パン屋を襲う

著者 : 村上春樹
制作 : カット メンシック 
  • 新潮社 (2013年2月1日発売)
3.32
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  • レビュー :137
  • Amazon.co.jp ・本 (77ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103534297

作品紹介

「殺っちまおう」と相棒は言い、「もう一度襲うのよ」と妻は言った――。
空腹に耐えかねた「僕」と相棒が、包丁を忍ばせ商店街へと向かう「パン屋襲撃」。異常な飢餓感に突き動かされた「僕」と妻が、午前二時半の東京を彷徨う「パン屋再襲撃」。

村上春樹の初期作品として名高い二篇が、時を経て甦る! 改稿にともないタイトルを一新、ドイツ気鋭画家のイラストレーションと構成するアート・ブック。

パン屋を襲うの感想・レビュー・書評

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  • 短編が2編。大人向けの絵本の趣きです。
    書き出しの文、インパクトありますね。
    最初からすぐに村上春樹さんの世界が広がりました。

    初出は1981年と1985年。
    その文体のせいなのか、読んでいるうち、若かったその当時の自分が彷彿されました。
    青臭くて、ふわふわしていて、今よりもっと何もわかっていなかった。
    あの頃も今も、村上春樹の小説を読むと確固としたものを持たない自分を思い知ります。

    あーこの感じ…としみじみ思う文章の引用* * *

    (日本共産党のポスターが何枚も貼ってある店で)
     パン屋の主人はそんなことにはおかまいなく、ラジオ・カセットから流れるワグナーにうっとりと耳を澄ませていた。共産党員がワグナーを聴くことがはたして正しい行為であるのかどうか、僕にはわからない。それは僕の判断が及ばない領域にある物事だ。

    * * * 

    「君はその呪いの影をどんな風に感じるんだろう?」と僕は質問してみた。
    「何年も洗濯していないほこりだらけのカーテンが天井から垂れ下がっているような気がするのよ」


    奥付の後ろにある小さなイラストは、村上春樹さんとドイツ人画家さんの2ショット!いい感じです(笑)

  • いやはや、本屋で見つけてうっかり買ってしまった。無性にまた読みたくなって。文庫を引っ張り出せばいいんだけど。
    前に読んだ時よりも、比喩がしっくりくる。改編のためだけではないと思う。年をとったのかな。
    オバサンがパンを選ぶくだり最高。
    2013/03/03読了。

  • イラストと村上さんの作品とがとっても合っていて何度読んでも飽きません、
    装丁も素敵です、

  • パン屋再襲撃とパン屋を襲うに挿絵がついた。

    ワーグナーが好きなパン屋の主人が変人でいい。

    読みながら、「そうそうマクドに行きはった」と思い出した。「なんでやねん」って何回も突っ込んだ。

    奥さんの眠っている絵と旦那のタバコがなんだか色っぽく感じた。

  •  世界の根本的なレギュレーションはおかしいんだけど、そのおかしな世界の中でのリアリティが死守されているのが、この人のお話に共通する魅力だと思う。

    『襲撃』『再襲撃』どちらも背景のガジェットがちょっとだけアップデートされているけれど、お話の根幹はまったくいっしょ。絵本になっているので、イメージにある程度のベクトルができてしまっている。それをよしとするか否かは読み手しだい。

     ぼくは最初は挿絵を見ずに読み、二度目は挿絵をじっくり見ながら読みました。二度おいしかったです。いや、以前に読んだのも合わせると三度おいしかったか。

  • 『このような不条理性ーと言ってかまわないと思うーを回避するには、我々は実際には何ひとつとして選択してはいないのだという立場をとる必要があるし、おおむね僕はそんな風に考えて暮らしている』-『再びパン屋を襲う』

    村上春樹の描き出す、現実に似ているけれど根本的に何かがずれている世界に興味がある。その根本的にずれているもののためだろうか、現実によく似た世界はどことなく平べったくて、その中を動き回る人物たちも映画のスクリーンに映し出される影のように見え、語られる言葉はあらかじめスクリプトされた台詞のように響く。それを御伽草子的な雰囲気と言ってもよいのだが、そのくせどこかでスクリーンのこちら側の現実に響き、観客席に座るものを落ち着かない気分にさせる。これは暗喩に満ちた架空の世界なのだ、と。

    その作品について何かを語ろうとするもののすぐ目と鼻の先で、スクリーンの上の影はぺろりと舌を出し、単純な言葉に矮小化されてしまわれるのを拒絶する。何かをそのエッセンスとして抽出しようとする試みを、悉く退けてくるような手応えが、手元に残る。

    それ以上に何を言うべきか。村上春樹は、読むものにたっぷりとした余地を与えつつも、自分自身に言及されることは許さない、という雰囲気もまた同時に醸し出す。脳みそを存分に刺激するだけ刺激して、しっかりと握りしめていた筈の手の中からいつの間にか消えている。その喪失感が意味するものは何なのか、その答えを希求することが正しいことなのだという意識だけを植えつけて。

  • えーーーー

    新潮社のPR
    「「殺っちまおう」と相棒は言い、「もう一度襲うのよ」と妻は言った――。名作二篇を改稿、ドイツ気鋭画家のイラストとともに贈る。 」

  • 一瞬で読めた
    相変わらずの文章
    奇妙な思考を当たり前のように描写されている
    夜中に車を運転しているような空気感が伝わる
    パン屋襲撃というフレーズも素敵だ
    実際には法に触れるようなことはしておらずふふと笑ってしまう
    面白かった

  • 「ねむり」に続く、カット・メンシックによるイラストレーションと短編とのコラボ。
     今回は「パン屋を襲う」と「再びパン屋を襲う」の2編が掲載されている。
     どちらも以前に読んでいる。
     以前のタイトルは「パン屋襲撃」「パン屋再襲撃」であり、もう忘れていたのだが「パン屋襲撃」は全集にしか掲載されていないとのこと。
     そういえば無理して全集を買ったなぁ、なんてことを思い出した。
     今回、改稿されているらしいのだが、どこがどう変わったのかよくわからなかった。
     一か所だけ「ソニーブルーレイレコーダー」という単語が出てくるが、これは以前書かれた時には、この世に存在しない機械だったから、これは今回の改稿によって登場してきたのだろう。
     そんなことに気がついても「だから何?」なのだが。
     どちらの作品も多分、深い意味を負いながら、あるいはストーリーを楽しみながら、というよりは、文章を、文体を楽しみながら読む、というのがあっているように思える。
     2編を比べると僕は「再び「パン屋を襲う」の方が断然面白かったし、何か深い意味が眠っているようにも思える。
     前出のとおり、そんな深い意味を探りながら読んだりはしなかったんだけどね(汗)。

  • 単行本になった1980年代に読んだときのような面白さはなくなっていました。自分が変わったんでしょうね。
    イラストはいいのもあるし、なんだかなーというのもありました。

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