図書館奇譚

著者 :
  • 新潮社
3.32
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本棚登録 : 533
レビュー : 102
  • Amazon.co.jp ・本 (75ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103534303

感想・レビュー・書評

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  • 「カンガルー日和」の佐々木マキさんでずっと読んできたので、この絵にビックリ!
    しかもドイツのイラストレーターさんとのことでそれにも驚く。
    文章にも手を入れたとのことだけど、絵のおどろおどろしさに本当に同じ話?と「カンガルー日和」を読み直したい気持ちになる。
    どちらかというとファンタジーと思って読んできたのに一気にホラーのエリア入り。
    挿絵に虫を描きすぎだし。
    主人公は少年なのか青年なのかわからなくなってきた。
    それにしても、脳みそちゅーちゅーも毛虫壷も闇の中裸足で何か踏んじゃうのも嫌すぎる。

  • 村上春樹がよくいう、心の底の暗い部分を掘り下げていく話というのは、多分こういう短篇に原点があるのだろうな、と思う。夢でも見ているような突拍子もない転回に、どことなく後暗い思いが潜んでいる。その事を上手く覆い隠すのではなく、じくじくとした生乾きの傷痕に触れるようにして後暗いところに踏み込んで行けるのが小説家の本分なのだと思う。もちろん、つまびらかにした詳細をそのまま言葉に置き換えたりはしないだろうけれど。

    夜の闇の持つ不可視さは、ひっくり返せば可能性ということでもあり、不可思議な世界の不可侵さでもある。そのことを村上春樹は理解していて、そのニュアンスをすっと入れ替えるのが巧みだと思う。多分、人は一つの物事を一つの意味できっちりと捉えるのが苦手な生き物なのだと思う。その時々で対象物は自分にとって善ともなり悪ともなる。だから、物事の好ましい面と煩わしい面は常に表裏一体であると考えておくのがよい、自分自身のことを含めて。

    このシリーズは、挿し絵が夢とも現とも着かない「夜」の雰囲気を捉えていて、大人のための童話という印象が残るのが好もしい。矢作俊彦の名無しの探偵シリーズの谷口ジローの白黒の挿し絵のことが何となく思い出されるけれど、日下武司の朗読が活字になってこの挿し絵に出会ったとき、何か見てはいけないものを見てしまったような印象を抱いたのは、今から思えば思春期の少年には理解できない大人の雰囲気がそこにあったからなのだなと思う。活字だけなら堂々と電車の中で読むこともできるけれど、この大人の絵本は人前で読むのに今でも少し勇気がいる。

  • 大人が読む絵本といった感じ。完成度がめちゃくちゃ高い!!

    「羊をめぐる冒険」や「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」などの初期の作品を思い出させる作風になっていて、まるで昔にタイムトリップしてしまった様な感覚になった。

    これこれ!私の好きだった村上春樹だーっと興奮して読み終えたけど、それもそのはず。
    あとがきに書いてありましたが、この「図書館奇譚」は1982年に発表された作品が元になっているとの事。それから何度か加筆修正を繰り返して、何パターンか出ているとな。
    うーん、全部読みたい。

    • mattun08さん
      このレビュー読んだら、めっちゃこの本読みたくなった!今度、図書館でリクエストしてみるよ(*^_^*)
      このレビュー読んだら、めっちゃこの本読みたくなった!今度、図書館でリクエストしてみるよ(*^_^*)
      2015/06/08
    • フーミンさん
      >mattun08
      ぜひぜひ、読んでみて~。そして感想聞かせてね♪
      >mattun08
      ぜひぜひ、読んでみて~。そして感想聞かせてね♪
      2015/06/10
  • 図書館で、初めて見かけた。なかなか怖かった、おもしろかった。
    この短編の来歴もおもしろい。ふしぎな図書館 も読んでみたい、佐々木マキさんの絵がみたい。

  • 村上春樹。
    日本で最も有名な作家の一人で、世界でも有名な作家の一人である。
    読書家だと自負している私だが、村上春樹を読み通したのは実は本書が初めて。
    というのも、小学生から中学生にかけて、村上春樹を読んだことがあるものの、苦手意識があったのだ。
    しかも、村上龍と角川春樹とごっちゃになってしまっていたという、どの口が読書家というのやら、な認識もあり、かなり久しぶりに手に取った次第である(今は区別はついています!)。

    イラストを手がけるのはドイツ人画家、カット・メンシック。
    個人的には、日本人にもなじみやすい絵だと感じた。
    その理由として、色を抑えていることで、切り絵を思わせるからではないかと思う。

    さて、本文について、図書館はまさに不思議空間である。
    一冊一冊に異なる世界が描かれ、それは無数の、しかし薄くて軽い扉たった一枚のの向こう側にある。
    主人公の「ぼく」は、その不思議な世界に迷い込んでしまった。

    「知識の詰まった脳味噌というのはとてもおいしいものなんだよ」
    羊男は語る。
    確かにそうかもしれない。
    グロテスクでありながら、そうかもしれないと思わせる、この世界!
    牢獄から出ようとする「ぼく」と、美少女と羊男。
    三人は一緒に閉じられた世界から出ようとした。
    しかし、一緒に、という言い方は間違っているのかもしれない。
    なぜなら彼らの世界は同一でありながら、異なる世界に生きていたから。

    私は図書館でたくさんの夢を見、知識を得た。
    そしてもっと頭が良くなれば、もっと知識を得られたならば、と望んだ。
    「ぼく」はちゅうちゅうと脳味噌を吸われるのを嫌がったけれど、知識と引き換えなら私はどうするだろう?

  • 昔カンガルー日和で読んだ内容の別バージョン。挿絵に迫力があると内容の恐ろしさも迫ってくるようだった。羊男と美少女はその後どうなったのだろう。おじいさんがひたすら怖かった。脳味噌を吸われる描写が具体的でぞっとした。

  • ハイハイ!
    そうです、そうです
    そうですよね~~

  • 図書館、暗闇、羊男

  • だから羊男さんの世界では私が存在しないからって、私がまるで存在しないってことにはならないでしょ?
    というセリフにクラクラ。

  • 絵だけでいい

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著者プロフィール

村上春樹(むらかみ はるき)
1949年、京都府京都市伏見区生まれ、兵庫県西宮市芦屋市育ち。早稲田大学第一文学部映画演劇科卒。大学在学中にジャズ喫茶「ピーター・キャット」を国分寺・千駄ヶ谷に開店していた(1981年、店を人に譲渡)。1979年にデビュー作の「風の歌を聴け」で群像新人文学賞を受賞。谷崎潤一郎賞、読売文学賞、朝日賞など数々の受賞歴がある。2006年にフランツ・カフカ賞、2009年にイスラエルのエルサレム賞受賞。ノーベル文学賞に最も近い作家の一人と言われており、毎年発表時期に日本国内でニュースになる。事実、村上春樹作品は全世界で翻訳されており、アメリカ・アジアでの評価がとりわけ高い。フィッツジェラルドやレイモンド・カーヴァーなどの作品の翻訳も手がけ、翻訳家としての仕事も高い評価を受ける。翻訳と創作活動を交互に行うことで、作風を変化させ、作家としての成長を続けている。新作が発表されるたび大きな話題となるが、近年は特別番組「村上RADIO」にてラジオDJも務め(不定期放映)、数々の名言も注目を集める。代表作に『風の歌を聴け』『羊をめぐる冒険』『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』『ノルウェイの森』『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』。2019年7月31日に『神の子どもたちはみな踊る』が舞台化。アメリカのサックス奏者スタン・ゲッツの伝記翻訳を2019年8月刊行。2019年9月10日発売の『文藝春秋』10月号で「至るところにある妄想 バイロイト日記」を寄稿。

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