  • 個と全体を描きたかったのかな?
    2つのワールドがどう関わりを持っているのかを念頭に読んでいたからか、読み終わった後?となりました。
    もう何回か読み直しが必要です。

  • 初版本を買って数ページ読んで「何だこりゃ」とやめたのが30数年前。いつ捨てたのかすら覚えていない。恐々再度挑戦したがスーと読めた。きっとこれが春樹の代表作なんだろうと思う。

  • 村上春樹作品の中で最も好きな小説です。
    他の作品とは一線を画していますし、日本国内には収まらないスケールの大きさを感じます。
    現実虚実、有象無象が混在した世界観に引き込まれます。
    タルコフスキーの「ノスタルジア」やキューブリックの「2001年宇宙の旅」
    を観た後と同じような感動を覚えました。

  • 「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」
    2つの世界が交錯する不思議な世界の話。


    本書は「世界の終り」と「ハードボイルド・ワンダーランド」という2つのプロットが交互に語られています。


    ◆世界の終り◆
    主人公”僕”は、閉じた世界のある街に暮らしている。街の中心をなすのは、旧橋の北側に広がる半円形の広場。そこには、中央には大きな時計台が空を突きさすような格好で立っている。北の広場を幾重にも取り囲むように、石造りや煉瓦造りの建物が扇状に拡がっている。建物1つ1つに際立った特徴はなく、”僕”はそんな建物の1つである図書館に通っている。”僕”の仕事は古い夢を読むこと。ある動物の頭蓋に込められた夢を読むのだ。


    ”僕"にとっての世界は、これが全て。”僕”には1人のパートナー”影”がいる。”影”とともにこの世界から脱出する為、”僕”は街の地図を作り始める。


    ◆ハードボイルド・ワンダーランド◆
    ”私”は、計算士である。計算士は一言でいうと、情報を守る仕事だ。数値の配列を解読し、その数値を右側の脳に入れ、異なる記号に変換してから左側の脳に移し、左側の脳に移したものを最初の数値とは全く異なる数字として取り出す(私達の世界で言う暗号化に近い)。ズボンの右ポケットに百円玉と五百円玉を入れ、左ポケットに五十円玉と十円玉を入れ、両手を左右のポケットにつっこみ、右手で百円玉と五百円玉の金額を数え、それと並行して左手で五十円玉と十円玉を数える。ダニー・ボーイを口笛で吹き、映画ワーロックを愛する。それが”私”。


    ある日、”私”は、老人に仕事を頼まれる。それぞれの動物の頭蓋骨および口蓋の容積の三次元映像を数値転換した数値と、その発声を三要素分解したものを組み合わせた数値を組み合わせたものを解析するのだ。”私”はその仕事を引き受け、数日後、また老人と会うはずだった。しかし、老人は消え、謎の組織が”私”を襲ってきた。


    「世界の終り」と「ハードボイルド・ワンダーランド」が交互に進んでいく設定になっており、各々独立した世界の様。しかし、何かしら関係性があるんじゃないか?と思わせる伏線があります。例えば、一角獣、世界の終り、ダニーボーイ。それらがどんな意味があるのかを想像させる1つのフックになっています。


    もう1つ大きな役割を持つのが、”私”。正確にいうと”私”の意識。第三のジャンクションを埋め込まれる措置を施され、じきに埋め込まれた第三の回路に意識を乗っ取られてしまう。(なんのこっちゃ!?と思われるので、是非読んで頂きたい)。その驚愕の事実を知るのが、老人(著名な博士であり”私”の大先輩であった)と再会した後のこと。そこから”私”は、意識が乗っ取られることに抗うのか、享受するのかの選択を迫られることになる。


    ”私”の意識に施された科学的な仕掛けを基に「世界の終り」と「ハードボイルド・ワンダーランド」が引き合わされていく。心を見失った”僕”は、”影”と世界からの脱出を目指していたが、図書館の女の子に惹かれ、次第に心を取り戻していく。そして、心を失わない決断を行う。この”僕”の物語の最初と最後の変化に、”私”が関係しているように思う。


    すんなり解釈すると「ハードボイルド・ワンダーランド」の”私”の意識が「世界の終り」である様に思えるがどうでしょうか。村上春樹の小説は、物語の解釈を読者に投げかけるケースで終わることが多い印象ですが、本書は、とてもきれいな形でこちらに投げかけている様に思います。


    ちなみに、村上春樹と言えば妙に性描写が出てくる印象ですが、本書も出てきます。いまいち、役割がわからなかったけどw

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著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

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